「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:62
2015年12月29日 お仕事 異 領 域 と 結 び つ き 多 様 な デ ー タ ー 収 集
なにことにも挑戦する姿勢を忘れず、ベンチャー精神でことに臨めば、自己脳力は機能しはじめて開発されるものである。現代に必要な“ 情報のネットワーク ”とは、実はこうした脳力開発への意欲をもった人たちとのネットワークにほかならない。私が夢として目指しつつあるベンチャー事業とは、こうした脳力開発実践グループ間にあって、まさしく人と人との関係をつくりあげ、情報と人間のネットワークをつくることにもあるのだ。
ライフ・ベンチャーを実践しながら、さらに一芸に秀でるためには、多方面にわたる異質領域のむすびつきと、そこから生まれる多種類のデーターは欠かせない。幅広い人間関係づくりのできるライフ・ベンチャーは、そのためにも好適である。ネットワークの集積からは、最新の情報、最高の人脈、最良のノウハウなどの提供も考えられる。もちろん、ネットワーク間には、相互の利益、思いやり、優しさなどの“ 潤滑油 ”が必要ではあるが・・・・。
ライフ・ベンチャーは、これまでには存在しなかったタイプの企業である。それが、全く新しい仕事を創造しようというのだから、ベンチャーに理解を示す賛同者の協力なしには推進することができない。
だから、私は真剣である。今後も、ライフ・ベンチャー事業のあるべき方向を求めて、できるだけ多くの人たちに出会い、お互いに理解し合って、ベンチャー精神にふさわしい人間関係づくりに奔走しようと思う。日本のあらゆる階層を支えている経験豊かな意欲ある中高年者の何人かでもライフ・ベンチャーに結集することを呼びかけたい。あらんかぎりの智慧を出しあって、ベンチャーへの実践行動をとるように団結すれば、やがて、これから長寿社会もその内部から活き活きとしたものに変革できるはずである。
私は、そのための“ 捨石 ”となる覚悟なのである・・・・・。
なにことにも挑戦する姿勢を忘れず、ベンチャー精神でことに臨めば、自己脳力は機能しはじめて開発されるものである。現代に必要な“ 情報のネットワーク ”とは、実はこうした脳力開発への意欲をもった人たちとのネットワークにほかならない。私が夢として目指しつつあるベンチャー事業とは、こうした脳力開発実践グループ間にあって、まさしく人と人との関係をつくりあげ、情報と人間のネットワークをつくることにもあるのだ。
ライフ・ベンチャーを実践しながら、さらに一芸に秀でるためには、多方面にわたる異質領域のむすびつきと、そこから生まれる多種類のデーターは欠かせない。幅広い人間関係づくりのできるライフ・ベンチャーは、そのためにも好適である。ネットワークの集積からは、最新の情報、最高の人脈、最良のノウハウなどの提供も考えられる。もちろん、ネットワーク間には、相互の利益、思いやり、優しさなどの“ 潤滑油 ”が必要ではあるが・・・・。
ライフ・ベンチャーは、これまでには存在しなかったタイプの企業である。それが、全く新しい仕事を創造しようというのだから、ベンチャーに理解を示す賛同者の協力なしには推進することができない。
だから、私は真剣である。今後も、ライフ・ベンチャー事業のあるべき方向を求めて、できるだけ多くの人たちに出会い、お互いに理解し合って、ベンチャー精神にふさわしい人間関係づくりに奔走しようと思う。日本のあらゆる階層を支えている経験豊かな意欲ある中高年者の何人かでもライフ・ベンチャーに結集することを呼びかけたい。あらんかぎりの智慧を出しあって、ベンチャーへの実践行動をとるように団結すれば、やがて、これから長寿社会もその内部から活き活きとしたものに変革できるはずである。
私は、そのための“ 捨石 ”となる覚悟なのである・・・・・。
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:61
2015年12月28日 お仕事◎ 情 報 と 人 間 の ネ ッ ト ワ ー ク を 作 る
“ たった一人の旗上げ ”ならぬ “ 孤独な一人旅 ”がライフ・ベンチャーのスタート時の歩みであった。べんちゃーに踏み切ってからというもの、企業組織の一部問担当というような甘い姿勢は許されず、私はあらゆる仕事に一人で当たらなければならなかった。心と身体をフルに活用して一人でことにあたることは自分の思考力と行動力を鍛える上で脳力開発に好都合な環境だったとはいえ、やはり孤独との戦いであることは否めなかった。
そんな時は、「この世の中でもっとも強い人は、いつも一人で立ているのだ!」というイブセンの言葉を思い起こして自分を励ましていた。成功は “ 楽しむ旅 ”であり、人生の最終の目的地ではない、常に前進あるのみ!! と自分に言い聞かせ、心の中でいましめていた。
“ 作戦司令部 ”ともいうべき人間の頭脳は、人生設計というプログラムが繰り込まれなければ、効率的にその力を発揮しないものである。ライフ・プランを実現するための戦略プログラムをいったん打ち立てたなら、これを後でコロコロ変えてはならない。度々の戦略変更は、その人の人格や信用を疑われかねないからだ。
ライフ・ベンチャーへの人生目標を確立した以上、私には、それを目指して進む以外に道はない。けれども“ 信じて求めるものは、みな与えられる ”のである。確信した行動は孤独な一人旅をだっするものでもあった。
ある時、ニュービジネス登場ということで、私の顔写真と紹介記事が新聞に割合大きく載った。読者の興味を引く珍しい記事を取り扱うのが通例なので、ライフ・ベンチャー社もそれに便乗させていただいたまでのことである。
しかし、その反響はすばやく大きいものがあった。電話で問い合わせてくる人があったし、面会を求める人、講演の依頼などが相次いだのである。それだけ、中高年のベンチャーに対する関心度は大きく、真の生き甲斐を求める人たちの多さに、こちらが驚き、認識を新たにしてしまったほどである。
私は、そうした人たちに丹念に接しながら、反応の一つひとつを興味深く見守ることができた。同じベンチャーをめざす熟年者といっても、人は立場によって希望や意見、評価、戦略などがことごとく異なるものである。またベンチャーするにしても、その情勢判断に確定的なことと、そうでないことの区別は大切であり、憶測や仮定にとらわれて確定的でないことに意外とこだわり、悩み苦しむ人の多いことも発見した。ベンチャーにとってはタブーである「知ったかぶり」や「勝手なきめこみ」の多さにも驚かされた。
ものの見方には両面があるものである。そのどちらが主流であるかを見極めていくことは、判断力を鍛える必須条件の一つだが、そのためにも、自分自身や相手の考え方、立場を常に整理しておく態度が重要なのである。それが日常生活のなかで習慣化されるとき、ライフ・ベンチャーは花咲くのである。また、ライフ・ベンチャーは、できるだけたくさんの物事に接し、できるだけ多数の人びとの体験を知ることが最大の要件となり、平素の実践活動となる。一生のうちで出会える人間の数はタカがしれているというなかれ。“ ネズミ算式 ”に増えていく出会いの威力は、想像以上のものがあるのだ。 つづく
“ たった一人の旗上げ ”ならぬ “ 孤独な一人旅 ”がライフ・ベンチャーのスタート時の歩みであった。べんちゃーに踏み切ってからというもの、企業組織の一部問担当というような甘い姿勢は許されず、私はあらゆる仕事に一人で当たらなければならなかった。心と身体をフルに活用して一人でことにあたることは自分の思考力と行動力を鍛える上で脳力開発に好都合な環境だったとはいえ、やはり孤独との戦いであることは否めなかった。
そんな時は、「この世の中でもっとも強い人は、いつも一人で立ているのだ!」というイブセンの言葉を思い起こして自分を励ましていた。成功は “ 楽しむ旅 ”であり、人生の最終の目的地ではない、常に前進あるのみ!! と自分に言い聞かせ、心の中でいましめていた。
“ 作戦司令部 ”ともいうべき人間の頭脳は、人生設計というプログラムが繰り込まれなければ、効率的にその力を発揮しないものである。ライフ・プランを実現するための戦略プログラムをいったん打ち立てたなら、これを後でコロコロ変えてはならない。度々の戦略変更は、その人の人格や信用を疑われかねないからだ。
ライフ・ベンチャーへの人生目標を確立した以上、私には、それを目指して進む以外に道はない。けれども“ 信じて求めるものは、みな与えられる ”のである。確信した行動は孤独な一人旅をだっするものでもあった。
ある時、ニュービジネス登場ということで、私の顔写真と紹介記事が新聞に割合大きく載った。読者の興味を引く珍しい記事を取り扱うのが通例なので、ライフ・ベンチャー社もそれに便乗させていただいたまでのことである。
しかし、その反響はすばやく大きいものがあった。電話で問い合わせてくる人があったし、面会を求める人、講演の依頼などが相次いだのである。それだけ、中高年のベンチャーに対する関心度は大きく、真の生き甲斐を求める人たちの多さに、こちらが驚き、認識を新たにしてしまったほどである。
私は、そうした人たちに丹念に接しながら、反応の一つひとつを興味深く見守ることができた。同じベンチャーをめざす熟年者といっても、人は立場によって希望や意見、評価、戦略などがことごとく異なるものである。またベンチャーするにしても、その情勢判断に確定的なことと、そうでないことの区別は大切であり、憶測や仮定にとらわれて確定的でないことに意外とこだわり、悩み苦しむ人の多いことも発見した。ベンチャーにとってはタブーである「知ったかぶり」や「勝手なきめこみ」の多さにも驚かされた。
ものの見方には両面があるものである。そのどちらが主流であるかを見極めていくことは、判断力を鍛える必須条件の一つだが、そのためにも、自分自身や相手の考え方、立場を常に整理しておく態度が重要なのである。それが日常生活のなかで習慣化されるとき、ライフ・ベンチャーは花咲くのである。また、ライフ・ベンチャーは、できるだけたくさんの物事に接し、できるだけ多数の人びとの体験を知ることが最大の要件となり、平素の実践活動となる。一生のうちで出会える人間の数はタカがしれているというなかれ。“ ネズミ算式 ”に増えていく出会いの威力は、想像以上のものがあるのだ。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:60
2015年12月27日 お仕事 自 己 変 革 が 周 囲 を 活 性 化 さ せ る
ライフ・ベンチャーでは、自分から嫌いな人をつくらない。たとえ嫌だと思う人でも、決して敬遠せずに何とかその人間関係を活用していくのがライフ・ベンチャー精神である。自分の人生戦略にいずれ縁あれば結びつく可能性があるのだから、最初から “ 好悪 ”の判断をするのは損である。好き嫌いにかかわらず、どんな人でもプラスに生かすことが脳力開発の神髄である。
あらゆる人びとが幅広く結集している企業を考えてみるといい。活性化している組織では人の好悪は問題ではなく、如何に社員一人ひとりが企業の戦略目標に向かって力を出しきるかに力点がおかれているものだ。いわば、強固な組織力とは脳力開発の結晶物のようなものだ。
繰り返していうが、相手の協力を得ていくためには、まず自分から変わっていくのが先決なのである。自分を変え、相手のことを思いやることは、何もセールスや人間関係だけに限ったことではない。成長発展を遂げている優秀企業は、自社の利益だけでなく、その社会的価値や国の利益も必ずや考慮しているものである。業績の伸張、社会発展という社会的な価値の追求のなかに、人間最大の価値創造の感動があるような気がしてならない。
よく、職場や学校、家庭での人間関係のもつれが話題になるが、たいていの場合、お互いの脳力開発が不活性
の状態に起因するものが多いと思われる。脳力開発によって、素直に相手に感謝し敬愛の気持ちをもつことができるようになれば、人間関係のもつれや歪みは、自然に溶解するにちがいない。
まず自分から相手に挨拶し、常に笑顔で接する習慣づくりは、健全な脳力開発の手軽な第一歩であり、ライフ・ベンチャー実践の手はじめである。
“ 相手あっての自分である ”ことを肝に銘ずること、その上で、相手のために役立つよう自分がまず変わって、徐々に相手をも変えていくこと・・・・・それがライフ・ベンチャー実践活動の毎日である。 つづく
ライフ・ベンチャーでは、自分から嫌いな人をつくらない。たとえ嫌だと思う人でも、決して敬遠せずに何とかその人間関係を活用していくのがライフ・ベンチャー精神である。自分の人生戦略にいずれ縁あれば結びつく可能性があるのだから、最初から “ 好悪 ”の判断をするのは損である。好き嫌いにかかわらず、どんな人でもプラスに生かすことが脳力開発の神髄である。
あらゆる人びとが幅広く結集している企業を考えてみるといい。活性化している組織では人の好悪は問題ではなく、如何に社員一人ひとりが企業の戦略目標に向かって力を出しきるかに力点がおかれているものだ。いわば、強固な組織力とは脳力開発の結晶物のようなものだ。
繰り返していうが、相手の協力を得ていくためには、まず自分から変わっていくのが先決なのである。自分を変え、相手のことを思いやることは、何もセールスや人間関係だけに限ったことではない。成長発展を遂げている優秀企業は、自社の利益だけでなく、その社会的価値や国の利益も必ずや考慮しているものである。業績の伸張、社会発展という社会的な価値の追求のなかに、人間最大の価値創造の感動があるような気がしてならない。
よく、職場や学校、家庭での人間関係のもつれが話題になるが、たいていの場合、お互いの脳力開発が不活性
の状態に起因するものが多いと思われる。脳力開発によって、素直に相手に感謝し敬愛の気持ちをもつことができるようになれば、人間関係のもつれや歪みは、自然に溶解するにちがいない。
まず自分から相手に挨拶し、常に笑顔で接する習慣づくりは、健全な脳力開発の手軽な第一歩であり、ライフ・ベンチャー実践の手はじめである。
