通算サラリーマン生活25年間を、厳しいビジネスの戦線で無我夢中になって奮闘しているうちは、先のことを考える余裕もなく、自分がベンチャーしようとは考えだにしなかった。

 しかし、ビジネスマンとしての経験を積み、とくにここ数年、エレクトロニクスの急速な発展や社会情勢の急激な変化を目の当たりに接するにおよんで、私の考えは次第に自分の生き甲斐に燃えてみよう、とのライフ・ベンチャー一点に絞り込まれるようになってきた。

 あらゆることが情報化され、なお変動する現代は、“ 予測 ” のむずかしい時代である。何時、安定して持続すると思われていた企業が、一夜にして倒産の憂き目に合うか、予測のできない状態だと思う。10年先どころか、5年先、いや3年先だって、高度成長時代のようには見通すことはできない。

 そんな企業をとりまく状況のなかで、いま企業経営者とビジネスマンにとって求められていることは、予測がむずかしい将来への、確実な対応能力と、その実践力なのである。

 間近に迫った二十一世紀に向かって、企業が成長を維持し、発展への道を歩み続けるためには、なによりも、一人ひとりの人材がもっている将来への可能性を最大限に開発することが急務とされているのである。

 そのためには、あらゆる企業および個人の豊かな潜在 脳 力 をフルに発揮できるよう、それぞれが独自の立場で、積極果敢にベンチャーすべき必要に迫られていると思えてならない。 つづく