そもそも『生涯現役塾』に関わることになったのは、一体どうしてなのか。性格的には、もともと人を集めた世話役など、自分にとって適格だとは思っていなかった。その人生チャレンジの出発点を探ってみると、青年期の“わが人生への自問自答にある”といえる。順風満帆に世間で評価される一流校進学ができていれば、人生への取り組み姿勢が今とは大きく変わっていたかも知れない。

  高校まで呑気に田舎生活を楽しんでいた自分が、大学進学に際し一年浪人経験後でも志望通りの合格は叶わず、涙を呑み、甘く夢見た学生人生を再構築させられた苦悩の体験をもつ。安い学費を狙って止む無く国立二期校の、しかも第二志望学科の不熱心な学業よりアルバイトに熱中した時期に、何となく惹かれた親友からの意外な因縁が、いまの「生涯現役」命題に結び付いたのが面白い。

  家庭内の非運「なぜ自分は苦しく生きるのか?」を入信で決断したその学友とキリスト教学生会(KGK)仲間たちの無知な私への1年もの執成しの祈り。さらに驚かされたのは、未婚で遠く故国を離れた日本に一生を捧げ、真摯な語学指導だっただけでなく、常に“神に在る幸せ”を私たち若い学生一人ひとりに態度で伝えてくれた独国女性美人講師の笑顔に満ちた姿だった。

  その在学中、紹介された教会に通い始めて1年後、著名な大学神学部長兼務牧師の『人生は賭けだ!神中心か、自分中心か』と強く迫る説教に、潔く人間の弱さを知らされ、54年前に受洗した。爾来、“神は自ら助くる者を助く”を信条に、神に依り頼む生き様の決断が、人間万事最優先するわが人生の惠みを深謝している。

  就職も、結婚も、全て神に導かれた人生だと納得して、入信以前のくよくよ悩んだ人生にオサラバできたのが有難い。長女誕生の肝心要の時に、生死をさ迷う3ヶ月もの大病から無事この世に生還できた感激を忘れず、組織従属型サラリーマン人生を超サラする自己定年目標50歳計画の「生涯現役」人生で“神の栄光のため信徒伝道”に捧げたいと決意した。

  それからの人生は、「わが生涯現役の志は何か」の原点を迷わず探究し続けられた。その準備を怠らず、証券営業マンの持ち味を活かして社会に役立つことは何かを熟慮の結果、定年後は自分を含め、職場を失うサラリーマンに役立つ人生再出発道場づくりの構想だった。そして38歳転職、49歳独立の、それぞれ人生再出発を自ら体験チャレンジで予定通り決行した。 (以下 つづく)