“ 相手あっての自分である ”ことを肝に銘ずること、その上で、相手のために役立つよう自分がまず変わって、徐々に相手をも変えていくこと・・・・・それがライフ・ベンチャー実践活動の毎日である。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:59
2015年12月26日 お仕事◎ 相 手 あ っ て の 自 分 で あ る
ライフ・ベンチャーの船出は、ゼロからの出発であった。 当初、会社を設立して陣容が整った頃、私はライフ・ベンチャーの事業説明のために、くる日もくる日も、会社訪問を試みていた。だが、ライフ・ベンチャーといっても、まだ無名会社に過ぎなかったし、その上に“ ニュービジネス ”ときているから、訪問先の総務や人事担当者になかなか会えず、会えたとしてもライフ・ベンチャーの意図するところを理解し、賛同を得ることはなかなかできなかった。
毎日の企業案内を兼ねたセールス活動の失敗のなかから、そのうち私は、自分がライフ・ベンチャーに熱中するあまり、自己本位の姿勢で人に対していたのではないかと気づいてきた。自分本位の立場に固執して “ 高射砲 ”
のようにまくりたてるだけでは、、相手の考えがつかめず、取引先はつくれないことは当然のなりゆきである。こうした態度では他人や周囲の協力を得ることはむずかしい。
たとえ、自分では意義あるニュービジネスといえども、いやそうであればなおさら、まず相手あっての自分なのであった。 先方のニーズに合った満足が先にあって、セールスする自分があるのである。
「 何ごとでも、人びとからしてほしいと望むことは、人びとにもその通りにせよ 」
聖書の箴言は、生きているのである。その上に立って、自分もよいが、相手にもよいように上手に工夫することが、脳力開発の本質であったはずだ。
さらに聖書には、「 人を裁くな、自分が裁かれないためである 」という昔からの教えもある。同じセールスマンでも、人や他を裁きたがる攻撃的な人も少なくない。他者の欠点ばかりを過大視がちな人は、往々にして自分の欠点には過小評価するものだが、いずれも自分本位の立場を脱することはできない。
人はそれぞれの希望や意見、立場などを異にして生きているのが普通である。それが自然で当然であると受け入れられる姿勢がライフ・ベンチャーには欠かせないものだ。
そうして相手をよく理解し、敬意を払えば、その人に対する誠意や親愛の情も自ずから湧こうというものである。これが、相手あっての自分の謂でもある。こちらの誠意が相手に通じれば、やがて先方も、相互利益をはかろうとする姿勢に変わってくる。
もちろん、この場合でも、相手との取引関係で譲歩の “ できること ” “ できないこと ”を明確にしておく必要はある。取引条件が少々かけはなれているときにでも、誠意と忍耐をもって双方が妥協点を設けつつ、協力関係をもつのが望ましいのだ。相手あっての自分を生かしながら、ここに至って対等の協力関係を結ぶことができるのである。 つづく
ライフ・ベンチャーの船出は、ゼロからの出発であった。 当初、会社を設立して陣容が整った頃、私はライフ・ベンチャーの事業説明のために、くる日もくる日も、会社訪問を試みていた。だが、ライフ・ベンチャーといっても、まだ無名会社に過ぎなかったし、その上に“ ニュービジネス ”ときているから、訪問先の総務や人事担当者になかなか会えず、会えたとしてもライフ・ベンチャーの意図するところを理解し、賛同を得ることはなかなかできなかった。
毎日の企業案内を兼ねたセールス活動の失敗のなかから、そのうち私は、自分がライフ・ベンチャーに熱中するあまり、自己本位の姿勢で人に対していたのではないかと気づいてきた。自分本位の立場に固執して “ 高射砲 ”
のようにまくりたてるだけでは、、相手の考えがつかめず、取引先はつくれないことは当然のなりゆきである。こうした態度では他人や周囲の協力を得ることはむずかしい。
たとえ、自分では意義あるニュービジネスといえども、いやそうであればなおさら、まず相手あっての自分なのであった。 先方のニーズに合った満足が先にあって、セールスする自分があるのである。
「 何ごとでも、人びとからしてほしいと望むことは、人びとにもその通りにせよ 」
聖書の箴言は、生きているのである。その上に立って、自分もよいが、相手にもよいように上手に工夫することが、脳力開発の本質であったはずだ。
さらに聖書には、「 人を裁くな、自分が裁かれないためである 」という昔からの教えもある。同じセールスマンでも、人や他を裁きたがる攻撃的な人も少なくない。他者の欠点ばかりを過大視がちな人は、往々にして自分の欠点には過小評価するものだが、いずれも自分本位の立場を脱することはできない。
人はそれぞれの希望や意見、立場などを異にして生きているのが普通である。それが自然で当然であると受け入れられる姿勢がライフ・ベンチャーには欠かせないものだ。
そうして相手をよく理解し、敬意を払えば、その人に対する誠意や親愛の情も自ずから湧こうというものである。これが、相手あっての自分の謂でもある。こちらの誠意が相手に通じれば、やがて先方も、相互利益をはかろうとする姿勢に変わってくる。
もちろん、この場合でも、相手との取引関係で譲歩の “ できること ” “ できないこと ”を明確にしておく必要はある。取引条件が少々かけはなれているときにでも、誠意と忍耐をもって双方が妥協点を設けつつ、協力関係をもつのが望ましいのだ。相手あっての自分を生かしながら、ここに至って対等の協力関係を結ぶことができるのである。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:58
2015年12月25日 お仕事 失 敗 を 恐 れ ず 前 進 あ る の み
考えてみれば、まさに “ 千里の道も一歩から ”で、その第一歩をまず刻まなければ前進できないことは明白すぎる事実なのである。無限のの可能性をを秘めた進歩発展への夢を描く場合、失敗を恐れてはならない。失敗への恐れや、他人の評価、思惑に気をおもねることは、進歩を妨げる虚栄や見栄に過ぎぬ場合が多い。実際のところ、最初から失敗を恐れていれば、何ごともできないのが現実である。
進歩発展への夢を少しずつ実現させていくための失敗や壁など、いわば前進へのワンステップのようなものだ。周囲を見まわしても、人生のスネに “ 傷 ”なく、失敗を一つもおもたない人は、実は行動しない人であり、味も素っ気もない人生を送る人たちなのだと思えばよい。買って、証券投資のノウハウを習得していた頃を振り返ると、実際、失敗と成功の繰り返しの一語に尽きることがよくわかるのである。
華僑の人たちは、どんな大邸宅に住んでいようと、事業に失敗すればいさぎよくその門前で物乞いしてでも、』次の再起に備える覚悟をもっているという。ベンチャー精神の見事な手本といえる。
ライフ・ベンチャー事業の経営を経験してわずか一年余の私だが、人にはいえない苦しいこともあった。そんな時、私は将来の進歩発展の夢をいろいろとビジュアライズして闘志を奮い立たせることに努めた。他人からの批判や忠告に謙虚に耳を傾けようと心がけた。他人の評判や批判を恐れ嫌がる心は、やはり虚栄心にほかならず、それにとらわれ見栄をはる人は、反面、周囲に接する人たちを甘く見下していることにきづいてはいないのだ。
ライフ・ベンチャーは、「 ベンチャーする以上、社会に有益な事業をするのだという確信さえ失わなければ、次第に事業として進歩発展への道はたどれるはずだ 」という信念に支えられている。高齢化社会を活性化するのは、ライフ・ベンチャーによる行動をおいてはほかにないと信じて疑わない。
中高年を迎える未来の潜在協力者はこの世の中に無数に存在するのである。そうした数多くの人たちのアイディアを得て事業展開の “ 共同戦線 ”をはることができればすばらしいことである。
無限の可能性を秘めた進歩発展を夢みるライフ・ベンチャーは、長寿社会に心の通い合う同志を見つけようとする “ 宇宙船 ”のようなものなのである。 つづく
考えてみれば、まさに “ 千里の道も一歩から ”で、その第一歩をまず刻まなければ前進できないことは明白すぎる事実なのである。無限のの可能性をを秘めた進歩発展への夢を描く場合、失敗を恐れてはならない。失敗への恐れや、他人の評価、思惑に気をおもねることは、進歩を妨げる虚栄や見栄に過ぎぬ場合が多い。実際のところ、最初から失敗を恐れていれば、何ごともできないのが現実である。
進歩発展への夢を少しずつ実現させていくための失敗や壁など、いわば前進へのワンステップのようなものだ。周囲を見まわしても、人生のスネに “ 傷 ”なく、失敗を一つもおもたない人は、実は行動しない人であり、味も素っ気もない人生を送る人たちなのだと思えばよい。買って、証券投資のノウハウを習得していた頃を振り返ると、実際、失敗と成功の繰り返しの一語に尽きることがよくわかるのである。
華僑の人たちは、どんな大邸宅に住んでいようと、事業に失敗すればいさぎよくその門前で物乞いしてでも、』次の再起に備える覚悟をもっているという。ベンチャー精神の見事な手本といえる。
ライフ・ベンチャー事業の経営を経験してわずか一年余の私だが、人にはいえない苦しいこともあった。そんな時、私は将来の進歩発展の夢をいろいろとビジュアライズして闘志を奮い立たせることに努めた。他人からの批判や忠告に謙虚に耳を傾けようと心がけた。他人の評判や批判を恐れ嫌がる心は、やはり虚栄心にほかならず、それにとらわれ見栄をはる人は、反面、周囲に接する人たちを甘く見下していることにきづいてはいないのだ。
ライフ・ベンチャーは、「 ベンチャーする以上、社会に有益な事業をするのだという確信さえ失わなければ、次第に事業として進歩発展への道はたどれるはずだ 」という信念に支えられている。高齢化社会を活性化するのは、ライフ・ベンチャーによる行動をおいてはほかにないと信じて疑わない。
中高年を迎える未来の潜在協力者はこの世の中に無数に存在するのである。そうした数多くの人たちのアイディアを得て事業展開の “ 共同戦線 ”をはることができればすばらしいことである。
無限の可能性を秘めた進歩発展を夢みるライフ・ベンチャーは、長寿社会に心の通い合う同志を見つけようとする “ 宇宙船 ”のようなものなのである。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:57
2015年12月24日 お仕事 ◎ 人 生 の 無 限 の 可 能 性 を 信 じ て
自分の人生の成長を願望するか、あるいは現状にあきらめて保守に専念するかは、もう一つの重大な人生の選択である。私の場合も、この問題がついてまわった。
ビジネスマン時代からライフ・ベンチャーの事業を夢見はじめた私は、 “ いまのままなら自分の将来はどうなるか ”という思いと、“ ベンチャーを実践して将来、生き甲斐をつかめるか ” との考えが交錯して、さんざん悩まされたものである。
年齢もすでに五十歳に近いし、健康や体力、気力も心配である。家族の思いにも配慮しなければならなかったし、周囲の思惑にも無関心ではいられない。実際に体験した当事者でないとその心情はなかなかわからないものだが、二十五年間勤めたサラリーマン生活から一夜にして飛び出すのだから、ことはそう単純ではなかった。
しかし私は決断した。“ 今のままの変化のない気楽な人生を送った場合 ”と “ 目先は苦しくても創意工夫の努力をして成長する人生を送る場合 ”のどちらがより生き甲斐のある脳力開発となるか、を賭けたわけである。人間の意欲や生命力というものは、本来、“ 積極思考 ”のなかで育成、強化されるという思いもそこにはあった。
そうはいっても、最初から大きな夢を描いたところで、それは“ 夢想 ”に過ぎないものである。いきなり遠大な目標をねらうより、地道に一歩ずつ足を進めていくことが堅実であり近道であることは過去の経験からも道理である。私のライフ・ベンチャー社も“ 小さく産んで大きく育てる ”ことが第一方針となり、私は設立発起人にその旨の説明を繰り返していた。 “ すぐできること ” “ やさしそうなこと ”から着手して会社の運営をはじめたのである。「まず立ち上がれ」そして「一歩ずつ歩け」「一口ずつ食べよ」の行動方針は、脳力開発の面からも基本項目なのである。
もう一つ、私はベンチャーして以来、「自分には不可能だ」「私にはできない」という言葉を禁句として自分に課した。 この意識にとらわれている限り、ベンチャー精神はしぼむばかりである。風船は、大きくふくらませてこそ風船なのだ。加えて、「無理」「無駄「無気力」の言葉も、ライフ・ベンチャー精神からは追放したいものだと心から念じている。 つづく
自分の人生の成長を願望するか、あるいは現状にあきらめて保守に専念するかは、もう一つの重大な人生の選択である。私の場合も、この問題がついてまわった。
ビジネスマン時代からライフ・ベンチャーの事業を夢見はじめた私は、 “ いまのままなら自分の将来はどうなるか ”という思いと、“ ベンチャーを実践して将来、生き甲斐をつかめるか ” との考えが交錯して、さんざん悩まされたものである。
年齢もすでに五十歳に近いし、健康や体力、気力も心配である。家族の思いにも配慮しなければならなかったし、周囲の思惑にも無関心ではいられない。実際に体験した当事者でないとその心情はなかなかわからないものだが、二十五年間勤めたサラリーマン生活から一夜にして飛び出すのだから、ことはそう単純ではなかった。
しかし私は決断した。“ 今のままの変化のない気楽な人生を送った場合 ”と “ 目先は苦しくても創意工夫の努力をして成長する人生を送る場合 ”のどちらがより生き甲斐のある脳力開発となるか、を賭けたわけである。人間の意欲や生命力というものは、本来、“ 積極思考 ”のなかで育成、強化されるという思いもそこにはあった。
