日経健康学:定年後、社会貢献で生きがい
2012年3月5日 お仕事 日本経済新聞3月4日付の日曜健康欄に、中村雅美氏による下記の“ 定年後、社会貢献で生きる ”記事を読ませていただいた。「生涯現役社会づくり」にも、関わる人や地域社会の健康面においても“定年後、社会貢献で生きがい”堅持を奨励することは大いに役立つこと確かだ。たとえ生涯現役仲間として頑張っていても、70歳代になると「生涯現役の志」強弱も影響するのか、心身両面での健康格差がかなり目立ち始めるように感じてならない。
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今 ど き 健 康 学 『 定 年 後 、 社 会 貢 献 で 生 き が い 』
昨年9月に総務省がまとめた日本の人口に関する統計によれば、65歳以上の高齢者の数は推計で2980万人、総人口の23.3%になる。長寿命社会は今後も続き、国立社会保障・人口問題研究所の推計だと、2050年にはこの割合が38.8%と、およそ3人に1人が高齢者と呼ばれるようになるとされている。
高齢者が増えると年金財政や医療保険を圧迫するなど大きな問題を引き起こす。対策は待ったなしの状態にある。
先日、「コミュニュティで創る新しい高齢社会のデザイン」というシンポジウムを聞きに行った。科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究プロジェクトのひとつで、これからの本格的な高齢社会の対応策を考えようというものだ。
この中で気を引いたのは、辻哲夫・東京大学高齢社会総合研究機構特任教授(元厚生労働省事務次官)らによる「セカンドライフの就労モデルの開発研究」だ。多くの企業で定年を迎える60歳からの、いわゆるセカンドライフを社会に生かそうという試みだ。
定年後のセカンドライフをいかに過ごすか、ということは国によって異なる。主に欧米諸国では定年後は年金をもらってゆっくりと、と考えるが、日本では健康なら働くということに価値観を置く人が多い。セカンドライフも「就労」をと考えるのである。
よくいわれることだが、年齢を重ねていくと肉体的には衰えるとはいえ、知識や知恵などの精神的能力は若い時代に比べてより深くなっている。そうした点を生かそうというのがセカンドライフの就労だ。ライフステージ、いわば人生の各段階に適合した働き方を作り出そうというわけだ。
こうした「労働」は競争をしている企業社会には向かない。コミュニティや自治体など地域社会が前面に出てこなければならない。
辻プロジェクトでも、千葉県柏市をモデル地域に選び、東大と柏市、UR都市機構、地元企業や柏市民が協働して団地を利用したミニ野菜工場などの「農業」をはじめ、「保育」「食」「生活支援」をキーワードに活動を始めている。
健康で長寿であるためには「生きがい」を持とう。セカンドライフ就労では報酬は少なくてもよい。社会貢献によって生きがいをみつけ、健康を維持しよう。 (江戸川大学教授 中村雅美)
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今 ど き 健 康 学 『 定 年 後 、 社 会 貢 献 で 生 き が い 』
昨年9月に総務省がまとめた日本の人口に関する統計によれば、65歳以上の高齢者の数は推計で2980万人、総人口の23.3%になる。長寿命社会は今後も続き、国立社会保障・人口問題研究所の推計だと、2050年にはこの割合が38.8%と、およそ3人に1人が高齢者と呼ばれるようになるとされている。
高齢者が増えると年金財政や医療保険を圧迫するなど大きな問題を引き起こす。対策は待ったなしの状態にある。
先日、「コミュニュティで創る新しい高齢社会のデザイン」というシンポジウムを聞きに行った。科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究プロジェクトのひとつで、これからの本格的な高齢社会の対応策を考えようというものだ。
この中で気を引いたのは、辻哲夫・東京大学高齢社会総合研究機構特任教授(元厚生労働省事務次官)らによる「セカンドライフの就労モデルの開発研究」だ。多くの企業で定年を迎える60歳からの、いわゆるセカンドライフを社会に生かそうという試みだ。
定年後のセカンドライフをいかに過ごすか、ということは国によって異なる。主に欧米諸国では定年後は年金をもらってゆっくりと、と考えるが、日本では健康なら働くということに価値観を置く人が多い。セカンドライフも「就労」をと考えるのである。
よくいわれることだが、年齢を重ねていくと肉体的には衰えるとはいえ、知識や知恵などの精神的能力は若い時代に比べてより深くなっている。そうした点を生かそうというのがセカンドライフの就労だ。ライフステージ、いわば人生の各段階に適合した働き方を作り出そうというわけだ。
こうした「労働」は競争をしている企業社会には向かない。コミュニティや自治体など地域社会が前面に出てこなければならない。
辻プロジェクトでも、千葉県柏市をモデル地域に選び、東大と柏市、UR都市機構、地元企業や柏市民が協働して団地を利用したミニ野菜工場などの「農業」をはじめ、「保育」「食」「生活支援」をキーワードに活動を始めている。
健康で長寿であるためには「生きがい」を持とう。セカンドライフ就労では報酬は少なくてもよい。社会貢献によって生きがいをみつけ、健康を維持しよう。 (江戸川大学教授 中村雅美)