池上彰見て考える:アジア未来のつくり方
2016年1月15日 お仕事【日経ビジネス参考URL=http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/15/jica1215/vol1_page1/index.html】
池 上 彰 が 見 る ! 考 え る !
A S E A 南 部 経 済 回 廊 1 2 0 0 キ ロ を 走 破
ア ジ ア の 未 来 の つ く り か た
A S E A N 4 カ 国 の 経 済 が 1 本 の 道 路 で ひ と つ に な る と き
2015年10月。
私は、インドシナ半島を東から西にひたすら陸路で横断する旅に出ました。
スタート地点は、ベトナム南部の大都市ホーチミン。そこから自動車に乗り、国境を越えて隣国のカンボジアに向かい、首都プノンペンへ。さらに西の街バッタンバンを抜けてタイとの国境を通り、インドシナ半島最大の都市バンコクへ。ここまで約900キロ。さらに南部経済回廊が未整備のミャンマーのダウェーまで約1200キロ。道路では到達が難しいので、取材チームは、飛行機でミャンマーへ飛び、開発著しいミャンマー最大の都市ヤンゴンへ。7日間で4カ国を移動したわけです。私も取材チームも、へとへとになりました。
なぜ、こんな強行軍をいまこの時期に行ったのか?
日本の国際協力で、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーのインドネシア半島の南部地域を東西につなぐ一大道路インフラ開発が進められているのをこの目で確かめたかったからです。
名付けて「南部経済回廊」。この回廊を自動車で走破したわけです。
折しも2015年11月、以上4カ国を含むASEAN10カ国は、12月末のASEAN共同体の発足を宣言しました。
ASEAN共同体は、「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」という3つの共同体から構成されます。
このうち、ASEAN経済共同体(AEC)は、ASEAN加盟国の経済を発展させるため、全加盟国で1つの共同体をつくり、単一の市場と生産基地の形成、競争力のある経済圏の形成、公正な経済開発、世界経済への統合に取り組むものです。
具体的な活動はさまざまあります。主なものは域内関税の撤廃であり、通関手続きや関税以外の諸税、熟練労働者の域内移動など、経済の自由化を阻害する「非関税障壁」の削減・撤廃です。
ASEANはこれまで10年以上かけて、共同体の発足に向けて関税の撤廃などに取り組んできました。新たにAECが発足し、経済面では大きな飛躍のチャンスが控えています。日本は、ASEANの経済発展に寄与すべく、すでにさまざまな国際協力を進めてきました。
まず、なんといっても道路や橋、鉄道といった輸送インフラの充実。それから、さまざまな教育支援。そしてもちろん、企業進出による民間同士の協力。さらには、かつてこのインドシナ半島にあった戦争や紛争の傷跡の修復支援。
南部経済回廊は、特に経済発展著しいインドシナ半島に位置しており、AECの核ともなるインフラ整備が急務です。
インドシナ半島の各国はばらばらに経済発展してきました。それを幹線道路で一気につなぎ、互いの国の通関業務を簡素化し、国境を超えて地域全体で発展しようという、まさにAECのコンセプトを地でいくプロジェクトです。
2009年から6年にわたって続いてきた「池上彰の国際協力入門」シリーズ。今回は、ASEAN南部経済回廊を舞台に、ASEAN諸国で行われている日本の国際協力の現場を眺めながら、「アジアの未来のつくりかた」を読者のみなさんと考えていきます。
池 上 彰 が 見 る ! 考 え る !
A S E A 南 部 経 済 回 廊 1 2 0 0 キ ロ を 走 破
ア ジ ア の 未 来 の つ く り か た
A S E A N 4 カ 国 の 経 済 が 1 本 の 道 路 で ひ と つ に な る と き
2015年10月。
私は、インドシナ半島を東から西にひたすら陸路で横断する旅に出ました。
スタート地点は、ベトナム南部の大都市ホーチミン。そこから自動車に乗り、国境を越えて隣国のカンボジアに向かい、首都プノンペンへ。さらに西の街バッタンバンを抜けてタイとの国境を通り、インドシナ半島最大の都市バンコクへ。ここまで約900キロ。さらに南部経済回廊が未整備のミャンマーのダウェーまで約1200キロ。道路では到達が難しいので、取材チームは、飛行機でミャンマーへ飛び、開発著しいミャンマー最大の都市ヤンゴンへ。7日間で4カ国を移動したわけです。私も取材チームも、へとへとになりました。
なぜ、こんな強行軍をいまこの時期に行ったのか?
日本の国際協力で、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーのインドネシア半島の南部地域を東西につなぐ一大道路インフラ開発が進められているのをこの目で確かめたかったからです。
名付けて「南部経済回廊」。この回廊を自動車で走破したわけです。
折しも2015年11月、以上4カ国を含むASEAN10カ国は、12月末のASEAN共同体の発足を宣言しました。
ASEAN共同体は、「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」という3つの共同体から構成されます。
このうち、ASEAN経済共同体(AEC)は、ASEAN加盟国の経済を発展させるため、全加盟国で1つの共同体をつくり、単一の市場と生産基地の形成、競争力のある経済圏の形成、公正な経済開発、世界経済への統合に取り組むものです。
具体的な活動はさまざまあります。主なものは域内関税の撤廃であり、通関手続きや関税以外の諸税、熟練労働者の域内移動など、経済の自由化を阻害する「非関税障壁」の削減・撤廃です。
ASEANはこれまで10年以上かけて、共同体の発足に向けて関税の撤廃などに取り組んできました。新たにAECが発足し、経済面では大きな飛躍のチャンスが控えています。日本は、ASEANの経済発展に寄与すべく、すでにさまざまな国際協力を進めてきました。
まず、なんといっても道路や橋、鉄道といった輸送インフラの充実。それから、さまざまな教育支援。そしてもちろん、企業進出による民間同士の協力。さらには、かつてこのインドシナ半島にあった戦争や紛争の傷跡の修復支援。
南部経済回廊は、特に経済発展著しいインドシナ半島に位置しており、AECの核ともなるインフラ整備が急務です。
インドシナ半島の各国はばらばらに経済発展してきました。それを幹線道路で一気につなぎ、互いの国の通関業務を簡素化し、国境を超えて地域全体で発展しようという、まさにAECのコンセプトを地でいくプロジェクトです。
2009年から6年にわたって続いてきた「池上彰の国際協力入門」シリーズ。今回は、ASEAN南部経済回廊を舞台に、ASEAN諸国で行われている日本の国際協力の現場を眺めながら、「アジアの未来のつくりかた」を読者のみなさんと考えていきます。