NHKが作ったAIの分析が冷たすぎる1
2017年7月22日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
ご参考URL=http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/22/nhk-ai-made-shocking-analysis_n_17510952.html
投稿日: 2017年07月22日 10時50分 JST
坪井遥:Haruka.Tsuboi@huffingtonpost.jp
「 ひ と り 暮 ら し の 4 0 代 が 日 本 を 滅 ぼ す 」
N H K が 作 っ た A I の 分 析 が 冷 た す ぎ る
ひとり暮らしの40代が増えると、日本は滅ぶ。そんなショッキングな分析がある。分析結果を導いたのは、研究所やシンクタンクでも、官公庁でもない。AI(人工知能)だ。しかも、そのAIを開発したのはなんと、公共放送・NHK――。
貧困、少子高齢化、地方衰退・・・。日本社会が様々な問題を抱え、多くの人が原因と対策を探っているのは確かだ。しかしそれでも上記の分析は、突拍子もないし冷酷だ。どんな根拠に基づいていて、本当に信頼できるのか?AIはなぜ開発されたのか? NHKに聞きに行った。
「日本社会への処方箋を、専門家とは異なる視点から考えてみたい」
NHKがAIを開発したのは、社会問題と向き合うメディアとして、ある種の「行き詰まり」を感じたからだ。
AIを使ったNHKスペシャルの新シリーズ『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』を担当する大型企画開発センターの神原一光ディレクターは、こう語る。
「専門家にお話を伺うと、示唆に富んだデータや論考が出てくる。そのすべてが社会問題の解決のヒントになるものばかりなのですが、“失われた20年”といわれる社会の閉塞感を打ち破るには、もっと異なる視点が必要なのではないか。もしかしたら、もはや人間だけでは難しいのかもしれない、という思いが芽生えました」
AIの開発は、これまでNHKスペシャルで『震災ビッグデータ』『医療ビッグデータ』などを手掛けた阿部博史ディレクターを中心としたチームが担当。データネットワーク分析の第一人者である坂田一郎・東大教授と、社会学者として少子化などの分野で統計的研究を行う柴田悠・京大准教授のアドバイスを受けて作り上げた。
「民間企業がAIを開発するとなると、どうしても自社の業界に関連したものや、自社の利益を最大化するものになりがちです。ですので、社会課題の解決を目指すAIを作ることは、(民間企業ではない)公共放送として意義がある挑戦だと考えました」(神原ディレクター)
5000種類、700万件のデータを投入
目指したのは、あるデータの値(たとえば年齢の人口の増減)が変化することによって、他のデータの値(たとえば自殺率や貧困率)が連動してどのように変化するか、関係を可視化するAIだ。人口動態統計や産業動向調査など、5000種類を超える公的データをAIにインプットした。
「これは調査報道のひとつに入るため、データの選定には気を配りました。研究者が行っている調査データには、興味深いものがたくさんありましたが、大きな条件として、47都道府県すべてのデータが、30年分取得できることを重視しました」(神原ディレクター)
結果的に、5000種類×47都道府県×30年分、合計700万件超のデータを学習したAIが生まれた。AIのコードネームは「NEBRA(ネブラ)」。人類最古の天文盤とされる「ネブラ・ディスク」から拝借した名前だった。
AIの分析から導き出した「未来を動かすカギ」
ネブラによると、「40代ひとり暮らし率」が、「日本の未来を動かすカギ」なのだという。
「40代ひとり暮らし」が増えると、「自殺者数」「餓死者数」「空き家数」「救急出動件数」などが増え、「合計特殊出生率」「老人クラブ会員数」などが減る……との傾向が示されたからだ。全人口の1.9%、249万人にすぎない「40代ひとり暮らし」が、ここまで大きな存在になりうるというのは意外な結果だ。『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』の初回放送では、この結果と解決策について扱うという。
「AIは、人の顔色をうかがって結果を出すようなことはありません。たとえ人間にはショッキングな情報でも、躊躇なく表示してきます。また、AIが示すのは『Aが増えると、Bも増える傾向にある』といったパターンのみで、因果関係があるかどうかまでは教えてくれません。ですから、その読み解きは、私たち人間がする必要が出てきます」(神原ディレクター) つづく
NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ 活 動 で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
ご参考URL=http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/22/nhk-ai-made-shocking-analysis_n_17510952.html
投稿日: 2017年07月22日 10時50分 JST
坪井遥:Haruka.Tsuboi@huffingtonpost.jp
「 ひ と り 暮 ら し の 4 0 代 が 日 本 を 滅 ぼ す 」
N H K が 作 っ た A I の 分 析 が 冷 た す ぎ る
ひとり暮らしの40代が増えると、日本は滅ぶ。そんなショッキングな分析がある。分析結果を導いたのは、研究所やシンクタンクでも、官公庁でもない。AI(人工知能)だ。しかも、そのAIを開発したのはなんと、公共放送・NHK――。
貧困、少子高齢化、地方衰退・・・。日本社会が様々な問題を抱え、多くの人が原因と対策を探っているのは確かだ。しかしそれでも上記の分析は、突拍子もないし冷酷だ。どんな根拠に基づいていて、本当に信頼できるのか?AIはなぜ開発されたのか? NHKに聞きに行った。
「日本社会への処方箋を、専門家とは異なる視点から考えてみたい」
NHKがAIを開発したのは、社会問題と向き合うメディアとして、ある種の「行き詰まり」を感じたからだ。
AIを使ったNHKスペシャルの新シリーズ『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』を担当する大型企画開発センターの神原一光ディレクターは、こう語る。
「専門家にお話を伺うと、示唆に富んだデータや論考が出てくる。そのすべてが社会問題の解決のヒントになるものばかりなのですが、“失われた20年”といわれる社会の閉塞感を打ち破るには、もっと異なる視点が必要なのではないか。もしかしたら、もはや人間だけでは難しいのかもしれない、という思いが芽生えました」
AIの開発は、これまでNHKスペシャルで『震災ビッグデータ』『医療ビッグデータ』などを手掛けた阿部博史ディレクターを中心としたチームが担当。データネットワーク分析の第一人者である坂田一郎・東大教授と、社会学者として少子化などの分野で統計的研究を行う柴田悠・京大准教授のアドバイスを受けて作り上げた。
「民間企業がAIを開発するとなると、どうしても自社の業界に関連したものや、自社の利益を最大化するものになりがちです。ですので、社会課題の解決を目指すAIを作ることは、(民間企業ではない)公共放送として意義がある挑戦だと考えました」(神原ディレクター)
5000種類、700万件のデータを投入
目指したのは、あるデータの値(たとえば年齢の人口の増減)が変化することによって、他のデータの値(たとえば自殺率や貧困率)が連動してどのように変化するか、関係を可視化するAIだ。人口動態統計や産業動向調査など、5000種類を超える公的データをAIにインプットした。
「これは調査報道のひとつに入るため、データの選定には気を配りました。研究者が行っている調査データには、興味深いものがたくさんありましたが、大きな条件として、47都道府県すべてのデータが、30年分取得できることを重視しました」(神原ディレクター)
結果的に、5000種類×47都道府県×30年分、合計700万件超のデータを学習したAIが生まれた。AIのコードネームは「NEBRA(ネブラ)」。人類最古の天文盤とされる「ネブラ・ディスク」から拝借した名前だった。
AIの分析から導き出した「未来を動かすカギ」
ネブラによると、「40代ひとり暮らし率」が、「日本の未来を動かすカギ」なのだという。
「40代ひとり暮らし」が増えると、「自殺者数」「餓死者数」「空き家数」「救急出動件数」などが増え、「合計特殊出生率」「老人クラブ会員数」などが減る……との傾向が示されたからだ。全人口の1.9%、249万人にすぎない「40代ひとり暮らし」が、ここまで大きな存在になりうるというのは意外な結果だ。『AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン』の初回放送では、この結果と解決策について扱うという。
「AIは、人の顔色をうかがって結果を出すようなことはありません。たとえ人間にはショッキングな情報でも、躊躇なく表示してきます。また、AIが示すのは『Aが増えると、Bも増える傾向にある』といったパターンのみで、因果関係があるかどうかまでは教えてくれません。ですから、その読み解きは、私たち人間がする必要が出てきます」(神原ディレクター) つづく