このメールは 日本生涯現役推進協議会 様宛にお送りしました。
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    J.I.メールニュース No.685 2014.12.18発行
          「まちなか広場をシアンする」 
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<巻頭寄稿文>
  「 ま ち な か 広 場 を シ ア ン す る 」 
                  全国まちなか広場研究会  山下 裕子
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地方都市の「まちなかの魅力」が、歩行者空間の占める面積や質で判断される時代が来ているように思う。そして、生身の人がゆったりと豊かに憩うことが可能な場の代表選手として「広場」があると考えている。

実際、いま多くの都市の中心市街地では広場整備が活発である。従来、わが国には西洋のような広場とそこでのアクティビティは明確なカタチでは存在せず、神社仏閣の境内や集落内の路地がその機能を果たしていたと考えることができる。

それでは、いま整備が進行している広場とはどのような空間だろうか。それは、容積率アップのための公開空地や建築物内の広場的空間であり、既存施設移転に伴って現れた空地や駅前交通広場の一部であり、また被災地では公共施設建設予定地の暫定利用であるなど、様々だ。広場の概念は容易には定義されないようだが、多くの人が関心を持ち必要性を感じているのは疑いのない事実である。

私は、昨年度まで富山市まちなか賑わい広場(愛称グランドプラザ)の運営会社の社員であった。2007年の開業当初から視察依頼は年100件を越え、ここ数年は広場そのものを主な目的とする視察が増加し、年々その関心が高まりつつあることを実感していた。一方で、広場に関する文献や運営手法等の情報の少なさに驚いていた。

そこで志を同じくする仲間とともに「全国まちなか広場研究会」を立ち上げ、第1回研究会を昨年9月に富山で開催した。そして、今年9月には第2回研究会が長岡市役所併設の広場であるアオーレ長岡で開催され、23都市100名を超える参加者が集まり議論を重ねた。

本研究会の目的は、『まちなか広場の価値に関する研究を行い、広場の整備と管理運営の望ましいあり方が普遍化されることに寄与することを目的とし、「公共広場」×「公共交通」の連携による価値の創造が都市における基幹事業と位置付けられることを目指し』ている(設立趣旨書抜粋)。

参加者は、都市計画、行政学、建築、交通、マーケティング等多様な専門性を有し、その立場は研究者、行政職員、コンサルタント、学生、一般市民であり、広場に新たな可能性を感じている者同士のしなやかな寄り合いの場となっている。

研究会のあり方もお互いを大らかに包み込む広場的なあり方を目指しており、分科会ではテーマ毎にグループ討議を実施したが、結論を求めるものではなかった。参加者がそれぞれの立場や事業状況を背景に、法律・制度から広場に配置される椅子のデザインや運用(常設・運搬・収納等)の在り方にいたるまで、生々しい意見を出し合いながらもお互いの立場を尊重し、さらなる展開を視野に見据える仲間づくりの場であったように感じている。

そして、あたらしい広場への探究心はふくらむばかりで、すでに来年度の方向性を探りはじめている(第3回は2015年11月6日姫路市にて開催)。こうした異なる分野同士の横のつながりや、形式を定めない自由で活発な議論や発表の場が、わが国の「広場」の新しいあり方の模索を推進し、リアルな活き活きとしたプラットフォーム形成につながると信じている。
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山下 裕子 (やました ゆうこ)
全国まちなか広場研究会/(株)ハイマート久留米/NPO法人GPネットワーク(富山市)07年富山市まちなか賑わい広場グランドプラザ運営事務所。10年(株)まちづくりとやまグランドプラザ担当。現在、NPO法人GPネットワーク理事、(株)ハイマート久留米にて ひと・ネットワーククリエイター。著書に「にぎわいの場 富山グランドプラザ-稼働率100%の公共空間のつくり方」(学芸出版社)

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