日経電子版:国際化で外人持株比率最高
2014年6月15日 お仕事【 2 0 1 4 年 3 月 末 】
ト ヨ タ や 日 立 、 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 最 高 に
2014/6/15 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版
上場企業の外国人持ち株比率が一段と上昇している。3月末時点でトヨタ自動車や日立製作所などが過去最高になり、全体の3分の2にあたる約2300社で比率が高まった。業績の回復で日本企業の魅力が増したためで、小売りなど内需系企業の上昇も目立った。外国人投資家の買い増しは株高の原動力だが、手元資金の有効活用やガバナンス(統治)改革を通じて企業価値向上を求める声も強まりそうだ。
日本経済新聞社が3月末の株主構成や株価などを基に集計した。株式の時価ベースで換算した外国人保有比率は12年度末の28%から30%程度に増えたとみられる。
外国人の保有増が目立つのは構造改革などが実を結び、業績の復活が著しい大手製造業。2014年3月期に23年ぶりに営業最高益を更新した日立は、米投信大手のブラックロック・グループが保有比率を5%強に引き上げ、外国人比率が1年間で4ポイント上昇した。
リストラが進み、収益が急回復したパナソニックも8ポイント増えた。6期ぶり最高益になったトヨタも初めて3割を超えた。
グローバル展開している企業は国際的知名度もあって、もともと外国人比率が高いが、今回は小売業や不動産など内需系に裾野が広がったのも特徴。脱デフレの恩恵を受けるとみられる三井不動産は外国人の比率が5割を超えた。旺盛な個人消費で利益成長が続くセブン&アイ・ホールディングスや楽天も海外勢が組み入れを増やした。花王や資生堂はアジア展開に力を入れており、評価が高まった。
株式売買代金の6~7割を占める外国人の資金流入は株価形成へも影響が大きい。13年度は日経平均株価が約2割上がったが、海外勢は日本株を10兆円近く買い越して上昇をリードした。比率が15ポイント上昇したセイコーエプソンは株価が3.5倍になった。電通は4割値上がりした。
外国人は経営指標の中でも自己資本利益率(ROE)など効率性を重視する傾向がある。日本企業全体(金融などを除く)の手元資金は90兆円を超える。外国人は、資金の有効な活用法や投資先がないなら配当などで株主還元を増やすよう求めてくる可能性もある。
カリフォルニア州職員退職年金基金(米カルパース)など海外投資家グループは、日本の主要企業に社外取締役の増員を求めている。第三者の立場で発言し、経営を監視できる人間を増やすことが企業価値向上につながるとみているからだ。
足元、外国人の日本株買いは細っており、日経平均株価も上昇へ足踏みが続いている。海外勢の声をどう経営に反映させていくかは、日本株全体の行方にも影響を与えそうだ。
ト ヨ タ や 日 立 、 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 最 高 に
2014/6/15 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版
上場企業の外国人持ち株比率が一段と上昇している。3月末時点でトヨタ自動車や日立製作所などが過去最高になり、全体の3分の2にあたる約2300社で比率が高まった。業績の回復で日本企業の魅力が増したためで、小売りなど内需系企業の上昇も目立った。外国人投資家の買い増しは株高の原動力だが、手元資金の有効活用やガバナンス(統治)改革を通じて企業価値向上を求める声も強まりそうだ。
日本経済新聞社が3月末の株主構成や株価などを基に集計した。株式の時価ベースで換算した外国人保有比率は12年度末の28%から30%程度に増えたとみられる。
外国人の保有増が目立つのは構造改革などが実を結び、業績の復活が著しい大手製造業。2014年3月期に23年ぶりに営業最高益を更新した日立は、米投信大手のブラックロック・グループが保有比率を5%強に引き上げ、外国人比率が1年間で4ポイント上昇した。
リストラが進み、収益が急回復したパナソニックも8ポイント増えた。6期ぶり最高益になったトヨタも初めて3割を超えた。
グローバル展開している企業は国際的知名度もあって、もともと外国人比率が高いが、今回は小売業や不動産など内需系に裾野が広がったのも特徴。脱デフレの恩恵を受けるとみられる三井不動産は外国人の比率が5割を超えた。旺盛な個人消費で利益成長が続くセブン&アイ・ホールディングスや楽天も海外勢が組み入れを増やした。花王や資生堂はアジア展開に力を入れており、評価が高まった。
株式売買代金の6~7割を占める外国人の資金流入は株価形成へも影響が大きい。13年度は日経平均株価が約2割上がったが、海外勢は日本株を10兆円近く買い越して上昇をリードした。比率が15ポイント上昇したセイコーエプソンは株価が3.5倍になった。電通は4割値上がりした。
外国人は経営指標の中でも自己資本利益率(ROE)など効率性を重視する傾向がある。日本企業全体(金融などを除く)の手元資金は90兆円を超える。外国人は、資金の有効な活用法や投資先がないなら配当などで株主還元を増やすよう求めてくる可能性もある。
カリフォルニア州職員退職年金基金(米カルパース)など海外投資家グループは、日本の主要企業に社外取締役の増員を求めている。第三者の立場で発言し、経営を監視できる人間を増やすことが企業価値向上につながるとみているからだ。
足元、外国人の日本株買いは細っており、日経平均株価も上昇へ足踏みが続いている。海外勢の声をどう経営に反映させていくかは、日本株全体の行方にも影響を与えそうだ。