引きこもり44歳/草むしり起業:生涯現役2
2015年2月25日 お仕事 「 チ ラ シ 5 0 枚 で 1 件 受 注 」 の 法 則に 気 付 き 、
明 る い 未 来 が 見 え た 瞬 間
開業当初に苦労したのは、顧客開拓だ。最初は何をしてよいか分からず、自宅のプリンターでチラシを印刷。脚が腫れるくらい歩いて個人宅にチラシをポスティングし続けると、ポツポツと依頼の電話が入り始めた。
そんなある日、配布したチラシの枚数と依頼数をパソコンで分析していると、「50枚チラシを配ると、1件受注」という法則を見付けた。それまでモチベーションが保てず、20~30枚しか配らない日も多かったが、「とにかくチラシを多く配ればいい」とそれまでの不安が吹き飛んだ。その一年後、目標とする年数百件の受注を獲得した。
草むしりは、地域密着型の仕事である。対象エリアは当初、群馬県前橋市の南部3,000世帯だったが、現在は「前橋インターを中心に、半径5キロ」に広げている。
「最初は、30~40代のお客様もいらっしゃると想像しましたが、統計を取ってみると、お客様の9割が高齢者、特に70~80代の1人暮らしのおじいちゃん、おばあちゃん。『若い頃は庭いじりが好きだったけれど、足腰が弱って庭をきれいに出来なくなったので、誰かに手伝って欲しい』というお客様がとても多いです」
日本草むしりマイスター協会を設立。全国から「草むしりマイスター」の研修に訪れる
開業3年目に雑誌や新聞等のメディアに掲載されると、仕事依頼の電話が増えると共に、「興味がある」、「体験させて欲しい」という問い合わせもあった。そこで、日本草むしりマイスター協会を設立し、同社の仕事を習得した人を「草むしりマイスター」と認定することにした。
「最初は、半分冗談のようなつもりで協会をつくったのですが、まさか人が集まるとは思っていませんでした」
今までに群馬県内だけでなく、静岡、愛知、福井、滋賀、香川、福岡からも研修に来て、全国に草むしりマイスターが誕生、女性も2名いる。研修では、木や草の名前を学ぶだけでなく、現場に出てカラダで覚え込む。協会はフランチャイズ形式でなく、加盟金やロイヤリティ等は一切取らない。
「僕たちはお金儲けでこの仕事を始めたわけではありません。かつて僕が人生に迷ったように、同じような思いをしている人が全国に多くいるでしょう。その人達が再起できるきっかけを提供できればいい。研修後、自分の地元に帰って喜びを感じられる人生を送れるなら、それが僕たちの一番の幸せです」
9割がリピーター 「話し相手」に撤し、日常の困りごとを手助け
“草むしり”は、暑い日も寒い日も屋外で作業する過酷な仕事。群馬の夏は、体感温度が40度を超え、1日にアイスを4~5つも頬張って熱中症を防ぐほど。
「たかが草むしり、されど草むしり。僕たちは、お客様が困っているから、働かせていただいている。自分達の体調や天候のことは言っていられず、やるしかない。この仕事は長期戦なので、年末まで日々の体調コントロールに気をつけています」
また、1人暮らしのお客様にとって、おしゃべりをする事が楽しみのひとつなので、宮本さんは「話し相手」に撤する時間を大切にする。また、庭仕事だけでなく、電球の取替えや家具の移動、トイレの詰まり、ファックス送信等、高齢者には難しい日常の困り事を一手に引き受ける。
「ありがたいことに、お客様の約9割がリピーター。常連のお客様が何を必要としているかを把握しています。昨年は前橋で、百年に一度と言われる大雪が降り、人生で初めて、屋根の上から雪下ろしをしましたよ」
定期的な情報発信として、月刊「草むしり通信」を登録顧客向けに約600部発行。「現場で出会った興味深い事件やモノを載せているのですが、毎回届くのを楽しみにしてくださるお客様が多く、感想を書いた葉書や年賀状をいただきます」
地域の中で、宮本さん達はとても頼りになる存在なのだ。
“つまずいた”経験があるから、充実した「今」がある
宮本さんは天職を見付けた今、こう実感する。
「これまでやってきた仕事は、すべて活きています。多くの転職経験は、“無”ではなかった。大学時代は硬派だったのですが、今では拳法部の仲間がびっくりするくらい、顔つきが丸くなったようです」
人生経験の成せるワザである。
「僕の仕事は、スタッフの皆が働きやすい場を提供すること。20~30代の頃は、『俺が、俺が!』という気持ちで失敗したことも多かった。やはりスタッフがイキイキしている職場じゃないと、仕事も上手くいかないし、お客様にも喜ばれない。『俺が!』という我を捨てたのは、『どん底』を味わった37、8歳の頃。いろいろと失敗した経験があるから、今がある。順風満帆な人生もいいけれど、大きな波があって、振れ幅のある人生もなかなか楽しいんじゃないでしょうか」
そんな宮本さんの夢は、「草むしりマイスターとして生計を立てられる人を、日本全国に増やすこと」
「働くことに意義を見出せない若者や定年後に社会貢献しながら働き続けたい人と共に汗を流しながら、人生を切り開いていきたい。僕自身は40代も激動でしたが、50代になった今も、少年のごとく果敢に挑戦し続けたいと思っています」
