“ 世 代 間 格 差 ” も 解 決 す る た め の 『 生 涯 現 役 』

  今朝のNHKテレビ「週刊ニュース深読み」では、“どうする世代間格差”について話し合っていた。「高齢者のおカネを若者へ」とか「中高年の仕事を若者へ」、またフランスの少子化対策を参考にする「子どもを増やせ」など、視聴者からの送信Fax意見も加え、話題提供は賑やかな割に、“深読み”としては研究不足だったように感じた。

  超高齢社会時代の到来で、生産年齢人口が減少して、高齢者人口は増大する。そうなれば働き手からの歳入が少なくなる上に、年金・老人福祉等歳出増で国家財政バランスの悪化は、当然の成行きだった。ところが、その肝心な生産年齢人口減への対策が、真摯に国政で国民に提言されない侭に、“日本の失われた30年”が経過している。

  なぜ、生産年齢人口が減る場合の社会的・経済的なマイナス影響への予防策が実行できなかったのか。1995年に高齢社会対策基本法を議員立法で制定してはいるが、国家施策に実行力を及ぼす内容のものではない。毎年政府が国会に報告する高齢社会白書、5年毎改定の高齢社会対策大綱など、歳入減の対策に役立つ内容は殆ど見られない。

  本来は同法第5条“国民は、高齢化の進展に伴う経済社会の変化についての理解を深め、及び相互の連帯を一層強めるとともに、自らの高齢期において健やかで充実した生活を営むことができることとなるよう努めるものとする”(国民の努力)条文が、国民自らの環境変遷に関わる意識変化にプラスに活かしているとはいえない。

  その結果、企業における定年制の55歳から60歳、60歳から65歳への年齢引上げによる方向性は実現できたものの、それはやっと年金の支給年齢引上げと併行する程度のもので、日本経済社会の変化を理解して、相互連帯の国民意識向上をめざした、国民の英知を喚起するための民官一体となった超高齢社会対策への啓発活動とは縁遠い。

  高齢化進展の経済社会変化に国民の英知を集結する機会は、国政選挙を通じた国民への選択決断を迫る機会を活用すべき好機を、政党エゴの怠慢は、確定予測の生産年齢人口減への国家百年対応策を無視して今日に至った。それが年金の掛金対支給額の世代間格差を拡大しているための消費税増税提言の愚かな主張につながっている。

  冒頭の「高齢者のおカネを若者へ」「中高年の仕事を若者へ」など小手先的な現象対策に目を奪われることなく、21世紀日本人口減少期の国家百年大計は、健常高齢者が自ら生きがいを個人・社会両面で「生涯現役社会づくり」に賭け、無駄で「大きい政府」改造への全世代協働の国民運動を展開する呼びかけと行動に先立つ、将に再建国を決意すべき記念日でもある。