そうはいっても、最初から大きな夢を描いたところで、それは“ 夢想 ”に過ぎないものである。いきなり遠大な目標をねらうより、地道に一歩ずつ足を進めていくことが堅実であり近道であることは過去の経験からも道理である。私のライフ・ベンチャー社も“ 小さく産んで大きく育てる ”ことが第一方針となり、私は設立発起人にその旨の説明を繰り返していた。 “ すぐできること ” “ やさしそうなこと ”から着手して会社の運営をはじめたのである。「まず立ち上がれ」そして「一歩ずつ歩け」「一口ずつ食べよ」の行動方針は、脳力開発の面からも基本項目なのである。
もう一つ、私はベンチャーして以来、「自分には不可能だ」「私にはできない」という言葉を禁句として自分に課した。 この意識にとらわれている限り、ベンチャー精神はしぼむばかりである。風船は、大きくふくらませてこそ風船なのだ。加えて、「無理」「無駄「無気力」の言葉も、ライフ・ベンチャー精神からは追放したいものだと心から念じている。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:56
2015年12月23日 お仕事 肩 書 や 地 位 に と ら わ れ な い
私はベンチャーアドバイスのなかでいろんなベンチャー志向者に合う機会が多い。よく、「独立できる条件が揃えば、わたしもベンチャーしますよ!」という言葉を聞く。これでは、本当のベンチャーではない。ベンチャーのベンチャーたる醍醐味は、その “ 条件 ”をつくりあげ、苦労してでも整備していくことにあるのだ。難しい条件を、少しでも改善して目標に近づける努力と過程のなかに、ベンチャーの厳しさも楽しみもあるものなのである。
現実の厳しさを超えて、少しでも自分の理想に近づけていく営々たる活動こそ、真の働き甲斐、生き甲斐に結びつくものだ。
だから、 “ すでにある条件 ”をうまく使いながら、“ まだ足りない条件 ”を創り上げていくことが、ライフ・ベンチャーの仕事の本質となる。企業のなかでも、肩書や地位にとらわれず、真に仕事を推進するリーダーならば、こうした脳力開発とベンチャー精神は、形を違えてもすでに取り入れて活かしている場合が多い。
私のライフ・ベンチャーの独立資金は、その大部分が自己資金の投入である。他者からの出資には、責任を明確にしておく必要があったし、ライフ・ベンチャーの旗振り役をめざす以上、まず自らがベンチャー基金準備の実践をして手本にすることが肝心だった。もちろん、熟年からのベンチャー独立資金には、社会一般の信用上、自己資金でなければ世間が認めないだろうという読みもあったが・・・。ライフ・ベンチャーを推進してみて、自分が主体となってベンチャー姿勢を保つか、あるいは従前のように人頼りに甘んずるかは、自己の人生を選択する重要課題であると今も私は思う。 つづく
私はベンチャーアドバイスのなかでいろんなベンチャー志向者に合う機会が多い。よく、「独立できる条件が揃えば、わたしもベンチャーしますよ!」という言葉を聞く。これでは、本当のベンチャーではない。ベンチャーのベンチャーたる醍醐味は、その “ 条件 ”をつくりあげ、苦労してでも整備していくことにあるのだ。難しい条件を、少しでも改善して目標に近づける努力と過程のなかに、ベンチャーの厳しさも楽しみもあるものなのである。
現実の厳しさを超えて、少しでも自分の理想に近づけていく営々たる活動こそ、真の働き甲斐、生き甲斐に結びつくものだ。
だから、 “ すでにある条件 ”をうまく使いながら、“ まだ足りない条件 ”を創り上げていくことが、ライフ・ベンチャーの仕事の本質となる。企業のなかでも、肩書や地位にとらわれず、真に仕事を推進するリーダーならば、こうした脳力開発とベンチャー精神は、形を違えてもすでに取り入れて活かしている場合が多い。
私のライフ・ベンチャーの独立資金は、その大部分が自己資金の投入である。他者からの出資には、責任を明確にしておく必要があったし、ライフ・ベンチャーの旗振り役をめざす以上、まず自らがベンチャー基金準備の実践をして手本にすることが肝心だった。もちろん、熟年からのベンチャー独立資金には、社会一般の信用上、自己資金でなければ世間が認めないだろうという読みもあったが・・・。ライフ・ベンチャーを推進してみて、自分が主体となってベンチャー姿勢を保つか、あるいは従前のように人頼りに甘んずるかは、自己の人生を選択する重要課題であると今も私は思う。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:55
2015年12月22日 お仕事 ◎ 人 に 頼 ら ず
自 主 独 立 の 気 概 を も つ
“ 人は頼られこそすれ、頼るものではない ”
この教訓は、幼い頃からよく父に聞かされていたものである。
ベンチャー精神には、この姿勢がとくに必要である。もともとベンチャーでは、何ごとも自分からやりださぬことにははじまらない。徹頭徹尾、自分を頼りにしてフルに脳力を開発し、実践行動をとることがライフ・ベンチャーのスタートなのだ。何はさておき、“ はじめること ” “ それをやめないこと ” が、大前提となる。
人を頼み、他人をあてにすると、誰でも手抜きをした安易な行動をとりやすいものである。あなた任せの安易な姿勢のなかには、脳力発揮を期待する何ものもない。
日頃、ビジネス街の喫茶店や夜の巷の赤提灯の下で、サラリーマンたちの不平、不満はよく耳にする。会社や上司の悪口だったり、酒が入ればさらに声が大きくなって、あげくの果てが二日酔いである。こうした不平や不満には、本人は気付かないが、意外と人頼りの姿勢が知らず知らずのうちに込められているのも事実である。他人に文句をいったり、悪口雑言の矢を放つのは、相手の協力をあてにして、その通りにならなかった場合に多いのだ。
「会社の上役がダメだから・・・・」
「親が資産を残してくれないものだから・・」
「頼り甲斐のあるはずだった友人に裏切られてしまった」
こんな言葉を吐いて、いつも自分のやるべき責任を他人やまわりのせいにする輩が多い。責任転嫁が口癖になってしまっては、見苦しいばかりでなく、自分に人生に真正面から取り組もうとする主体性など微塵もない。主体性のない脳の使い方しかできず、いつも口先で相手をバカ呼ばわりしていては、所詮、愚痴や不平しか出てこないのは当然である。そのうちに、口先でバカにしていた当の相手に、結局は支配されてしまうのがオチである。
ベンチャー精神は、人を頼らず、まず自主独立の気概を培うことからはじまっている。ベンチャーへの精神的姿勢がしっかりしなければ、他者からの信頼や協力など、とうてい不可能なことだ。ある困難にぶつかった場合、その “ うまくいかない ”原因を、他に求めてはならない。原因は、自分の側にこそあると謙虚に反省する姿勢が大切なのである。自分のことを棚に上げて、人ばかり責めるのは愚の骨頂ともいうべきものだ。そこからは建設的なものは何も生まれず、いよいよお互いの反感ばかりが募るののみである。結局のところ、相手が変わることばかり求めて、自分を変えようとはしない安易で虫のよい姿勢なのである。これなど、脳の回路の使い方が根本的な間違いであるといえる。 つづく
自 主 独 立 の 気 概 を も つ
“ 人は頼られこそすれ、頼るものではない ”
この教訓は、幼い頃からよく父に聞かされていたものである。
ベンチャー精神には、この姿勢がとくに必要である。もともとベンチャーでは、何ごとも自分からやりださぬことにははじまらない。徹頭徹尾、自分を頼りにしてフルに脳力を開発し、実践行動をとることがライフ・ベンチャーのスタートなのだ。何はさておき、“ はじめること ” “ それをやめないこと ” が、大前提となる。
人を頼み、他人をあてにすると、誰でも手抜きをした安易な行動をとりやすいものである。あなた任せの安易な姿勢のなかには、脳力発揮を期待する何ものもない。
日頃、ビジネス街の喫茶店や夜の巷の赤提灯の下で、サラリーマンたちの不平、不満はよく耳にする。会社や上司の悪口だったり、酒が入ればさらに声が大きくなって、あげくの果てが二日酔いである。こうした不平や不満には、本人は気付かないが、意外と人頼りの姿勢が知らず知らずのうちに込められているのも事実である。他人に文句をいったり、悪口雑言の矢を放つのは、相手の協力をあてにして、その通りにならなかった場合に多いのだ。
「会社の上役がダメだから・・・・」
「親が資産を残してくれないものだから・・」
「頼り甲斐のあるはずだった友人に裏切られてしまった」
こんな言葉を吐いて、いつも自分のやるべき責任を他人やまわりのせいにする輩が多い。責任転嫁が口癖になってしまっては、見苦しいばかりでなく、自分に人生に真正面から取り組もうとする主体性など微塵もない。主体性のない脳の使い方しかできず、いつも口先で相手をバカ呼ばわりしていては、所詮、愚痴や不平しか出てこないのは当然である。そのうちに、口先でバカにしていた当の相手に、結局は支配されてしまうのがオチである。
ベンチャー精神は、人を頼らず、まず自主独立の気概を培うことからはじまっている。ベンチャーへの精神的姿勢がしっかりしなければ、他者からの信頼や協力など、とうてい不可能なことだ。ある困難にぶつかった場合、その “ うまくいかない ”原因を、他に求めてはならない。原因は、自分の側にこそあると謙虚に反省する姿勢が大切なのである。自分のことを棚に上げて、人ばかり責めるのは愚の骨頂ともいうべきものだ。そこからは建設的なものは何も生まれず、いよいよお互いの反感ばかりが募るののみである。結局のところ、相手が変わることばかり求めて、自分を変えようとはしない安易で虫のよい姿勢なのである。これなど、脳の回路の使い方が根本的な間違いであるといえる。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:54
2015年12月21日 お仕事 心 の 充 実 、 思 考 力 の 向 上 、 知 識 の 拡 大 へ
まずもって、自分の脳回路を切り替え自己を変革できないことには、脳力開発を身をもって体験したことにはならない。私は、脳力開発の手法に接することで、どんな立派な理論や学説よりも、自分の口と手、足を動かしての行動実践が何よりも不可欠であることを叩き込まれて、自己改造のスタートを決意した。自己の百四十億の脳細胞を少しでも活かし脳力が不断にかいはつされてこそ、身体全体の活動能力が発揮されるのである。
生まれつき頭が悪かったり、記憶力の弱い人などはいないといわれる。ただ人間一人ひとりに備わっている立派な素質を十二分に伸ばす日常の努力が足りないだけなのだ。生まれたばかりの赤ちゃんは、手足を精一杯動かし、言葉を覚えるためにあの無言の練習を繰り返している。手足を活発に働かせることで、脳の回路をめざましい勢いで開発しているのだ。そうした努力を熟年の大人が取り戻し、ひたむきな姿勢をもつことができれば、誰でもが自分を自由に活躍させる“ 天才 ”になれる可能性をもつのだ。
大脳生理学者の故時実利彦先生は、乳・幼児の人格形成には家庭や環境が大きな影響を与えるという。ネアカ人生も、ネクラ人生も、そこにはじまっているのである。幼い時から “ 楽しい人生づくり ”の習慣化が大切であって、親や大人の責任は重大といわねばならない。
ライフ・ベンチャーにとっても必要な脳力開発のポイントは、心の充実、思考力の向上、知識の拡大発展の三つに要約できる。これらが三位一体になってこそ、総合的に脳力開発が活かされるのである。ベンチャーへ向けて生き生きと踏み出せるのはそんな時である。
従来の学校教育や企業研修では、どちらかといえば知識を詰め込むための“ 暗記方式 ”が偏重されるきらいがあった。記号を単に暗記するだけでは、思考力や、また前頭葉開発による精神力は向上できない。自分自身の活きた“ プログラム ”を工夫してつくりだすことで脳力開発は一段と力を増すのである。そして、、世界に二つとない独自の人脳コンピューター・プログラムを使って、脳のトレーニングに心がけることが必要である。それも、なるべくひんぱんに、真剣に、効率よく、上手に、幅広く、しかも多様に試みることである。
ここでは、もちろん、現状維持の考えは禁句である。現状に甘んずる脳細胞回路を変更修正しない限り、ベンチャー実践は無理なのである。
脳細胞の新しい回路づくりのためには、自己変革への行動・整理と反復を習慣化して継続することも大事である。企業が事業の発展をめざすには、潜在脳力を秘めた社員一人ひとりの脳力開発が欠かせない時代なのであり、これこそが本当の人財開発ともいうべきものである。ライフ・ベンチャーの考えは、こうした脳力開発を足がかりとしてできあがったものである。 つづく
まずもって、自分の脳回路を切り替え自己を変革できないことには、脳力開発を身をもって体験したことにはならない。私は、脳力開発の手法に接することで、どんな立派な理論や学説よりも、自分の口と手、足を動かしての行動実践が何よりも不可欠であることを叩き込まれて、自己改造のスタートを決意した。自己の百四十億の脳細胞を少しでも活かし脳力が不断にかいはつされてこそ、身体全体の活動能力が発揮されるのである。
生まれつき頭が悪かったり、記憶力の弱い人などはいないといわれる。ただ人間一人ひとりに備わっている立派な素質を十二分に伸ばす日常の努力が足りないだけなのだ。生まれたばかりの赤ちゃんは、手足を精一杯動かし、言葉を覚えるためにあの無言の練習を繰り返している。手足を活発に働かせることで、脳の回路をめざましい勢いで開発しているのだ。そうした努力を熟年の大人が取り戻し、ひたむきな姿勢をもつことができれば、誰でもが自分を自由に活躍させる“ 天才 ”になれる可能性をもつのだ。
大脳生理学者の故時実利彦先生は、乳・幼児の人格形成には家庭や環境が大きな影響を与えるという。ネアカ人生も、ネクラ人生も、そこにはじまっているのである。幼い時から “ 楽しい人生づくり ”の習慣化が大切であって、親や大人の責任は重大といわねばならない。
ライフ・ベンチャーにとっても必要な脳力開発のポイントは、心の充実、思考力の向上、知識の拡大発展の三つに要約できる。これらが三位一体になってこそ、総合的に脳力開発が活かされるのである。ベンチャーへ向けて生き生きと踏み出せるのはそんな時である。
