日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会         
  代 表 代 行  東  瀧   邦  次  様

「フクシマ復興応援ネットワーク」へのご理解とご支援を戴き、誠にありがとうございます。
「福井地裁の大飯原発差し止め訴訟」を踏まえ、「あらためて原発の安全をどう考えるか」を内容とした「フクシマメールマガジン No.2」を送信させて戴きました。
今後とも、「フクシマ復興応援の輪づくり」
http://www.belhyud.com/100-00-3-006-000-4.htm
について、あらためてご協力を宜しくお願い申しあげます。

         フクシマ復興応援ネットワーク 事務局 井上 仁
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 FMM No.2
【Fukushima Mail Magazine】
   大 飯 原 発 運 転 差 し 止 め を 命 じ た 福 井 地 裁 判 決
  2014.6.11発行
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  「フクシマ復興応援ネットワークは、なぜ、原発反対を主張しないのか」という問いかけがあります。最近、細川、小泉元総理の脱原発を争点にした都知事選もあり、原発に賛成か反対かのイデオロギー的な関心の高まりはあります。しかし、そこから原発事故被災者や被災自治体の過酷な現実的問題への関心の高まりは見えてきません。
  「ネットワーク」は、原発事故被災後、すでに3年が経つ中で、生活基盤を失われたままの被災者、復興再生の道がなお険しい被災自治体の実態に焦点をあて、これらの問題に対して、少なくてもこれからの3年、国を上げて取組む道筋をはっきりさせることを最大の課題として位置づけています。もちろん、その背景にある「原発再稼働問題」について、政府のスタンスや国民の反応に敏感でなければなりません。
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        大飯原発運転差止請求訴訟の判決文を読む
 
 関西電力大飯原発3、4号機をめぐり、住民らが関電に運転の差し止めを求めた訴訟の判決が5月21日、福井地裁であり、樋口英明裁判長は「大飯原発の安全技術と設備は脆弱なものと認めざるを得ない」として、地震対策の不備を認定し、運転差し止めを命じました。
 当地裁の判決文から、「大飯原発の稼働差し止めは、その安全度が新規制基準に達しているかどうかというより、東京電力が現実に起こした福島第一原発事故の実態に立脚して、『フクシマ事故』のようなたくさんの住民の生存権の否定につながる事態を招く具体的な危険性があるかどうかが判断基準になっている」と読み取ることができます。(文責事務局)
                
■判決主文
 福井県大飯郡おおい町の大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
■原発の安全性について
原発施設の損傷につながる地震が起きた場合、原発の安全性は「運転を停止し、水で核燃料を冷却し続け、放射性物質を炉内に閉じ込める」とい3つがそろって初めて保たれます。福島第一原発事故では、止めることはできても、冷やすことができなかったために放射性物質が外部に放出されることになりました。
判決文では、「原発は地震による緊急停止後、外部からの交流電流によって水を循環させるとシステムをとっているが、1260ガルを超える地震でこのシステムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり、メルトダウンに結びつくおそれがある」として、「若狭地方には陸海を問わず多数の活断層が存在し、大飯原発に1260ガルを超える地震が来る危険がある」と述べています。

■福島第一原発事故について
福島第一原発事故では15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名が命を失っています。その後の家族の離散や長期化する避難生活の中で、この人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くありません。
 判決文では、「福島第一原発事故を見れば、原発がもたらす被害の大きさは十分に明らかになった。原発の事故が、こうした甚大な被害を万が一でももたらすものであるという判断を避けることは、裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい」と述べています。

■住民の生命を守り、 生活を維持するという人格権について
判決文には、「我が国の法制下においては、生命を守り生活を維持するという人格権を超える価値を他に見出すことはできない」とあります。さらに「人格権に対する具体的侵害のおそれがある時は、その侵害行為の差止めを請求できる」として、「人格権は各個人に由来するものであるが、(原発事故が)多数人の人格権を同時に侵害する性質を有する時、(原発稼働に対して)差止めの要請が強く働くのは理の当然である」とあります。

■原発の稼動が電力供給の安定性、コスト低減、CO2削減につながるという  
 主張について
判決文では「多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代が高い、低いと言った問題を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されることではない」としています。
 さらに、「たとえ、本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と、福井地裁としての見解が格調高く述べられています。
 また、「原発の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている」という主張に対しては、「原発でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであり、福島第一原発事故は、我が国始まって以来最大の公害、環境汚染をもたらした」として、「環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは筋違いも甚だしい」と断じています。         つづく