た か が 「 生 涯 現 役 」 さ れ ど 「 生 涯 現 役 」 No4
                            冨山社会人大楽塾 代表 柳原 正年

 I C T と 生 涯 現 役 活 動 に つ い て
    ~ マ ル チ メ デ ィ ア の 活 用 ~

  生涯現役の第三ステージ(2005年~2014)活動は、コンピューターテクノロジーの発展から新たな局面を迎えた。

  第二ステージ(1994年~2004年)は、パソコン通信を中心とした双方向の情報伝達が中心であった。富山社会人大楽塾(以下塾という)の生涯現役活動では、メール(メーリングリスト)・ブログの活用により情報伝達を行うとともに、Webホームページによる交流も行ってきた。ただしこの時代はWindows95から始まるパソコンの普及に伴う、ITリテラシー教育時代でもあり、塾ではパソコン教室(パソコンを15台導入)を併設し、シニアのためのIT活用研修を行った。その結果、生涯現役活動の個別情報がWebまたは、メールで発信可能になり、従来の「集合型の活動」から「個別発信型の活動」へと変化していった。

  ITリテラシーの向上により塾生の行動範囲が広がったこの時期、富山で立ち上がったインターネット市民塾(インターネットを活用した生涯学習システム)に参加(当塾では講師として参加)、インターネットを活動した発信型活動へと変身していった。それは「受け身型」から「能動型」への変化でもあった。

  第一・第二ステージの参加者の多くは、イベントや講座参加による一方通行型活動であったが、第三ステージ(現在)は、ICT(インターネット・コミュニケーション・テクノロジー)の発達により、双方向の情報交換によるマルチ活動へと変化してきている。

  団塊の世代の65歳リタイアが始まり、シニアの生涯現役活動にパソコンが必須となった。
  
  また、スマートフォン・タブレット等、モバイルIT機器の普及により、情報検索・通信機能がマルチ化する一方、情報洪水の中で自分を見失う危険性も指摘されつつある。
情報の洪水が、人間の生きがいの本質(生涯現役の真の目的)を見失う副作用として現れ始めた。マルチメディアに飲みこまれた幻想社会の出現である。

  生涯現役第四ステージ(2015年~2024年)が始まろうとしている。これからの生涯現役活動は更なるICT技術が不可欠となる。しかしそこに存在するのは「人間中心主義」であり、メディア(情報伝達などの手段や方法)による幻想社会ではない。第四ステージを迎えるに当たり、我々生涯現役推進実践者は、改めて「生涯現役の原点」に戻り、シニアの意識改革へ向けて前進しなければならない。そのための「心・技・体」のバランス指導者が、生涯現役プロデューサーである。その基本は人間学を学び、「真の生涯現役とはなにか」を自分の実践活動から世に示すことであろう。

次回は「人間学としての生涯現役」について述べたい。