私たち生涯現役グループの源流は、1983年に構想された「元気高齢者100万人(第一次)組織/日本シルバー・ユニオン」(総裁予定=故城野 宏氏)の大風呂敷にドンキホーテ気取りで参画したことから始まったともいえる。

  既に30年前に確定予測された日本の高齢社会傾向。その時点で以下に転載のマスコミ記事が政府から出されていたら、日本の現況は『世界各国が見習うような元気高齢者の生涯現役社会の日本モデル』を見事に実現していただろう。

  30年前はともかく、せめて20年前に始動してほしかった「生涯現役社会づくり」構想。それがあれば、消費税増税など微塵も考える必要ない健全財政の日本モデルをいま誇れたろう。17年前成立の「高齢社会対策基本法」よりも、実行力を本気で国民主導で発揮できる議員立法にすべきだった。

  国・地方公共団体の建前論や主権者意識が薄弱な国民の無気力を根底から改革する国民運動など当時とても望めなかった。『生涯現役社会づくり基本法』実現の『志』をもつ「国民主導政権」をめざす国民思考力などとても無理だった。

  閉塞感に満ちた日本の現実を総括すると、年金・医療・福祉財政危機や生産年齢人口減など難題があっても、国民が「子どもにツケをまわさない」ことに目を向ける健全な21世紀の新日本ヴィジョンが15年前なら十分効力発揮の余地があったと確信する。遅きに失した下記の政府提起をどう本気で実行するかは、私たち国民の覚悟次第なのは当然である。

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遂に高齢者も「 支 え る 側 に な っ て(欲 し い)」を政府が提起する

  政府は65歳以上を一律に「高齢者」と位置づける現行の定義見直しに着手する。5月をめどにまとめる「高齢社会対策大綱」で、高齢者も可能な限り「支える側」に回る考え方を打ち出す。元気に働くシニアも多く、すべて「弱者」とみなす仕組みでは、現役世代の負担増大に歯止めがかからないためだ。

  年金や介護など現行の社会保障制度では、65歳から給付が始まったり、保険料の計算方法が変わる仕組みが多い。公的年金等控除などの税制や雇用保険の加入要件、市町村が施設など導入している高齢者の優遇料金など「65歳」を基準にしたサービスは各方面にわたる。

  「 自 分 は 健 康 」 6 5 %

  だが日本のシニアは健康な人が多い。60歳以上で「自分を健康だ」と思っている人の割合は65%に上る。特に2012から65歳に到達する「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)は総人口の5%程度を占め、今なお社会の第一線で働く人が多い。

  現  役  世  代  の  負  担  軽  減

  政府の有識者検討会が月内にもまとめる報告書で、社会に支えられる「高齢者」の見直しを提起する。5月に閣議決定する「高齢社会対策大綱」に反映させる。高齢者とみなす年齢の線引きの引き上げなどは示さないが、健康や所得など実態を踏まえて制度を柔軟に見直すよう求める見通しだ。

  大綱は政府の高齢社会対策の基本的な考え方を示す。社会保障などの政策を見直す際の指針となる。高齢者のとらえ方を転換すれば、中長期的には政策に影響を与える可能性がある。

  65歳以上を高齢者としているのは、1950年代に国連が65歳以上を統計で区分したことが影響している。1955年当時の日本人の平均寿命は男性63.60歳、女性が67.75歳。おおむね平均寿命を超えた人が「高齢者」という位置づけで、当時は65歳以上を一律に「支えられる側」とすることに違和感はなかった。

  しかし2010年は男性79.64歳、女性は86.39歳と、「人生90年時代」が目前に迫る。長寿によっても現役世代が支える「高齢者」は増え続けている。年金や介護など社会保障制度の多くは、64歳以下の世代が65歳以上を支える仕組みをとっている。少子高齢化が進むほど若い世代の保険料などの負担は年々重くなる。

  意 欲 ・ 能 力 あ る 人 

  65歳で「引退」したいと考える人も少数派だ。内閣府が60歳以上の人に聞いた調査では、65歳までに働くのをやめたい人は29%にとどまる。23%は70歳まで働きたいと答え、「75歳まで」という人も10%いる。37%は「働けるうちはいつまでも」と回答した。

  検討会の報告書はこうした現状を踏まえ、「元気で働く意欲のある人を含めた65歳以上すべてを(64歳以下が)支えることは困難」と強調。「意欲と能力のある65歳以上には、支える側にまわってもらう必要がある」と指摘する方向だ。