自民党安倍晋三総裁の一昨24日(木)無投票再選が両院議員総会で正式決定されたのに伴い、安倍首相は党本部での記者会見で「アベノミクス第2ステージ移行」経済最優先の政権運営を表明。2020年への新たな「3本の矢」構想を発表しました。

  新3本の矢とは、①希望を生み出す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障・・・の3項目という訳です。昨25日(金)付日本経済新聞朝刊トップ記事見出しでは、総裁再選会見として「出生率1.8%へ子育て支援」「介護離職ゼロをめざす」を掲げる反面、「問われる具体策」【解説:政治部佐藤 理】で以下の記事があります。

  「新3本の矢」は具体策が見えない。国内総生産(GDP)600兆円目標は何時までに、どうやって実現するかを示していない。経済最優先の高目標を裏付ける成長戦略を見せる必要があるが、具体施策欠落では「アベノミクス第1ステージ」で膨張した市場期待が尻すぼみとなる。

  「旧3本の矢」は、「大胆な金融政策」「機動的財政政策」「投資喚起の成長戦略」だが、金融政策は日銀協力の金融緩和で円安・株高のアベノミクス基盤を築いた。財政政策は一時的刺激策で評判はいまひとつ。市場期待の成長戦略は「道半ば」と言われ続けたままで、「新3本の矢」に成長戦略の用語が見えない。

  1本目の矢「希望を生み出す強い経済」説明中に、「生産性革命」「投資や人材を日本に呼び込む」とあったが、経済成長につながるのか? 農協改革や雇用改革のような痛み伴う目玉政策を打出せば、市場も「企業がどう生産性向上を計るか」描けた筈。来夏参院選を控え、業界団体など反発危惧の岩盤規制改革を避ければ、成長どころか株価や内閣支持率にもマイナスだ。

  「子育て支援」「社会保障」重視策は評価できるが、具体的にどう進めるか、財源問題も避けて通れぬ。結局の所「旧3本の矢」同様に第2ステージで問われるのも具体策の如何であることは間違いない・・・と解説している。

  そして、その日経新聞同日付4面下段に、安倍総裁会見要旨の【冒頭発言】記事が掲載され、見出しに「50年後も人口1億人」「 生 涯 現 役 社 会 を め ざ す 」とあります。アベノミクス第2ステージは1億総活躍社会をめさす国家意思の明確化で、人口1億人維持の少子高齢化に歯止めをかけると説明しています。

  新第1の矢のターゲットは、戦後最大の経済、国民生活の豊かさ、国民総生産(GDP)600兆円目標に雇用増大と給料増による消費拡大、生産性革命と経済圏グローバル化での投資や人材の日本への呼び込み政策、地方活性化のふるさと振興策を述べています。

  新第2の矢の夢を紡ぐ子育て支援ターゲットに、希望出生率1.8%実現と待機児童ゼロも実現させ、幼児教育無償化もさらに拡大。3世代の同居・近居への大家族支え合いを応援。多子世帯への重点支援や、子育てに優しい社会創りで少子化の流れに終止符を打つ決意が覗えます。

  社会価値観の多様化時代に即応した教育制度の複線化は不可欠で、いじめや発達障害など、様々な事情で通学に無理な子たちへのフリースクール環境を整備。奨学金拡充、希望者には高校、専修学校、大学進学環境も準備。ひとり親家庭支援、子どもの貧困問題に取り組み、本人の努力次第で未来に夢づくりできる社会をめざすようです。

  新第3の矢は安心につながる社会保障の構築。高齢者層に限らない現役世代層も含む社会保障制度の改革推進。特に就業と介護が両立する介護離職ゼロへの課題解決です。家族大黒柱の団塊ジュニア世代の大量離職事態では経済界が困窮します。

  介護施設整備や介護人材育成を進め、在宅介護負担を軽減できる仕事・介護両立社会づくりは、生涯現役社会の構築を求めます。予防重点化の医療制度改革、企業の健康経営、健康投資を促す仕組みづくり等。高齢者に多様な就業機会の提供や、年金も含む所得全体の底上げで高齢者世帯の自立支援を図ります。

  経済再生、外交上の国益確保も、経済安定基盤あって遂行できることを政権3年間に学んだ教訓。現状満足は退歩であり、今の安定政治基盤を活用し、長年手つかずの少子高齢化課題に安倍政権は真正面から挑戦するのが、1億総活躍時代開拓の本意。今後3年間全身全霊覚悟の政権取組み決意で臨んでこそ真の『生涯現役社会づくり』姿勢が国民に浸透して行く期待は伝達していくだろう。