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【日本の人事部】≪ 連載コラム251 ≫
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  若手人事パーソンへの至言&喝言 ~人事の「修羅場」はこうくぐれ!~
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   人事のプロであり、人事責任者の経験を持つ「人事メンター」が、若手人事に 向けて、人事の仕事の“本質”と、人事パーソンとしての“リベラルアーツ(人間力)”を高めるヒントを語ります。

【これからの「新人研修」のあり方】──────────────────
 第1回   学 生 か ら 社 会 人 へ の 意 識 転 換
      ~ 「 ゆ と り 世 代 」 を い か に 動 機 づ け る か ~

  4月に入ると、新卒採用を実施した企業には、大学を卒業したばかりの新入社員が入ってきます。彼ら・彼女たちはついこの間まで学生生活を謳歌していました。学生気分が抜け切れていない人も少なくないため、早く社会人として意識改革と行動変容を促すことが、新入社員の戦力化を実現するためには欠かせません。
  何より、本当の意味で社会に出た経験がないため、社会人になること(消費者から生産者)への心構えや、会社組織の一員としての意識を持ってもらう必要があります。その上で、社会人として求められる基本的な知識・スキル、責任ある行動習慣などを身に付けてもらい、仕事への理解を深めていく。これらを行うのが「新人研修」の目的です。

  ご存じのように2002年に「ゆとり教育」が実施され、今、その教育方針の下で育った学生たちが続々と企業へと入っています。「ゆとり世代」の新入社員に対しては、下記のような評価をよく聞きます。

 ・頭は良く真面目だが、出る杭にならない方がいいという意識が強い
  (保守的である)
 ・メール文化が基本で、対面コミュニケーションが苦手である
  (内向的である)
 ・上下関係が希薄であり、常識やマナーが欠如している(成熟していない)

  また、各種の調査結果を見ると、総じて安定志向・内向き志向の傾向が強いようです。このような「ゆとり世代」の新入社員に対してやる気を持たせ、戦力化を図っていこうとするならば、初期段階で意識改革を促し、「動機づけ」を図る教育が必要です。

  人事パーソンとしては、新人研修を実施する際に「この会社で、あなたたちに求められていることは何か」「その役割を実行するためには、この研修が必要不可欠」といったことを丁寧に説明し、腹落ちしてもらうことを心がけましょう。例えば、次のように一つひとつ段階を踏んだステップを設けることで、一人の社会人としての自覚を持たせ、当事者意識を促すことが、近年の新人研修では極めて重要だと言えます。

 1.社会人へと切り替わるための「気づき」の機会を設け、「自分は何者であるかを知る」
 2.社会人として生き抜いていくために「世の中を知る」機会を与える
 3.自分に求められる「役割を理解する」機会を設ける

  入社後の3年間で、大卒者の3割が離職するという現実があります。その理由のひとつとして、仕事・業務内容に関する事前の理解不足が挙げられますが、社会人になるための意識転換が十分に図られていないことも大きく影響しています。入社前後に行う動機付けを促す新人研修は、このようなミスマッチをなくしていく上で大きなカギを握っています。

<今週の一言>
  「『気づき』を与える教育を行い、社会人としての自覚を持たせるべし!」
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