日本生涯現役推進協議会特別顧問の高齢社【創業者】 上田研二(うえだ・けんじ)会長がテレビ東京7chの“カンブリア宮殿”(4月19日午後10時放映/毎週木曜)にゲストとして出演されましたので、ご紹介します。
  村上 龍氏の編集後記:末尾に記述されている “ 政府に期待してはいけない。雇用に関しては、個人、企業、地域社会などの、広範な連帯が不可欠であると・・・” いう記載からは、永年にわたり重要課題として展開中の私たち『生涯現役社会づくり支援ネットワーク』構想が、まさしく村上氏の思いにも裏付けられているようで、軌を一にしている感を抱きます。 
関連URL = http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20120419.html
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  高  齢  者  に  働  く  場  と  生  き  が  い  を  !

【 ゲ ス ト : 「 高 齢 社 」 会 長( 創 業 者 ) 上 田  研 二 氏 】

  お年寄りのことを“産業廃棄物”と呼ぶ一人の男がいる。それは高齢者専門の人材派遣会社「高齢社」の創業者で会長の上田研二だ。
  
  上田はもちろん、お年寄りを“ごみ”と思っているわけでない。定年後に何もしないで奥さんや子供から“邪魔なもの”扱いされている高齢者に再び働く場を提供し、高齢者に生きがいを与えようとしているのだ。“産業廃棄物”というのは、言わば上田一流のジョーク。

  年金の支給開始年齢が来年引き上げられようとしているが、まだまだ働きたいという高齢者は多い。上田は「お年寄りも若者もみんなが共存できる働き方はある」と声高に叫ぶ。“産業廃棄物再生支援機構”上田が作った「高齢社」に迫る!

高 齢 社 は 高 齢 者 が 明 る く 楽 し く 、 み ん な で !

  高齢社は500人もの登録者を抱える、高齢者専門の人材派遣会社。就労率は54.4%と、業界平均に比べても非常に高い。仕事の内容は営業や運転助手、ショールーム受付、水泳のインストラクターなど100種類近くある。その人気の理由は、低コスト。毎日が日曜日の高齢者には休日手当を支払う必要はないし、新人と違って研修費も必要ないからだ。この他にも人生の先輩として若い社員に与える影響も大きく、企業として使わない手はない、というわけ。

社 員 を 大 切 に す る 経 営

  高齢社の創業者である上田のモットーは“社員を大切にする経営”。それはかつて父親が失業し、自分自身が苦労した経験をもつから。高卒で東京ガスに入り、検針員から理事にまで上り詰め、業績不振の関連企業を再建した経験を持つ上田。その際も上田は、一切リストラをしなかった。
  
  高齢者の社員は出社日を好きに設定できるし、午後4時過ぎればオフィスでビール飲み放題。その上、経常利益の30%を期末手当などとして社員に分配している。

高 齢 者 に 押 し 寄 せ る 荒 波 … で も 一 筋 の 光

  7期連続増収を記録する高齢社だが、去年は大手メーカーから70人分もの契約を打ち切られた。しかし上田は、「売上が落ちた原因は社内にある」として恨み言一つ言わない。不景気の荒波にものまれない、上田の前向き経営理念がそこにはあった。

【ゲストプロフィール】

1938年/愛媛県八幡浜市生まれ
1956年/東京ガスに検針員として入社  理事にまで上り詰める
2000年/高齢社を設立
2003年/高齢社代表取締役社長に就任
2010年/高齢社代表取締役会長に就任

【企業プロフィール】

設立/2000年
本社/東京都千代田区外神田
年商/3億8000万円(平成23年度)

【村上 龍の編集後記】

  以前の党代表選で、菅直人元首相が、「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と連呼したことは記憶に新しい。だが雇用は、まったく改善していない。とくに、退職後の高齢者の再雇用に関しては、特別なスキルやネットワークを持つ場合を除くと、絶望的な状況にある。
  上田さんの高齢社は、東京ガスの下支えを得て成果を上げているが、率直に言って、規模は限られている。だが、その取り組みは、多くの示唆を与え、あらゆる業種、業態の規範となり得るものだ。
  政府に期待してはいけない。雇用に関しては、個人、企業、地域社会などの、広範な連帯が不可欠であると、高齢社は実証している。
【 輝  け  る  規  範     村  上   龍 】