従来の学校教育や企業研修では、どちらかといえば知識を詰め込むための“ 暗記方式 ”が偏重されるきらいがあった。記号を単に暗記するだけでは、思考力や、また前頭葉開発による精神力は向上できない。自分自身の活きた“ プログラム ”を工夫してつくりだすことで脳力開発は一段と力を増すのである。そして、、世界に二つとない独自の人脳コンピューター・プログラムを使って、脳のトレーニングに心がけることが必要である。それも、なるべくひんぱんに、真剣に、効率よく、上手に、幅広く、しかも多様に試みることである。
ここでは、もちろん、現状維持の考えは禁句である。現状に甘んずる脳細胞回路を変更修正しない限り、ベンチャー実践は無理なのである。
脳細胞の新しい回路づくりのためには、自己変革への行動・整理と反復を習慣化して継続することも大事である。企業が事業の発展をめざすには、潜在脳力を秘めた社員一人ひとりの脳力開発が欠かせない時代なのであり、これこそが本当の人財開発ともいうべきものである。ライフ・ベンチャーの考えは、こうした脳力開発を足がかりとしてできあがったものである。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:53
2015年12月20日 お仕事 “ 成 功 と は 目 標 を 一 つ ず つ 達 成 し て い く こ と ”
中高年齢者に就職を斡旋しているある会社社長が、次のように言っている。
「人生八十年。それは一生涯一企業の時代がすでに終り、現代は一生涯二企業、三企業の時代だ。定年を待って再就職の道を探すよりも、積極性、活動性があり、よりやり甲斐のある仕事を求める人は、むしろ成長性を見込めるベンチャー企業に五十歳前後でチャレンジした方がよいのではなかろうか・・・」と。
自分を活かす生き甲斐づくりの人生戦略は早く立てるにこしたことはない。
明確な人生目標がないと地についた自分らしい人生を送ることができない」とポール・J・マイヤー【注:「ライフ・ベンチャーのすすめ」P192で紹介】は教えている。そして「成功とは自分に価値ある目標を段階的に一つずつ達成していくことであり、決して他人との比較で人生の成功を云々しても、それはナンセンスだ」という言葉にも
っと耳を傾けたいものだ。
私は、ビジネスマンとしての定年を待たずに、独立自営のライフ・ベンチャーへと巣立ったが、これは、人生マラソンの折り返し点である五十歳くらいからは、自分の本当にやりたいことができるような心の準備を以前からしてきたからである。私の人生設計の一角に、自分の夢の実現であるライフ・ベンチャーを、未来のよりよいイメージとして、常に捉え、醗酵させていたのである。 つづく
中高年齢者に就職を斡旋しているある会社社長が、次のように言っている。
「人生八十年。それは一生涯一企業の時代がすでに終り、現代は一生涯二企業、三企業の時代だ。定年を待って再就職の道を探すよりも、積極性、活動性があり、よりやり甲斐のある仕事を求める人は、むしろ成長性を見込めるベンチャー企業に五十歳前後でチャレンジした方がよいのではなかろうか・・・」と。
自分を活かす生き甲斐づくりの人生戦略は早く立てるにこしたことはない。
明確な人生目標がないと地についた自分らしい人生を送ることができない」とポール・J・マイヤー【注:「ライフ・ベンチャーのすすめ」P192で紹介】は教えている。そして「成功とは自分に価値ある目標を段階的に一つずつ達成していくことであり、決して他人との比較で人生の成功を云々しても、それはナンセンスだ」という言葉にも
っと耳を傾けたいものだ。
私は、ビジネスマンとしての定年を待たずに、独立自営のライフ・ベンチャーへと巣立ったが、これは、人生マラソンの折り返し点である五十歳くらいからは、自分の本当にやりたいことができるような心の準備を以前からしてきたからである。私の人生設計の一角に、自分の夢の実現であるライフ・ベンチャーを、未来のよりよいイメージとして、常に捉え、醗酵させていたのである。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:51
2015年12月18日 お仕事 長 寿 社 会 に 挑 む 人 生 戦 略
“ 人生五十年 ” の時代は、すでに過去のものとなった。四十、五十歳はまだ “ 鼻たれ小僧 ” で、六十、七十歳の熟年はシルバ-・エイジ、八十歳を過ぎてやっと天国へ迎えられるライフ・サイクルが現代なのだ。
長寿社会を迎えた現代は、長生きするにもそれ相応の準備と覚悟が必要な世の中になった、とよくいわれる。単に、漫然とした長生きだけが取柄ではなく、どれだけ意義があり、生き甲斐のある生き方をするかが求められているのである。長寿社会はまた、平均寿命が五十歳だった時代とちがって、定年後にも十分に活かしえる人生が十年も二十年もあるということにほかならない。
その “ 第二の人生を、充実した生き甲斐の下で過ごすためには、長寿社会にふさわしい人生戦略 ” が必要にある。
定年退職後、新たな生き甲斐を打ち立てられず、目標を喪失した消極人間は、肉体的にも急に老け込んでコロッと死んでしまう。いわゆる “ 定年マンコロ ” を招きやすいそうである。
之など、五年後、十年後、二十年後の自分の定年後に、どんな環境変化をきたすかを全く考えず、環境に流されて心の準備もしないままに “ そ の 日 ” を迎えてしまったからだろう。
それも官庁や大企業の退職者で、老齢年金にも恵まれ、アクセクと働く必要が少ない人ほどその可能性があるというから、皮肉な話である。その意味で、手、足をいつまでも働かせる脳力の活用は、定年後にも欠かせないものだと思う。
定年は、誰にも平等に、しかも明確な定められた日にやってくるものである。このわかりきった道筋を自己の人生設計にまずはっきりと位置づけることが大切である。老後の人生設計がきちっと定まれば、今の時間が如何に貴重で、残り惜しいものか肌で感ずるようになるものだ。現在の一刻一刻を大切にいきるためにも現状に甘んじない人生戦略は肝要なのだ。
わが国の百歳以上の長寿者の経歴を調べたところによると、その九十五%が、自営業の経験者であったという。彼らには熟年以後も、何か有意義と思われる仕事を続けていたという共通項がある。
定年を意識しないで、自分の潜在能力を開発することに、生涯の努力目標があるならば、その人は知らず知らずのうちに老化を防ぐ健康管理をしていたことになる。
翻って、組織でどっぷり安住した “ 会社人間 ” ほど自己の弱点や弱味に気づかないものだ。日本の伝統的な年功序列のタテ型社会では、規格にはまった “ 忠誠心 ” が求められるのが常である。定められた組織の枠内で、マイナス・ポイントを増やさないようにすることがビジネスマンの成功であり、当然、昇進昇格至上主義が人生戦略とされてきた。 ビジネスマンに対する社会的評価にしても、個人の実力というよりは、その所属する企業の信用度と地位に負っていることは否めない。
しかし、これからの企業社会は、欧米のように、会社での肩書や地位に頼らない、その個人の実力と信用度を重視する価値観に変わりつつある。つまり企業内評価に外部評価を加味すべきだという考え方に・・・・。それは、究極的には自立したその人自身の生き方が真に問われることなのである。 つづき
“ 人生五十年 ” の時代は、すでに過去のものとなった。四十、五十歳はまだ “ 鼻たれ小僧 ” で、六十、七十歳の熟年はシルバ-・エイジ、八十歳を過ぎてやっと天国へ迎えられるライフ・サイクルが現代なのだ。
長寿社会を迎えた現代は、長生きするにもそれ相応の準備と覚悟が必要な世の中になった、とよくいわれる。単に、漫然とした長生きだけが取柄ではなく、どれだけ意義があり、生き甲斐のある生き方をするかが求められているのである。長寿社会はまた、平均寿命が五十歳だった時代とちがって、定年後にも十分に活かしえる人生が十年も二十年もあるということにほかならない。
その “ 第二の人生を、充実した生き甲斐の下で過ごすためには、長寿社会にふさわしい人生戦略 ” が必要にある。
定年退職後、新たな生き甲斐を打ち立てられず、目標を喪失した消極人間は、肉体的にも急に老け込んでコロッと死んでしまう。いわゆる “ 定年マンコロ ” を招きやすいそうである。
之など、五年後、十年後、二十年後の自分の定年後に、どんな環境変化をきたすかを全く考えず、環境に流されて心の準備もしないままに “ そ の 日 ” を迎えてしまったからだろう。
それも官庁や大企業の退職者で、老齢年金にも恵まれ、アクセクと働く必要が少ない人ほどその可能性があるというから、皮肉な話である。その意味で、手、足をいつまでも働かせる脳力の活用は、定年後にも欠かせないものだと思う。
定年は、誰にも平等に、しかも明確な定められた日にやってくるものである。このわかりきった道筋を自己の人生設計にまずはっきりと位置づけることが大切である。老後の人生設計がきちっと定まれば、今の時間が如何に貴重で、残り惜しいものか肌で感ずるようになるものだ。現在の一刻一刻を大切にいきるためにも現状に甘んじない人生戦略は肝要なのだ。
わが国の百歳以上の長寿者の経歴を調べたところによると、その九十五%が、自営業の経験者であったという。彼らには熟年以後も、何か有意義と思われる仕事を続けていたという共通項がある。
定年を意識しないで、自分の潜在能力を開発することに、生涯の努力目標があるならば、その人は知らず知らずのうちに老化を防ぐ健康管理をしていたことになる。
翻って、組織でどっぷり安住した “ 会社人間 ” ほど自己の弱点や弱味に気づかないものだ。日本の伝統的な年功序列のタテ型社会では、規格にはまった “ 忠誠心 ” が求められるのが常である。定められた組織の枠内で、マイナス・ポイントを増やさないようにすることがビジネスマンの成功であり、当然、昇進昇格至上主義が人生戦略とされてきた。 ビジネスマンに対する社会的評価にしても、個人の実力というよりは、その所属する企業の信用度と地位に負っていることは否めない。
しかし、これからの企業社会は、欧米のように、会社での肩書や地位に頼らない、その個人の実力と信用度を重視する価値観に変わりつつある。つまり企業内評価に外部評価を加味すべきだという考え方に・・・・。それは、究極的には自立したその人自身の生き方が真に問われることなのである。 つづき
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:50
2015年12月17日 お仕事 夢 と 希 望 を 生 み だ す 脳 回 路 を 創 る
しかし、実際に脳力開発をどのように自分の実生活に活かせていけるかとなると、これも大きな課題である。永年にわたって習慣づけられた行動は、すでに固まって形成された脳回路が出来上がっての結果である。幼児のように、これから白紙で創り上げるのではないから、熟年者ともなれば、なおさら自己変革はむずかしい。
人間にはどんな人でも、プライドがあるはずだし、他人からは干渉されたくない心の “ 壁 ” ももっている。自分の個性、人格、資質、能力などをしっかりとその “ 壁 ” でガードしているともいえる。熟年になればなるほど、そのガードも固くなり、反面、自分を変革することにも臆病になりやすい。
老化現象は、まずこの保守性が頑固さになることであらわれる。中高年者の生き甲斐で自分の保守性をテストしてみるならば、“ 過去の栄光にこだわるか ” それとも “ 将来の自分の可能性に希望をもつか ” によって、自己診断ができると思う。脳力開発には、老化につながる脳回路を切り替えてでも、次々と夢と希望を生みだす脳回路を新たに創りだすことにあるからだ。
サラリーマン生活を捨てて、独立自営を実践したこの一年間は、実にこれまでのサラリーマン的発想の脳回路を、ベンチャーマン的発想に転換することを求められると思う。私自身のこれまでの精神的心構えに、大きな甘えがあったことも事実である。与えられた環境条件を十二分に活かし切っていたかどうかといわれると反省の余地も多い。
あらゆることにおいて、熟年からのベンチャーは、これまでの自分を独立自営に耐えうる体質に変革していく必要があると、謙虚に悟った次第である。これも、現状のサラリーマン生活に余んじていれば、実感できない教訓であった。
“ 中年になって、何を今さらベンチャーなどと・・・ ”、“ 定年までのんびりとサラリーマンをやる方が、生活がどれだけ安定していることか ” という意見をよく聞かされる。熟年からの再出発に失敗したり、苦労したケースが数多くあるだけに、もっともな考え方である。
定年までに数年もあるのに、無理なベンチャーに挑戦して地位も収入もゼロにしたのでは、家族を路頭に迷わすことにもなりかねない。脳力開発どころではない、ということだろうか。これらの防衛心理が、熟年者の厚い心の “ 壁 ” を作り、現状維持に精一杯の精神姿勢にさせるのかもしれない。確かに、熟年になってからの脳力開発には、頑固なまで保身に徹する脳回路を変更していく努力が、並大抵ではないと思う。
だが、脳力開発によれば、どんな人でも一面的な思考ではなく、現状が変わって自分の将来が明るく期待できることならば、思い切って変革に挑戦してみたいという気持ちもあるに違いないのだ。
だから、現状の仕事や給与を確保した上でのベンチャーという発想があってもよいはずである。脳力開発を活かしたライフ・ベンチャーの狙いは、そこにあると思う。ベンチャー精神に基いた脳力開発の実践がともなうならば、必ず自分が変わり周囲に影響を与え、将来の希望も生まれてくる。そのためにも、脳力開発によるベンチャー準備講座をあらゆる企業の熟年層にすすめていきたいと願っている。 つづく
しかし、実際に脳力開発をどのように自分の実生活に活かせていけるかとなると、これも大きな課題である。永年にわたって習慣づけられた行動は、すでに固まって形成された脳回路が出来上がっての結果である。幼児のように、これから白紙で創り上げるのではないから、熟年者ともなれば、なおさら自己変革はむずかしい。
