「何のための消費税増税か」を考えませんか
2012年1月22日 お仕事 国民主権の立場で国民が、野田政権の政権運営を「本当に有難う!」と感謝できる姿勢かどうかは、マスコミ調査を見る限り、本当に厳しい。党首選立候補当初からアンケート支持率など気にしないと明言した野田内閣である。支持率が続落する過程での内閣改造効果を民意から評価されない現実をどう考えるかだ。
昨21日の日経新聞朝刊「大機小機」欄に掲載された、“何のための消費税増税か”は、正しく増税のための増税策としか映らない論者の下記ご意見に賛同したい。
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何 の た め の 消 費 税 増 税 か
消費税の増税が通常国会の最大の焦点となっているが、マニフェスト(政権公約)違反か否かという入り口の議論が中心で、何のための増税かという基本的な視点が忘れられているようだ。
もともと、不要な歳出を削って子ども手当などの新規政策の費用に充てることが民主党の政策の基本だった。それが政策を取った後は、既得権の厚い壁に遮られて見事に失敗し、税収の倍以上の一般会計歳出を賄うための増税が必要になった。その意味では、増税よりも、無駄な歳費削減というマニフェストを実現できなかった方に、より重大な責任がある。しかし現実には、消費税率の引き上げを主目的とし、それを誘導するために無駄な歳出増を容認する、逆立ちした状況となっている。
まず、本年度予算で税収の過小な見積もりなどから生じた2.5兆円の剰余金を、巨額の借金の返済に充てるのではなく、第4次補正予算を作ってまで使い切った。あたかも歳入増が増税の邪魔になるかのようだ。来年度予算では自民党政権時代にも凍結されていた整備新幹線が認められた。八ツ場ダムが大きな話題となっているが、「コンクリートから人へ」の理念からいえば、新規着工の新幹線の方がより重大な公約違反だ。
さらに、消費税増税分のうち交付税を含め1.54%が知事会などの圧力で地方に配分されることになった。増税はその分け前を頂く仕組みのままでは、地方自治体に財政改革を進めるインセンティブは生じない。
消費税率が倍になれば、消費者から預かった税金の納税を小規模事業者から免除される金額も倍となる。現行の軽減税率をそのまま維持するのではなく、欧州型のインボイス方式を導入しなければ、税制の公平性は維持できない。これも増税への反対論を抑えるために見送られてしまった。
これら各界の圧力団体への大判振る舞いをした結果、仮に5%の消費増税が実現しても、ネットの増収効果は乏しく、高齢化で自動的に増える社会保障費の拡大から数年間で食い潰されるだろう。
年金の支給開始年齢の引き上げや、高齢者医療の見直し等、社会保障制度の抜本的な改革がなければ、底に穴のあいたバケツに水を注ぐようなものだ。増税は必要でも、それが歳出面の改革を伴わなければ何の意味があるかについて、今一度問い直すべきである。(吾妻橋)
昨21日の日経新聞朝刊「大機小機」欄に掲載された、“何のための消費税増税か”は、正しく増税のための増税策としか映らない論者の下記ご意見に賛同したい。
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何 の た め の 消 費 税 増 税 か
消費税の増税が通常国会の最大の焦点となっているが、マニフェスト(政権公約)違反か否かという入り口の議論が中心で、何のための増税かという基本的な視点が忘れられているようだ。
もともと、不要な歳出を削って子ども手当などの新規政策の費用に充てることが民主党の政策の基本だった。それが政策を取った後は、既得権の厚い壁に遮られて見事に失敗し、税収の倍以上の一般会計歳出を賄うための増税が必要になった。その意味では、増税よりも、無駄な歳費削減というマニフェストを実現できなかった方に、より重大な責任がある。しかし現実には、消費税率の引き上げを主目的とし、それを誘導するために無駄な歳出増を容認する、逆立ちした状況となっている。
まず、本年度予算で税収の過小な見積もりなどから生じた2.5兆円の剰余金を、巨額の借金の返済に充てるのではなく、第4次補正予算を作ってまで使い切った。あたかも歳入増が増税の邪魔になるかのようだ。来年度予算では自民党政権時代にも凍結されていた整備新幹線が認められた。八ツ場ダムが大きな話題となっているが、「コンクリートから人へ」の理念からいえば、新規着工の新幹線の方がより重大な公約違反だ。
さらに、消費税増税分のうち交付税を含め1.54%が知事会などの圧力で地方に配分されることになった。増税はその分け前を頂く仕組みのままでは、地方自治体に財政改革を進めるインセンティブは生じない。
消費税率が倍になれば、消費者から預かった税金の納税を小規模事業者から免除される金額も倍となる。現行の軽減税率をそのまま維持するのではなく、欧州型のインボイス方式を導入しなければ、税制の公平性は維持できない。これも増税への反対論を抑えるために見送られてしまった。
これら各界の圧力団体への大判振る舞いをした結果、仮に5%の消費増税が実現しても、ネットの増収効果は乏しく、高齢化で自動的に増える社会保障費の拡大から数年間で食い潰されるだろう。
年金の支給開始年齢の引き上げや、高齢者医療の見直し等、社会保障制度の抜本的な改革がなければ、底に穴のあいたバケツに水を注ぐようなものだ。増税は必要でも、それが歳出面の改革を伴わなければ何の意味があるかについて、今一度問い直すべきである。(吾妻橋)