アメーバニュース/政治・社会/2016年01月31日 17時13分提供:

 「 生 涯 現 役 」 持 て 囃 さ れ る も
         7  0  歳  社  長  は  複  雑  な  思  い

   かつて「定年」といえば60歳だったが、昨今は「65歳」であることも多くなっている。しかし、後継者難から「70歳」になっても現役でバリバリと働き続けざるを得ない人もいる。

   元々はオーナー社長でもないにもかかわらず、前社長(創業者)の定年(というより悠々自適な生活をしたいとの願望)により後を継いだ出版社社長(70)が語る。この社長は、43歳の時に社長を継いだため、実に27年も社長の座に君臨し続けている。

   「本当は私だって60歳で定年退職したかったのですが、我が社は社員の定着率が悪く……。本当に数年、早ければ数ヶ月で社員が辞めてしまうような会社のため、なかなか後継者を見つけられないまま、こんな年になってしまいました」

   かつて、出版業界が人気職種であった時代は、多数の採用応募もあり、有能な人材も来たものだが、最近は出版業界の勢いが低下していることなどもあり、転職先としての選択肢になかなか入らないという。だったら新卒を育てればいいのでは? という話になるが、社長はこう語る。

   「とにかく刊行物を滞りなく出さなくてはいけないわけですから、経験者でなくてはできません。新卒を入れて、育て上げている余裕なんてないんですよ……。弊社はここ10年以上新卒は入っていませんし、これからも入れられる余裕はないのですが、やはり愛社精神みたいなものはないのでしょうね。すぐに辞めてしまいます。結局私が社長であり続けなくてはいけないようです……。今年に入っても全然休めていません……」

   「生涯現役」は称賛される言葉ではあるものの、実際に「生涯現役」でなくてはやっていけない人にとってはキツい言葉であるようだ。