人間にはどんな人でも、プライドがあるはずだし、他人からは干渉されたくない心の “ 壁 ” ももっている。自分の個性、人格、資質、能力などをしっかりとその “ 壁 ” でガードしているともいえる。熟年になればなるほど、そのガードも固くなり、反面、自分を変革することにも臆病になりやすい。
老化現象は、まずこの保守性が頑固さになることであらわれる。中高年者の生き甲斐で自分の保守性をテストしてみるならば、“ 過去の栄光にこだわるか ” それとも “ 将来の自分の可能性に希望をもつか ” によって、自己診断ができると思う。脳力開発には、老化につながる脳回路を切り替えてでも、次々と夢と希望を生みだす脳回路を新たに創りだすことにあるからだ。
サラリーマン生活を捨てて、独立自営を実践したこの一年間は、実にこれまでのサラリーマン的発想の脳回路を、ベンチャーマン的発想に転換することを求められると思う。私自身のこれまでの精神的心構えに、大きな甘えがあったことも事実である。与えられた環境条件を十二分に活かし切っていたかどうかといわれると反省の余地も多い。
あらゆることにおいて、熟年からのベンチャーは、これまでの自分を独立自営に耐えうる体質に変革していく必要があると、謙虚に悟った次第である。これも、現状のサラリーマン生活に余んじていれば、実感できない教訓であった。
“ 中年になって、何を今さらベンチャーなどと・・・ ”、“ 定年までのんびりとサラリーマンをやる方が、生活がどれだけ安定していることか ” という意見をよく聞かされる。熟年からの再出発に失敗したり、苦労したケースが数多くあるだけに、もっともな考え方である。
定年までに数年もあるのに、無理なベンチャーに挑戦して地位も収入もゼロにしたのでは、家族を路頭に迷わすことにもなりかねない。脳力開発どころではない、ということだろうか。これらの防衛心理が、熟年者の厚い心の “ 壁 ” を作り、現状維持に精一杯の精神姿勢にさせるのかもしれない。確かに、熟年になってからの脳力開発には、頑固なまで保身に徹する脳回路を変更していく努力が、並大抵ではないと思う。
だが、脳力開発によれば、どんな人でも一面的な思考ではなく、現状が変わって自分の将来が明るく期待できることならば、思い切って変革に挑戦してみたいという気持ちもあるに違いないのだ。
だから、現状の仕事や給与を確保した上でのベンチャーという発想があってもよいはずである。脳力開発を活かしたライフ・ベンチャーの狙いは、そこにあると思う。ベンチャー精神に基いた脳力開発の実践がともなうならば、必ず自分が変わり周囲に影響を与え、将来の希望も生まれてくる。そのためにも、脳力開発によるベンチャー準備講座をあらゆる企業の熟年層にすすめていきたいと願っている。 つづく
「生涯現役社会づくり」をめざす第一弾:49
2015年12月16日 お仕事 当ブログ2015年5月17日から7ヶ月も経ちましたが、再連続をお許し願い、拙著「ライフ・ベンチャーのすすめ」を転載させていただきます。
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思 考 力 や 決 断 力 を 鍛 え る 脳 力 開 発
脳 力 開 発 を学びながら、私が実感したことは、すばらしい楽しい人生づくりを、まず自分でどう完成していくかであった。
城野 宏 先生は、大学卒業と同時に中国大陸に渡り、文字通り波瀾万丈の人生をもっておられる。普通の人では経験できない貴重な十五年もの監獄生活の実際体験の中から、先生のユニークな「脳力開発学」「情勢判断学」が生み出されている。大脳生理学の理論も十分にふまえ、脳の発揮する力である “ 脳 力 ” の開発を、これほど誰にでもわかりやすく、実践するやり方を教えてくれる人は、まずいないと思う。
一般に “ の う り ょ く ” といえば、「能力」と理解されるが、それは脳力がある特定の分野や対象に対して優れた力を発揮した “ 結果 ” でしか過ぎないものだ。だから、脳力をよく使えば、結果的に能力が発揮されるという意味で、“ 脳 力 ” が根幹なら、“ 能力 ” は部分的な枝葉になると考えられる。私がこれまでにいろいろと学んでいたさまざまな教育手法は、部分的能力にこだわる限り、人間の総合的な脳力開発実践学には、遠くおよばないと思う。後章でご紹介する “ S M I ” 、“ IC 法 ”、“ 心 の 学 校 ” それぞれに特色のある自己変革の技法ではあるが、これも広義の脳力開発に含まれるのではなかろうか。
万人共通の数をもつ脳細胞を前提にして、“ 頭のよしあし ” を問題にすることなく、口と手と足を使って、誰でもごく簡単にできることから始める脳力開発の基本行動を知らないで人生を送るのは、実にもったいない。これが、私の率直な脳力開発についての実感であった。 つづく
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思 考 力 や 決 断 力 を 鍛 え る 脳 力 開 発
脳 力 開 発 を学びながら、私が実感したことは、すばらしい楽しい人生づくりを、まず自分でどう完成していくかであった。
城野 宏 先生は、大学卒業と同時に中国大陸に渡り、文字通り波瀾万丈の人生をもっておられる。普通の人では経験できない貴重な十五年もの監獄生活の実際体験の中から、先生のユニークな「脳力開発学」「情勢判断学」が生み出されている。大脳生理学の理論も十分にふまえ、脳の発揮する力である “ 脳 力 ” の開発を、これほど誰にでもわかりやすく、実践するやり方を教えてくれる人は、まずいないと思う。
一般に “ の う り ょ く ” といえば、「能力」と理解されるが、それは脳力がある特定の分野や対象に対して優れた力を発揮した “ 結果 ” でしか過ぎないものだ。だから、脳力をよく使えば、結果的に能力が発揮されるという意味で、“ 脳 力 ” が根幹なら、“ 能力 ” は部分的な枝葉になると考えられる。私がこれまでにいろいろと学んでいたさまざまな教育手法は、部分的能力にこだわる限り、人間の総合的な脳力開発実践学には、遠くおよばないと思う。後章でご紹介する “ S M I ” 、“ IC 法 ”、“ 心 の 学 校 ” それぞれに特色のある自己変革の技法ではあるが、これも広義の脳力開発に含まれるのではなかろうか。
万人共通の数をもつ脳細胞を前提にして、“ 頭のよしあし ” を問題にすることなく、口と手と足を使って、誰でもごく簡単にできることから始める脳力開発の基本行動を知らないで人生を送るのは、実にもったいない。これが、私の率直な脳力開発についての実感であった。 つづく
日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ⑦
2015年12月15日 お仕事 持 て る 力 を フ ル に 出 せ ば
“ レ ギ ュ ラ ー ” に な れ な い 人 な ん て い な い
人事部は、他のいろいろな部署の昇格を推奨しています。でも、なぜか自分の部署の部下に対しては背中を押そうとしない。最初に人事部に来たとき、不思議でしょうがなかったですね。なぜ身内のキャリアアップに消極的なのかと。部内の人間でも昇格の背中を押せと、所属長たちに言い続けました。競ってチャレンジする風土を醸成することも、人事部全員にレギュラーを感じさせる一つのアプローチでした。もちろん、個人の能力差はあるでしょう。一番重要なことは、一人ひとりの持てる力を最大限に引き出しているかどうか。現場であれ、スタッフであれ、持てる力をほぼフルに出せば、レギュラーとして戦力にならないケースなんて、まずありえません。
―― 人事という新しい部門を経験されてみて、中村さんご自身の中で、何か新しい発見はありましたか。
有り体に言えば、本当の意味での「人の大切さ」ということでしょうか。口では「落ちこぼれをつくらない」と言いながら、よくわかっていなかった。人事部のメンバー全員が成長し、高いパフォーマンスを出せるようになり、初めて実感できましたからね。店頭のスタイリストのみなさんをはじめとして、部内・部外を問わず、人というものに対する実感を強く持ち、見方が深まったというのが、私にとっての大きな収穫でした。人それぞれに、こんなにも多様な価値観、多様な志向、多様な思いがあるのかと。だからこそ、それらをうまく組み合わせ、束ねることができれば、組織にとってこれ以上の強みはないと確信しましたね。
―― ありがとうございました。最後に、今後の課題や抱負をお聞かせください。
人事部も風土が変わり、私が言わなくてもメンバーが担当の壁を超え、自分たちで知恵を出し合って仕事を進めるようになりました。ただ、もちろん満足はしていません。先ほどご紹介くださった「女性が働きやすい会社ランキング」で1位を獲ったとき、社長は喜びながらも、こう言ったんです。「評価と実態がまだ全然違う。それを一致させていくのが人事部の仕事だろう」と。でも、よくわかります。誇りには感じましたが、次の瞬間、こんな評価をいただいてしまってどうしよう、まだまだ実が伴っていないのにと、プレッシャーを感じました。浮かれてはいられません。人事改革にゴールはないのですから。
“ レ ギ ュ ラ ー ” に な れ な い 人 な ん て い な い
人事部は、他のいろいろな部署の昇格を推奨しています。でも、なぜか自分の部署の部下に対しては背中を押そうとしない。最初に人事部に来たとき、不思議でしょうがなかったですね。なぜ身内のキャリアアップに消極的なのかと。部内の人間でも昇格の背中を押せと、所属長たちに言い続けました。競ってチャレンジする風土を醸成することも、人事部全員にレギュラーを感じさせる一つのアプローチでした。もちろん、個人の能力差はあるでしょう。一番重要なことは、一人ひとりの持てる力を最大限に引き出しているかどうか。現場であれ、スタッフであれ、持てる力をほぼフルに出せば、レギュラーとして戦力にならないケースなんて、まずありえません。
―― 人事という新しい部門を経験されてみて、中村さんご自身の中で、何か新しい発見はありましたか。
有り体に言えば、本当の意味での「人の大切さ」ということでしょうか。口では「落ちこぼれをつくらない」と言いながら、よくわかっていなかった。人事部のメンバー全員が成長し、高いパフォーマンスを出せるようになり、初めて実感できましたからね。店頭のスタイリストのみなさんをはじめとして、部内・部外を問わず、人というものに対する実感を強く持ち、見方が深まったというのが、私にとっての大きな収穫でした。人それぞれに、こんなにも多様な価値観、多様な志向、多様な思いがあるのかと。だからこそ、それらをうまく組み合わせ、束ねることができれば、組織にとってこれ以上の強みはないと確信しましたね。
―― ありがとうございました。最後に、今後の課題や抱負をお聞かせください。
人事部も風土が変わり、私が言わなくてもメンバーが担当の壁を超え、自分たちで知恵を出し合って仕事を進めるようになりました。ただ、もちろん満足はしていません。先ほどご紹介くださった「女性が働きやすい会社ランキング」で1位を獲ったとき、社長は喜びながらも、こう言ったんです。「評価と実態がまだ全然違う。それを一致させていくのが人事部の仕事だろう」と。でも、よくわかります。誇りには感じましたが、次の瞬間、こんな評価をいただいてしまってどうしよう、まだまだ実が伴っていないのにと、プレッシャーを感じました。浮かれてはいられません。人事改革にゴールはないのですから。
日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ⑥
2015年12月14日 お仕事 販 売 の 質 を “ 見 え る 化 ” す る S S P で
自 他 と も に 成 長 を 実 感
―― スタイリストの育成やキャリア形成支援のための具体的な施策について、お聞かせください。
現場のスタイリスト育成のための施策の根幹にあるのはOJT。つねに先輩社員が後輩社員に範を示し、実地で指導する伝統の仕組みがあります。ただ、このOJTの仕組みは体系化されているものの、定量化されてはいませんでした。そこで、優秀なスタイリストの行動を分析し、「9つのあるべき販売行動」と「23の必要なスキル」に集約。それをさらに4段階のレベルに区分けし、スタイリスト一人ひとりの現状にあてはめることで、個々の販売スキルを可視化する取り組みを進めています。これをOJTと連動させれば、販売の質がどれくらい高まったかを定量的に把握することができるので、本人が成長感を得られるのはもちろんのこと、お買場をマネジメントするセールスマネジャー(SM)もスタイリスト個々のスキルレベルに応じて、より具体的な指導ができるようになると考えています。一連の取り組みは「SSP(セールス・スキルアップ・プログラム)」と呼ばれ、現時点では、首都圏三越伊勢丹の全お買場のSMに対して導入を終えたところです。SMは、スタイリストを束ね、育成する管理職であるとともに、いざとなれば、誰よりも売ってみせられるトップスタイリストでなければいけませんから。
―― 成長が目に見える形で実感できる仕組みはモチベーションアップに欠かせませんね。
「目に見える」という意味では、理想のスタイリスト像を体現する“モデル”の存在もやはり大切でしょう。当社では2012年から、お取組先販売員(パートナースタッフ)を含むグループ全店のスタイリストを対象に、日々の接客で高い成果をあげている優秀な従業員を、敬意をもって認定・表彰する「エバーグリーン」制度を実施しています。11年度からの4年間で累計208名が優秀スタイリストに認定・表彰されました。また14年度からは、三越伊勢丹で「シニアスタイリスト」制度もスタート。こちらは表彰ではなく、専門性に基づく貢献度の高い人材を処遇する任命の仕組みで、複線型人事制度として導入されました。
