日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
     NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ  活 動 で 
            ご  支  援  く  だ  さ  る   会  員  皆  様


いつも皆様方には生涯現役社会づくりのご支援お世話になります。
今月例会日程は、通常月例の2月26日(水)17:30 開催となります。
誠に恐縮ですがご了承の上、ご参加いただけます様ご案内します。

内容の詳細は何とぞ添付資料か次行URLで、ご高覧願い上げます。
日本生涯現役推進協議会URL=https://sgsk.net/70890/【お知らせ】

人生は夢と希望次第で自力で展開できます。心身健やかに鍛錬を
月例研鑽交流で道楽できる仲間との絆強化こそ私たちの特権です。

第410回もご関心の深い課題です。皆様の大切な友人・知人にも
どうかお電話や、メール転送でお誘いくださることを大歓迎です。
ただし、ご出席くださる方はどうか前日迄に必ずご予約願います。
 
1.定例研鑽会(会員活動研究会)  15:00~17:00
  司会役:東瀧 代表 〔会場:ライフ・ベンチャー会議室〕
テーマ:「どうすれば生涯現役運動を展開させられるか」
     参加者皆様が事前に熟慮した内容を当日発表して、
    その成果を相互研鑽し直後の研鑽塾に活用します。
2.第410 回 生涯現役シリーズ塾   17:30~19:30
   進行役:東瀧 代表(NPO法人ライフ・ベンチャー・クラブ代表)
   講師役:松井 武久(J-SCORE 日本シニア起業支援機構 代表理事)
趣 旨:生涯現役実践家への人生研鑽塾(SDGs関連)
演 題:「 人 生 1 0 0 年 時 代 の 私 の 生 涯 現 役 と は 」
内 容: 日本は幾多の難題・課題を抱え、将来に不安を抱いています。他方、
    日本人の平均寿命は80歳を超え「人生100年時代」と言われています。
     私は現在76歳です。人生終わりよければ全てよしだと思います。
    「至誠(世の為・人の為に何ができるか)」「夢は人生を豊かにです。
     2009年サラリーマン終了を機会に、技術経営研究センターを設立し、
    コンサルタントの傍ら、日本シニア起業支援機構(J-SCORE)を設立、
    夢(最上位の目標)を「世界平和と国民の幸福」に掲げ、生涯現役を
    モットーに、社会貢献活動を行っています。具体的活動は、アジア諸国
    との友好促進(中国、台湾、内モンゴル、韓国、ベトナム、ミャンマー
    への「人材育成、技術移転、文化交流」、国内ベンチャー・中小企業
    支援「人材育成、経営改善、ビジネスマッチング等」を行っています。
     その一端を紹介し、皆様の生涯現役実践への参考になれば幸いです。
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『あなたと日本を元気に!』させる 生涯現役実践道場への意欲的参加で
あなたご活躍の地域から 次々と民活力の盛り上がる大輪が拡がります!
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2020/2/26(総会/15:00&16:00・・生涯現役塾/17:30)~2020/7/22(理事会・塾)  
  2/26       3/25       4/22       5/27      6/24       7/22
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  日  本  生  涯  現  役  推  進  協  議  会
        NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ
                ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー 株 式 会 社
                      代 表    東   瀧     邦   次      
TEL:03-3517-6667            FAX:03-3517-6668
E-mail: info@sgsk.net         URL: http://www.sgsk.net   
Blog: http://40591.diarynote.jp/
Facebook: http://www.facebook.com/sgsk.net/
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Alterna online Home > SPECIAL CONTENTS > 気候変動対策トップ企業、日本は38社で首位
ご参考URL=http://www.alterna.co.jp/29364

        気 候 変 動 対 策 ト ッ プ 企 業 、 日 本 は 3 8 社 で 首 位

 企業の情報開示を推進する国際NGOのCDPは20日、気候変動に関する企業の行動や透明性を評価した2019年度の報告書「Aリスト」を発表した。約8400企業の回答を8段階で評価し、最上位「A」は179社が選定。うちソニーやアスクルなど日本企業は前年度より18社増え38社で、国別ではトップだった。同調査は総額96兆米ドルの資産を持つ500超の投資家の要求で実施。「気候変動」分野に続き、「水」と「森林」2分野のスコアは2月3日に公開予定だ。(オルタナ編集部=堀理雄)

 調査は企業への質問項目の回答をもとに、透明性や気候変動に関する目標設定、リスクと機会の認識などの項目を分析し、AからD-までの8段階で評価した。企業ごとに順位付けして競い合うことで、持続可能な社会に向けた取り組みを活発化させる狙いだ。

 回答企業は前年度より2割増え約8400社だった。気候変動分野のA評価は179社で、前年度より53社増えた。

 CDPは、Aリスト企業の気候変動に対するイノベーションの好事例として、ソニー製ゲーム機のエネルギー効率の向上、レゴグループのリサイクル素材や植物由来プラスチックの使用、スタンレー・ブラック&デッカーのインドでの効率的なオフグリッド水ポンプの製造などを挙げている。

 CDPによると、Aリストに基づく株価指数「STOXXグローバル気候変動リーダーズ指数」は、「STOXXグローバル1800指数」と比べ、7年間の年平均で5.5%上回るパフォーマンスを示しており、気候変動に関する透明性や行動が、経済的成功とも相関するとしている。

 日本に拠点を置く企業では、前年度の20社に比べ今回18社増の38社が気候変動分野でAリストと評価された。38社の一覧は以下のとおり。調査結果は、ダボスでの世界経済フォーラムに合わせて発表された。

 2019年度のCDP調査「気候変動分野」でAと評価された日本企業38社(50音順)

・アサヒグループホールディングス
・アスクル
・イオン
・エーザイ
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
・小野薬品工業
・花王
・川崎汽船
・キリンホールディングス
・小松製作所
・サントリー食品インターナショナル
・住友化学
・住友林業
・積水化学工業
・積水ハウス
・ソニー
・SOMPOホールディングス
・大和ハウス工業
・大東建託
・東京海上ホールディングス
・東京製鐵
・戸田建設
・トヨタ自動車
・豊田自動織機
・ナブテスコ
・ニコン
・日産自動車
・日本たばこ産業
・日本電気
・野村総合研究所
・パナソニック
・富士通
・富士電機
・富士フイルムホールディングス
・ベネッセホールディングス
・丸井グループ
・横浜ゴム
・リコーリース

Aリスト2019が掲載されているCDPサイト=https://www.cdp.net/en/companies/companies-scores
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日本経済新聞 2020/2/7付 大機小機欄
ご参考URL=https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55358860W0A200C2EN2000/

       大機小機  日 本 国 の 資 源 配 分 を 再 考 す る 

日本の人口が減少している。この事実は、日本において人的資源が貴重化することを意味する。人的資源の有効的な活用と、将来に向けた教育が重要となる。とくに次の5つが喫緊の課題だろう。

第1に、産業構造の刷新である。大企業が技術革新や新興国の台頭によって溺れそうになると、政府はそんな大企業のすべてを救済しようとする。しかし、この政策は日本経済に利益をもたらさない。

政府予算と人的資源に限界があるわけだから、大企業の救済には是々非々で臨むべきである。失業などの弊害は、受け皿の整備で対応できる。

第2に、労働力の流動化にもっと力を注ぐ必要がある。失業の心配は、労働市場が完備していないことに原因がある。労働力が流動化すれば、高い技術や知識を有した者が有望な企業や産業に再配分される。平凡な企業の従業員も、労働市場をにらみつつ、自己の能力向上に励むだろう。

第3に、教育である。人工知能(AI)の発達は記憶力の価値を大きく下げた。それなのに、日本の教育と受験は知識の詰め込みから抜け出せていない。この結果、大学に入学した瞬間に燃え尽きてしまう学生が多数にのぼる。

一定の知識レベルの有無を検定し、それを大学入試に変えること、学生側に大学の選択権を原則委ねること、これが教育改革の第一歩である。その上で、大学での進学や卒業要件を厳格にすれば、教育や研究の場としての大学本来の役割が取り戻せる。

第4に、AI、通信技術、ロボットなど、最新技術の積極的な活用である。そのためには既存の規制を徹底的に見直す必要がある。

とりわけ、既得権益で守られた医療分野が問題だろう。医師の専門的な判断と技能を要する領域を限定し、それ以外を最新技術と一般の技師で埋めればいい。そうすれば、優秀な人材が医学部に殺到する無駄な現状が是正される。

第5に、働くことの位置づけを政府主導で変えるべきである。多くの国民にとって働くことは生きる手段でしかない。技術革新によって機械が代わりに働く。人間は労働ではなく、優れたアイデアを生み出すことで貢献しうる。

機械が生み出した成果をいかに再配分し、国民の幸福感をさらに引き上げるのか。これが政府として知恵を絞るべき分野である。(癸亥)
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Livedoor News 2020年2月6日 18時30分 All About
ご参考URL=https://news.livedoor.com/article/detail/17778535/

       「老後までに1億円貯めなきゃいけない」は本当か?

  「老後までに1億円」を疑ってみる
 「老後に必要なのは1億円」「老後までに1億円貯めよう」というフレーズを聞いたことはないでしょうか。雑誌などでもよく特集が組まれています。

 1億円貯めるには、運用利回りを無視した単純計算をすると、毎月21万円の貯蓄を40年間続けるということであり、これはなかなか大変です。

 それにしても、本当に1億円も貯める必要があるのでしょうか。この命題には、次の前提条件があります。この2つの前提が成り立って初めて「老後までに1億円必要だ」という主張が成り立ちます。

1. 65歳で定年退職し、90歳でこの世を去るまでまったく働かない
2. 年間の支出は400万円、つまり、毎月33万円の生活コストがかかる

 有名経済誌に載っているからといって、私たちはこれを鵜呑みにして金融商品のセールストークに乗ったり、若いうちから貯蓄ばかりに励んだりするというのは思考停止です。そこで、これらを検証してみましょう。

  老後まったく働かない生き方は現実的なのか?
 まずは前提条件の1についてです。2065年の平均寿命は、男性が84.95歳、女性が91.35歳と予測(平成27年版高齢社会白書より)されていますから、寿命を90年で考えるのは妥当なラインといえます。

 これより早く寿命をまっとうすれば、仮にお金が残ったとしても、生活が困窮することもなく、よかったねということになります。

 ただし、今や65歳を過ぎてもほとんどの人はまだ元気な時代ですから、それから一生働かないというのは現実的でしょうか。

 これは私の個人的な考えですが、人から必要とされない、社会でお金を稼がない、経済活動から隔絶された隠居生活は、非常に物足りないと感じます。

 それだけでなく、貯蓄が減る一方の生活は恐怖との戦いです。毎月毎月銀行残高が減っていくのを見ると、お金を使うのが恐ろしくなります。仮に1億円あったとしても、ケチケチ余生まっしぐらです。実際、そんな高齢者はたくさんいます。

 貯蓄額を多くするよりも、絶え間ない収入の流れを作るほうが、精神的にも余裕が生まれます。

 ちなみに、有名な徳島県の「葉っぱビジネス」を手がけるおばあちゃんたちの中には、90歳で年収1000万円という人がいるそうですし、仕事で病院に行くヒマもないとのことで、医療費も全国平均よりも低いという現実があります。

 このように、65歳を超えても働き、貯蓄を取り崩すだけの期間を短くすることで、1億円の貯金なんて必要なくなりそうです。

  毎月33万円の生活費がかかるか?
 次に、前提条件の2について。夫婦で毎月33万円のコストが妥当なのかどうかです。

 持ち家であれば、おそらくその頃までにローンの返済も終わっており、かかるのは固定資産税と若干の修繕費くらいですから、かなり余裕はありそうです(マンションの場合は管理費・修繕積立金が別途かかりますが)。

 もちろん、旅行したり、外食したりなど、ある程度豊かな生活をしようと思えば、お金は際限なくかかりますが、普通の生活をする分には問題ないでしょう。

 ただし、都市部で賃貸暮らしならば、家賃負担が大きいですから、これでもカツカツかもしれません。

 しかし、私たちが老後を迎える頃には、パソコン1台で仕事ができるなど、多様な働き方ができる時代になると思われます。あえて都市部で生活する必然性は高くなくなり、空き家が多い地方ならば、激安の家賃で暮らすことが可能です。

 もっとも、1億円では足りない可能性もゼロではありません。というのも、もし今後急激なインフレが起こると、物価が上昇して現預金は実質的に目減りするからです。

  生涯現役で今も老後も楽しむ
 私個人としては、「何歳までにいくら貯めよう」という発想自体がナンセンスではないかと思っています。老後、老後というけれども、人生は65歳から始まるわけではありません。

