NHKが作ったAIの分析が冷たすぎる2
2017年7月23日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
「 ひ と り 暮 ら し の 4 0 代 が 日 本 を 滅 ぼ す 」
N H K が 作 っ た A I の 分 析 が 冷 た す ぎ る(続)
行政担当者も頭を悩ます「40代ひとり暮らし」対策
「考えたこともなかった・・・・」
ネブラの示す試算をみて、東京都荒川区の行政担当者はそう漏らした。
荒川区はもともと少子高齢化を見据えた住民サービスに積極的な自治体で、老人クラブの活性化には力を入れてきた。にもかかわらず、クラブの会員数は減り続けている。一方、40代ひとり暮らしの人の数は、この10年で1.2倍に増えている。
「40代ひとり暮らし」層は、行政との接点が少ない。
ある係長は、「お子さんのいらっしゃる世帯であれば、子育て支援などを通じて接する機会があるが、ひとり暮らしだとそのような機会もない」と話す。また、「豊かに暮らしているイメージがある。時間もお金も自由に使え、役所に来ることも少ない」とも語った。荒川区ではネブラの分析を受けて、行政サービスの拡充が必要かどうか検討するという。
40代ひとり暮らしを合理的に減らす「秘策」
とはいえ、ひとりでいることを望む人もいる。AIは、個人の生き方に対する余計なお世話にならないか。
ネブラはこの問いにも、一風変わったアイディアにつながる分析結果を示す。
「家賃を下げれば、『40代ひとり暮らし』が激減する」
AIの分析結果をみると、40代ひとり暮らしの数(男性)に対して、一番強く連動しているのが「マンションやアパートの3.3㎡(1坪)あたり家賃」だ。この数字が下がれば、ひとり暮らしの数も減らすことができるのではないか。これがネブラの分析結果を基にした仮説だ。
単身世帯は一般的に、支出における家賃の割合が大きい。家賃の高さによって、他の生活費や自己研鑽に使うお金が減少し、生活水準を固定化している可能性は高い。これが生活パートナーを探す上でネックになっている要因の1つとも考えられる。
番組では、具体的に家賃をいくら下げれば「40代ひとり暮らし」が減るかも試算する。
ちなみに、フランスではひとり暮らしを中心に全世帯の21%が家賃補助を受けている。またオランダでは、全住宅の34%が「社会住宅」と呼ばれる公営住宅だ。日本における公営住宅の割合は現状3.8%に過ぎず、まだまだ住宅政策に伸びしろはある。
家賃が下がって恩恵を受けるのは、40代ひとり暮らしだけではない。AIが示す切り口をきっかけとして、日本の政策決定における優先順位を考え直すことができる。
「AIとともに」考える、という提案
取材の時点では、「40代ひとり暮らし」と連動するとされた「自殺者数」「餓死者数」「空き家数」などについて、その因果関係までは解明されていない。ただ、重要なのは、新たなスタートラインに立つことだと神原ディレクターは語る。
「これまでの政策論やジャーナリズムの積み重ねでは、なかなか出せない球を投げてきたな、と思ってもらえたら嬉しいです。“そこなのか?”という意外なポイントからスタートして、でも深掘りしてみると本質的だ、という所までたどり着けば。人間からは出てきづらい“意外な一手”を大事にしてみたい、という提案です」
「番組のテーマ曲は『スタンド・バイ・ミー』。まさに『AIとともに』という思いを込めています。これからの世界で人間がともに生きる仲間として、AIは無視できない存在です。ただ、これを放送局として社会課題解決の手段としてやっているのは、まだ今のところ世界的にもなさそうだ、ではやってみようと。もしBBCなど世界の放送局が真似をしてきたら、それもいいですよね。
今回は日本国内のデータのみを使いましたが、国際的なデータ、たとえばOECD(経済協力開発機構)のデータを使ってみてもいい。視聴者の皆さんからも、『こんなデータを入れてみるといい』『こんなことをAIに聞いてみてほしい』みたいなご要望もぜひいただきたいです。今後、2020年まで3年間かけてシリーズを放送していくので、AIも進化していき、番組も進化していくなかで、日本社会や政策も進化した、と感じられるようなことがあれば、面白いかなと思っています。ぜひ、温かく見守って下されば嬉しいです」
------
NHKスペシャル『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』は、全7回予定の大型シリーズ。「プロローグ」は7月22日(土)に、前編が午後7時30分から、後編が午後9時から放送される。
番組HPには、「AIの分析結果から読み解いた提言」や、AIが導き出した「ひとり暮らし度チェック」など、番組の世界を体験できるコンテンツがある。
http://www.nhk.or.jp/special/askai/