―― スタイリストの大半は女性です。御社は週刊東洋経済の「女性が働きやすい会社ランキング2015年版」で見事、第1位に選ばれ、また11月30日には厚生労働省の「キャリア支援企業表彰」も受賞されています。本当の意味で女性の活躍を支える取り組みとはどういうものか、中村さんのお考えをお聞かせください。
たしかに両立支援に関する制度や仕組みは、他社と同等以上のものが揃っていると思います。しかし先ほども申し上げたように、どんなにいい制度や仕組みを導入しても、「個と向き合う」ことを怠った瞬間から人事は機能しません。女性活躍推進の取り組みにおいても、それは同じだと思うのです。
現在、経団連の自主行動計画として「管理職における女性比率を2020年までに30%を目指す」と掲げていますが(現在20%)、今後、女性の管理職比率を高めるためには、まずは女性を多く採用していくべきだと考えています。また、女性でも積極的に一つ上のキャリアに登用したり、外部に出るチャンスを与えています。ここでも“個”の能力、価値観、キャリア意識を見ることが重要になるわけです。
たとえば、こんなことがありました。人事部にも育児勤務中の女性が5人いるのですが、仕事ぶりを観察していると、生産性が極めて高いんですよ。実によく働き、仕事の出来栄えもすばらしい。そこで、話しをしたところ、彼女たちは家庭や育児との両立に悩んでいるとか、そういう単純な図式じゃないんですね。自分が育児勤務で早く帰ることを、同僚たちに申し訳ないと思っている。全力でやってもタイムオーバーで仕事が片付かず、後ろ髪を引かれる思いで帰っていく。むしろそっちのほうがストレスだというんです。要するに、働けるものなら、もっと働きたいと。そこで昨年4月から、月に10日間まではご主人やおばあちゃんが家にいてくれる日を自由に選んで、フルに働ける日を設定する新しい制度を導入しました。人事部のワーキングマザーも、全員利用しています。
―― まさに個と向き合ったからこそ、出てきたアイデアですね。
はい。それと、向き合った相手のことをありのままの目でみる姿勢が大切ではないでしょうか。これが意外と難しい。働きたいなら、思う存分働けばいいし、毎日が無理なら、できるときだけそうすればいい――この一見単純に思える発想に、なかなか至らないんです。誰でも、もともと会社に貢献したいという気持ちは持っている。単に“危機感を持て”といった精神論ではなく、そういう根本的な部分にフォーカスして、物事を論理的に見つめ直せば、戦略やアクションプランは自ずと出てくるでしょう。
そこでこの一件をヒントに、人事部内には「全員レギュラー」というキーワードを掲げました。最近は、部内に一人しかいないフェロー社員から、私を含めた全メンバーに自分の担当業務についてルール徹底のお願いのメールも来るようになりました。こういうことが強く望んでいた変化です。つまり時給制契約社員であっても、育児勤務中であっても、同じ仲間として責任感を感じ、自分なりの貢献ができる、“レギュラー”だと感じていられる、人事部内にそういう意識付けができてきたということなんです。 つづく
自 他 と も に 成 長 を 実 感
―― スタイリストの育成やキャリア形成支援のための具体的な施策について、お聞かせください。
現場のスタイリスト育成のための施策の根幹にあるのはOJT。つねに先輩社員が後輩社員に範を示し、実地で指導する伝統の仕組みがあります。ただ、このOJTの仕組みは体系化されているものの、定量化されてはいませんでした。そこで、優秀なスタイリストの行動を分析し、「9つのあるべき販売行動」と「23の必要なスキル」に集約。それをさらに4段階のレベルに区分けし、スタイリスト一人ひとりの現状にあてはめることで、個々の販売スキルを可視化する取り組みを進めています。これをOJTと連動させれば、販売の質がどれくらい高まったかを定量的に把握することができるので、本人が成長感を得られるのはもちろんのこと、お買場をマネジメントするセールスマネジャー(SM)もスタイリスト個々のスキルレベルに応じて、より具体的な指導ができるようになると考えています。一連の取り組みは「SSP(セールス・スキルアップ・プログラム)」と呼ばれ、現時点では、首都圏三越伊勢丹の全お買場のSMに対して導入を終えたところです。SMは、スタイリストを束ね、育成する管理職であるとともに、いざとなれば、誰よりも売ってみせられるトップスタイリストでなければいけませんから。
―― 成長が目に見える形で実感できる仕組みはモチベーションアップに欠かせませんね。
「目に見える」という意味では、理想のスタイリスト像を体現する“モデル”の存在もやはり大切でしょう。当社では2012年から、お取組先販売員(パートナースタッフ)を含むグループ全店のスタイリストを対象に、日々の接客で高い成果をあげている優秀な従業員を、敬意をもって認定・表彰する「エバーグリーン」制度を実施しています。11年度からの4年間で累計208名が優秀スタイリストに認定・表彰されました。また14年度からは、三越伊勢丹で「シニアスタイリスト」制度もスタート。こちらは表彰ではなく、専門性に基づく貢献度の高い人材を処遇する任命の仕組みで、複線型人事制度として導入されました。
―― スタイリストの大半は女性です。御社は週刊東洋経済の「女性が働きやすい会社ランキング2015年版」で見事、第1位に選ばれ、また11月30日には厚生労働省の「キャリア支援企業表彰」も受賞されています。本当の意味で女性の活躍を支える取り組みとはどういうものか、中村さんのお考えをお聞かせください。
たしかに両立支援に関する制度や仕組みは、他社と同等以上のものが揃っていると思います。しかし先ほども申し上げたように、どんなにいい制度や仕組みを導入しても、「個と向き合う」ことを怠った瞬間から人事は機能しません。女性活躍推進の取り組みにおいても、それは同じだと思うのです。
現在、経団連の自主行動計画として「管理職における女性比率を2020年までに30%を目指す」と掲げていますが(現在20%)、今後、女性の管理職比率を高めるためには、まずは女性を多く採用していくべきだと考えています。また、女性でも積極的に一つ上のキャリアに登用したり、外部に出るチャンスを与えています。ここでも“個”の能力、価値観、キャリア意識を見ることが重要になるわけです。
たとえば、こんなことがありました。人事部にも育児勤務中の女性が5人いるのですが、仕事ぶりを観察していると、生産性が極めて高いんですよ。実によく働き、仕事の出来栄えもすばらしい。そこで、話しをしたところ、彼女たちは家庭や育児との両立に悩んでいるとか、そういう単純な図式じゃないんですね。自分が育児勤務で早く帰ることを、同僚たちに申し訳ないと思っている。全力でやってもタイムオーバーで仕事が片付かず、後ろ髪を引かれる思いで帰っていく。むしろそっちのほうがストレスだというんです。要するに、働けるものなら、もっと働きたいと。そこで昨年4月から、月に10日間まではご主人やおばあちゃんが家にいてくれる日を自由に選んで、フルに働ける日を設定する新しい制度を導入しました。人事部のワーキングマザーも、全員利用しています。
―― まさに個と向き合ったからこそ、出てきたアイデアですね。
はい。それと、向き合った相手のことをありのままの目でみる姿勢が大切ではないでしょうか。これが意外と難しい。働きたいなら、思う存分働けばいいし、毎日が無理なら、できるときだけそうすればいい――この一見単純に思える発想に、なかなか至らないんです。誰でも、もともと会社に貢献したいという気持ちは持っている。単に“危機感を持て”といった精神論ではなく、そういう根本的な部分にフォーカスして、物事を論理的に見つめ直せば、戦略やアクションプランは自ずと出てくるでしょう。
そこでこの一件をヒントに、人事部内には「全員レギュラー」というキーワードを掲げました。最近は、部内に一人しかいないフェロー社員から、私を含めた全メンバーに自分の担当業務についてルール徹底のお願いのメールも来るようになりました。こういうことが強く望んでいた変化です。つまり時給制契約社員であっても、育児勤務中であっても、同じ仲間として責任感を感じ、自分なりの貢献ができる、“レギュラー”だと感じていられる、人事部内にそういう意識付けができてきたということなんです。 つづく
日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ⑤
2015年12月13日 お仕事第66回 株式会社 三越伊勢丹ホールディングス
人 事 部 が 変 わ れ ば 、
現 場 が 変 わ る 、
店 頭 が 変 わ る
と こ と ん “ 個 ” に 向 き 合 う
三 越 伊 勢 丹 グ ル ー プ の 人 材 戦 略 と は (後編)
執行役員 人事部長 中村 守孝さん
「商品は数千万点も管理しているのに、わずか26000人と向き合えないはずがないだろう」――三越伊勢丹ホールディングス執行役員・人事部長の中村守孝さんは人事部のメンバーに、こう発破をかけたといいます(「前編」参照)。26000人は同社グループの全従業員数で、その約7割は女性。また、その多くは「スタイリスト」と呼ばれる、店頭での販売担当の従業員です。インタビューの後編では、スタイリストの育成およびキャリア形成支援のための具体的な施策や、週刊東洋経済『女性が働きやすい会社ランキング2015年版』で第1位に選ばれた同社の女性活躍推進の取り組みなどを中心にうかがいました。
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「 入 り 口 は 違 え ど 、 ゴ ー ル は 公 平 」 で
契 約 社 員 か ら マ ネ ジ ャ ー に
―― 三越伊勢丹ホールディングス人事部では年間約1000名強の従業員との面談を実施。とことん個と向き合う中で、「入口は違えど、ゴールは公平」のキーワードを創出し、これを販売力の要であるスタイリストに向けたメッセージとして強く発信しています。
スタイリストの大半は、月給制契約社員のメイト社員や時給制契約社員のフェロー社員が占めていますが、面談などで一人ひとり話してみると、やはりメイト社員やフェロー社員の中にも意欲、実力のある人材が多いことが分かってきました。そういう人たちに対して、フェロー社員からメイト社員、メイト社員から正社員へとキャリアアップを推奨し、背中を押してあげたいというのが、「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードに込めた、われわれの意図です。もちろん、自分のワークライフバランスに則って限られた時間だけ働くというスタイルを否定するつもりはありません。高いポジションに進み、より大きなやりがいと責任の中で自分を成長させたいという人はどうぞ手を挙げてください、門戸は開かれていますよ、ということなんです。現に、フェロー社員からメイト社員を経て正社員に転換し、マネジャー職まで上がったケースがもう5人も出ています。だから、入り口は違えど、ゴールは公平。入社式や内定式、各種の研修など、私はあらゆる機会を捉えて、このメッセージを発信しています。
―― 大卒社員も、うかうかできませんね。
当然です。だからこそ、メイト社員やフェロー社員にはキャリアに希望が持てるようなメッセージを送る一方で、大卒社員にはあえて、少し厳しい言葉を投げかけるようにしています。「最初から社員で入ってきて、入口ではたしかにリードしていたかもしれないけれど、それにあぐらをかいていると、あっという間に抜かれるよ。私はメイト社員に『大卒社員を抜きなさい』といつも言っているから」などと。希望を与えるにせよ、厳しく接するにせよ、どちらも従業員本人の自覚とモチベーションを引き出すアプローチであることに変わりはありません。
―― 「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードには、「ただし、意欲のある人材に限る」という条件がつくわけですね。
おっしゃるとおりです。もとより、人事部だけで解決できる人事課題は一つもありません。人事部が、いくら従業員にとって素晴らしい制度や仕組みを考えて提供しても、それが実際に活かされて成果に結びつくかどうかは、従業員自身に依存する部分が大きいわけです。だからこそ、われわれはもっと個に向き合い、一人ひとりに自立と自律を促さなくてはなりません。 つづき
人 事 部 が 変 わ れ ば 、
現 場 が 変 わ る 、
店 頭 が 変 わ る
と こ と ん “ 個 ” に 向 き 合 う
三 越 伊 勢 丹 グ ル ー プ の 人 材 戦 略 と は (後編)
執行役員 人事部長 中村 守孝さん
「商品は数千万点も管理しているのに、わずか26000人と向き合えないはずがないだろう」――三越伊勢丹ホールディングス執行役員・人事部長の中村守孝さんは人事部のメンバーに、こう発破をかけたといいます(「前編」参照)。26000人は同社グループの全従業員数で、その約7割は女性。また、その多くは「スタイリスト」と呼ばれる、店頭での販売担当の従業員です。インタビューの後編では、スタイリストの育成およびキャリア形成支援のための具体的な施策や、週刊東洋経済『女性が働きやすい会社ランキング2015年版』で第1位に選ばれた同社の女性活躍推進の取り組みなどを中心にうかがいました。
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「 入 り 口 は 違 え ど 、 ゴ ー ル は 公 平 」 で
契 約 社 員 か ら マ ネ ジ ャ ー に
―― 三越伊勢丹ホールディングス人事部では年間約1000名強の従業員との面談を実施。とことん個と向き合う中で、「入口は違えど、ゴールは公平」のキーワードを創出し、これを販売力の要であるスタイリストに向けたメッセージとして強く発信しています。