 そもそも、老後というのは定年退職後ということであり、その年齢は、単に政府や企業が勝手に決めたルールに過ぎません。

 なぜ他人がつくった枠組みに、律儀に自分の人生を合わせる必要があるのか。むしろ逆で、自分の人生に合わせて、最適な会社や働き方を選ぶのが本筋ではないでしょうか。

 そして、生涯現役だと考えれば、「老後の蓄え」という概念ごと消し去ることができます。もちろん、いつかは働けなくなるときがくるし、病気になることもある。

 それでも、貯蓄を取り崩しながら生計を立てる期間をなるべく短くすることで、不安を少なくすることができます。

 そして、もっと今を充実させる。若いときからたくさんの経験をして、厚みのある成熟した人間になる。その延長線上に、生涯現役となるスキルが身につく、というのが私の理想です。

 「今を戦えない者に、次とか来年とかを言う資格はない」(ロベルト・バッジョ/元プロサッカーイタリア代表)。(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))
All About
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ニコニコニュース トップ > ビジネス 2020/02/04 プレジデントオンライン
ご参考URL=https://news.nicovideo.jp/watch/nw6543816

            女 性 が 男 性 よ り 稼 げ る 時 代 が 間 近 に 迫 る 理 由

 「人生100年時代」を迎えて、ファイナンシャルプランナーのなかには、「安心して老後を過ごすには退職時点で5000万円の貯蓄が必要」などと述べて、ハイリスクな金融商品への投資を勧誘するひとがいます。金融庁の「報告書問題」に端を発して、「65歳までに2000万円貯めなければならない」と大騒ぎになったりもしました。

 しかしここで、60歳以降もそれまで培った知識や技能(プロフェッション)で年200万円の収入があり、80歳まで働きつづけられるとしましょう。そうすると(60歳から80歳までの)20年間で4000万円の収入を得て、老後は(81歳から100歳までの)20年間に縮まります。

生涯現役+年金繰り下げで一生安泰
 さらに、定年後も働けば年金を繰り下げることができます。日本の年金は65歳受給開始が原則ですが、60歳まで繰り上げると受給額が減らされ(ペナルティを課せられ)、70歳まで繰り下げると受給額は増えていきます(プレミアムを受け取れる)。

 70歳に繰り下げた場合の受給額は65歳の1.4倍で、年率に直すと約7%になります。年金の受給権は国家が保証していますから、これは国債と同じで「(ファイナンス理論でいう)無リスク」です。現在のゼロ金利では、無リスクで年利7%の「資産運用」ができる年金繰り下げはとてつもなく有利な投資機会です。

 超高齢化社会の到来で、現在、年金を75歳まで繰り下げ受給できるようにすることが検討されています。これは概算ですが、75歳まで繰り下げれば受給額は65歳時点のほぼ倍、受給額20万円の平均的なサラリーマンなら月額40万円ちかく受け取れるようになるでしょう。

 この試算からわかるように、「生涯現役」なら老後のための資産形成ができるし、繰り下げによって年金額を増やすこともできます。夫婦そろって「生涯現役+年金繰り下げ」なら、老後の生活はますます安泰です。──そう考えれば、「生涯共働き」を超える最強の人生設計はありません。

60年間働き続ける時代へ
 いまの年金制度は、20代前半で就職して60歳まで40年間会社に勤めて支払った保険料で、(「人生100年」として)残りの40年間、夫婦2人で計80年間の生活をまかなうようにはつくられていません。「55歳で引退して60代で死んでいく」平均寿命が短い時期につくられた制度なのですから。

 これからは、健康寿命を80歳として、20歳から60年働く時代がやってきます。そしてどんなひとも、60年間も嫌いなことをやり続けることなどできません。

 逆に「好きなこと」がはっきりしているなら、これまでの経験や知識を活かして、定年後に「第二の青春」を謳歌することもできるでしょう。そのうえ、たとえ日本国の財政が破綻したとしても、人的資本が生み出す富で生活を支えることができるのです。

 人生100年時代の人生戦略は、いかに人的資本を長く維持するかにかかっています。そのためには、「好きを仕事にする」ことが唯一の選択肢なのです。

 60代、70代になっても人的資本を維持できるかどうかで、超高齢社会の格差はさらに拡大していきます。もちろん、すべてのひとが生涯現役で働ける「天職」を見つけられるわけではないでしょう。私たちは、「好きを仕事にする」以外に生き延びることのできない残酷な世界に放り込まれてしまったのです。

これからは女性のほうが仕事に有利
 AI(人工知能)が将棋や囲碁のチャンピオンにも勝つようになって、これからは「知能をもつロボット」に仕事が奪われてしまうのではないかという不安が広がっています。実際、自動車からコンピュータまで、製造業の多くはものすごいスピードで自動化が進んでいます。その結果、これまで工場で働いていた男性労働者が仕事を失って「右傾化」していくことが、先進国で大きな問題になっています。

 イギリスが国民投票でEUから離脱したのも、アメリカでトランプ大統領が誕生したのも、ワーキングクラスに失業者が増え、「中流」から脱落しかかっているからです。

 これはものすごくむずかしい問題で、どうすればいいのかの処方箋はいまのところありませんが、ただひとついえるのは、「これからは大半の男性よりも、女性のほうが仕事で有利になる」ということです。

 男性は生まれつきシステム化と空間把握能力に優れ、女性は共感するちからと言語能力にすぐれています(あくまでも「平均的には」ですが)。

 シリコンバレーのベンチャー企業を見ればわかるように、知識社会化したグローバル経済では、理系の高い能力をもつ若者(ほとんど男性)はものすごく有利で、20代で何百億円、何千億円の資産をつくることもあります。

アメリカでは男女の平均収入に逆転現象
 しかしこういう才能にめぐまれた男性はごく一部で、先進国で顕著になったのは、ますます多くの若い男性が高校をドロップアウトしてニートになっていく、ということでした。

 アメリカでは、小学校から大学まですべての学年において女子は男子より成績がよく、成績表の最低点の70%を男子が占めています。女子生徒が生徒会や部活動に積極的に参加する一方で、多くの男子生徒は停学や留年によってドロップアウトしていきます。これはアメリカだけでなく世界的に共通な傾向で、日本も例外ではありません。

 なぜこんなことになるのでしょうか。

 それは、男女で知能に差がないとしても、女子のほうが真面目でこつこつ努力するからです。そんな彼女たちが大学に入って就職する一方で、多くの男子が高校を中退していきます。

 こうしてアメリカでは、男女の平均収入が逆転するようになりました。一部の大金持ちは男に多いとしても、いまや女性は男性より裕福になりつつあるのです。

 女性が有利なもうひとつの理由は、「AIロボット」は工場の仕事をすることはできても、教育や看護・介護など、女性が得意とする「共感的な仕事」をうまくこなすことができないからです。

テクノロジーが進歩するほど女性には有利に
 テクノロジーが進歩すればするほど、共感能力が高く、真面目で優秀な女性の価値はどんどん上がっていくはずです。そんな未来が待っているのに、専業主婦になってせっかくの「人的資本(2億円のお金持ちチケット)」を捨ててしまうのは、あまりにももったいないと思いませんか。男性にしても、妻がいきいきと働いて稼いでくる方が圧倒的にいいでしょう。その代わり、家事や育児に協力するほうが、長い目で見れば経済的にも断然有利だし、それが家族の幸福につながるのです。

 日本の社会や会社にいろいろな問題があるのはたしかで、「男の古い価値観が女の自立のじゃまをしている」というのもまちがいないでしょう。でもだからといって、働くのをやめて専業主婦になるのは、状況をさらに悪化させるだけなのです。

21世紀の幸福な家庭のロールモデルを
 ここまで書いてきたことをまとめると、次のようになります。

・ 好きな仕事を見つけて、それを“スペシャルな仕事”にする
・ スペシャルな仕事をずっとつづけて「生涯現役」になる
・ 独身ならソロリッチ、結婚するならダブルインカムの「ニューリッチ」を目指す
・ フリーエージェント戦略で、カッコいいファミリーをつくる
欧米など先進国ではみんながこういう生き方を目指していますし、いまの日本でも「BOBOS」っぽいひとはじつはたくさんいます。

 誤解のないようにいっておくと、専業主婦という選択をした一人ひとりを批判するつもりはありません。ただ社会がものすごい勢いで変わるなかで、若いときから人的資本をすべて放棄して「生涯働かない」という人生設計はかんぜんに時代遅れになりました。それを無理にやろうとすれば、できるはずのないことを実現しようとするのですから、ほとんどの場合は大きな失望が待っているでしょう。

 いまの日本に必要なのは、「働きながら子育てできるし、こんなに幸福に暮らせる!」というロールモデル(理想像)です

橘 玲(たちばな・あきら)作家:『マネーロンダリング』などの国際金融小説のほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福の「資本」論』など、金融・人生設計に関する著書多数。近著に『上級国民/下級国民』
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日経情報 2020年2月4日 11:00
参考URL=https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5502425030012020TL1000?unlock=1&s=3

      「超計算」答えは一瞬 量子コンピューターが変える世界  時は金なり(1)

 あなたが職場や家庭、日常生活や人生で「すんなりといかない」と感じたら、たいてい同じ問題が横たわっている。選択肢やその組み合わせがあまりに多く、どれを選べばいいのか答えが見つからない難題だ。科学技術が進歩した現代でも、どうやっても解けない問題が社会には数多く潜んでいる。そこに一筋の光が差し込んだ。人類がいまだ経験したことのない強大な計算能力をもつ「量子コンピューター」の誕生だ。最新の研究では、最先端のスーパーコンピューターで1万年かかる乱数の問題をわずか3分20秒で解いたと宣言した。人類は異次元の世界に一歩踏み出した。

 スパコンで1万年かかる問題、3分余りで

 渋滞が深刻なタイのバンコク。デンソーや豊田通商は渋滞予測サービスに役立てようと、約13万台の車にセンサーをつけて速度や位置、方向などのデータを日々集めている。データの一部を使い、タクシーを手際よく配車できないかと考えた。「バラバラに走る9台のタクシーで9カ所に散らばる人々を迎えに行く総距離が最小になる組み合わせは……」。その数は約36万通り。現在のコンピューターでは、全てをすぐには計算できない。だが、一部の量子コンピューターでは、1千分の1秒程度で計算を終えた。膨大な選択肢に埋もれていた最良の答えをあぶり出した。

 どれだけの車がどこへ向かうのか。こんなありふれた問題で、人類は大きな損失を被っている。日本では車の移動時間の4割で渋滞に巻き込まれる。時間を浪費したあげく、年間約280万人分の労働力を失うとされる。経済損失は10兆円規模に達するとみられる。ガソリンや電気なども無駄遣いしている。排出ガスは、地球温暖化の原因になる。

 渋滞の解消は車ごとに最適なルートの選択を迫る。同じ迂回路を選ぶと再び渋滞になってしまう。「部分最適」ではなく、「全体最適」が必要だ。このような問題を解決するのは簡単ではない。数百から数千台の車で幾つもの分かれ道を考え、1台ずつ別々のルートを計算するすべは今はない。

 歴史を振り返ると、人類は手に負えない問題を計算能力を磨き上げて乗り越えてきた。人類が初めて計算に道具を使ったのは紀元前2500年ごろ。線を引いたくぼみに石を置いて数を数えていたとされる。諸説あるが、後のそろばんだ。商人が物品の売り買いにそろばんを重宝し、商いが当たり前の時代を開いた。次に発明された計算尺では航海中に距離や方角を探り、貿易が栄えた。歯車式の計算機が登場し、進化の末に初期の大型コンピューター「ENIAC」に結実した。今では手のひら大のスマートフォンが、当時のスパコン並みの性能を持つ。東京理科大学のなるほど科学体験館で学芸員を務める大石和江さんは「人類が何かを計算したいと思い続けてきたからこそ、計算機はここまで発展してきた」と話す。

 そこに現れたのが、今までのコンピューターとは全く違う原理で動く量子コンピューターだ。2011年、カナダのスタートアップ企業のDウエーブ・システムズが世界で初めて商用化した。16年には米IBMがクラウド経由で利用サービスを開始。19年10月末には米グーグルがスパコンの性能を上回る計算能力「量子超越」を証明したと発表した。最先端のスパコンで1万年かかる乱数の問題を3分20秒で解けたという。

