井上氏 :フクシマ復興応援ネットワーク B
2014年6月12日 お仕事 あ ら た め て 原 発 の 安 全 性 に つ い て
「原発の安全問題」に関連して、「福島原発被災者の歩み これまでの3年、これからの3年 ごせやける 許さんにえ(言叢社)」の中で、中村晃忠さん(元国立医薬品食品衛生研究所)が「安全」の定義を示しています。すなわち、「ISO/IEC Guide 63」では、「"安全"とは、許容できない〝リスク〟がないこと」と定義されており、「"リスク"とは、危害の発生確率とその危害の深刻度との積」で表されます。
この度の福井地裁の判決について、中村さんは「地裁の判断に対して、新聞の論調はおおむね好意的だったようだ。地裁の判断は『リスクはゼロでなければならない』ではなく、『原発再稼働の〝リスク〟は許容できない』といっているのではないか」として、次のようにコメントしています。
①規制委員会は、「事故の起きる確率を低くできれば、リスクは許容できるものになる」と考えて、「安全性について、科学的に厳しく審査する」と云っているように見える。すなわち、"リスク"="事故の確率"と単純化している。
②しかし、一般的なリスクの許容性判断基準では、一旦事故が起こった時の危害(被害)の深刻度が"破滅的"なものなら、事故の確率が極めて低くても、その場合のリスク(確率 x 深刻度)は許容できない、すなわち、安全とはいえない、となるので、規制委員会がどれほど厳しく審査して、事故が起こる確率を小さくできたとしても、安全とは云えない。
③福井地裁は、住民の立場に立って、「住民の被る危害(被害)の重篤度は破滅的(カタストロフィック)である」と判断したのではないか。それは「電気代と比較するのは無意味だ」としたことに現れているように思える。
④他方、「原発事故という危害(被害)の重篤度を、国全体という仮想抽象体の立場にたって、(フクシマ県民の)10数万人が路頭に迷っても被害が破滅的であるとは考えない」とする立場がある。しかし、「10数万人が路頭に迷っても、そうした被害を許容できるものとするかどうかを、結局、誰の立場にたって判断するか、これが再稼働問題のキーポイントになる。
⑤ちなみに、福井地裁は「我が国の法制下においては、国民の生命を守り、生
活を維持するという人格権を超える価値を他に見出すことはできない」とし
て、「人格権は各個人に由来するものであるが、(原発事故が)多数人の人格
権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理
の当然である」と判決文で述べている。
FMM No.2
大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁判決
2014.6.8発行
【発行】フクシマ復興応援ネットワーク
【編集】事務局 井上 仁
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【WEB】 http://www.belhyud.com/00.htm
【MAIL】 fukushima-n.w@belhyud.com
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「原発の安全問題」に関連して、「福島原発被災者の歩み これまでの3年、これからの3年 ごせやける 許さんにえ(言叢社)」の中で、中村晃忠さん(元国立医薬品食品衛生研究所)が「安全」の定義を示しています。すなわち、「ISO/IEC Guide 63」では、「"安全"とは、許容できない〝リスク〟がないこと」と定義されており、「"リスク"とは、危害の発生確率とその危害の深刻度との積」で表されます。
この度の福井地裁の判決について、中村さんは「地裁の判断に対して、新聞の論調はおおむね好意的だったようだ。地裁の判断は『リスクはゼロでなければならない』ではなく、『原発再稼働の〝リスク〟は許容できない』といっているのではないか」として、次のようにコメントしています。
①規制委員会は、「事故の起きる確率を低くできれば、リスクは許容できるものになる」と考えて、「安全性について、科学的に厳しく審査する」と云っているように見える。すなわち、"リスク"="事故の確率"と単純化している。
②しかし、一般的なリスクの許容性判断基準では、一旦事故が起こった時の危害(被害)の深刻度が"破滅的"なものなら、事故の確率が極めて低くても、その場合のリスク(確率 x 深刻度)は許容できない、すなわち、安全とはいえない、となるので、規制委員会がどれほど厳しく審査して、事故が起こる確率を小さくできたとしても、安全とは云えない。
③福井地裁は、住民の立場に立って、「住民の被る危害(被害)の重篤度は破滅的(カタストロフィック)である」と判断したのではないか。それは「電気代と比較するのは無意味だ」としたことに現れているように思える。
④他方、「原発事故という危害(被害)の重篤度を、国全体という仮想抽象体の立場にたって、(フクシマ県民の)10数万人が路頭に迷っても被害が破滅的であるとは考えない」とする立場がある。しかし、「10数万人が路頭に迷っても、そうした被害を許容できるものとするかどうかを、結局、誰の立場にたって判断するか、これが再稼働問題のキーポイントになる。
⑤ちなみに、福井地裁は「我が国の法制下においては、国民の生命を守り、生
活を維持するという人格権を超える価値を他に見出すことはできない」とし
て、「人格権は各個人に由来するものであるが、(原発事故が)多数人の人格
権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理
の当然である」と判決文で述べている。
FMM No.2
大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁判決
2014.6.8発行
【発行】フクシマ復興応援ネットワーク
【編集】事務局 井上 仁
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【WEB】 http://www.belhyud.com/00.htm
【MAIL】 fukushima-n.w@belhyud.com
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