スタイリストの大半は、月給制契約社員のメイト社員や時給制契約社員のフェロー社員が占めていますが、面談などで一人ひとり話してみると、やはりメイト社員やフェロー社員の中にも意欲、実力のある人材が多いことが分かってきました。そういう人たちに対して、フェロー社員からメイト社員、メイト社員から正社員へとキャリアアップを推奨し、背中を押してあげたいというのが、「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードに込めた、われわれの意図です。もちろん、自分のワークライフバランスに則って限られた時間だけ働くというスタイルを否定するつもりはありません。高いポジションに進み、より大きなやりがいと責任の中で自分を成長させたいという人はどうぞ手を挙げてください、門戸は開かれていますよ、ということなんです。現に、フェロー社員からメイト社員を経て正社員に転換し、マネジャー職まで上がったケースがもう5人も出ています。だから、入り口は違えど、ゴールは公平。入社式や内定式、各種の研修など、私はあらゆる機会を捉えて、このメッセージを発信しています。
―― 大卒社員も、うかうかできませんね。
当然です。だからこそ、メイト社員やフェロー社員にはキャリアに希望が持てるようなメッセージを送る一方で、大卒社員にはあえて、少し厳しい言葉を投げかけるようにしています。「最初から社員で入ってきて、入口ではたしかにリードしていたかもしれないけれど、それにあぐらをかいていると、あっという間に抜かれるよ。私はメイト社員に『大卒社員を抜きなさい』といつも言っているから」などと。希望を与えるにせよ、厳しく接するにせよ、どちらも従業員本人の自覚とモチベーションを引き出すアプローチであることに変わりはありません。
―― 「入り口は違えど、ゴールは公平」というキーワードには、「ただし、意欲のある人材に限る」という条件がつくわけですね。
おっしゃるとおりです。もとより、人事部だけで解決できる人事課題は一つもありません。人事部が、いくら従業員にとって素晴らしい制度や仕組みを考えて提供しても、それが実際に活かされて成果に結びつくかどうかは、従業員自身に依存する部分が大きいわけです。だからこそ、われわれはもっと個に向き合い、一人ひとりに自立と自律を促さなくてはなりません。 つづき
日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ④
2015年12月12日 お仕事 “ 個 ” に 向 き 合 う C D P 面 談 を
人 事 制 度 改 革 の 仮 説 検 証 に 活 用
もう一つ、重要なキーワードがあります。人事部内で切れていた業務の流れをもう一度つなぎ直そうとしてつきつめると、結局は人材一人ひとりに対し、この人をなぜ採用したのか、なぜここに配置し、こういう教育を施したのかというところまで、掘り下げていかないと、課題解決に至らないことに気づくんですね。逆に言うと、人事部全体が一人ひとりの人材と向き合うことで初めて、切れていた人事の仕事のピースにも、横串が一本通るわけです。そこで掲げたのが「個と向き合う」というキーワード。「商品は数千万点も管理しているのに、わずか26000人と向き合えないはずがないだろう」と発破をかけ、個々の従業員ととことん向き合う施策を打ち出していきました。
―― その一つが、人事部による「CDP面談」ですね。販売の主力である「メイト社員」(月給制契約社員)から部長職までの従業員を対象に、年間約1000名との直接面談を実施しているそうですが、中村さんご自身も担当されるのですか。
もちろんです。部長職の面談については、海外現地法人の外国人幹部も含め、私が行っています。全体では過去3年間で累計約3500名との面談を実施してきましたが、その結果、個と向き合う面談にはいくつもの効果があることが分かってきました。まずは「人事部はちゃんと人のことを考えてくれている」というメッセージを、従業員から認識してもらえること。二つ目は、所属する組織の上下関係の中ではなかなか吐き出せない悩みや現在の課題に耳を傾け、アドバイスを行うことで、従業員のモチベーション向上やキャリア開発につながる効果です。人事部には何を話してもいいんだという雰囲気づくりと、キャリアへの希望を高められるような適切なアドバイスができるか、また、本質的な悩みとたんなるグチをふるい分けられるか、人事部の面談能力も問われます。そして三つ目、面談から得られる貴重なデータベースを、われわれがしかける人事制度改革の仮説検証につなげることができたのも大きなメリットです。そもそも定量化という側面が弱かったんですね。
たとえば、こういうことがありました。来年4月以降メイト社員は入社初年度から無期雇用となりますが、それ以前は4年目から無期雇用で、そのタイミングで、本人の意思により正社員への登用試験を受けられるコースを設けていました。この制度の導入に先立って、もしそういう制度があったら利用するかを面談で聞いたところ、約4割が選ぶと答えたんですね。4割程度を前提にさまざまな設計をして、ふたを開けたら、本当に4割だったんです。CDP面談が、こうした定量的な仮説検証のアプローチに活用できたことは大きな発見でしたね。
そして個と向き合う中から、われわれはまた新たなキーワードを見出しました。それは、「入り口は違えど、ゴールは公平」。メイト社員が大半を占めるスタイリストに対して、最も重要なメッセージだと、私は考えています。 つづく【後編に続く】
人 事 制 度 改 革 の 仮 説 検 証 に 活 用
もう一つ、重要なキーワードがあります。人事部内で切れていた業務の流れをもう一度つなぎ直そうとしてつきつめると、結局は人材一人ひとりに対し、この人をなぜ採用したのか、なぜここに配置し、こういう教育を施したのかというところまで、掘り下げていかないと、課題解決に至らないことに気づくんですね。逆に言うと、人事部全体が一人ひとりの人材と向き合うことで初めて、切れていた人事の仕事のピースにも、横串が一本通るわけです。そこで掲げたのが「個と向き合う」というキーワード。「商品は数千万点も管理しているのに、わずか26000人と向き合えないはずがないだろう」と発破をかけ、個々の従業員ととことん向き合う施策を打ち出していきました。
―― その一つが、人事部による「CDP面談」ですね。販売の主力である「メイト社員」(月給制契約社員)から部長職までの従業員を対象に、年間約1000名との直接面談を実施しているそうですが、中村さんご自身も担当されるのですか。
もちろんです。部長職の面談については、海外現地法人の外国人幹部も含め、私が行っています。全体では過去3年間で累計約3500名との面談を実施してきましたが、その結果、個と向き合う面談にはいくつもの効果があることが分かってきました。まずは「人事部はちゃんと人のことを考えてくれている」というメッセージを、従業員から認識してもらえること。二つ目は、所属する組織の上下関係の中ではなかなか吐き出せない悩みや現在の課題に耳を傾け、アドバイスを行うことで、従業員のモチベーション向上やキャリア開発につながる効果です。人事部には何を話してもいいんだという雰囲気づくりと、キャリアへの希望を高められるような適切なアドバイスができるか、また、本質的な悩みとたんなるグチをふるい分けられるか、人事部の面談能力も問われます。そして三つ目、面談から得られる貴重なデータベースを、われわれがしかける人事制度改革の仮説検証につなげることができたのも大きなメリットです。そもそも定量化という側面が弱かったんですね。
たとえば、こういうことがありました。来年4月以降メイト社員は入社初年度から無期雇用となりますが、それ以前は4年目から無期雇用で、そのタイミングで、本人の意思により正社員への登用試験を受けられるコースを設けていました。この制度の導入に先立って、もしそういう制度があったら利用するかを面談で聞いたところ、約4割が選ぶと答えたんですね。4割程度を前提にさまざまな設計をして、ふたを開けたら、本当に4割だったんです。CDP面談が、こうした定量的な仮説検証のアプローチに活用できたことは大きな発見でしたね。
そして個と向き合う中から、われわれはまた新たなキーワードを見出しました。それは、「入り口は違えど、ゴールは公平」。メイト社員が大半を占めるスタイリストに対して、最も重要なメッセージだと、私は考えています。 つづく【後編に続く】
日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ③
2015年12月11日 お仕事 「 切 れ て い る 」―― 人 事 部 の 課 題 が
組 織 全 体 の 人 事 課 題 だ っ た
―― では、販売力強化のための人事改革に取り組む前に、人事部改革が必要だったということですか。
いえ、どちらも並行してやらなければいけません。人事部そのものの改革に取り組みながら、全社的な人事改革も進めました。人事部改革は人事改革を進める上での、いわばインフラですし、また実際の仕事で具体的な成果を出していかないと、人事部自身も変わっていきません。だから、並行して進めたのです。そして、もうひとつ大きかったのは、当時の人事部が抱えていた課題と、グループ全体に見られた人事面の課題が、実は共通していたということ。人事とか人材とか、あるいは働き方といったことに関して共通する根本課題があった。人事部の課題は、グループの人事課題でもあった。そこに気がついたんです。
―― その根本的な人事課題とは何だったのでしょう。
ひとことで言えば、「切れている」ということです。この簡単な一言に課題が集約されていました。人・組織・仕事がいろいろな意味で切れていた。たとえば同じ人事の問題でも、人によってまず関心事が違いますよね。自分自身の評価に関心がある人もいれば、部下の昇進昇格が気になる人もいる。あるいは、今年の採用は良かったとか悪かったとか。人事が大切といいながら、その一部の、自分が関心のある個別の問題しか見ようとしない。これって「切れている」状態ですよね。
それから人事部の中でいうと、人材を採って、配置して、育成して、評価するという一連の業務のプロセスが、やはり切れていました。なぜ切れてしまうのか。私なりに観察したり、話を聞いたりして原因を探ってみた結果、見えてきたのが反省の欠如に伴う“他責”の風土です。要するに、自分の担当業務だけが仕事だと、勘違いしているんですよ。たとえば採用担当者なら、本来はその人材がどういう形で配置され、どんな教育を受けるのかというところまで想定しながら、採用活動を行うべきでしょう。ところが、自分の仕事が後工程にどう影響するかとか、前工程の人がどういう意図でこの仕事を自分に渡したのかなんて、考えていない。何かトラブルが起きたら、他人のせい、他部門のせい。担当や部署の枠を越えて、知恵を出し合うという意識も仕組みもなかったんですね。他責だから切れるし、切れているからますます他責になっていく。そんな悪循環だったのではないでしょうか。
―― 人事部内では、誰も「切れている」という現実を認識していなかったわけですか。
仮に気づいていたとしても、重大にとらえてはいなかったと思いますよ。だから、私が「切れているよ!」と、示さなければならなかった。人事部員の猛省を促すために、合宿もやりました。他責に基づくすべての不平不満を一度脇に置いて、自分たちはいったい何が悪いのかをとことん議論して問い直す。そこから始めたんです。
また、以前は業務のフローが切れていたことで、ケアレスミスが年間100件も頻発していました。そもそもこのデータも整理されていなかったのですが。そこでうちの人事部員と、シェアードサービスの子会社のスタッフとを強引に混ぜて、ミスを減らすプロジェクトをやってもらったところ、ごく短期間で大きく改善されたのです。ときには厳しい叱責も必要でした。多少強引にでもチームを構成し、切れていない体制をつくって、それがどういうものかを肌で感じてもらえるような働きかけを進めていったわけです。たとえるなら、足でけってボールを出すサッカーのパスではなく、きちんと魂を込めて手渡すような仕事の受け渡しに変えたい――そういうイメージですね。多少強引でも、そのパスの出し方から変えていくように仕向けないと、改革は進みません。また早い段階で改革の成果すなわちアーリーサクセスが実感できないと、途中でみんな、方向性に疑問を抱いて、結果、改革が嫌になってしまいます。 つづく
組 織 全 体 の 人 事 課 題 だ っ た
―― では、販売力強化のための人事改革に取り組む前に、人事部改革が必要だったということですか。
いえ、どちらも並行してやらなければいけません。人事部そのものの改革に取り組みながら、全社的な人事改革も進めました。人事部改革は人事改革を進める上での、いわばインフラですし、また実際の仕事で具体的な成果を出していかないと、人事部自身も変わっていきません。だから、並行して進めたのです。そして、もうひとつ大きかったのは、当時の人事部が抱えていた課題と、グループ全体に見られた人事面の課題が、実は共通していたということ。人事とか人材とか、あるいは働き方といったことに関して共通する根本課題があった。人事部の課題は、グループの人事課題でもあった。そこに気がついたんです。
―― その根本的な人事課題とは何だったのでしょう。
ひとことで言えば、「切れている」ということです。この簡単な一言に課題が集約されていました。人・組織・仕事がいろいろな意味で切れていた。たとえば同じ人事の問題でも、人によってまず関心事が違いますよね。自分自身の評価に関心がある人もいれば、部下の昇進昇格が気になる人もいる。あるいは、今年の採用は良かったとか悪かったとか。人事が大切といいながら、その一部の、自分が関心のある個別の問題しか見ようとしない。これって「切れている」状態ですよね。