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
「 ひ と り 暮 ら し の 4 0 代 が 日 本 を 滅 ぼ す 」
N H K が 作 っ た A I の 分 析 が 冷 た す ぎ る(続)
行政担当者も頭を悩ます「40代ひとり暮らし」対策
「考えたこともなかった・・・・」
ネブラの示す試算をみて、東京都荒川区の行政担当者はそう漏らした。
荒川区はもともと少子高齢化を見据えた住民サービスに積極的な自治体で、老人クラブの活性化には力を入れてきた。にもかかわらず、クラブの会員数は減り続けている。一方、40代ひとり暮らしの人の数は、この10年で1.2倍に増えている。
「40代ひとり暮らし」層は、行政との接点が少ない。
ある係長は、「お子さんのいらっしゃる世帯であれば、子育て支援などを通じて接する機会があるが、ひとり暮らしだとそのような機会もない」と話す。また、「豊かに暮らしているイメージがある。時間もお金も自由に使え、役所に来ることも少ない」とも語った。荒川区ではネブラの分析を受けて、行政サービスの拡充が必要かどうか検討するという。
40代ひとり暮らしを合理的に減らす「秘策」
とはいえ、ひとりでいることを望む人もいる。AIは、個人の生き方に対する余計なお世話にならないか。
ネブラはこの問いにも、一風変わったアイディアにつながる分析結果を示す。
「家賃を下げれば、『40代ひとり暮らし』が激減する」
AIの分析結果をみると、40代ひとり暮らしの数(男性)に対して、一番強く連動しているのが「マンションやアパートの3.3㎡(1坪)あたり家賃」だ。この数字が下がれば、ひとり暮らしの数も減らすことができるのではないか。これがネブラの分析結果を基にした仮説だ。
単身世帯は一般的に、支出における家賃の割合が大きい。家賃の高さによって、他の生活費や自己研鑽に使うお金が減少し、生活水準を固定化している可能性は高い。これが生活パートナーを探す上でネックになっている要因の1つとも考えられる。
番組では、具体的に家賃をいくら下げれば「40代ひとり暮らし」が減るかも試算する。
ちなみに、フランスではひとり暮らしを中心に全世帯の21%が家賃補助を受けている。またオランダでは、全住宅の34%が「社会住宅」と呼ばれる公営住宅だ。日本における公営住宅の割合は現状3.8%に過ぎず、まだまだ住宅政策に伸びしろはある。
家賃が下がって恩恵を受けるのは、40代ひとり暮らしだけではない。AIが示す切り口をきっかけとして、日本の政策決定における優先順位を考え直すことができる。
「AIとともに」考える、という提案
取材の時点では、「40代ひとり暮らし」と連動するとされた「自殺者数」「餓死者数」「空き家数」などについて、その因果関係までは解明されていない。ただ、重要なのは、新たなスタートラインに立つことだと神原ディレクターは語る。
「これまでの政策論やジャーナリズムの積み重ねでは、なかなか出せない球を投げてきたな、と思ってもらえたら嬉しいです。“そこなのか?”という意外なポイントからスタートして、でも深掘りしてみると本質的だ、という所までたどり着けば。人間からは出てきづらい“意外な一手”を大事にしてみたい、という提案です」
「番組のテーマ曲は『スタンド・バイ・ミー』。まさに『AIとともに』という思いを込めています。これからの世界で人間がともに生きる仲間として、AIは無視できない存在です。ただ、これを放送局として社会課題解決の手段としてやっているのは、まだ今のところ世界的にもなさそうだ、ではやってみようと。もしBBCなど世界の放送局が真似をしてきたら、それもいいですよね。
今回は日本国内のデータのみを使いましたが、国際的なデータ、たとえばOECD(経済協力開発機構)のデータを使ってみてもいい。視聴者の皆さんからも、『こんなデータを入れてみるといい』『こんなことをAIに聞いてみてほしい』みたいなご要望もぜひいただきたいです。今後、2020年まで3年間かけてシリーズを放送していくので、AIも進化していき、番組も進化していくなかで、日本社会や政策も進化した、と感じられるようなことがあれば、面白いかなと思っています。ぜひ、温かく見守って下されば嬉しいです」
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NHKスペシャル『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』は、全7回予定の大型シリーズ。「プロローグ」は7月22日(土)に、前編が午後7時30分から、後編が午後9時から放送される。
番組HPには、「AIの分析結果から読み解いた提言」や、AIが導き出した「ひとり暮らし度チェック」など、番組の世界を体験できるコンテンツがある。
http://www.nhk.or.jp/special/askai/