平成25年(2013年)6月に厚生労働省から「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」報告書として公表されている報告書を随時当ブログ上で転載ご紹介します。
掲載URL=http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034ttj-att/2r98520000034ty2.pdf
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  生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会報告書

は じ め に

 日本人の平均寿命は、平成 23 年には、男性で 79.44 歳、女性で 85.90 歳となり、多くの人が定年を迎える 60 歳時点での平均余命は男性 22.70 歳、女性 28.12 歳となっている。長寿化は今後も進展し、 100 歳を迎えることが可能な人も増していくものと考えられる。
 このような人生 100 年時代を見据え 、高齢者の生きがいづくり、さらに労働力の確保の観点からも、 働く意欲のある高齢者がこれまでに培った 能力や経験を活かし、生涯現役で活躍し続けられるような社会環境を整えていくことが必要である。
 とりわけ、 2012 年から、 65 歳を迎えた団塊の世代が労働市場からの本格的な引退過程に 入り、 居住地と離れたところで 仕事中心の生活を送ってきた層の多くが地域に 活動の場を移 しつつある中、これらの人が 活躍できる環境の整備が喫緊の課題となっている。また、高齢 化による社 会保障負担の増加が懸念されていところであり、高齢者が生きがいを持って社会参加することで、健康維持、介護予防とな ることが期待され 、社会保障負担の軽減につな がると考えられる 。
 現在でも、各地域においてシルバー人材センタ等を通じた就労、NPO・社会福祉協議会等によるボランティアの斡旋・提供、高齢者に対する生活支援等の様々な活動が行われ ている。しかし、『生涯現役社会』を目指すためには、これらの取組をより一層発展させ、高齢者の活躍の場を拡大することが求められている。
 また、 高齢化に加え、少子化、核家族化が進む中で、これまで家族が担ってきた子育て、高齢者に対する生活支援、介護などついては、社会全体で支援していく必要性が高まってきている。そのような分野には、経験豊富な高齢者が活躍できる場が多く存在していると考えられることから、 就労や社会参加をしたいという意欲と能力を持つ高齢者を社会資源とみ なし、現役世代の補助的な役割を担い、社会の支え手として活躍してもらうことが望まれる。
 さらに、高齢社会対策大綱(平成 24 年9月7日閣議決定)においても、基本的な考え方として「 高齢者の意欲や能力を最大限活かすために、「支えが必要な人」という高齢者像の 固定観念を変え、意欲と能力のある 固定観念を変え、意欲と能力のある 65 歳以上の者には支える側に回ってもらうよう、国民の意識改革を図るものとする。」とされており、高齢者が支えられる側から支える側へと移 行することの必要性が指摘されている。
 なお、高齢者を活用する際には、若者の雇用を代替するものではなく、むしろ補完するものと考えていく必要がある一方、高齢者自身が起業することなどによって、新たな雇用を生 のと考えていく必要がある一方、高齢者自身が起業することなどによって、新たな雇用を生み出せる仕組みを考えていく必要がある。
 本検討会では、 このような問題意識に基づき、高齢者 の地域での活用に関する好事例を収集・整理するとともに、高齢者が定年等を理由に現役から引退した後も、就労等を通じて地域社会で「居場所」と「出番」を得られることや、高年齢者自身がその蓄積された知識・経 験を活かして、地域社会の「支え手」と なり、健康で意欲を持ち続けながら生涯を送ることのできる『生涯現役社会』の実現に向けた就労・社会参加のあり方の基本的な考え方とそのための方策を提示する。                                                        つづく