それから人事部の中でいうと、人材を採って、配置して、育成して、評価するという一連の業務のプロセスが、やはり切れていました。なぜ切れてしまうのか。私なりに観察したり、話を聞いたりして原因を探ってみた結果、見えてきたのが反省の欠如に伴う“他責”の風土です。要するに、自分の担当業務だけが仕事だと、勘違いしているんですよ。たとえば採用担当者なら、本来はその人材がどういう形で配置され、どんな教育を受けるのかというところまで想定しながら、採用活動を行うべきでしょう。ところが、自分の仕事が後工程にどう影響するかとか、前工程の人がどういう意図でこの仕事を自分に渡したのかなんて、考えていない。何かトラブルが起きたら、他人のせい、他部門のせい。担当や部署の枠を越えて、知恵を出し合うという意識も仕組みもなかったんですね。他責だから切れるし、切れているからますます他責になっていく。そんな悪循環だったのではないでしょうか。
―― 人事部内では、誰も「切れている」という現実を認識していなかったわけですか。
仮に気づいていたとしても、重大にとらえてはいなかったと思いますよ。だから、私が「切れているよ!」と、示さなければならなかった。人事部員の猛省を促すために、合宿もやりました。他責に基づくすべての不平不満を一度脇に置いて、自分たちはいったい何が悪いのかをとことん議論して問い直す。そこから始めたんです。
また、以前は業務のフローが切れていたことで、ケアレスミスが年間100件も頻発していました。そもそもこのデータも整理されていなかったのですが。そこでうちの人事部員と、シェアードサービスの子会社のスタッフとを強引に混ぜて、ミスを減らすプロジェクトをやってもらったところ、ごく短期間で大きく改善されたのです。ときには厳しい叱責も必要でした。多少強引にでもチームを構成し、切れていない体制をつくって、それがどういうものかを肌で感じてもらえるような働きかけを進めていったわけです。たとえるなら、足でけってボールを出すサッカーのパスではなく、きちんと魂を込めて手渡すような仕事の受け渡しに変えたい――そういうイメージですね。多少強引でも、そのパスの出し方から変えていくように仕向けないと、改革は進みません。また早い段階で改革の成果すなわちアーリーサクセスが実感できないと、途中でみんな、方向性に疑問を抱いて、結果、改革が嫌になってしまいます。 つづく
日本の人事部 メルマガ Vol.533:12/8 ②
2015年12月10日 お仕事第66回 株式会社 三越伊勢丹ホールディングス
人 事 部 が 変 わ れ ば 、
現 場 が 変 わ る 、
店 頭 が 変 わ る
と こ と ん “ 個 ” に 向 き 合 う
三 越 伊 勢 丹 グ ル ー プ の 人 材 戦 略 と は (前編)
執行役員 人事部長 中村 守孝さん
中村守孝(なかむら・もりたか)氏 Profile:株式会社 三越伊勢丹ホールディングス 執行役員 人事部長
●1984年慶應義塾大学法学部卒業、株式会社伊勢丹入社。1992年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。その後、同社経営企画部、IT系グループ会社出向、営業政策部等を経て、2010年経営企画部長として三越、伊勢丹の事業会社統合を推進。統合後の組織、経営システムの構築等に従事。2011年株式会社三越伊勢丹取締役執行役員経営企画部長。2012年より株式会社三越伊勢丹ホールディングス執行役員人事部長(現職)として、人事制度改革、人材育成プログラムの構築等に取り組んでいる。
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消費市場の回復が鈍く、百貨店各社の中には“脱・百貨店”を摸索する動きも見られます。そうしたなか、「三越」「伊勢丹」という強力なブランド力を活かし、百貨店のあるべき姿を追究する成長戦略で収益拡大を目指すのが三越伊勢丹グループです。同社人事部では、経営戦略部門としての役割を果たすため、2012年度から「三越伊勢丹グループで働く従業員が持てる力を最大限に引き出し、伸ばしていける体制づくり」をグループ人事ビジョンに掲げ、さまざまな人事改革に取り組んできました。
顧客接点を担う店頭の「スタイリスト」を始め、従業員一人ひとりがやりがいを持ち、モチベーション高く働けるよう、年間約1000名のキャリア面談などを通じ、徹底して“個”と向き合っています。陣頭指揮を執る、同社執行役員・人事部長の中村守孝さんへのインタビュー前編では、人事部改革と人事改革を並行して進めることになった興味深いエピソードをうかがいました。
旧 来 の 業 界 の 価 値 観 を 覆 し
「 ス タ イ リ ス ト 」 を 尊 重 す る 理 由
―― 三越伊勢丹グループでは「高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループになる」というグループビジョンを実現するために、「販売力」をあらためて事業運営の要と位置づけ、現場のスタイリスト(販売員)の支援・育成に力を入れています。
何といっても百貨店は小売業ですから、要は販売力。それを店頭の最前線で支えるスタイリストこそが主役であるべきだと、われわれは考えています。そもそも販売員を「スタイリスト」と呼んでいること自体、そうした理念の表れなんですね。当社では最も重要な業務である販売に携わる従業員を大切にし、いままで以上に尊重していくために、2012年度から従来の販売員の呼び方を「スタイリスト」に変えました。この表現には、「お客さまの豊かさ、お客さまの魅力、お客さまの上質、お客さまの感性、お客さまの新しさ、さらにはお客さまの未来をスタイリングしていく」という本質的かつ革新的なミッションが込められています。
―― 百貨店業界のヒエラルキーでいうと、キャリアの“花形”はバイヤー(仕入れ担当)だとよく言われますが。
だからこそ、われわれは変えたんです。一見華やかなバイヤーに偏りがちだった旧来の業界のヒエラルキーや価値基準を正したかった。そこには、現トップの大西(代表取締役社長)の思いが強く働いています。「入社以来一番きつかったのは最初の5年間の販売だった」と、大西は社長就任以来繰り返し言い続けています。そうしたトップ自身の経験が、お買場(売場)を支えるスタイリストをより評価し、大切にしていこうという当社の経営理念の原点にあるわけです。
もちろん、お題目だけじゃありません。実際の業務そのものも見直し、従来バイヤーに寄り過ぎていた部分をもう一度店頭サイドに引き戻すイメージで、スタイリストを束ねるセールスマネジャー(SM)の権限とそれに伴う責任や業務範囲を拡げました。SMが、店頭でお客さまと直に触れあうスタイリストを通じてニーズを吸い上げ、それに基づいて品ぞろえをバイヤーに要望し、商品のディスプレイから販売プロモーションの企画・運営まで取り仕切る。お買場づくりの業務フローを、SMを起点として再構築したのです。人事に限らず、どんな改革でもそうですが、根本課題を抽出し、論理的に戦略を立てて、実際のビジネスプロセスから評価の仕組みまで変えていかないと。いくら店頭で販売に携わる人が大切だ、主役だといっても、かけ声だけでは何も変わりません。
―― さまざまな人事改革に取り組んでこられた中村さんですが、12年4月に人事部長に就任されるまでは、経営企画や営業企画の経験が長く、人事畑とは無縁だったそうですね。
ええ。まさか自分が人事部長になるなんて、夢にも思いませんでした。ただ、外から人事部を見ていて思うところはありました。その問題意識はおそらく、トップが抱いていたものと、かなりの部分で共通していたのでしょう。着任にあたって、大西には「従来の発想にとらわれず、人事の抜本的改革をすすめてほしい」と言われましたから。
―― その問題意識とは何でしょうか。
当たり前の話なのですが、人事部自体がきちんとしていなければ、いい人事はできません。つまり人事部そのものに課題があるのではないか、という問題意識です。外からその課題の具体的な中身までは見えませんでしたが、やはり人事部のパフォーマンスが少し低いなとは思っていました。たとえば新しい発想が少なく、業務的、管理的に仕事をこなしており、結果として現場や従業員へのサービス提供という人事部本来の役割が果たせていないなと。そんな印象があって、実際に来てみたら、はたして課題が見つかったというわけです。 つづく
人 事 部 が 変 わ れ ば 、
現 場 が 変 わ る 、
店 頭 が 変 わ る
と こ と ん “ 個 ” に 向 き 合 う
三 越 伊 勢 丹 グ ル ー プ の 人 材 戦 略 と は (前編)
執行役員 人事部長 中村 守孝さん
中村守孝(なかむら・もりたか)氏 Profile:株式会社 三越伊勢丹ホールディングス 執行役員 人事部長
●1984年慶應義塾大学法学部卒業、株式会社伊勢丹入社。1992年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。その後、同社経営企画部、IT系グループ会社出向、営業政策部等を経て、2010年経営企画部長として三越、伊勢丹の事業会社統合を推進。統合後の組織、経営システムの構築等に従事。2011年株式会社三越伊勢丹取締役執行役員経営企画部長。2012年より株式会社三越伊勢丹ホールディングス執行役員人事部長(現職)として、人事制度改革、人材育成プログラムの構築等に取り組んでいる。
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消費市場の回復が鈍く、百貨店各社の中には“脱・百貨店”を摸索する動きも見られます。そうしたなか、「三越」「伊勢丹」という強力なブランド力を活かし、百貨店のあるべき姿を追究する成長戦略で収益拡大を目指すのが三越伊勢丹グループです。同社人事部では、経営戦略部門としての役割を果たすため、2012年度から「三越伊勢丹グループで働く従業員が持てる力を最大限に引き出し、伸ばしていける体制づくり」をグループ人事ビジョンに掲げ、さまざまな人事改革に取り組んできました。
顧客接点を担う店頭の「スタイリスト」を始め、従業員一人ひとりがやりがいを持ち、モチベーション高く働けるよう、年間約1000名のキャリア面談などを通じ、徹底して“個”と向き合っています。陣頭指揮を執る、同社執行役員・人事部長の中村守孝さんへのインタビュー前編では、人事部改革と人事改革を並行して進めることになった興味深いエピソードをうかがいました。
旧 来 の 業 界 の 価 値 観 を 覆 し
「 ス タ イ リ ス ト 」 を 尊 重 す る 理 由
―― 三越伊勢丹グループでは「高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループになる」というグループビジョンを実現するために、「販売力」をあらためて事業運営の要と位置づけ、現場のスタイリスト(販売員)の支援・育成に力を入れています。
何といっても百貨店は小売業ですから、要は販売力。それを店頭の最前線で支えるスタイリストこそが主役であるべきだと、われわれは考えています。そもそも販売員を「スタイリスト」と呼んでいること自体、そうした理念の表れなんですね。当社では最も重要な業務である販売に携わる従業員を大切にし、いままで以上に尊重していくために、2012年度から従来の販売員の呼び方を「スタイリスト」に変えました。この表現には、「お客さまの豊かさ、お客さまの魅力、お客さまの上質、お客さまの感性、お客さまの新しさ、さらにはお客さまの未来をスタイリングしていく」という本質的かつ革新的なミッションが込められています。
―― 百貨店業界のヒエラルキーでいうと、キャリアの“花形”はバイヤー(仕入れ担当)だとよく言われますが。
だからこそ、われわれは変えたんです。一見華やかなバイヤーに偏りがちだった旧来の業界のヒエラルキーや価値基準を正したかった。そこには、現トップの大西(代表取締役社長)の思いが強く働いています。「入社以来一番きつかったのは最初の5年間の販売だった」と、大西は社長就任以来繰り返し言い続けています。そうしたトップ自身の経験が、お買場(売場)を支えるスタイリストをより評価し、大切にしていこうという当社の経営理念の原点にあるわけです。
もちろん、お題目だけじゃありません。実際の業務そのものも見直し、従来バイヤーに寄り過ぎていた部分をもう一度店頭サイドに引き戻すイメージで、スタイリストを束ねるセールスマネジャー(SM)の権限とそれに伴う責任や業務範囲を拡げました。SMが、店頭でお客さまと直に触れあうスタイリストを通じてニーズを吸い上げ、それに基づいて品ぞろえをバイヤーに要望し、商品のディスプレイから販売プロモーションの企画・運営まで取り仕切る。お買場づくりの業務フローを、SMを起点として再構築したのです。人事に限らず、どんな改革でもそうですが、根本課題を抽出し、論理的に戦略を立てて、実際のビジネスプロセスから評価の仕組みまで変えていかないと。いくら店頭で販売に携わる人が大切だ、主役だといっても、かけ声だけでは何も変わりません。
―― さまざまな人事改革に取り組んでこられた中村さんですが、12年4月に人事部長に就任されるまでは、経営企画や営業企画の経験が長く、人事畑とは無縁だったそうですね。
ええ。まさか自分が人事部長になるなんて、夢にも思いませんでした。ただ、外から人事部を見ていて思うところはありました。その問題意識はおそらく、トップが抱いていたものと、かなりの部分で共通していたのでしょう。着任にあたって、大西には「従来の発想にとらわれず、人事の抜本的改革をすすめてほしい」と言われましたから。
―― その問題意識とは何でしょうか。
当たり前の話なのですが、人事部自体がきちんとしていなければ、いい人事はできません。つまり人事部そのものに課題があるのではないか、という問題意識です。外からその課題の具体的な中身までは見えませんでしたが、やはり人事部のパフォーマンスが少し低いなとは思っていました。たとえば新しい発想が少なく、業務的、管理的に仕事をこなしており、結果として現場や従業員へのサービス提供という人事部本来の役割が果たせていないなと。そんな印象があって、実際に来てみたら、はたして課題が見つかったというわけです。 つづく