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  【 セ カ ン ド キ ャ リ ア 推 進 】
      「 月 6 万 円 」 を 目 標 に 
                  早 め の ラ イ フ プ ラ ン づ く り を

★〈探求編〉セカンドキャリア推進(3)             2016.01.20

連載: オ レ ン ジ 世 代 の 「 生 き が い 」 探 し   一 生 働 く.

 一般社団法人・高齢者活躍支援協議会とシニアセカンドキャリア推進協会の共催で昨年11月11日に開催されたシンポジウム「65歳以上をどう生きるか! どう働くか!」の内容を伝える最終回。今回は、第2部パネルディスカッション「シニアの働き方とふところ事情」の後編を-。

 ■ シ ニ ア 世 代 の 家 計 の 問 題 点

 ファイナンシャルプランナー、年金コンサルタント、社会保険労務士などの資格を持ち、自身も52歳で独立、65歳になる現在も精力的に活躍し、生涯現役を目指す澤木明さん。仕事柄、シニア世代の家計についてさまざまな相談を受けているが、共通の問題点が見えるという。

 まず、生命保険、医療保険、がん保険など保険のかけ過ぎのシニアが多いこと。しかし、遺族年金や公的医療保険の保障内容を知ることで過剰な保険は見直せるはずだと指摘する。次に、現役時代の生活習慣が変えられないこと。豪華な旅行やぜいたくディナー、週3ゴルフなどは控える努力が必要だという。

 また、資産運用の知識もないまま、退職金を危ない金融商品の運用に回すなど、元も子もなくしてしまう人も多くいる。これは、「お金を働かせる」のではなく、「自身が楽しく働く」という姿勢が不可欠だと注意を促す。

 さらに再就職の際に、年金カットの対象にならないようにと損得勘定が働き、良い案件を蹴ってしまうこと。年金がカットされても給料が高い働き方のほうが生活は豊かになることを認識すべきだ。そして、熟年別居・離婚で家計が困窮している人も多数存在する。別居は生活費が2倍かかり、離婚は年金も分割されてしまう。

 「みなさん、セカンドライフに必要な資金について、あまりにも無頓着・無防備な方々が多い。高齢者は意外と老後を心配していないというデータがありますが、経済的に大変な人をどうするか現実は待ったなしです。今後20年で年金はさらに減少、物価も消費税も上がり、ますます厳しい生活が余儀なくされます」

■ 「 下 流 老 人 」 や 「 老 後 破 産 」 に な ら な い た め の 提 案

 これらの問題点を事前に防ぐには、無頓着・無防備からの脱却が必須で、早めのライフプランづくりの必要性を澤木さんは強調した。

 そのためには、次にあげる3つが重要になってくるという。

 (1)企業内教育を推進し、現役時代の社員にはライフプランづくりの準備をはじめてもらう。

 (2)「昇進するコース」と「50歳で起業家になるコース」を用意し、社員が選択可能にする。

 (3)40歳以降は、会社以外の仕事で能力を磨ける『複業』を認める。

 現在は65歳まで働ける環境は徐々に整ってきたといえる。しかし65歳以上はどうか。現実的なことに目を向けると、65歳以上の夫婦ふたり世帯は、年金が月に21万円ほどで、支出が27万円前後というデータがある。

 その赤字になる6万円ほどを月々得られる働き方ができるかどうか、というのが1つのキーワードになるだろうと澤木さんは提言する。 (「オレンジ世代」取材班)