 計算能力が足りないだけで諦めていた問題は、社会にたくさん眠っている。強大な計算能力は単なる計算機の進歩ではなく、社会にディスラプション(創造的破壊)をもたらす。

 量子コンピューターを研究する東北大学の大関真之准教授は「どうにかしなければという時代に、量子コンピューターが現れた。いろんな産業でアップデートが起こる」と話す。万能の量子コンピューターをつくるのは並大抵ではないと専門家は口をそろえるが、10年もすれば、限られた問題でもっともらしい答えを出せるようになる。

 グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は量子超越の発表時に「気候変動から病気まで世界で差し迫った問題の解決を加速できると信じている」とコメントした。

 薬や素材開発、「新発見」当たり前に

 量子コンピューターの実現は、人類が直面する問題の答えを見つける切り札になるかもしれない。だが、「できない」ことが「できる」ことは歓迎すべきだが、「できないはず」のことが「できてしまう」という裏の顔も併せ持つ。強力な計算能力は、現在の通信を支えている暗号をいずれ解読し、社会のあり方を根底から揺るがすだろう。暗号は、スパコンで解けないほど難解だという理由で安全が担保されてきたからだ。コンピューターの発展は、敵国の暗号解読やミサイルの弾道計算など戦争の歴史と表裏一体でもある。

 コンピューターがすべてを導いてくれる世界では、あれこれと考えなくて済む。誰かが決めてくれる心地よさの下、バラ色の人生を送るのだろうか。計り知れない計算力をどう生かすか。そう考え続けることだけは忘れないようにしたい。

 研究投資 中国は1兆円規模

 量子コンピューターをはじめとする量子技術は世界各国が研究に取り組んでいる。米国は2018年に「量子情報科学の国家戦略概要」を発表した。19年からの5年間で最大13億ドル(約1400億円)を投資し、研究拠点や人材育成を進める。グーグルやIBM、マイクロソフト、インテルなどが幅広い計算に使える「ゲート型」と呼ぶ量子コンピューターの実現を目指す。中国でも20年までの5カ年計画で量子コンピューターを重大プロジェクトの一つに位置づける。1兆円規模ともいわれる資金を投じた量子技術の研究拠点が、20年に完成する予定だ。アリババ集団などの民間企業も研究開発を急ぐ。

 日本は量子技術に対して、19年度補正予算案と20年度予算案に合計約340億円を計上した。1月には「量子技術イノベーション戦略」として、今後10~20年の研究開発の行程表を定めた。NECは国の支援を受けつつ、産業技術総合研究所などと連携して量子コンピューターの開発に挑む。膨大な選択肢から最適な答えを導くのにふさわしい「アニーリング型」の開発を狙う。カナダのスタートアップ企業、Dウエーブ・システムズが商用化しており、実用に近い。NECは過去に量子コンピューターの素子となる「量子ビット」の動作を世界で初めて実証した。他機関の技術と融合し、23年の実用化を目指す。今後、部品の製造では日本の強みも生かせる。優れたアルゴリズムの開発でも存在感を高める機会はある。   (文 張耀宇、加藤宏志)
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河北新報 ONLINE NEWS SANRIKU KAHOKU SHINPO 2020年02月02日
ご参考URL=https://www.kahoku.co.jp/special/spe1000/20200202_12.html

       「 働 ・楽 ・遊 ・学 」 考 え て 人 生 1 0 0 年 シ ン ポ ジ ウ ム 東松島

 急速に進展する高齢社会が大きな課題となる中、「人生100年時代を考えるシンポジウム」が1月30日、東松島市コミュニティセンターで開かれた。行政や大学、医療福祉関係者らが生涯現役社会の実現に向けて活発に提言。高齢者の就労の場の確保や、趣味などを通して積極的に地域社会とのつながりを構築し、市を挙げてシニア世代が楽しみを見いだすまちづくりの重要性を唱えた。

 シンポジウムは「誰もが安心して住みよいまちづくりをめざして」を全体テーマに開催。東京大高齢社会総合研究機構特任講師の菅原育子氏が「地域で輝く人が増えると、地域が輝く」と題して基調講演した。

 人生を通した社会との関係や、心身の健康、幸福感を明らかにする研究に取り組む菅原氏は「本来は社会を支えるはずの50代が、不透明感が漂うセカンドライフの将来に対する不安を抱えている」と指摘した。

 その上で「仕事や趣味など多様な形で地域社会と関わり、自分らしくいられるのが大切。働く・楽しむ・遊ぶ・学ぶを総合的に考えて人生設計を描いてほしい」と強調した。

 基調講演を踏まえ、討議では東北大名誉教授で、一般社団法人東松島みらいとし機構初代代表の大滝精一氏を進行役に、菅原氏、東松島市長の渥美巌氏、医療法人医徳会法人本部事務長の阿部守雄氏、県議の高橋宗也氏が意見を述べた。

 渥美氏は「東日本大震災の復興加速や地方創生とともに、パークゴルフ場などを活用した健康寿命の延伸、高齢者の培った知恵と経験を生かすまちづくりを展開する」と力を込めた。

 阿部氏は「医療福祉分野の人手不足対策が課題だ。介護補助など新たな職種創設、柔軟な就業時間を措置してシニア世代の確保を図っている」と説いた。

 高橋氏は「生涯現役として働く中で、地域社会とのつながりが促される。そうした仕組みづくりを社会全体で築くことが必要だ」と訴えた。

 シンポジウムは一般社団法人東松島市生涯現役促進地域連携事業推進協議会が主催。国の支援を受け2017年度から3カ年でシニア世代の就労や地域コミュニティー参加の促進事業を展開し、今回初めて開いたシンポジウムはその集大成と位置付けた。
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タウンニュース 小田原・箱根・湯河原・真鶴版掲載号:2020年2月1日号
ご参考URL=https://www.townnews.co.jp/0607/2020/02/01/516127.html

        セミナー参加者募集
           シ ニ ア が 輝 く 現 場 を 訪 問
                         みかん農園や地元企業


 人生100年時代。小田原市生涯現役推進協議会は生きがいのあるセカンドライフ実現を応援する催しを企画している。

 みかん農園体験

 かまぼこや海産物にならび、小田原の名産品のひとつに数えられるみかん。ところが近年は農家の高齢化や後継者不在により、耕作放棄地が年々増加している。

 そのひとつ、早川の荒れた農地の再生に一役買っているのがシニア世代だ。開墾に始まり、下草を刈ったり、肥料をやったり…。すっきりと生まれ変わった畑には柑橘類の苗木約40本が新たに植えられ、シニア達が雄大な相模湾を眺めながら日々農作業に心地よい汗を流している。秋には収穫祭が催されるなど、参加者同士の親睦が深まり、地域に新たなつながりが生まれることも魅力のようだ。

 こうした活動を紹介するセミナーが2月13日(木)・16日(日)に開催される。初日には農家の青木義隆さんが耕作放棄地の現状や、その再生にシニアが活躍する事例を紹介。2日目には活動が行われている畑に出かけ、湘南ゴールドなどの苗木の植え付けを体験するほか、みかんの味比べを楽しむこともできる。

 働く現場を見学

 2月17日(月)には、「シニアのための企業訪問バスツアー」を開催。(株)鈴廣本店、JF小田原水産(株)、万葉倶楽部(株)、東華軒(株)本社、井上酒造(株)の5社をバスで巡るツアーで、いずれも雇用ニーズの高い企業だ。

 同協議会が2018年に市内で実施したアンケートによれば、多くの事業者がシニアに求めるのは「知識・経験」。現場を見学しながら、実際に就業した場合にシニアの力はどのように生かされるのか話を聞く。

 いずれの企画も参加無料。問い合わせは同協議会事務局【電話】0465・33・1318へ。

小 田 原 市 生 涯 現 役 推 進 協 議 会
神奈川県小田原市荻窪300番地
TEL:0465-33-1379
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/secondlife/
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YAHOO JAPAN ニュース 週プレNEWS 1/31(金) 6:10配信
ご参考URL=https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200131-01106040-playboyz-soci

       老後も自分が「社会に必要な存在」となるために何が必要か?                            
                       定年消滅時代を生き抜くためのサバイバル術


2020年代に日本社会が直面する大きな変化のひとつに「雇用の形」がある。すでにトヨタやKDDIなどの大企業が次々と「新卒一括採用から通年採用へのシフト」を発表する一方で、証券大手の大和証券は「定年撤廃」を表明。

これまでの「新卒一括採用→年功序列&終身雇用→定年退職→老後」という流れに変化の波が押し寄せているわけだが、2020年は日本の「定年消滅時代元年」になると指摘するのが経営アドバイザーの中原圭介氏だ。

一般的なサラリーマンのゴールだった「定年退職」という概念が消えると同時に、70歳、75歳まで働き続けなければならない時代を、どうやって生き延びるのか?

■限界の社会保障。定年消滅時代が来る
──「定年消滅時代」とは、どういう意味でしょう? 今年がその「元年」だという根拠はなんですか?

中原 「定年消滅時代」とは、「生涯現役時代」と言い換えてもいいでしょう。最近は60歳で定年を迎えた後も、65歳まで嘱託という形で働き続ける人が増えていますが、政府は2020年の通常国会に「高年齢者雇用安定法」の改正案を提出し、希望する高齢者が70歳まで働けるよう、大企業に対して定年延長、定年廃止、他企業への再就職支援などを求める方針です。

この改正案は「努力義務」ですが、これが2020年代半ばには「義務」となり、やがては中小企業にも適用されるようになるはずです。おそらく2030年代には75歳まで引き上げられて、事実上の「生涯現役時代」がやって来る。2020年は、そうした大きな変化の始まりの年になるはずです。

──一生働き続けなければならないって大変そうなんですが。そもそも、なぜ「定年」は消滅するんでしょう。

中原 少子高齢化が最大の要因です。今や日本の男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.32歳。総人口に占める高齢者の割合を示す「高齢化率」は28%を超えて、2036年には日本人の3人に1人が高齢者という時代になるといわれています。

昨年は「老後2000万円不足問題」が話題になりましたが、今後も医療の進歩などで平均寿命が延びると予想されるなか、このままでは年金制度が破綻するのは目に見えている。

そのため政府は現在、60歳からとなっている年金の支給開始年齢を70歳に、将来的には75歳まで引き上げ、その代わりに企業の雇用義務を延長することで、社会保障システムをなんとか維持したいと考えているのです。

■スキルの有無が分ける生涯現役時代の明暗
──しかし「雇用を義務づける」といっても、この先、ITやAIの発達で「人間の仕事が減る」といわれるのに、会社の中に大量の老人を雇用するだけの仕事があるでしょうか?

中原 確かに、そこは微妙な問題です。ここ数年は「人手不足」が問題になっていますが、実際に人手が足りないのは介護職や飲食業など比較的賃金が低くてキツい仕事です。

逆に大手企業のホワイトカラーでは好景気の時代に雇用した50代前後の社員を中心に深刻な「人余り」が問題となっていて、いわゆる「社内失業者」の数は今や400万人を超えるといわれています。最近、業績好調な大手企業ですら「早期退職募集」が増えているのも、そのためです。

ただし、早期退職制度を利用して転職を図った人の中で、再就職先の賃金が上がるのは3分の1程度。結局、早期退職で新たなキャリアを踏み出すにせよ、そのまま会社にとどまるにせよ、その将来を大きく左右するのが「専門的なスキル」の有無です。

──うーん、いきなり「スキル」と言われても......。

中原 今、日本の雇用は大きな転換点を迎えています。トヨタがこれまで全体の1割だった中途採用を来年度から3割に引き上げ、中長期的には5割にする方針を明らかにしたのは象徴的な出来事です。

トヨタという「巨大な山」が動いたことで、この先、「新卒一括採用」「年功序列&終身雇用」「定年退職」という、旧来の日本型雇用モデルは急速に失われていきます。

この先、個人が15年から20年ぐらいのサイクルで、一生に3つの仕事や会社を渡り歩くことが当たり前の時代がやって来るでしょう。そうした時代を生き抜くためには、人生のいくつかの段階でスキルアップを図っていく必要があるのです。

──とはいえ、「働きながらスキルアップ」って、それほど簡単ではないですよ。

中原 そこで大きなポイントとなるのが、AIやVR(バーチャルリアリティ)技術などの進歩です。こうした技術を活用することで、以前なら一人前になるのに最低でも5年ぐらいは必要だったスキルが、2、3年で学べるようになる。しかも「働き方改革」で残業ができなくなった分、学び直しのための時間ができた人もいるはずです。

その時間と最新の技術を活用して、新しいスキルを身につけるとか、副収入だけでなくスキルを身につけることを目的に副業を始めるとか、あるいは自分の趣味を職業的なスキルにつなげてもいい。

もちろん、すべては本人のやる気次第ですが、それに加えて政府も含めた社会全体が、こうした「学び直し」の必要性を認識し、資金面やシステムも含めて、働く人たちが新たなスキルを身につけるための環境づくりを進めることが、日本がこの先「定年消滅時代」を迎える上で、重要になってくると思います。

■どんなスキルが必要?需要と供給に注目!
──では、具体的にどんなスキルが必要になるのでしょう? やはりIT関連とかじゃないとダメですか?

