東日本大震災には数多くの協力者の復興支援活動がありましたが、90歳代での実践者・やなせたかしさんの「アンパンマン」が最後の情熱を込めての活躍をされたとは本当に素晴らしい生涯現役モデル像です。
  どうか Nikkansports.com 掲載の下記転載ご紹介をご高覧ください。  
【関連URL = http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20131016-1204759.html
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や な せ た か し さ ん
        東 日 本 大 震 災 で 引 退 決 意 も
                「  生   涯   現   役  」

 13日に亡くなった漫画家のやなせたかしさん(享年94)は、2011年3月11日に発生した東日本大震災発生時に1度、画業引退を決意しながら、撤回し「生涯現役」を誓っていた。背景には、自身が描く絵で子どもたちを元気づけたい思いがあった。編集者としてやなせさんと40年来の交流がある「アンパンマン」の出版元フレーベル館のアンパンマン室・天野誠室長(60)らが15日、都内で記者会見し、やなせさんの画業への取り組みを明かした。

 天野さんは、震災発生直後、やなせさんから「引退するぞ」と告白されていたことを明かした。近年、視力が落ち、書く道具も鉛筆から抵抗が少ないサインペンに替えた。絵本のラフ(下絵)はすべて自分で描き続けたが、仕上げなどはスタッフに任せるなど体力も限界に近づいていたからだった。このころ既に「この世には、もうさよなら」が口癖だった。

 それが、被災地で自身が作詞した「アンパンマンのマーチ」が流れ、笑う気力すらなくした子どもたちを力づけたと知り、「引退するのはやめた。死ぬまで現役!!」と誓ったという。当初は被災地に義援金を送るつもりだったが、「被害が大きすぎてお金じゃ解決しない」と、「アンパンマンのマーチ」の歌詞とアンパンマンが描かれた真っ赤なポスターを作り、被災地に送った。高齢で被災地を訪れることはかなわなかったが、フレーベル館、日本テレビ、トムス各社が協議し、被災地でコンサートを開き、やなせさんの意思に応えたという。

 昨年の映画「それいけ! アンパンマン よみがえれバナナ島」初日舞台あいさつでは「全部の作品、全部のキャラクターのデザインも俺がやってる。世界でこのキャラクターをしのぐものは何もない。マスコミは、お子様映画だとバカにしてると思う。実は違うんです」と訴えるなど、プライドは高かった。

 一方で、編集者には実直だった。天野さんは「一番すごいことは新聞の連載も含め、締め切りを遅れたことが1回もない。1回も遅れていない作家は、先生以外1人もいない。満身創痍(そうい)にもかかわらず、手術がある時は2、3カ月分は前倒しで描いた」と振り返った。そんな画業を集めた「やなせたかし大全」が11月に発刊されるが、やなせさんは、亡くなる前日12日夜まで病室でその校正作業などをし、来年公開予定の映画「アンパンマン」シリーズ新作のアイデアも語っていたという。 [2013年10月16日6時51分 紙面から]