【冨山発「生涯現役」運動のススメ】
 シリーズ 
   た か が 「 生 涯 現 役 」 さ れ ど 「 生 涯 現 役 」No.1
                            富 山 社 会 人 大 楽 塾
                              代 表  柳  原    正  年
                             (日本生涯現役推進協議会 参与)

  「生涯現役活動」に取り組んではや二十数年。東京在住時、ライフ・ベンチャー・クラブ東瀧代表から成熟社会での生きがいづくりの在り方を学び、首都圏各地で「生涯現役を考える会」や「生涯現役を推進する会」の立ち上げ支援活動を行ってきた。

  この時期、生涯現役という言葉は、お金至上主義そのものであるとの誤解が強く、生涯現役を口にすることすら憚られた時代である。クラブでは、来たるべき「少子高齢社会」に備えソーシャル・キャピタル「social capital」すなわち社会関係資本の醸成を急がなければならないと画策、人々が共通の目的を持ち、共通の行動を取ることで高まる意識改革により、行政などの効率性や信頼性といった社会関係上資源を整える必要性を説いていたのである。

  私はこの時期を「生涯現役第一ステージ」と呼んでいる。あれから20数年親の介護の関係から地方の富山で生涯現役活動を実践することになったが、生涯現役意識の乏しい地方の中高年に生涯現役活動の重要性を訴えるため、2000年4月富山社会人大楽塾を設立、具体的実践活動開始した。しかし生涯現役活動の本質を理解してもらうには、一人ひとりの意識革命が必要であった。このことは次回以降に記載するが、この意識革命活動を私は「生涯現役第二ステージ」として称している。

  日本社会は、団塊の世代の65歳リタイヤ開始により超高齢社会が現実のものとなった。地方は3人に一人、首都圏でも4人に一人の高齢者が存在することになる。ウイークディ地方の街を歩けば高齢者だけが目立つ社会である。そのリタイヤした高齢者が、生きがいを模索して、書店・図書館にたむろしている姿には、日本をけん引してきた面影はない。

  まさに綾小路きみまろがいう「あっちもこっちも、右も左も、前も後ろも高齢者」である。「あれから40年」というCDがヒットしているという。そんな私にだれがした、時の流れがそうさせたと揶揄している。

  生涯現役活動の対策を二十数年訴えてきた我々は、今からでも遅くはないを合言葉に、一人一人の生きがいづくりにあった生涯現役の構築に手をさしのべたいと思う。厚生労働省では、生涯現役対策としてこれら高齢者の雇用を含め、緊急対策を発表しているが、生涯現役の本当の在り方が分からない人が多く、すでに手遅れの感がある。

  また介護保険の抑制のため、地域支援事業として、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(概要)を発表し、コミュニティサロン、住民主体の運動・交流の場づくりに高齢者は支える側に回って欲しいと提案している。これらは二十数年前からライフ・ベンチャー・クラブが提案してきた地域活性化システムなのである。

  次回は、意識革命の指導者として、富山での実践活動から得た指導者人材の育成について
  また全国に配置の必要がある「生涯現役プロデューサー」と「生涯現役ディレクター」の必要性について述べたい。