中原 そうとは限りません。もちろん、今はIT関連の技術者が不足しているので当面は引く手あまたですが、ITに限らず、新たなスキルを学ぶ上で注目すべきなのは「需要と供給」の関係です。

必要なのに人材が不足している職種、例えば今なら建設現場の「鉄筋工」は深刻な人手不足に見舞われていて、熟練の鉄筋工の賃金が上がり、マンションの建築費が大幅に上昇しています。

もうひとつのポイントは「機械より人間のほうが優れているスキル」を選ぶことです。例えばマッサージ師。どんなにマッサージ機が進化しても、技術的に人のマッサージを超えるのは不可能ですからね。

また、ひとつのスキルを徹底的に極めるのではなく、複数のスキル、例えば「10人に1人が持っている」くらいのふたつの異なるスキルを組み合わせれば、×の掛け算で「100人に1人」のスキルになる可能性もある。

そうやって自ら学んで身につけた能力で主体的に働き、老後も自分が「社会に必要な存在」となれることが、「定年消滅時代」における自分の人生を「死ぬまで働かされる人生」から、ポジティブな「生涯現役」にする鍵になる。2020年をその第一歩にしてほしいと思います。

●中原圭介(なかはら・けいすけ)1970年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学卒業後、金融機関や官公庁を経て、現在は経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。近著に『AI×人口減少』など

■『定年消滅時代をどう生きるか』中原圭介・著(講談社現代新書 860円+税) 日本では遠からず、会社で70~75歳まで働くことになり、個人の会社員生活は50年前後に。今よりも10年から15年ほど長くなる。しかも将来、企業の平均寿命が20年を切れば、会社員生活は企業寿命の2.5倍を超える長さになると著者は指摘する。そうした単純計算でも「3つの仕事や会社を経験しなければならなくなる時代」を、充実して歩み続けるために必要なことを著す。
(インタビュー・構成/川喜田 研)
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     ヘ  ッ  ド  ラ  イ  ン     ニ  ュ  ー  ス
 事務局報告 第192 号                  2020年1月31日発行
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◎  2 0 2 0 / 1 / 1 ~ 2 0 2 0 / 1 / 3 1 の当Blog「タイトル掲載一覧表」
  日 付                  タ イ ト ル
2020年1月31日     「日本生涯現役推進協議会」 会報 1 9 2
2020年1月30日    NPO ライフ・ベンチャー・クラブ会報 1 7 2
2020年1月29日     アイスの賞味期限表示は時代に逆行している
2020年1月28日     離れて住む親の認知症早期発見は週1度電話
2020年1月27日     泉谷しげる “生涯乱入”レジェンドにはならぬ
2020年1月26日     定年延長で40、50代社員の大量リストラ加速
2020年1月25日     人生第二幕に道筋「100歳大学」実現目指す
2020年1月24日     老後節約で高齢者消費が日本の成長を左右
2020年1月23日     尾崎将司、本気で「第2のジャンボ」を育成へ
2020年1月22日     「人生1 0 0 年時代」で求められるスキルとは
2020年1月21日     日本の未来を見据えていた人物は誰なのか
2020年1月20日     2月22日:『 熊 日 い き い き ラ イ フ フ ェ ア 』 
2020年1月19日     1月22日:第409回生涯現役シリーズ塾ご案内
2020年1月18日     「人生一度きり…やって失敗の方がスッキリ」
2020年1月17日     全世代型社会保障に国民は「もう騙されない」
2020年1月16日     ZUU:経営者が知っておきたい老後の備え方
2020年1月15日     2020年度年会費ご高配お願い申し上げます
2020年1月14日     政府主導「リカレント教育」NG/生涯現役実力
2020年1月13日     「私見卓見」欄:高齢者の「価値観」 I T で共有
2020年1月12日     ライオン今春メドに本業貢献期待の副業期待
2020年1月11日     Town News 湘南・県西版「小田原提灯」取組
2020年1月10日     生涯現役促進地域連携協議会:八代展開版
2020年1月 9日     構想日本:「胸張って法治国家と言えるのか」
2020年1月 8日     Alterna森編集長:S D G s 時代の今年トレンド
2020年1月 7日     Sports Lab:有賀流/筋トレ継続のコツ10カ条
2020年1月 6日     「教壇」句文集刊行:東葛川柳会代表江畑氏
2020年1月 5日     セミリタイア宣言:中川淳一郎氏の事例検討
2020年1月 4日     YAHOO: 小柳津林太郎が語る「仕事論」②
2020年1月 3日     YAHOO: 小柳津林太郎が語る「仕事論」①
2020年1月 2日     『生涯現役』はいつから始めればいいのか?
2020年1月 1日     2020年新春挨拶と主要新聞トップ・論説比較     以上
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N P O 法 人  ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ  
          ホ  ッ  ト  ラ  イ  ン   ニ  ュ  ー  ス
事 務 局 報 告 第 172 号                   2020年 1月 30日 発行
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◎ 創設来の永続を感謝し本年35年目、有意義な生涯現役人生をどう楽しむか。


 令和2年1月も瞬く間に過ぎ去るものです。その1ヶ月間脳裏に浮かぶのは、何よりもわが人生を預ける天の恵みと、故 城野 宏 恩師が敵対した中国共産党による禁錮18年判決の獄中、やっと生存確認できる地獄環境下でも日夜唯一脳力発想は誰にも備えられているという私のあらゆる発想原点です。

 「生死の保障なき瞬間でも、わが生き甲斐・希望は何かある・・・」「出獄後は、国破れた無資源国日本のわれら貴重資源人財の脳力開発に!」と、日夜出獄後の夢と希望に脳裏を楽しませていたといいます。だからこそ日中国交回復後、無事禁錮16年で帰国した恩師は、祖国での高待遇環境には一切断り23年間、1985年病死直前迄生涯現役で獄中の初志貫徹を貫き、活動仲間に教導実践されたのでした。

 その晩年数年しか教導戴けなかった私ですが、幸いなことに恩師が第1号会員の情勢判断学会世話人役を引受していた時です。幸運なことにライフ・ベンチャー(人生冒険)流の生涯現役啓発事業/ライフ。ベンチャー株式会社の顧問役、さらに同名クラブ発足呼びかけにもなった拙著『ライフ・ベンチャーのすすめ』に推薦文を寄稿された恩師です。その師の思いがけない70代前半での急逝は、我が国における情勢判断学分野最高の人財喪失であり、本当に無念の涙で残念です。

 前置き説明が長引きましたが、本年の基本方針を述べたいと存じます。私たちはこれまで、生涯現役を志して集う個人会員制のクラブ組織で通算35年目、団体会員制の協議会組織が16年目を迎えています。その年月は、故城野師が獄中時代と日本帰国後の全国での脳力開発・情勢判断学啓発の期間に類似性があります。
しかし、無念なことに恩師亡き後の各弟子集団の結集力は雨後の衆同然でした。

 金科玉条の教条に固執する原理主義にこだわらぬ恩師タイプは、後継問題など無頓着だったと感じられ、子弟集団は各々弱小集団に甘んじ、デジタル新時代に覇を称える力量は存在しないようです。また、21世紀グローバル社会は情報技術スピード化時代でもあり、高年齢層に偏する団体の時代遅れは、あらゆる分野で衰退を免れません。

 そこでこの激動期に生きる私たちは、生涯現役協・NPO/LVクラブ両組織ともに、従来型の安易な自然体運営での展開は存続を許されるものではないと覚悟しなければなりません。

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サステナブル・ビジネス・マガジン online Alterena
ご参考URL=http://www.alterna.co.jp/29435

        ア イ ス の 賞 味 期 限 表 示 は 時 代 に 逆 行 し て い る

 明治は1月22日、アイスクリーム製品の賞味期限を6月から順次表示すると発表した。市販のアイスで大手メーカーが賞味期限を記載するのは明治が初めて。同社は「賞味期限の表示を求める消費者ニーズに対応した」と説明しているが、この施策はフードロスを抑えるという社会ニーズに合致しておらず、時代の流れにも明らかに逆行している。(オルタナ編集長・森 摂

 同社は「明治 エッセル スーパーカップ」シリーズで今年6月から製品の裏面に、製造から最長で24カ月の賞味期限を表示する。2021年4月をめどに同社のすべての市販アイスクリーム製品で賞味期限を表示する。

 同社は、今回の賞味期限表示について「いつまで食べられるのか知りたい」という消費者の声に応えたという。2019年11月に実施した消費者調査(2400人)で「アイスクリームの賞味期限の表示を希望する」とした回答が67%に達した。

 同じ調査で、8割以上が「1週間以内に食べる」との回答があったため、「賞味期限を記載しても大きな食品ロスにはつながりにくいと判断した」(同社広報部堤祐介氏)。フードバンクとの連携も強化し、フードロスが増えてもフードバンクへの提供ができるように配慮した。

■ SDGsで食品ロス削減の明確なターゲット

 ただし、この新方針には大きな疑念を持たざるを得ない。いまの日本にとって「食品ロスの削減」は喫緊の課題だからだ。農水省や環境省によると、日本の食品ロスは643万トンに達し、この量は世界の食糧援助量(2017年、年間約380万トン)の1.7倍に相当する。

 SDGs(持続可能な開発目標)でも、目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」のターゲット12.3において、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」と明記している。

 日本でも昨年10月に食品ロス削減推進法が施行され、食品メーカー、流通、地方自治体、消費者らに食品ロスの取り組みを求めている。所管である消費者庁も自ら、「食べもののムダをなくそうプロジェクト」を立ち上げ、食品ロス削減協力や食べ残しゼロなどを呼び掛けている。

食品ロス削減推進法施行に先立ち、賞味期間の「3分の1」以内に卸業者が小売店に納品しなければならない「3分の1」ルールも、スーパーを中心に「2分の1」に変更する事例が増えた。

 アイスクリーム類は「-18℃以下」という保存上の注意を守れば長期間保存しても品質の変化が小さいため、消費者庁の食品表示基準で賞味期限表示の省略が認められている。それを、わざわざ表示するとどうなるか。

 新しい日付の商品を選ぶ消費者が増える

 牛乳など他の加工食品と同様、客は陳列棚からわざわざ日付の新しいものから選び、その結果、古い日付の商品の返品・廃棄が増えるのは必至だ。これが他のアイスメーカーに拡大すれば、その傾向はさらに顕著になろう。それだけに明治の責任は重たい。

 食品ロス問題ジャーナリストの井出留美氏は「デンマークなど欧州では、加工食品の賞味期限表示をアバウトにすることで、実際に食品ロスが2割減ったという調査結果が出ている」と話す。

 欧州では、加工食品の賞味期限表示の横に「期限を過ぎていても食べられることもあります」や「色や臭いなど五感で判断して下さい」などの説明書きを添えることも珍しくないという。

 森永乳業のホームページでは、アイスの賞味期限について、次のようなQ&Aを掲載している。

Q: アイスに賞味期限がないのはなぜですか。
A: アイスクリームは冷凍庫(‐18℃以下)にて保管した場合、風味や色の変質がほぼ生じません。そのため賞味期限の記載が免除されています。また食品衛生法においてもアイスクリーム類・氷菓については、このような理由から賞味期限の記載を免除されています。

 ハーゲンダッツアイスクリームも、ホームページで下記のように表示している。「ハーゲンダッツは賞味期限を記載していません。-18℃以下で保存されていれば、保管期間の長さによる品質変化は極めて少ないからです。法律でもアイスクリームは製造日や賞味期限表示の省略が認められています」

■ 顧客ニーズに惑わされると社会ニーズを見失う

 もう一つの教訓は、「顧客ニーズがすべてか」という問題だ。これまで特に消費財メーカーやサービス・小売業にとって顧客の要望やニーズに応えることが、業績を伸ばし、企業価値を高める最大の手段とされていた。

