日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
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ご参考URL=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22031170X01C17A0I00000/
    人 生 1 0 0 年 時 代 の マ ネ ー と キ ャ リ ア 、「2%」の衝撃

 65歳で退職後、100歳までの生活に必要な資産を持つのは退職者全体のわずか2%――。フィデリティ退職・投資教育研究所が1万2000人を対象にしたアンケート調査は衝撃の現実を示す。年齢とともに体力は衰え、現役世代と同じような働き方は難しくなっていくもの。人生100年時代のキャリアとマネープランを考えてみた。

 取材班はフィデリティのデータに加え、総務省の家計調査などをもとに、平均的な生活費として月約27万円が必要な無職の高齢夫婦世帯を想定。月17万円の年金を受け取りながら、介護費用なども含めた退職後の金融資産の減り具合をシミュレーションした。

 シュミレーションの結果は、65歳時点で退職金を含む金融資産が2500万円あっても、働かなければ85歳で資産が底を突くことになった。実際には年金が減ったり、物価上昇で生活費が上がったりして、さらに生活が厳しくなる恐れがある。フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長は「老後は医療費などは減らしにくいため、節約できるのは食費くらい」という。なるべく長期間にわたり働けるのが重要だ。

 では、長く働くためにはどうすればいいのか。「65歳以降も働き続ける前提で、若いうちからキャリアプランを練ることが大切だ」。ファイナンシャルプランナー(FP)の小屋洋一さんはこう話す。定年の65歳まで1つの企業で働いたとして、その後も職を得ていくには「自分ならではの技能を持っていることは強みになる」(小屋さん)。例えば、経理財務畑が長ければ、こうした分野の人材が不足しがちな中堅・中小企業などで職を得やすい。

 とはいえ、日本企業は総じてどんな仕事にも対応できるゼネラリストを育成してきたのも事実。どうしても特別な強みを見いだせない場合は、小粒でも複数の強みを身に付けるのも手だ。「100人に1人の能力を3つ持てば、100万人に1人の能力としてフリーランスで生きていける」。リクルートから民間人校長に転じた藤原和博氏が唱える「必ず食える1%の人になる」という考え方もキャリア構築の参考になりそうだ。

 企業・組織に属さず、個人商店のようにフリーランスという生き方も新鮮だ。「フリーランスはリタイアを自分で決められますが、収入が激減するタイミングが老後のスタートです」。5日、東京・渋谷でフリーランス向けのマネーセミナーを開いた税理士の片山康史さんは参加者にこう説いた。

 自身も個人事務所を開設して働く片山さん。生涯現役は理想だが、「自分が60代、70代になれば客も減っていく。そのとき若い人に頭を下げて仕事を取ることができるだろうか」。片山さんはこんな問題意識から、フリーランスで働く人たちに対し、経費計上で税務上のメリットがある小規模企業共済の活用や個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用による資産形成の重要性を説く。

 「老後にいくら必要なのかを知って、資産を準備していけば老後の不安は薄れる」(片山さん)。人生100年時代を生き抜くには、キャリア、マネープランの両方で若いうちからの計画的に備える必要性が一段と重要になっている。(菊池貴之、大酒丈典)