全世代が相互補完し合える生涯現役社会
2012年7月17日 お仕事 鳴り響く警鐘「働けない若者の危機」シリーズ掲載記事が、日経紙の昨日付朝刊1ページに“中高年と(若者が)奪い合うイス”として掲載された。
7月11日仙台で開催のNTT労働組合定期全国大会で60歳を超えても働き続け
られる新しい人事制度について、「20代、30代中心に賃下げへの不安が強い」という若者への負担を懸念する発言が相次いだというのである。
最大で年収400万円程度という60歳以上の賃金は、若い世代の昇給を抑えることで捻出する可能性があるという考えに、経営側から生涯賃金が下がらない説明を受けて、組合側は本格交渉入り決定の記事である。2005年にNTTは年金財務への懸念から約9割のOBの同意を得た上で、企業年金給付減額を厚生労働省に申請した経緯がある。
しかし結果は、「そこまで業績が悪化していない」と承認が得られず、裁判でも認められなかった。高齢化に伴う世代間負担をシニア世代で分かち合おうとした制度変更も叶わないままに、若い世代へのしわ寄せは続行され、企業賃金原資や仕事のイス奪い合い関係が「生涯現役社会づくり」運動展開でも大きく懸念されるという意見は現存している。
さらに来年度にも65歳までの雇用延長原則義務付法案づくりの過程で、同法案は「企業がシニア雇用延長の代わりに若者採用を絞るのではないか」という懸念に、厚労省から審議会に「経験の浅い若者と熟練したシニアでは役割が異なり、パイの奪い合いにはならぬ」と反論している。連合古賀信明会長も「企業は社員の年齢構成を考えるはず」と主張している。
経営者の見方が経団連調査では、継続雇用義務付けられると3分の1以上の企業が若年者採用を減らすとの回答だという。経営学者などの指摘では「若者の仕事が高齢者に置き換えられやすい」という結論が多く、「雇用延長は労働市場で弱い立場の若年雇用のパイは消える」見方が多いという。
消費増税論議の中で政府は公務員も身を切る立場から、新規採用抑制策で来春の国家公務員採用を09年度比約6割削減で、40代、50代層温存の若者締め出しの感がある。若者の雇用促進も叫ばれながら職場でも労組でも発言権をもたない
立場では既得権に守られる中高年層との共存共栄は不可能に近い。
しかし09年に段ボール大手のレンゴーで労組提案が実現した、平均30歳派遣社員の約1,000人正社員採用には、現場の技術継承への危機感から定年退職者の後を穴埋め成功した派遣社員と職場一体感の高まりを認めた平均10歳上回る組合従業員の家賃補助削減協力があればこそで、会社負担の年数億円の人件費増も活きたといえる。
人件費コスト削減に血祭りを挙げて来た日本企業も、若者就職難が高齢者雇用延長に劣らず経済成長や社会保障の障壁となっている以上、「子どもにツケをまわさない国づくり」には、既得権に恵まれた立場の中高年層が閉塞した不安感に苦悩する世代と協働した「生涯現役社会づくり」理念で相互補完し合えるビジネス創出に国家戦略の舵取りをすべき時代なのは間違いない現実だ。
7月11日仙台で開催のNTT労働組合定期全国大会で60歳を超えても働き続け
られる新しい人事制度について、「20代、30代中心に賃下げへの不安が強い」という若者への負担を懸念する発言が相次いだというのである。
最大で年収400万円程度という60歳以上の賃金は、若い世代の昇給を抑えることで捻出する可能性があるという考えに、経営側から生涯賃金が下がらない説明を受けて、組合側は本格交渉入り決定の記事である。2005年にNTTは年金財務への懸念から約9割のOBの同意を得た上で、企業年金給付減額を厚生労働省に申請した経緯がある。
しかし結果は、「そこまで業績が悪化していない」と承認が得られず、裁判でも認められなかった。高齢化に伴う世代間負担をシニア世代で分かち合おうとした制度変更も叶わないままに、若い世代へのしわ寄せは続行され、企業賃金原資や仕事のイス奪い合い関係が「生涯現役社会づくり」運動展開でも大きく懸念されるという意見は現存している。
さらに来年度にも65歳までの雇用延長原則義務付法案づくりの過程で、同法案は「企業がシニア雇用延長の代わりに若者採用を絞るのではないか」という懸念に、厚労省から審議会に「経験の浅い若者と熟練したシニアでは役割が異なり、パイの奪い合いにはならぬ」と反論している。連合古賀信明会長も「企業は社員の年齢構成を考えるはず」と主張している。
経営者の見方が経団連調査では、継続雇用義務付けられると3分の1以上の企業が若年者採用を減らすとの回答だという。経営学者などの指摘では「若者の仕事が高齢者に置き換えられやすい」という結論が多く、「雇用延長は労働市場で弱い立場の若年雇用のパイは消える」見方が多いという。
消費増税論議の中で政府は公務員も身を切る立場から、新規採用抑制策で来春の国家公務員採用を09年度比約6割削減で、40代、50代層温存の若者締め出しの感がある。若者の雇用促進も叫ばれながら職場でも労組でも発言権をもたない
立場では既得権に守られる中高年層との共存共栄は不可能に近い。
しかし09年に段ボール大手のレンゴーで労組提案が実現した、平均30歳派遣社員の約1,000人正社員採用には、現場の技術継承への危機感から定年退職者の後を穴埋め成功した派遣社員と職場一体感の高まりを認めた平均10歳上回る組合従業員の家賃補助削減協力があればこそで、会社負担の年数億円の人件費増も活きたといえる。
人件費コスト削減に血祭りを挙げて来た日本企業も、若者就職難が高齢者雇用延長に劣らず経済成長や社会保障の障壁となっている以上、「子どもにツケをまわさない国づくり」には、既得権に恵まれた立場の中高年層が閉塞した不安感に苦悩する世代と協働した「生涯現役社会づくり」理念で相互補完し合えるビジネス創出に国家戦略の舵取りをすべき時代なのは間違いない現実だ。