 しかし、近年ではESG(環境・社会・ガバナンス)投資に象徴されるように、企業の社会対応力が、非財務情報として投資のモノサシに組み込まれるようになった。社会ニーズと明らかに剥離する企業の施策は、投資対象として見直されるリスクをはらむ。

 例えばアサヒビールが2004年、ペットボトル入りビールの発売を発表したところ、複数の環境保護団体から「PETのリサイクルシステムに多大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘され、発売を中止したこともある。

 消費者基本法の趣旨に明らかに抵触

 顧客対応についても、顧客の求めに応じるだけではなく、「顧客を啓発する」企業行動も求められている。2004年に改正された消費者基本法では、消費者の8つの権利とともに、事業主が果たすべき5つの責務が明示されている(CSR検定3級公式テキスト2章5「消費者重視経営とは何か」)。

 すなわち①安全と取引の公正を確保すること②必要な情報を提供すること③取引の際に消費者の知識や経験、財産状況などに配慮すること④苦情を適切かつ迅速に処理する体制の整備と適切な処理⑤国や自治体の消費者政策に協力することーーの5点だ。

 明治の今回の施策は明らかに②と⑤に反している。今回、消費者に提供すべきだった必要な情報とは「アイスクリームは-18℃で管理すれば風味や色の変質がほぼ生じないこと」。むしろ、適切な温度管理を徹底すべき旨を伝えるべきだった。

 ⑤国や自治体の消費者政策に協力することーーについては、消費者庁の「「食べもののムダをなくそうプロジェクト」、農水省の「ノー・フードロス・プロジェクト」、環境省の「食べ物を捨てない社会へ」などの取り組みに、明らかに反している。

 明治の今回の施策は苦渋の判断だったと想像されるが、上述した通り、明らかに時代の流れに反している。もう一点、重要なのは、間違った判断をした場合でも、修正する時間も十分にあることだ。それこそが真の「社会対応力」であり、対応できれば同社の社会的評価は高まることは間違いない。
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日経XTECH 2020/01/28 05:02 外薗 祐理子=日経 xTECH/日経コンピュータ
ご参考URL=https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/012500466/?P=1

    記者の眼
      離れて住む親には週1度は電話を、
                AI解析で分かった認知症早期発見の「鍵」


 もし自分や家族が認知症になったらと不安になることがある。身の回りの世話はどうしようか。仕事は続けられるのか。お金はどのくらいかかるだろうか。幸運なことに私も家族も現在、認知症当事者ではないが、もしそうなるなら早めに発見したいと思う。

 日本IBMによると、AI(人工知能)による解析で、認知症についても様々なことが分かってきている。例えば、「同じことを何度も言う」。認知症の典型的な症状として思い浮かべる人は多いだろう。

 IBMは高齢者に電話での見守りサービスを手がける「こころみ」(東京都渋谷区)と協業し、こころみが所有する高齢者との電話での会話ログを匿名化し、音声を書き起こしたテキストをIBMのAI「Watson」で解析している。「1回の会話の中で同じことを繰り返し言うより」も、「異なる日の会話で同じことを繰り返し言う」ほうが認知症との相関が高いことが分かったという。特に7日間程度空けるとこの特徴が顕著に表れた。つまり、1週間前と同じことを繰り返し言うのは、認知症の疑いがあるので早めに病院に行くほうがよい。認知症を早期に発見するには、1回限りではなく継続的に見ることが重要だというわけだ。

 「人間が直感や暗黙知で『こうでないか』と思うことがAIによる解析結果でも正しいと証明されることがある。これはその典型」(日本IBM東京基礎研究所アクセシビリティ&ヘルスケア担当の高木啓伸シニア・マネージャー)。

描画で認知症を見分けるポイント
 描画は昔から認知症研究とは関わりが深い。アルツハイマー型認知症かどうかを調べるため、時計の絵を描いて空間認知や構成能力を調べる時計描画テストという手法もある。IBMが着目するのは絵そのものではなく筆圧だ。タブレット端末に絵を描いてもらうと、健康な人の筆圧は一定だが、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の場合、筆圧にばらつきがあることが分かった。

 「完成した絵を見ているだけでは分からない。こちらはタブレット端末の発達というテクノロジーの進歩によって分析が可能になった例だ」と高木シニア・マネージャーは話す。

 IBMは歩行についても足の動かし方、上半身の姿勢、筋肉を動かすタイミング、関節への負荷、歩幅、歩行速度など様々な方面でAIを使った解析をしている。

 IBMを訪れたのは日経コンピュータ1月23日号特集「ITで創る『生涯現役社会』」の取材のためだったが、仕事であることを忘れて聞き入ってしまった。認知症が早期に発見できれば、運動や服薬などによって症状を軽くしたり進行を遅らせたりできる可能性が高まる。また介護や仕事、お金についても対策を立てやすい。私は親と離れて暮らしているが、週に1度は電話して長めに雑談しようと思った。

2065年には2.6人に1人が65歳以上
 先日42歳になった。幼い頃に想像していた42歳はもっと大人だった。20代の頃、40代の上司の背中は大きく見えた。いざ自分がその年齢になってみると、大して成長していないことに愕然とする。ただ40代になって体力が衰え、無理が利かなくなったと感じることが増えた。老いを意識するようになったのが30代との大きな差だと思う。

 さらに年をとったとき、社会はどう変わっているだろう。その中で自分はどう生きていけばいいだろう。そんな問題意識から生まれたのがこの特集だ。

 日本は高齢化率が30%近くという超高齢社会(65歳以上が全人口の21%超の社会)である。2065年には高齢化率38.4%と、2.6人に1人が65歳以上になる見通しだ。超高齢社会は労働力の減少、社会保障給付の増加、地域社会の崩壊など様々な社会課題をもたらす。2065年には私は87歳。日本人女性の平均寿命は2018年時点で87.32歳。2065年、私は半分くらいの確率で生きているだろう。超高齢社会とは誰かの問題ではなく、私自身の問題である。死ぬまで、どんどん度合いの増す超高齢社会を生きなくてはならないのだ。

 こうした数字を見れば不安な気持ちをかきたてられるが、特集を通じてIBMに限らず様々な企業が超高齢社会に向けて取り組みを始めていることを知った。AIを含む最新テクノロジーや、IoT(インターネット・オブ・シングズ)機器などから取れるデータの活用、異業種や他のステークホルダーとの連携が課題解決の決め手になる。

 未来への漠然とした不安は陰鬱とした気持ちを伴うが、不安に立ち向かおうと要素分解してみると対処法も浮かんでくる。取材を続けるうち、いつの間にか気持ちが晴れやかになって、テクノロジーを使ってどんな未来を創造できるかと、私はワクワクしていた。
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日刊スポーツ 2020年1月26日14時0分 ホーム 芸能 日曜日のヒーロー&ヒロイン参考URL
https://www.nikkansports.com/entertainment/column/sundayhero/news/202001190000103.html

         泉谷しげる “生涯乱入”レジェンドにはならないぞ

歌手で俳優としても活躍する泉谷しげる(71)。仕事が途切れることはなく、三重・四日市市のプロモーションビデオ「続 必見!四日市」のほか、TBS系連続ドラマ「病室で念仏を唱えないでください」(金曜午後10時)にも出演中。来月には3日連続のライブを開催する。今年、デビュー50年目を迎えた“生涯乱入”の泉谷に、その生きざまを聞いてみた。

 団塊世代ど真ん中

団塊世代のど真ん中、1948年(昭23)生まれだ。同世代で鬼籍に入る人もいるが、泉谷は現役バリバリだ。

「長生きの秘訣(ひけつ)があるわけじゃないけど、同じ世代のヤツがチョクチョク死ぬ。寝ないで遊ぶ、ナンパする。こっちも1度無理がたたって倒れてるから、今は12時には寝る。まあ、ようやく健全になった感じだな」

「続 必見-」では医師の四日の市役だ。08年フジテレビ系「あんみつ姫」で意気投合した、四日市の翔こと京本政樹(60)と共演している。

「すごい金がかかってるし、編集もすごい。四日市というのは、コンビナートのイメージが強いけど、自然も多い。どうやってスポットを当てるか考えたら、思い浮かんだのが座頭市。で、京本が四日市の翔なら、俺は四日の市でどうだと。地域活性イベントもやりたいし、日の当たらない地域を盛り上げたい。四日市は、近くに伊勢神宮があるくらいだから、神秘的なんですよ」

2月15日から、東京の下北沢でライブを開く。3日間連続だ。

「下北沢は、演劇と音楽が止まったことのない街。3日間という無理難題を言ってきて、つらいんだけどね。スタンディングなんかやらねえよ。ちゃんとスペースとって座って、お酒でも飲みながら歌を聞いてもらう。俺たちの世代は、スタンディングじゃ疲れちゃう。俺は客が立ったら『座れ、お前ら。この曲は立って聞くもんじゃないんだ』って座らせたことあるもんね(笑い)」

★ 23歳で「春夏秋冬」

71年にアルバム「泉谷しげる登場」でデビュー。72年には、今も歌い継がれる「春夏秋冬」を含む同名のアルバムを、23歳の若さで発表した。75年には吉田拓郎、井上陽水、小室等とフォーライフレコードを設立。時代を大きく動かした。いわばフォーク界のレジェンドだが、本人はかたくなにそれを拒絶する。

「レジェンドにならないように。努力しないとな。フォーライフの時は、金のことは何とかなるだろうと思った。最終的には損得も考えなくちゃいけないけど、やってみないとな。アーティストがお金のことで、きゅうきゅうとしちゃいけないからさ」

70年代、20代で歌で生き方を世に問い掛け、自分たちのレコード会社まで作った。

「今思うとさ、あの頃の20代ってみんな、老けてたっていうか。それは貧乏から脱出できたからなんだろうな。70年代は高度成長の時代。だから4畳半フォークとか“貧乏のふり”もできた。貧しいこともテーマにできた。今は貧しさをテーマになんかできない。はっきり言って、俺たちは、すごい環境を生き抜いてるのよ。団塊の世代は、劣悪な環境の中で、数が多かったから競争しなきゃならなかった。席の数は決まっているんだから。だから、仲間を蹴落とし、裏切りも半端じゃない。俺も裏切ったよ」

★ 漫画家志望だった

実は漫画家になるつもりだった。だが性に合わず、フォークギターを手にした。

「漫画家になりたかったけど、時代が悪かった。なんせ、ビートルズをはじめ、いろいろなバンドの音楽が流れてくる。映画、演劇も全部が変わり、新しいものが出てくる時代だった。どうも性格が室内競技に向いてないんだな(笑い)。コリコリと漫画を描いていると、やっぱり外へ外へ、目立ちたがり屋、お調子者だから」

お調子者はギターを手に脚光を浴びる。同時に多才でもあった。79年、テレビ朝日系「戦後最大の誘拐・吉展ちゃん事件」で、犯人役を演じて注目を浴びた。31歳。今に続く、個性派俳優が世に出た。

「おかげさまで、その時その時、レベルの高い仕事ができた。結局エンターテインメントが好きなんだろうと思うね。全部に関わりたいと。やりたかったものをやる。好奇心と冒険心が強かった世代なんで。それくらいやらないと、勝ち残れなかった。みんなすごいから、あの時代は。拓郎、陽水も、矢沢(永吉)も含めて、1個1個のタマがすごいじゃない。戦う気は全くなかったけど、意識しないわけにもいかなかった。乗り越えていかないと、自分のやりたいことはやれない。有名になりたいのとはちょっと違う、生き残るってことだな」

★ 「目指せ偽善」です

チャリティーの人でもある。93年に北海道西南沖地震が発生した時には「お前ら募金しろ!」と1人フォークゲリラ。雲仙・普賢岳、阪神・淡路大震災、東日本大震災…、ずっと続けている。

「単なる、うちらの世代の罪滅ぼしだよ。ちゃんと開き直って『やらない偽善より、やる偽善。目指せ偽善』ですよ。だって、毎日はできないでしょ。偽善じゃないですか。いいんですよ、偽善で。偽善と言われた方が、気が楽。365日、被災者のことを考えられているわけないんで。だから、偽善です! って。言えちゃう自分が好き(笑い)」

★ 天才ならず人災に

加藤和彦、忌野清志郎…ともに歌った盟友たちが先に旅立っていった。

「俺の幸せは何かっていうと、俺の青春時代は周りが天才だらけだったこと。だから頑張れた。すごいやつらばっかりだったから。いいライバルと一緒に過ごせたのが何より。ただ天才ってのは、これは死ぬなっていうのを平気でやる。だから俺は天才にならずに人災になろうって(笑い)。天才って危ないんだから。それに、そこまでの度胸はない。自分を壊すほどの」

