「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:36
2015年4月28日 お仕事“ わ れ 以 外 み な 師 な り ”
もうひとつ、私が選んだ証券市場の世界は、まさに“ 人生の縮図 ”であり、“ 人生の道場 ”面目躍如たるものがあった。証券市場のアップとダウンを舞台に演じられる喜怒哀楽の種々な人生は、すべてが貴重な参考となった。株式市場で“ 高くなれば買い、安くなれば売る”という周章狼狽する顧客は、注意すべき反面教師だったし、必ず儲ける顧客と損する人とのちがいを、さまざまな取引態度から実地に教えられたものである。
また、事業法人担当のセールスマンとして、いろいろなタイプの経営者から、その実力ぶりを直かに学ぶこともできた。とくに、入社初期に出会ったナニワ商人の王道をいく経営者の姿には、今でも鮮やかな印象が脳裡に残っている。
その顧客は、五十歳代半ばで、実に金儲けの上手な人だった。人生の成功を資産や地位の大小ではかるのではなく、人生で何が大事なものかを教えてくれる、いわゆるまともな生き方に徹して、常に堂々としていた。株式投資の際には、決して周囲に影響されずに、自分の目や耳を信じ、自己の信念に従って投資に力を発揮していた。なによりも、権威に頼らぬベンチャー精神の旺盛さに、私は心あこがれたものである。
有能な投資家に限って、その投資態度から、知らず知らずに証券セールスマンを指導してくれるものである。また、こちらの失敗や落ち込みのときでも、厳しい中にもやさしい言葉を忘れずに、暖かく励ましてくれる投資家であった。こうした外部の“ 達人 ”から逐一、学ばないという法はない。むしろ、社内だけでなく、社外にどれほど多くの“ 達人 ”や“ 先達 ”をもつことができるかが、証券マンやサラリーマンの本物になるかどうかの分かれ目であるような気がする。
私のとび込んだ証券界は、他人のお金で証券投資の醍醐味を体験できる“ 役得 ”もある。
いわば、他人の懐を利用して、貴重な人生のトレーニングを積むことができる場だ。
その人生の“ 修羅場 ”を十分に活かすためには、一にも二にも顧客を知り、顧客の人生体験から学び続けることなのである。
私がいま指導している証券マンには、これから大きく伸びる顧客をどう見つけられる、儲ける顧客をネットワークにどう紹介客を増やしていくか、顧客との共存共栄方針によるセールス・プロモートを心がけている。
「あの客が買えば、相場が必ずあがる!」
証券セールスマンとして、それが見分けられるようになるためには、やはり、顧客との人間的なふれあいを通じて、個々に、身をもって学びとる以外に方法はないようだ。
“ わ れ 以 外 み な 師 な り ”の精神で、いつでも学ぼうという柔軟な姿勢こそ、ベンチャー心得の第一条といえるような気がする。 つづく
もうひとつ、私が選んだ証券市場の世界は、まさに“ 人生の縮図 ”であり、“ 人生の道場 ”面目躍如たるものがあった。証券市場のアップとダウンを舞台に演じられる喜怒哀楽の種々な人生は、すべてが貴重な参考となった。株式市場で“ 高くなれば買い、安くなれば売る”という周章狼狽する顧客は、注意すべき反面教師だったし、必ず儲ける顧客と損する人とのちがいを、さまざまな取引態度から実地に教えられたものである。
また、事業法人担当のセールスマンとして、いろいろなタイプの経営者から、その実力ぶりを直かに学ぶこともできた。とくに、入社初期に出会ったナニワ商人の王道をいく経営者の姿には、今でも鮮やかな印象が脳裡に残っている。
その顧客は、五十歳代半ばで、実に金儲けの上手な人だった。人生の成功を資産や地位の大小ではかるのではなく、人生で何が大事なものかを教えてくれる、いわゆるまともな生き方に徹して、常に堂々としていた。株式投資の際には、決して周囲に影響されずに、自分の目や耳を信じ、自己の信念に従って投資に力を発揮していた。なによりも、権威に頼らぬベンチャー精神の旺盛さに、私は心あこがれたものである。
有能な投資家に限って、その投資態度から、知らず知らずに証券セールスマンを指導してくれるものである。また、こちらの失敗や落ち込みのときでも、厳しい中にもやさしい言葉を忘れずに、暖かく励ましてくれる投資家であった。こうした外部の“ 達人 ”から逐一、学ばないという法はない。むしろ、社内だけでなく、社外にどれほど多くの“ 達人 ”や“ 先達 ”をもつことができるかが、証券マンやサラリーマンの本物になるかどうかの分かれ目であるような気がする。
私のとび込んだ証券界は、他人のお金で証券投資の醍醐味を体験できる“ 役得 ”もある。
いわば、他人の懐を利用して、貴重な人生のトレーニングを積むことができる場だ。
その人生の“ 修羅場 ”を十分に活かすためには、一にも二にも顧客を知り、顧客の人生体験から学び続けることなのである。
私がいま指導している証券マンには、これから大きく伸びる顧客をどう見つけられる、儲ける顧客をネットワークにどう紹介客を増やしていくか、顧客との共存共栄方針によるセールス・プロモートを心がけている。
「あの客が買えば、相場が必ずあがる!」
証券セールスマンとして、それが見分けられるようになるためには、やはり、顧客との人間的なふれあいを通じて、個々に、身をもって学びとる以外に方法はないようだ。
“ わ れ 以 外 み な 師 な り ”の精神で、いつでも学ぼうという柔軟な姿勢こそ、ベンチャー心得の第一条といえるような気がする。 つづく