明 る い 未 来 が 見 え た 瞬 間
開業当初に苦労したのは、顧客開拓だ。最初は何をしてよいか分からず、自宅のプリンターでチラシを印刷。脚が腫れるくらい歩いて個人宅にチラシをポスティングし続けると、ポツポツと依頼の電話が入り始めた。
そんなある日、配布したチラシの枚数と依頼数をパソコンで分析していると、「50枚チラシを配ると、1件受注」という法則を見付けた。それまでモチベーションが保てず、20~30枚しか配らない日も多かったが、「とにかくチラシを多く配ればいい」とそれまでの不安が吹き飛んだ。その一年後、目標とする年数百件の受注を獲得した。
草むしりは、地域密着型の仕事である。対象エリアは当初、群馬県前橋市の南部3,000世帯だったが、現在は「前橋インターを中心に、半径5キロ」に広げている。
「最初は、30~40代のお客様もいらっしゃると想像しましたが、統計を取ってみると、お客様の9割が高齢者、特に70~80代の1人暮らしのおじいちゃん、おばあちゃん。『若い頃は庭いじりが好きだったけれど、足腰が弱って庭をきれいに出来なくなったので、誰かに手伝って欲しい』というお客様がとても多いです」
日本草むしりマイスター協会を設立。全国から「草むしりマイスター」の研修に訪れる
開業3年目に雑誌や新聞等のメディアに掲載されると、仕事依頼の電話が増えると共に、「興味がある」、「体験させて欲しい」という問い合わせもあった。そこで、日本草むしりマイスター協会を設立し、同社の仕事を習得した人を「草むしりマイスター」と認定することにした。
「最初は、半分冗談のようなつもりで協会をつくったのですが、まさか人が集まるとは思っていませんでした」
今までに群馬県内だけでなく、静岡、愛知、福井、滋賀、香川、福岡からも研修に来て、全国に草むしりマイスターが誕生、女性も2名いる。研修では、木や草の名前を学ぶだけでなく、現場に出てカラダで覚え込む。協会はフランチャイズ形式でなく、加盟金やロイヤリティ等は一切取らない。
「僕たちはお金儲けでこの仕事を始めたわけではありません。かつて僕が人生に迷ったように、同じような思いをしている人が全国に多くいるでしょう。その人達が再起できるきっかけを提供できればいい。研修後、自分の地元に帰って喜びを感じられる人生を送れるなら、それが僕たちの一番の幸せです」
9割がリピーター 「話し相手」に撤し、日常の困りごとを手助け
“草むしり”は、暑い日も寒い日も屋外で作業する過酷な仕事。群馬の夏は、体感温度が40度を超え、1日にアイスを4~5つも頬張って熱中症を防ぐほど。
「たかが草むしり、されど草むしり。僕たちは、お客様が困っているから、働かせていただいている。自分達の体調や天候のことは言っていられず、やるしかない。この仕事は長期戦なので、年末まで日々の体調コントロールに気をつけています」
また、1人暮らしのお客様にとって、おしゃべりをする事が楽しみのひとつなので、宮本さんは「話し相手」に撤する時間を大切にする。また、庭仕事だけでなく、電球の取替えや家具の移動、トイレの詰まり、ファックス送信等、高齢者には難しい日常の困り事を一手に引き受ける。
「ありがたいことに、お客様の約9割がリピーター。常連のお客様が何を必要としているかを把握しています。昨年は前橋で、百年に一度と言われる大雪が降り、人生で初めて、屋根の上から雪下ろしをしましたよ」
定期的な情報発信として、月刊「草むしり通信」を登録顧客向けに約600部発行。「現場で出会った興味深い事件やモノを載せているのですが、毎回届くのを楽しみにしてくださるお客様が多く、感想を書いた葉書や年賀状をいただきます」
地域の中で、宮本さん達はとても頼りになる存在なのだ。
“つまずいた”経験があるから、充実した「今」がある
宮本さんは天職を見付けた今、こう実感する。
「これまでやってきた仕事は、すべて活きています。多くの転職経験は、“無”ではなかった。大学時代は硬派だったのですが、今では拳法部の仲間がびっくりするくらい、顔つきが丸くなったようです」
人生経験の成せるワザである。
「僕の仕事は、スタッフの皆が働きやすい場を提供すること。20~30代の頃は、『俺が、俺が!』という気持ちで失敗したことも多かった。やはりスタッフがイキイキしている職場じゃないと、仕事も上手くいかないし、お客様にも喜ばれない。『俺が!』という我を捨てたのは、『どん底』を味わった37、8歳の頃。いろいろと失敗した経験があるから、今がある。順風満帆な人生もいいけれど、大きな波があって、振れ幅のある人生もなかなか楽しいんじゃないでしょうか」
そんな宮本さんの夢は、「草むしりマイスターとして生計を立てられる人を、日本全国に増やすこと」
「働くことに意義を見出せない若者や定年後に社会貢献しながら働き続けたい人と共に汗を流しながら、人生を切り開いていきたい。僕自身は40代も激動でしたが、50代になった今も、少年のごとく果敢に挑戦し続けたいと思っています」