日経マネー誌2015年1月号記事を基に同誌森田聡子記者が再構成した記事を以下ご紹介します。サラリーマンがリタイア後の生活がどういうものかは、先達の話を聞くのが一番。55歳で早期退職した団塊世代の元サラリーマンと、ギネスブックにも認定された92歳の世界最高齢パイロットの2人に聞いた。・・・内容をご紹介します。
参考URL= http://www.nikkei.com/money/column/nkmoney_tokushu.aspx?g=DGXMZO8068959009122014000000&df=1
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  【 早 期 退 職 】
      退 職 金 は 1 0 0 万 円 単 位 で 分 割 運 用

  共働きだった妻は3歳年下、子供はいない。かまくらリタイヤライフさんは55歳で1億円近い金融資産を手にし、早期退職の道を選んだ。それから10年。年4~6回の海外でのロングステイや滞在型旅行、退職後に転居した鎌倉の地域コミュニティーでの活動をウェブサイトやBlog(注記:ブログ=個人が出来事を日記風に記録し公開するウェブサイト。ウェブ(Web)上での記録(Log)を表す造語「ウェブログ(Weblog)」が縮まった呼び方。文章だけでなく写真や動画などを手軽にはり付けられるほか、閲覧者が匿名で意見を投稿する「コメント」機能や他の筆者のブログにリンクを張ることができる「トラックバック」機能などがある。総務省によると2009年1月末時点のブログ利用者は2695万人と1年前に比べ1.6倍に増えた。)で発信している。

 この10年で金融資産はほぼ半減した。当初5年間の生活費は個人年金頼り。公的年金は2013年にようやく満額を受け取れるようになったが、早期退職に加え海外生活が長かったため、金額は「普通のサラリーマンよりかなり少なめ」という。

 とはいえ最大の出費は自宅の買い替え費用。現役時代を過ごした横浜市内のマンションを売り、鎌倉でマンションを購入した際の持ち出しが約1500万円(購入諸経費、引っ越し代、調度品代を含む)。しかし、こうしたお金の流れは「想定内」だった。

 「大事なのは、自分たちが思い描く退職後の生活に必要な年間生活費を把握すること。これさえ分かれば、あとは公的年金と必要額との差額と退職後の生存年数を掛け合わせれば、必要な老後資金は簡単に割り出せる」。自身もリタイア前から綿密な予算を組んでいた。

 ■ ク リ ス マ ス に 「 収 支 決 算 」、 翌 年 プ ラ ン 練 る

 特徴的なのは「ゆとり資金」を年180万円計上し、海外旅行代に充てていることだろう。毎年クリスマスの日には予算の消化状況をチェックし、翌年に向けてのプランを立てる。

 「妻が65歳になって公的年金を満額もらうまで、毎年120万円の貯蓄を取り崩している状況」で、13年の収支決算は下表の通り。それでも、「14年は11月時点の試算でかなり消化残が出ていて、臨時ボーナスとして二人で山分けする予定」だという。

  では、資産はどう運用しているのか。現役時代は半ばゲーム感覚で外貨取引を行っていたが、「無収入退職者では損失が出た時に耐えられない」と2000万円の退職金は全額、一時払い養老保険に。引き出しやすいように100万円を20口に分割した。これらは計算すると年2.7%で回るそうだ。その上で金融資産を全て現金化、普通預金口座に入れている。

 経済状況や社会情勢にも敏感な一方、「インフレ(注記:インフレ[ inflation ]一般に物価水準が持続的に上昇することをいう。(1)紙幣インフレ=流通に必要な数量以上に紙幣、特に不換紙幣が乱発され、貨幣価値が異常に下落していく現象(2)信用インフレ=銀行の信用創造による貸し出し増が企業の過剰投資を助長するときに起こる「資産インフレ」など(3)為替インフレ=為替相場が暴落し、輸入品の価格が急騰して国内物価が上がると同時に、海外への資本逃避で為替相場が一段と下落する――。そのほか、賃金インフレ、コストインフレ、需要インフレなど発生形態は多様にある。)、消費増税、医療費とか、考え出せば切りがない。それなりの生活をするしかない」と情報に踊らされることなく、毎日を楽しんでいる。つづく