50年目を迎えても本業はライブ。生涯現役だ。

「やっぱりライブ。本業でもあり、はっきり言って体力ですから。終わるとヘットヘトになるんだけど、幸せの痛み。はっきり言えば体力自慢、節制です。みんなでぶつかっていたいし、言いたいこと言っていたいし。我慢は駄目だよな、我慢は。長生きしようと思って、やってるわけじゃないけど、やっていたいから。エンターテインメントは全てにおいて最高の武器だから。政治の悪口も言えるわけでしょ。『安倍、この野郎』とも言える。でも、エンターテインメントだから(笑い)」

★ 紫綬褒章とか駄目

それでも、前述したようにレジェンド扱いはきっぱりと拒否する。

「引退と一緒じゃない。だから紫綬褒章とかもらったら駄目だよ。来たら、断る。ただ、ノーベル賞ならいいかな(笑い)。誰も相手にしなくなっても、俺は現役だって言ってたいね。生涯乱入! いまだに、ももクロとやると乱入扱いだからな。そういう風に言われるのがうれしい。この記事だって乱入。日曜日のヒーローって言われる男じゃないよ。生涯ジーパンはいていたいし、革ジャン着ていたい」

ジジイになっても、泉谷しげるはいつでも元気だ。【小谷野俊哉】

▼ 京本政樹(60)

泉谷さんとは、ドラマでご一緒して12年になります。僕にとっては頼れる爺(じい)-「しげ爺」と呼ばせていただいています。泉谷さんは「京兄ぃ」と。しげ爺と久しぶりにご一緒出来て、しかも役柄がピッタリの「四日の市」。個性的な芝居のアイデアを出していただき本当に楽しい撮影でした。“シティープロモ時代劇”に新たな息吹を取り入れる、独特なせりふ回しと存在感で演じてくださいました。良い人なんです。実にかわいい方(笑い)。大好きな方です。思いやり、気配りのある方です。

◆ 泉谷(いずみや)しげる

1948年(昭23)5月11日、青森市生まれ。3歳から東京・目黒で育つ。漫画家を目指した後、71年「泉谷しげる登場」で歌手デビュー。72年「春夏秋冬」がヒット。75年に吉田拓郎、井上陽水、小室等とフォーライフレコード設立。13年NHK「紅白歌合戦」初出場。俳優として79年にテレビ朝日系「戦後最大の誘拐・吉展ちゃん事件」で注目を浴びる。ほかTBS「金曜日の妻たちへ」映画「野獣刑事」など。14年「三匹のおっさん」がヒット。血液型O。

◆ TBS系「病院で念仏を唱えないでください」(金曜午後10時)

伊藤英明演じる松本照円は、救命救急センターに勤務する僧侶で、何かにつけ念仏を唱え説法する。照円が幼少の頃に亡くなった友達の父親で、本当の父のように慕う宮寺憲次を泉谷が演じる。

(2020年1月19日本紙掲載)
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BLOGOS NEWSポストセブン2020年01月26日 07:00
ご参考URL=https://blogos.com/article/431859/

      定 年 延 長 の し わ 寄 せ で  4 0、5 0 代 社 員 の 大 量 リ ス ト ラ が 加 速 す る

「生涯現役社会」を強調する安倍首相の意を受けて、ついに厚生労働省が「70歳就業」(70歳定年)路線へと舵を切った。超高齢化社会が進む中、70歳を過ぎても働きたいという人がいる一方で、働き盛り世代にそのしわ寄せが来ることは決して無視できない問題だ。ジャーナリストの山田稔氏が、70歳定年社会の“落とし穴”を検証する。

* * *
 2021年4月から、高齢者が希望すれば70歳まで働くことができるよう、厚生労働省が企業に就業機会の確保を求める関連法案の要綱をまとめ、労働政策審議会の専門部会で大筋了承された。70歳就業を企業の努力義務とするという。1月20日に召集された通常国会に提出する。

 厚労省が推し進める政策はどんな内容なのか。ポイントは以下の4つだ。

(1)企業は70歳までの就業に向け、定年延長、65歳以上の継続雇用制度導入などの方法で希望者が就労できる環境整備をする努力義務を負う
(2)短時間の仕事を掛け持ちする人の労災認定時に、すべての労働時間を合算して判断する制度を導入
(3)掛け持ちで働く65歳以上の人の雇用保険加入条件を緩和
(4)現役時代に比べ大幅に減給した60~64歳に月給の最大15%を支給する高年齢雇用継続給付制度について、2025年度から最大10%に引き下げる

 就業年齢を引き上げることで、膨れ上がる社会保障費を改善するために「支え手」を増やそうという狙いだ。

 日本社会では昭和初期から55歳定年が当たり前だった。一方、年金受給年齢も1953年(昭和28年)までは55歳だった。終戦直後までは「55歳リタイア」→「年金生活」が一般的だったわけだ。

 1980年代になると総労働力人口減少の解消を目的に定年が60歳に引き上げられた。このときも努力義務である。2000年には65歳までの雇用確保措置が努力義務とされ、2006年に65歳までの雇用確保措置が義務化され、2013年には65歳までの継続雇用を義務化した。こうして65歳定年が一般化したのである。

 当然、年金受給年齢は引き上げられる。1954年に60歳(女性は55歳のまま)、1985年に65歳(女性は60歳)になり、60~65歳まで特別支給の老齢厚生年金を支給。その後も老齢厚生年金定額部分の改正や報酬比例部分の改正が行われてきた。そして今、在職老齢年金の見直しが進められようとしている。

 政府の方針はハッキリしている。「働けるうちは働け!」──それに尽きるようだ。

◆ 超高齢化社会の厳しい現実
 こんな事態になったのは、超高齢化社会が急速に進行しているからに他ならない。住民基本台帳に基づく人口(住基人口)で、1994年の調査開始以来の年齢階級別人口の変遷を見てみよう。年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、老年人口(65歳以上)。

【1994年】年少人口=16.48%/生産年齢人口=69.65%/老年人口=13.87%
【2000年】年少人口=14.72%/生産年齢人口=68.21%/老年人口=17.07%
【2010年】年少人口=13.42%/生産年齢人口=63.90%/老年人口=22.68%
【2019年】年少人口=12.45%/生産年齢人口=59.49%/老年人口=28.06%

 この25年ほどの間に、社会保障の支え手で働き手である生産者年齢人口の割合は1割以上減って6割を切ってしまった。人口で見ると8660万人から7423万人へと実に1200万人超の大幅減である。

 深刻なのは少子化。年少人口(子ども人口)の割合は4%下落、2048万人から1553万人に落ち込んでいる。少子化は政府機関の予想を上回るスピードで進んでいて、2019年の国内出生数は86万4000人(厚労省推計)と調査開始以来初の90万人割れとなった。将来の生産年齢人口が大きく落ち込むことは確実だ。

 その一方で増え続けているのが高齢者である。老年人口の割合は15%以上も増え、人口では1724万人から3501万人へと倍増した。働き手が大幅に減り、高齢者が倍増。これでは社会は成り立たない。

 年金や医療などに充てられた社会保障給付費は2017年度、初めて120兆円の大台に達した。政府の推計では2025年度には140兆円にまで跳ね上がると見られている(厚労省資料から)。

 少子高齢化の歪み、弊害が年々顕著になってきている。そこで安倍政権は定年を事実上70歳に引き上げ、同時に年金の受給年齢も徐々に引き上げようとしているのではないか、と見られているのだ。

◆ 「70歳就業」でバラ色の社会になるのか
 これまでの定年延長の歴史をみても、最初は企業への努力義務だったのがやがて義務化されていった。それでいくと70歳就業(70歳定年)も数年先には義務化される可能性が十分ある。

 2018年の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳。とはいえ、自立して生活できる年齢を示す「健康寿命」は2016年時点で男性72.14歳、女性74.79歳である。70歳まで働いた後に自由に過ごせる“リタイア生活”の期間は極めて限られてしまう(すべての人がリタイア生活を送れるとは限らないが)。実質的に、「死ぬまで働き続けろ」という社会が迫ってきているとしか思えない。ゆとりも寛容性も感じられない社会だ。

 では、現役世代は「70歳定年」をどう受け止めるだろうか。

 日経新聞が2019年秋に実施した郵送世論調査によると、70歳以上まで働くつもりだと答えた人が30~50代は3割前後にとどまったものの、60歳代では54%にのぼった。回答の平均値は67.5歳で前回よりも0.9歳上昇し、75歳以上まで働くつもりと答えた人も16%いた。老後の生活のために働き続けたいという人にとっては「70歳定年」でも満足できないということか。

 70歳を過ぎても働きたという国民と、「生涯現役」をアピールして「70歳定年」を実現させようとしている政府。高齢者雇用の実現という点では両者の思惑は一致しているが、そうそううまくいくものだろうか。

「70歳定年」が実現すれば、職場での技術の継承という課題の解決につながることは間違いない。熟練技術者の後継問題に悩む中小・零細企業にとっては恩恵を受けることになるだろう。

 しかし、サラリーマン社会では高齢の部下が一気に増える事態となる。これは確実にストレスがたまる。逆に高齢者は年下の部下の下で働くわけで、こちらはプライドの問題が出てくる。

 職場内の問題だけではない。企業の雇用スタイルが「終身雇用」から「実力主義」「効率主義」へと変化している中で、「構造改革」の名のもと、容赦ないリストラが行われているのが実情だ。

 東京商工リサーチが2019年12月に発表した「2019年(1~11月)上場企業『早期・希望退職』実施状況」によると、同時期に早期・希望退職を募集した上場企業は36社で、対象人数は1万1351人に達した。業績が堅調にもかかわらず、将来の市場環境を見据えた「先行型」の実施も見られたという。いわゆる「黒字リストラ」だ。

 データを調べると、2019年に100人以上の人員削減を行った企業は17社ある。最大のリストラを行ったのは富士通でなんと2850人。早期退職の対象は45歳以上だ。このほかジャパンディスプレイが1266人、パイオニア950人、東芝が823人など、大手企業のリストラが目立つ。人事や総務といった間接部門の削減、配置転換が主流となっている。

 今後、定年が引き上げられても、企業からすれば継続雇用で給料が大幅にダウンする高齢社員を雇い続ける一方で、40代、50代の高給取りの“余剰社員”をリストラすれば人件費を大幅に削減できる。正規社員を減らし、非正規社員を増やしてきた手法と同じ論理である。結局、しわ寄せが現役の中堅・若手社員にくるという構図になりかねないのである。AI導入もリストラの加速に弾みをつける要因のひとつだ。

 政府が音頭を取って「70歳定年」時代を実現したところで、リストラの嵐を乗り越えて70歳まで同じ会社に残ることができる社員はどれだけいるだろうか。高齢社員が増えた企業での若手・中堅社員のストレスやモチベーションはどうなるのか。企業が経営効率を追い求め続ける限り、70歳定年の恩恵を受けられる社員と、そのはるか前にリストラされる社員という現実が待ち構えているのではないだろうか。

 高齢者の就業機会を増やすことは方向的には間違いではないだろうが、単なる就業期間の延長だけでは超高齢化・地方疲弊・格差拡大社会の問題解決には不十分である。社会保障、税金、年金、人口問題、地方活性化などを総合的にとらえ、20年後、30年後の国家像を国会で徹底して議論し、国民に提示していくべきだ。

 明確な国家ビジョンを示すことができないまま70歳定年を先行させようとしても、社会のコンセンサスは得られない。
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ニュース和歌山 ホーム ニュース 人生の第二幕に道筋〜「100歳大学」実現目指す
ご参考URL=https://www.nwn.jp/news/200125_ikigai/

       人 生 の 第 二 幕 に 道 筋 〜 「 1 0 0 歳 大 学 」 実 現 目 指 す

 人の輪を通じ、生きがい創出を支援する和歌山県健康生きがいづくりアドバイザー協議会。地域や企業など多彩な分野で活躍する人材を養成し、今年で20周年を迎えた。その中、同協議会が打ち出すのが「100歳大学」構想だ。生涯現役のための〝第二の義務教育〟を目指すもので、昨年、設立準備委員会が発足。2月1日㊏にはシンポジウムで必要性と意義を訴える。同協議会は「人生100歳時代。高齢者が健康で過ごせ、地域を支える仕組みにつなげます」と力が入る。

