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1.所長コラム
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●新しいタイプの商標

 “新しいタイプの商標”を登録し、保護することについて商標法の改正の検討が進められています。ところで、新しいタイプの商標って、どんな商標でしょうか。

 諸外国において保護されているものを参考にして、これまで新しいタイプの商標として、「動き」、「ホログラム」、「輪郭のない色彩」、「位置」、「音」、「香り・におい」、「触感」、「味」等について検討されてきました。もちろん、これらについては、これまでわが国では、商標として登録されていません。

 ちなみに、諸外国でのこれらの商標が登録され保護されているものとしては、次のような例があります。

『動き』の商標の例としては「疾走する馬の動き」(コンサルタントサービス)
『ホログラム』の商標の例としては「クレジットカードのホログラムイメージ」(クレジットサービス)
『輪郭のない色彩』の商標の例としては「靴のソールの赤色」(履物)や「茶色とベージュ色の組み合わせ」(電子機器用部品)
『位置』の商標の例としては「靴のかかとに表す縞模様の位置」(履物)
『音』の商標の例としては「ヤッホーとヨーデル風に叫ぶ声」(コンピュータサービス)
『香り・におい』の商標の例としては「チェリーの匂い」(潤滑油)や「刈ったばかりの草の匂い」(テニスボール)
『触感』の商標の例としては「ワインボトルのベルベットのような触感」(ワイン)
『味』の商標の例としては「いちごのような味」(薬剤)

 現在、我が国の商標法では、商標の構成要素は、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」と規定していますので、新しい商標と呼ばれる商標は、登録の対象とはなっていません。

 そこで、現在の検討の状況ですが、産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会において、平成20年頃より検討が開始され、幾度か報告書が取りまとめられ、商標の登録を認める方向について、その最新の検討内容が昨年10月に公表されました。

 そして、現在検討されている内容は次のとおりです。
 同委員会の資料によると、現在の商標の識別力や商標の類否等に関する考え方をベースとして取引の実情や商標の使用実態を勘案し、識別力に関する登録要件を検討する必要があるとされています。

 さらに、商標法改正に向けての課題としましては、次のポイントが検討されています。
 新しいタイプの商標の明確な特定の方策の整備が必要で、その方法は、商標の記載や、商標の説明文又は音声ファイル等の提出を求めること等が想定されています。

 また、登録要件としては、音の商標ならばその指定商品・役務から普通に生ずる音、においの商標ならばその指定商品・役務から普通に生ずるにおいについては識別力がないのではないか、サイレン等の公共的な音等は登録を排除する方策が必要ではないか等のポイントについて、検討が進められています。

 近いうちに、私たちの身近で、音や香り等が商標として使用され、機能する日が来るのかも知れません。

                           弁理士 田代 茂夫

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2.知財ニュース
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●2011年の特許、意匠、商標出願件数を公表

 特許庁は5月15日、2011年の特許、実用新案、意匠、商標の出願件数と登録件数を、過去10年分の件数とともに公表しました。

2011年の出願件数は、
 特許 342,610件(前年比99.4%)  実用新案 7,984件 (同92.0%)
 意匠 30,805件 (同97.0%)    商標   108,060件(同95.2%)
登録件数は、
 特許 238,323件(前年比107.0%) 実用新案 7,595件 (同88.6%)
 意匠 26,274件 (同95.8%)    商標   89,279件(同91.3%)
となっております。

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3.連載 知財講座
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第25回:商標『商標とドメインネーム』

 インターネットによる商品の販売、いわゆる通販サイトは、年々盛んになり、価格も安く、品数豊富であることから、今や実店鋪での販売と同様に、身近になってきました。

 通販サイトの名称(例えば、楽天市場)は、実店鋪の店名と同様に、商標に該当しますので、既に他人の登録商標が存在していれば使用できなくなるおそれがあります。

 すなわち、他人の登録商標(名称)と同一又は類似であり、かつ、サイトの内容が、他人の登録商標に掛かる商品又はサービスに同一又は類似であるときには、商標法により権利侵害となる可能性があります。

 それでは、通販サイトのドメイン名はどうでしょうか。
 ドメイン名とは、xxxx.jpや、xxxx.comなどで記述されるインターネットの住所にあたる、「xxxx」部分の英数字の羅列のことです。

 たとえば、御社が有する商標登録(例[yyy])を、他人が同じ名称(例[yyy.jp])でドメイン名を取得し、御社の業務とは無関係な内容のサイトを開設している場合には、商標法での権利主張は難しいことがあります。

 しかし、無関係と言っても、上記他人が、卑猥な写真を掲載している等のように著しく御社の信用を傷つけるような場合には、不正競争防止法によりドメイン名の使用を差し止めることができます。
 不正競争防止法では、“不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を与える目的で”使用している場合に、その使用を止めさせることができると規定されています。

 なお、JPドメイン(~.jp)については、JIPAC(日本知的財産仲裁センター)があり、紛争の仲裁を行っています。また、JPドメイン以外は、WIPO(世界知的所有権機関)仲裁調停センターが仲裁を行っています。こういう機関によっても、問題解決を図ることができます。

 このようにドメイン名は単に登録商標と同じだからと言って、必ずしも使用を止めさせられるわけではなく、様々なケースがあります。登録商標が有名であるか、そうでないかによっても異なる結果となることがありますので、疑問やお悩みが等がありましたら、お気軽にご相談ください。

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4.イベント案内
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●平成24年度知的財産権制度説明会(初心者向け)開催

 特許庁は、6月~9月にかけて、全国47都道府県で、これから知的財産権を学びたい方、企業等において知財部門に新しく配属された方などの初心者の方を対象とした知的財産権制度説明会を開催します。

 参加は事前の申込が必要です。参加費は無料ですので、この機会にぜひご参加ください。九州での開催日は、次の通りです。

 福岡:8/28,9/11、佐賀:8/1、長崎:7/24、熊本:9/11、大分:6/28(実施済)
 宮崎:7/5、鹿児島:7/25、沖縄:9/4

詳細は、下記のURLをご覧ください。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/ibento/ibento3/ip_event_cal.htm

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5.事務所からのお知らせ
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●売買希望の新着商標(アット商標)

 商標ポータルサイト『アット商標』の商標売買フォームに6月に登録された販売希望商標のご紹介です。登録商標や権利範囲の詳細は、『アット商標』トップページの『販売商標一覧へ』ボタンよりご確認いただけます。

 興味のある登録商標がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

<6月13日掲載>
[商標]∞\!Feliz Vida!  [区分]第16類
 
【アット商標】 http://www.a-shohyo.com/

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◆加藤特許事務所
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