日  本  を  救  う  !
     中 高 年 の 「 新 ・ 人 生 二 毛 作 」 の ス ス メ  ①

                          富山社会人大楽塾 代表  柳原 正年
                            (日本生涯現役推進協議会 理事)

  NPO法人で再出発以前のライフ・ベンチャー・クラブ東瀧代表に、生涯現役の在り方について指導いただいてから、今年で満20年となる。東京の大手生命保険会社本社勤務の傍ら、余暇時間を銀座のライフ・ベンチャー実践道場で、生涯現役活動の研究と実践を重ねてきた。あれから20年、ICTの飛躍的な進化と超高齢社会の到来により新たな生涯現役課題が見えてきた。

  高齢社会を社会悪として捉える従来型経済政策は行き詰まっている。若者中心主義の経済活動は、高齢者をお荷物社会として作り上げた社会政策はシニアのやる気と希望を失わせたのである。いわゆる官僚主義政策の失敗である。

  官僚主導の高齢社会政策は、産業界に定年を65歳に延長を強要した。産業界は定年制度の延長のみで協力したが、そのモラトリアム期間(60歳~65歳)における人生100年のライフプランづくりの支援は行われなかった。すなわりリタイア後生涯現役社会に対応できる訓練ノウハウの提供を怠ってきたのである。

  リタイア後のライフプランは、すべて「自己責任」として厄介払いしてきたつけが回ってきているのが現状である。20年前の人生80年時代は、いまや人生100年時代となり、官僚と産業界は定年をさらに70歳まで延長し、「厄介払いパート2」を画策している。それは年金制度や健康保険・介護保険の抑制による財源確保という小手先の政策に過ぎない。

  日本の人口構成は、すでに4人に1人が65歳以上となり、10年後には3人に1人となる。これから取り組まなければならない政策は、高齢者を厄介(生産性の伴わない)な世代として捉えるのではなく、「生涯現役人財として育成・社会貢献」していくシステム作りが必要である。ライフ・ベンチャー・クラブの東瀧氏の提唱する「民間による民間のための生涯現役づくり」を、高齢者自らチャレンジする時代が到来したのである。

  今世界を騒がせているギリシャの財政破綻問題は、衆寓(しゅうぐう)民主主義(八方美人)による国の経済政策である。それは将来の日本の姿ともいえる。そこには社会を考えた国民の生涯現役活動意識が欠如している。小手先だけの生涯現役主義であってはならない。日本人には「生涯現役」という自分を律する美徳習慣がある。それは自分自身の人生100年時代のライフ・プランの確立と、何(ボランティアをも含む)で社会貢献するかである。

  民間主導の「生涯現役社会づくり」は、ライフ・ベンチャー設立30周年の今年を節目に、全国ネットシステムとして飛躍しなければならない。全国ネットには実践道場としてのプラットフォームが必要であり、またそれを動かす人財「生涯現役プロデューサー」の育成が急務である。東瀧氏が2010年に構築済みの『生涯現役プロデューサー』養成プロジェクト起案は、即刻着手すべきであろう。

  さらに提言したいことは、「生涯現役社会づくり学会」の民間主導による設立である。生涯現役活動は百人百様であるだけに、人生全般の問題点として学問的にも実践活動の研究成果が求められる。30周年の取り組み課題の一つにぜひ学会設立を実現したいものである。 つづく