日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会  
    東  瀧    邦  次  様

  いつもお世話になっております。

  2月24日に日本で初めて開催された「サステナブル・ブランド国際会議」では、富士ゼロックス元社長で国連グローバル・コンパクト ボードメンバー/一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン代表理事の有馬利男さんに特別講演をして頂きました。

  「サステナビリティで、企業品質を高めよ」と題した講演の冒頭で意外な映像が会場に流れました。それは「モーレツからビューティフルへ」と題した、富士ゼロックスのCM(1970年)でした。有名なCMプロデューサー、故・藤岡和賀夫さんの出世作でもありました。

  一人の若者(加藤和彦さん)が「BEAUTIFUL」と書いた白い紙を掲げて、銀座の街をただ歩くという、不思議な感覚の映像です。(実は私も記憶がないのですが、60歳代以上の方は覚えておられると思います。Youtubeでも視聴可能です)

  大阪万博が開催されたこの年、環境問題、公害や交通戦争など、高度成長期のの負の側面はますます深刻な問題になっていました。このCMは経済成長偏重の危うさ、人間性の復活とともに、「経済」「環境」「社会」の共生という、いまで言う「トリプルボトムライン」を訴えていたのではないでしょうか。

  米ゼロックスの創業者ジョセフ・ウィルソンの理念「我々のビジネスの目標は、より良いコミュニケーションを通じて、人間社会のより良い理解をもたらすことである」も、トリプルボトムラインに通じるものがあります。

  「モーレツからビューティフルへ」から3年後、今度は第一次石油ショックが起こり、エネルギー問題や狂乱物価が日本を襲います。この年にはE・F・シューマッハーが「スモールイズビューティフル」(人間中心の経済学)を発表し、野放図な拡大志向の先には経済的、社会的な破たんが起きかねないと警鐘を鳴らしました。

  それから40年余りたち、多くの企業経営者の考えにも環境や社会との共生が反映されるようになりました。しかし全体としてはまだ十分ではないように思えます。CSRを「企業の社会的責任」だけではなく、「企業の社会対応力」と位置づけ、さまざまなステークホルダーの声を聞き、社会に対応していく力が問われています。

  「サステナブル・ブランド」とは、サステナビリティの追求とは社会の声を聞き、それに対応していくことであり、それがブランド価値の向上に不可欠であると私は理解しています。

  有馬さんは「国連グローバル・コンパクト」やSDGs(持続的開発目標)などの枠組みを社会からの要請と位置付け、それらに応えることが企業の経営品質を高めることであり、企業自身のサステナビリティ向上にも役立つことと強調されました。

  もしビジネスに「21世紀のビューティフル」があるとすれば、それは「企業がさまざまなステークホルダーの声を聞き、前向きに対応していくこと」ではないでしょうか。それが企業自身の持続可能性を決定づけるように思います。
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株式会社オルタナ 代表取締役編集長 森 摂
一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事
特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長
「サステナブル・ブランド国際会議」プロデューサー
CSR検定委員会委員
特定非営利活動法人「街角に音楽を」理事
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