  県健康生きがいづくりアドバイザー協議会 老いへ備え地域支える

 健康生きがいづくりアドバイザーは「健康・生きがい開発財団」の認定資格。健康で生きがいを持ってすごす意義の啓発、仲間づくりやサークル活動の支援のほか、中高年齢者から相談を受け助言する。全国に51の地方組織があり、アドバイザーは約5千人に及ぶ。

 和歌山では2000年に県健康生きがいづくりアドバイザー協議会が発足。養成講座を毎年行い、現在38人が語り部、キャリアカウンセラー、インストラクターなど様々な分野で、ノウハウを生かしている。

 和歌山市でラフターヨガ(笑いヨガ)教室を開く藤島壽子さんは設立当初からのメンバー。「地元出身でなく、友人をつくりたいと参加しました」。そこから友人ができ、ボランティア活動に参加。輪が広がる一方で、自ら教室を主宰するまでに。「まず自分が生きがいをみつける。生きがいは人それぞれなので、触れあう中で引き出していければ」と語る。同協議会の市野弘会長は「最近は定年前の人も講座に来ます。それぞれの現場で、生きがいを考えのベースにして取り組んでもらえています」と話す。

 その市野さんの提案で動き始めたのが「100歳大学」構想だ。市町村の実施で、対象は60〜75歳。地域で週1回開き、約10ヵ月間、人生100歳時代の中身、運動や疾病予防など老いへの備えを学ぶ。修了後、地域を支え、就労につなげるなど人生の第二幕を社会とかかわり健康に過ごす基礎を身につける。

 市野さんが昨年5月25日号のニュース和歌山コラムで訴えたところ、賛同の声が寄せられ、昨秋に100歳大学設立準備委員会が立ち上がった。同委員会委員で和歌山LOGシニアコープの高林稔さんは「高齢者が自然に衰え要介護になるのではなく、プレフレイル(前虚弱)に留まり、戻るために必要なことを学ぶ教育の福祉との考えが根底にあります」。

 県外では滋賀県の粟東市、湖南市で既に導入され、新潟県長岡市、愛知県大治町で検討が進む。同委員会は和歌山市へ働きかけており、副委員長の吉本昌純同市議は「高齢者が地域で力を発揮する基点になる。市が進めれば、考え方が市民へ浸透します。シンポジウムはその第一歩。多くの方に必要性を感じてほしい」と望む。

 他市では100歳大学を介し、高齢者が子育て支援の仕事についた例も出ており、市野さんは「高齢者が家から出て、地域の担い手になる、そんな人生二幕目への道筋をみんなでつくっていきたい」と意気込んでいる。

 シ ン ポ ジ ウ ム 「 人 生 は 二 幕 目 が お も し ろ い 」
 2月1日㊏午後1時、和歌山市手平のビッグ愛1階

 健康生きがいづくり公演として、南京玉すだれや腹話術、ラフターヨガなどを披露。3時から國松善次元滋賀県知事の講演「第2の義務教育」。和歌山100歳大学設立準備委員会の浦口高典委員長、理学療法士の龍神正導さんらよるトークがある。
 無料  同協議会(073・474・2248)
(ニュース和歌山/2020年1月25日更新)
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日経マネー 2020/1/24 野尻さんの定年1年生
ご参考URL=https://style.nikkei.com/article/DGXMZO5445652016012020000000

     老後の節約ほどほどに 高齢者消費が日本の成長を左右
日経マネー
2019年4月の退職に伴って、新しい仕事の足場として設立した合同会社フィンウェル研究所のホームページが、やっと10月に立ち上がりました。その際に何より気を配ったのは、「この会社が何を目指していくのか」という部分です。

世間ではこれをMissionやVision、Valueなどかっこよく表現することがはやりです。しかし高齢者を対象にしようとする私にとっては、英語を使って経営を示すのではなく、もっと分かりやすく「何を目指すのか」をまとめる方が重要に思えました。

それが「高齢者が安心して資産を活用できる超高齢社会」です。対象者は「高齢者」、自分も含めてその人たちが「生涯にわたり安心して持っている資産を活用していける(使っていける)」、そんな「超高齢社会」を目指したい、と考えています。

巨額の資産が眠ったまま?
このメッセージで最も大切なのは、「安心して使える」という点だと考えています。

先日、生涯現役の日(10月1日)の交流イベントに参加してきました。雇用(企業側の目線で)、就労(働く人の目線で)、社会活動、健康寿命、資産寿命の5つのテーマを、それぞれのグループに分かれて議論し、それを発表するイベントでした。

私は資産寿命のテーブルで発言をさせていただきましたが、資産寿命というテーマの議論には、やはり「いかに資産を使わないようにしていくか」が根底にあるように思いました。この視点からすると、「安心して資産を使っていける超高齢社会」とは逆の考え方なのではないかとも思いました。

しかし、高齢者が持っている資産を使わなければ、将来的に4割が65歳以上になる世界で誰が消費を担うのでしょうか。

「日本の個人金融資産は1900兆円」といわれます。個人保有の土地や設備なども含めると、その額は実に3000兆円弱です。この事実が忘れられているように思います。

相続では土地の評価がいつも話題になりますが、これも含めて考えるのが本当の意味での資産です。特に高齢者の場合には。国民経済計算を基にフィンウェル研究所が「老々相続の重み」を考えると次のようになります。

2017年に個人が保有している金融資産と土地、設備などを合算したものです。この総額は2976.6兆円になります。このうち、現預金が32%、土地24%、保険・年金18%、その他非金融資産と有価証券が各々12%、その他の金融資産が2%で、個人金融資産と同様に3分の2を高齢者が保有していると仮定すれば、「2000兆円の資産を持った世代」が高齢者なのです。

ところが、その高齢者は総じて資産を使わないように、使わないようにと考えて生活を送っています。平均余命が長くなって、自分の寿命まで資産が持つかが心配なわけですから、そうした傾向が強まるのは致し方ないことです。しかし、彼らは、いや私たちはこの2000兆円の資産を有効に活用しているのでしょうか。

平均余命が長くなっているということは、亡くなる年齢が高くなっていることです。それに伴い、相続は90代から60代へと受け継がれることが多くなっています。

18年の人口動態統計で見ると、男性の死亡者数が最も多い年齢帯は85~89歳で13.3万人、女性は90~94歳で15.1万人です。夫から妻への1次相続は夫が80代後半に発生し、母親から子供への2次相続は母親が90代に入ってから起きることが多い、ということになります。親から子へと行われる相続が発生するのは、相続人、すなわち子供が60歳代になってからが多い、というわけです。

相続が高齢者同士で発生する「老々相続」となると、資産はその「高齢者」の間だけで回っていくことになります。そして、その資産は「老後のためにできるだけ使わない」という、より保守的な傾向の中に取り込まれたままになってしまいます。その規模は2000兆円にも達しているのです。

高齢者消費が成長を左右する
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、65年の日本の人口構成は、65歳以上がほぼ変わらない3300万人台である一方、20~64歳の現役層は約7000万人台から4000万人台に大きく減少します。つまり、現役世代の消費だけで現在と同じ水準の経済規模を維持するのは難しい、ということになります。

そうなると、高齢者の消費が経済成長には欠かせなくなります。高齢者が保有するこの2000兆円の資産は、その成長のための重要なリソースといえます。

フィデリティ退職・投資教育研究所が16年に実施した「相続人5000人アンケート」で推計した相続市場の規模は、約50兆円でした。毎年50兆円に上る相続資産は、2000兆円の高齢者の資産のわずか2.5%にすぎません。

しかしその見直しには大きな効用があります。例えば、高齢者がほんの少し今よりも資産の使い方、取り崩し方を理解して、相続として子供に残すだけではなく、消費に回すことができたならばと考えてみてください。

高齢者が相続資産50兆円の1割、つまり5兆円分の節約を緩めたとします。この規模は、高齢者の保有する資産からするとわずか0.25%です。しかし、500兆円余りに及ぶGDP(国内総生産)から考えると、約1%に相当します。

すなわち、高齢者が相続させる資産の1割を上手に消費に回せば、日本の経済成長率を1%引き上げる力になるのです。まさしく「高齢者が安心して資産を使える社会」こそ、超高齢社会で必要不可欠な考え方ではないでしょうか。

野尻哲史:フィデリティ退職・投資教育研究所所長、フィンウェル研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信に入社。07年からフィデリティ退職・投資教育研究所所長。19年にフィンウェル研究所を立ち上げ「複業」をスタート。アンケート調査を基にしたお金に関する著書・講演多数
[日経マネー2020年2月号の記事を再構成]
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@nifty ニュース 2020年01月23日 07時00分 NEWSポストセブン
ご参考URL=https://news.nifty.com/article/sports/athletic/12180-537794/photo/

      レッスン嫌いの尾崎将司、本気で「第2のジャンボ」を育成へ

 プロ通算113勝の金字塔を打ち立て、72歳でレギュラーツアー参戦を続ける“ジャンボ”こと尾崎将司だが、いよいよ「後進の育成」にも本気で力を注ぎ始めたようだ。

 ジャンボの主催するジュニアレッスン会が、2月1日に千葉市内で行なわれる。今年で3回目を迎えるが、昨年はジャンボ本人に加えて直道、健夫の“尾崎3兄弟”が顔を揃え、飯合肇や川岸良兼、さらには昨年ツアー初勝利をあげてブレイクした原英莉花ら「ジャンボ軍団」の豪華メンバーが勢揃いで指導にあたった。

「プロゴルファーを目指すジュニア(15~22歳)への2時間の無料レッスン会で、『ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー』のセレクションも兼ねます。合格すればジャンボ軍団と一緒に毎月最低2回、専用練習場での練習に参加できます。スイングはもちろん、フィジカル・メンタルのトレーニング、コースマネージメントなど、あらゆる角度の指導を受ける。すでに40人のアカデミー生がいて、全国レベルのジュニアと切磋琢磨します。昨年の女子プロテストでは1期生の西郷真央が合格したのをはじめ、ジュニア大会や大学選手権の優勝者などが生まれています」(運営事務局を務めるNPO法人・JUMBOスポーツ・ソリューション)

 ジャンボ自らメニューを考え、指導に当たる熱の入れようだという。

「生涯現役を掲げてレギュラーツアーにこだわるジャンボですが、予選通過も厳しいのが現実です。そうしたなか、これまでは軍団のメンバー以外にはレッスンをしてこなかったジャンボがジュニア世代をサポートして日本のゴルフ界の発展に貢献したいと考えるようになったといいます。本人は“教えるのは苦手”と公言していますが、自分が手本になれる間に『第2のジャンボ尾崎』を育てるのが目的。

 レッスンでは、一人ひとりのスイングを見て丁寧に指導しながらも、やはり“飛ばし屋育成”の傾向は強くなる。スイングが小さくまとまっているジュニアに対しては“もっと振れ!”と強調する姿が見られます」(ゴルフ担当記者)

 レジェンドの期待に応えられる「後継者」は生まれるか。

※週刊ポスト2020年1月31日号
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文春オンライン 1/22(水) 11:00 配信
ご参考URL=https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200122-00027899-bunshun-life

     『 ラ イ フ・シ フ ト 』 著 者 か ら 日 本 へ の 提 言!  
             「人 生 1 0 0 年 時 代 」 で 求 め ら れ る ス キ ル と は


 「高齢化は今や世界的な課題です。1850年以降のデータを見ると、人類の平均寿命は10年ごとに2年ずつ延び続けている計算になります。

 先進国においては、1967年生まれの半数は91歳まで、87年生まれの半数は97歳まで、2007年生まれの半数は103歳まで生きるとの予測もあります。『人生100年時代』は、もうすでに始まっているのです」

 「人生100年時代」の提唱者が語る“長寿の恩恵”
 こう語るのは、人材論・組織論の権威であるロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏(64)だ。

 「人生100年時代」は今でこそ聞きなれた言葉となったが、元々はグラットン氏が提唱したもの。長寿の時代に向けて働き方や生き方を変えていく必要性を説いて、世界的に影響を与えた。アンドリュー・スコットとの共著『 ライフ・シフト:100年時代の人生戦略 』(東洋経済新報社)は20カ国語以上に翻訳されており、日本でも35万部を超えるベストセラーとなっている。

