「インターンシップ」の現状と課題【後編1】
2015年6月24日 お仕事 6/16・6/17付当BLOGでご紹介の前編に引続きご紹介する後編も、私たち日本生涯現役推進協議会が計画する『生涯現役プロデューサー』登録制度のインターンシップ訓練を研鑽するために欠かせない重要な研究課題である。
「日本の人事部」サイトがご紹介する下記「インターンシップ」の現状・課題を特と探求し、これからの人生ライフワークを深める実践研究テーマとして関心を強めておきたい。
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「インターンシップ」の現状と課題 【後編1】
“ 目 的 ” を 明 確 に 謳 っ た イ ン タ ー ン シ ッ プ の 実 例 紹 介
『前編』では、企業と大学におけるインターンシップの現状と課題について見てきた。ポイントはインターンシップを実施する目的を曖昧にせず、明確に謳うことが、企業・学生双方にとってメリットとなる、ということである。『後編』は、「企業理解(母集団形成)」「採用直結」という目的を明確にした、インターンシップの事例を紹介していく。
イ ン タ ー ン シ ッ プ 導 入 に 当 た っ て 考 え る べ き こ と
◆ インターンシップを実施する「目的」を明確に伝える
日本経団連の「採用選考に関する指針」により、2016年新卒者の採用活動スケジュールが後ろ倒しとなった(採用広報開始が3年生の12月から3月、採用選考開始が4年生4月から8月へと変更)。しかし、日本経団連に加盟していない外資系企業やベンチャーなどの新興企業はこの制約を受けず、例年通りのスケジュールで採用活動を行っている。
一方、日本経団連に加盟する多くの大手企業(関連グループ企業)は「指針」に従って、建前上は2015年8月までは正式な選考を行わないと思われる。そのため、日本経団連非加盟企業が早期に内定を出しても、学生側が受諾しない、あるいは受諾してもその後内定を辞退するなど、8月以降、大きな影響が出ることは容易に予想がつく。
学生側からすると、結果的に就職活動が長期化することになってしまうわけであり、学生が学業に専念できるために「指針」が設けられた背景・経緯を考えると、皮肉なことである。
「指針」の手引では、インターンシップを「産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環として位置づけられるもの」と定めている。ところが、今起こっている採用活動の実態を見ると、程度の差はあるものの、実質的には「採用連動」という側面を否定できないのである。
例えば、調査対象の中に日本経団連加盟企業が多いディスコの「新卒採用に関する企業調査」を見ると、そのことがよく分かる。インターンシップの実施目的(2015年度)を聞かれて、「早期に採用するため」と回答した企業は32.8%。“採用直結型”のインターンシップを実施している企業が、3社に1社に上っているのだ。こうした企業では、インターンシップで高い評価を得た学生にアルバイトでの継続的な勤務を勧め、その後の選考参加を打診したり、一定の選考プロセスを免除したりする、といったケースが想定される。
また、インターンシップから実際の選考を経て、内定を提示するまでには長い期間がある。そこで、この期間に選考とは関係のないフォローアップイベントを実施し、最終的に選考への参加を促すといったケースも少なくないのだ。このような実態がある中で、「選考とは関係ない」と断言できる企業はどれだけ存在するのだろうか……。
自由経済社会であるから、最終的にどの程度インターンシップと採用活動を関連付けるかは、各企業の判断に委ねるしかない。ただ、学生に対して曖昧な案内をすることは、混乱を生じさせるだけでなく、本来のインターンシップの目的を失いかねない。どのような形で実施するにしても、自社がどういった目的でインターンシップを行うのか、この点を明確に(正直に)謳うことが求められるように思う。次からは、目的を明確に謳ってインターンシップを実施している、企業のケースを紹介していく。 つづく
「日本の人事部」サイトがご紹介する下記「インターンシップ」の現状・課題を特と探求し、これからの人生ライフワークを深める実践研究テーマとして関心を強めておきたい。
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「インターンシップ」の現状と課題 【後編1】
“ 目 的 ” を 明 確 に 謳 っ た イ ン タ ー ン シ ッ プ の 実 例 紹 介
『前編』では、企業と大学におけるインターンシップの現状と課題について見てきた。ポイントはインターンシップを実施する目的を曖昧にせず、明確に謳うことが、企業・学生双方にとってメリットとなる、ということである。『後編』は、「企業理解(母集団形成)」「採用直結」という目的を明確にした、インターンシップの事例を紹介していく。
イ ン タ ー ン シ ッ プ 導 入 に 当 た っ て 考 え る べ き こ と
◆ インターンシップを実施する「目的」を明確に伝える
日本経団連の「採用選考に関する指針」により、2016年新卒者の採用活動スケジュールが後ろ倒しとなった(採用広報開始が3年生の12月から3月、採用選考開始が4年生4月から8月へと変更)。しかし、日本経団連に加盟していない外資系企業やベンチャーなどの新興企業はこの制約を受けず、例年通りのスケジュールで採用活動を行っている。
一方、日本経団連に加盟する多くの大手企業(関連グループ企業)は「指針」に従って、建前上は2015年8月までは正式な選考を行わないと思われる。そのため、日本経団連非加盟企業が早期に内定を出しても、学生側が受諾しない、あるいは受諾してもその後内定を辞退するなど、8月以降、大きな影響が出ることは容易に予想がつく。
学生側からすると、結果的に就職活動が長期化することになってしまうわけであり、学生が学業に専念できるために「指針」が設けられた背景・経緯を考えると、皮肉なことである。
「指針」の手引では、インターンシップを「産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環として位置づけられるもの」と定めている。ところが、今起こっている採用活動の実態を見ると、程度の差はあるものの、実質的には「採用連動」という側面を否定できないのである。
例えば、調査対象の中に日本経団連加盟企業が多いディスコの「新卒採用に関する企業調査」を見ると、そのことがよく分かる。インターンシップの実施目的(2015年度)を聞かれて、「早期に採用するため」と回答した企業は32.8%。“採用直結型”のインターンシップを実施している企業が、3社に1社に上っているのだ。こうした企業では、インターンシップで高い評価を得た学生にアルバイトでの継続的な勤務を勧め、その後の選考参加を打診したり、一定の選考プロセスを免除したりする、といったケースが想定される。
また、インターンシップから実際の選考を経て、内定を提示するまでには長い期間がある。そこで、この期間に選考とは関係のないフォローアップイベントを実施し、最終的に選考への参加を促すといったケースも少なくないのだ。このような実態がある中で、「選考とは関係ない」と断言できる企業はどれだけ存在するのだろうか……。
自由経済社会であるから、最終的にどの程度インターンシップと採用活動を関連付けるかは、各企業の判断に委ねるしかない。ただ、学生に対して曖昧な案内をすることは、混乱を生じさせるだけでなく、本来のインターンシップの目的を失いかねない。どのような形で実施するにしても、自社がどういった目的でインターンシップを行うのか、この点を明確に(正直に)謳うことが求められるように思う。次からは、目的を明確に謳ってインターンシップを実施している、企業のケースを紹介していく。 つづく