 長寿といえば年金や介護など、負の側面がクローズアップされがちだ。

 文藝春秋ではグラットン氏に単独インタビューをおこない、長寿を厄災ではなく恩恵にするために、我々はどのような人生を築くべきかを聞いた。

人間にしか出来ない仕事は何か?
 「長寿社会とは、『より長く働く社会』でもあるのです」

 グラットン氏がこう語るように、日本では定年の引き上げが検討され、「生涯現役」という言葉もよく聞かれるようになった。だが、自分自身が持っている能力がいつまでも通用するとは限らないし、勤めている会社が倒産するという可能性もある。

 少しでも長く仕事を続けるために、我々はどのようなスキルを身につけておくべきなのだろうか。

「実は、何を学ぶかはそれほど重要ではなく、人生を通して絶え間なく学び続ける姿勢が必要なのです。その中で自分自身が夢中になれることを見つけられれば、皆さんの人生は充実したものになるでしょう。

 ただ、時代の流れを考えると、『テクノロジーの進化』には触れておくべきでしょう。AIやロボットの普及によって代用される仕事は確実に増えていきます。重い荷物の運搬作業や金融機関の窓口業務などは、ロボットに置き換わりつつあります。我々はその事実から目を背けることなく、『人間にしか出来ない仕事は何か』ということを考え、自ら学び続けなければなりません。1つ確かなことは、テクノロジーが発達した未来では、我々の仕事にはより“人間らしい力”が求められるということです」

 では、人間が機械より優れている点とは何なのか――。

 他にも、長寿社会を幸せに生きるための「3つの無形資産」、男女平等を阻んでいる日本企業と男性の問題点などについてグラットン氏が語ったインタビュー「 人生百年時代のカギは男女平等だ 」全文は、「文藝春秋」2月号、「文藝春秋digital」に掲載されている。

「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年2月号
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msn ニュース 2020/01/21 06:00   ご参考URL=
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%82%92%e6%95%91%e3%81%a3%e3%81%9f%e5%a4%a7%e4%b9%85%e4%bf%9d%e5%88%a9%e9%80%9a%e3%81%a8%e5%be%b3%e5%b7%9d%e6%85%b6%e5%96%9c%e3%81%ae%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e7%9a%84%e3%81%aa%e9%81%95%e3%81%84/ar-BBZ9xpX?ocid=UE01DHP

        日本を救った大久保利通と徳川慶喜の決定的な違い                                              
     ◎ 未来を見据えていた12人の日本人(第1回)「 大 久 保 利 通 」 
                                倉山 満(憲政史研究者)

                     
 現状主義者と現実主義者は、似て非なる存在である。
 現状主義者とは、目の前の現状を把握し、客観情勢を読み、与えられた情報に基づいて、最適解を探して実行する人物のことである。
 歴史において、救国の英雄が現状主義者であった事例は1つもない。国を救うのは常に現実主義者である。では、現実主義者と現状主義者は何が違うのか。2つある。
 1つは、あらゆる空想を排する。もう1つは、明確な理想を掲げる。すなわち、あらゆる現実主義者は理想主義者なのであり、空想主義とも現状主義者とも一線を画するのである。

西郷の代わりを務めようと決意
 我が国における現実主義者の代表は、大久保利通である。言うまでもなく、幕末期の危機から日本を救い、近代日本の礎を築いた。では、大久保はどのような人生を歩んだのであろうか。

 文政13(1830)年、大久保は薩摩に生まれた。既に西洋列強は忍び寄っていたが、幕府は見ないようにしていた。人々は経済と文化の繁栄を謳歌していた時代である。そんな時代、大久保は幼馴染の西郷隆盛と「自主ゼミ」を始めた。朱子学の『近思録』が教科書である。仲間と読書し、議論し、学ぶ。大久保は議論が得意だったと伝わる。

 仲間の中で最初に出世したのは、年長の西郷だった。西郷や大久保は、「誠忠組」を結成し、藩主と日本の為に尽くしたいと訴えていた。西郷は国主・島津斉彬の目に留まり、江戸で秘書のような立場に取り立てられる。

 ペリー来航、開国、尊王攘夷論の流行、朝廷や外様大名の政治参加の圧力、将軍継嗣問題、不平等条約調印、安政の大獄・・・と連続する政局の中で斉彬は病死、「工作員」として活動していた西郷も失脚して島流しとなった。

 こうした中で大久保は、自らが西郷の代わりに働こうと決意する。狙いを斉彬死後に国父の地位にあった久光に絞る。囲碁が趣味だと聞きつけるや自らも碁を覚え、久光が読む本の中に手紙をしのばせるなど、あらゆる手段を使って取り入った。

とんでもない食わせ物だった慶喜
 文久2(1862)年、転機が訪れる。久光は幕政改革を志し、3000の兵を連れて上京し、政治改革を上奏する。朝廷の主流派は薩摩の兵力を背景に幕府に圧力をかけるべく、そのまま江戸に下る。そして、幕府に対して「一橋慶喜政権の樹立」を要求した。当然、老中たちは渋るが、勅使大原重德は暗殺をも仄めかして飲ませた。その時、控えの間には大久保利通が屈強の刺客を引き連れて控えていたという。かくして、慶喜は薩摩の力で事実上の政権首班に就いた。

 当時、慶喜は「日本を救えるのは、この人しかいない!」と評判だった。若い頃より英才の誉れ高く、多趣味な教養人だった。行政を切り盛りするとの意味では、最高の政治家だった。謀略の類も得意だった。非情の決断もできた。個人的な身体能力も高く、武芸百般に通じ、実際に戦場での指揮も卓越していた。名門の生まれであり、日本一の人脈を誇った。すべてを手にしていた完全無欠の政治家のように思われていた。

 ところが、慶喜はとんでもない食わせ物だった。慶喜はあらゆる勢力を振り回し、いいように使い、平気で切り捨てる。微塵も躊躇しない。

 まず、切り捨てられたのが薩摩だ。慶喜の政権基盤は、会津と薩摩の軍事力だ。幕府の官僚機構や朝廷に対する発言力を持てるのは、薩会同盟を結んでいる両藩が慶喜に忠誠を誓うからに他ならない。だが慶喜は外様の薩摩を嫌い、同じ徳川の会津、それに桑名に傾斜する。その様は、「一会桑政権」と呼ばれた。天皇の名前を使い、ことごとく幕府の官僚機構の動きを封じ込める。朝廷に対しては外国の圧力を利用する。

 日本に不平等条約を押し付けてきた列強は、貿易港として兵庫の開港を要求する。しかし、時の孝明天皇は、大の外国嫌いだった。京都と目と鼻の先の兵庫の開港など、この世の終わりである。慶喜はマッチポンプの如く振る舞った。外国に対しては、「兵庫開港問題を解決する当事者能力がある日本人は自分だけだ」と主張する。一方で天皇に対しても、「外国と話をつけて追い払えるのは自分だけだ」と囁く。列強も天皇も、慶喜に従うしかない。

 この調子で5年間、外国公使も含めて、日本中を振り回した。そしてその間、1ミリも問題は解決しなかった。

 列強の侵略にさらされていた日本にとって、解決策は簡単である。すなわち、強い政府を作る。全国に大名が点在して、各々が年貢をとって、勝手に軍隊や黒船を作っているようでは、列強に勝てるはずがない。だから、中央政府に税金を集めて日本国の軍隊を作るしかない。現代の我々は「富国強兵」こそが救国の道だと知っている。それは、当時の少なからずの日本人も知っていた。

 だが、慶喜に政権を任せた5年間、何ひとつ「富国強兵」に向けて進まなかった。

薩長同盟を深化し、打倒慶喜へ
 そうした中、日本でただ1人、未来が見えていた人がいた。大久保利通である。大久保は、「慶喜がいる限り、日本救国はあり得ない」と確信していた。慶喜がいる限り、如何なる正論も通らない構図は、さんざん煮え湯を飲まされている薩摩は身に染みている。

 だが、現実の慶喜の権力は絶大である。政治に如何なる空想も持ち込まない大久保は、できもしない正論に加担して焦って暴発などはしない。力を蓄えつつ情勢を探り、時を待った。

 動きが起きた。長州藩が徳川に逆らい御所に発砲した罪で、第一次長州征伐を受けていた。その参謀で実質的指揮者が西郷隆盛で、長州に寛大な和議を許した。ここで慶喜の意のままに長州を潰すべきではないとの判断だった。そして元治元(1865)年、高杉晋作が長州藩内でクーデターを起こす。功山寺決起である。高杉は劣勢を跳ね返し、反論を討幕で一致させた。

 この動きに大久保は反応し、薩長同盟に動く。ただし、この段階では秘密条約であり、長州が再び徳川と交戦する際に薩摩は中立を守り、裏面で物資の援助をするに留まる。発覚したら謀反人として幕府法で罰せられる重罪だが、もし長州が破れたら無かったことにできる程度の紙切れだ。その証拠に立会人が、ただの素浪人の坂本龍馬だ。仮に幕府に同盟の誓紙を証拠として突きつけられても、「ふざけているのか?」としらを切り通せる。

 それでも、逆賊として孤立した長州は、藁にもすがる思いだ。そして、徳川を相手に孤軍奮闘し、遂には撃退した。この間、幕府は薩摩に出兵命令を下したが、大久保はあらゆる手段を使って拒否した。

 長州が実力を示したことで、薩長同盟は急速に深化する。何より大久保は、打倒慶喜に邁進する。

 この状況でも、「慶喜抜きの政治はありうるのか」が、当時の政界の常識だった。慶喜は悠々、征夷大将軍に就任する。ただでさえ実質的な最高権力を握っている慶喜が、権限も掴んでしまった。こうした状況ゆえに、坂本龍馬なども慶喜を中心とした雄藩連合を構想している。むしろ大久保の方が、非現実的に見え、時に権力亡者に映る。

 だが、そうした批判をした人たちの何人が大久保と同じ未来を見ていただろうか。大久保の理解者は西郷くらいだっただろうか。

抗戦すべきと訴える側近と慶喜の問答
 武力衝突を回避し、じわじわと薩長を圧倒しようとする慶喜に対し、薩摩は徹底的に挑発する。討幕の密勅を引き出そうとする大久保に対し、慶喜は大政奉還の秘策で切り返す。将軍を辞めてしまえば討幕の大義名分は無くなると考えた慶喜に対し、西郷は江戸焼き討ちなどの挑発で切り返す。

 慶喜もさるもので、大久保の盟友で朝廷工作を一手に担っていた岩倉具視を買収したとの風聞まで流れる。実際、岩倉の動きは一時的に鈍くなる。

 だが、大久保は一歩も引かなかった。

 そして、慶応4(1868)年1月3日、鳥羽伏見で慶喜と薩長は激突する。慶喜の兵力は薩長の3倍。大久保は自分の苦労がすべて「土崩に帰した」慨嘆した。だが、大久保は負けない。朝廷から錦の御旗を引き出した。

 西郷の奮戦もあり、薩長優勢で初日を終え、両軍が兵をいったん引き、翌4日に再び戦いが始まる。そして薩長に錦の御旗が翻った。徳川は逆賊である。ここに雪崩現象が起き、慶喜は潰走(かいそう)した。

 なおも抗戦すべきと訴える側近と、慶喜の問答が残っている。
「ここに西郷吉之助ほどの者がおるや」
「おりませぬ」
「では、大久保一蔵ほどのものがおるや」
「おりませぬ」

慶喜と大久保を決定的に隔てたもの
 慶喜は英邁な人物だった。本来ならば、大久保が対等に戦える相手ですら無かった。この時点で慶喜は征夷大将軍、大久保は外様大名の島津家の家老ですらない、ただの重役だ。だが、日本を救ったのは慶喜ではなく、大久保利通だった。ではいったい、何が違ったのだろうか。

 ただ一点、未来への意思である。

 大久保には明確な理想があった。日本を世界中の誰にも媚びないで生きていける、文明国にする。あらゆる空想を排し、決して現用に流されず。現実に可能ないかなる手段を用いてでも理想を実現する。

 討幕維新は、大久保にとってゴールではなくスタートだった。そして、志半ばで暗殺に倒れる。その過程で、最大の親友である西郷隆盛を自らの手で殺した。

 では大久保の理想が、実現したのはいつだろうか。

 日露戦争の勝利である。明治37、38年戦役において、尊王攘夷は成就した。
 世の中には大きく、2つの価値がある。1つは自分の生きている間がすべてだとの価値観である。この種の価値観にとらわれた人々は、権力、富、地位、名誉などを求める。もう1つは、自分の価値は生きている間に得たものがすべてではないとの価値観だ。
 生前の大久保は、前者のように思われていたが、実際には後者の人であった。
 大久保利通は、現状主義を徹底的に排した、現実主義者だった。

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