井上 仁氏:③フクシマ復興応援Network
2015年2月16日 お仕事【 そ の 3 】
近 代 農 業 は 硬 盤 層 と の い た ち ご っ こ !
農水省北農研根圏微生物研究者の池田先生が発表された論文に、「施肥によって、根圏微生物は植物への栄養の供給を止めるだけでなく、繁殖そのものを植物によって止められる」という発表がありました。その時はなるほどーと思いましたが、長年の過度な耕起に加えて「施肥によっても硬盤層は形成される」ことが納得できました。
硬盤層ができると「排水がされない、根が伸ばせない、干ばつ時、水が上がらない」などの障害がでてきます。排水は心土破砕で少しは対処できます。干ばつは冠水すれば対処できます。根が伸びなくても効力の高い化学肥料を施肥し、狭い範囲でアンモニウムや塩を吸収させれば急激な成長が得られるようです。緑の革命以降、今流行のスイートコーンやスーパースイート、デントコーンなどはチッソ肥料なしではほぼ成長しない品種改良(?)も行われてきています。いずれにしても、近代農業は硬盤層とのいたちごっこで、お金と手間のかかる農業になっています。
硬盤層がなければ自然有機栽培もあり得る!
これからの農業には、2つの選択肢が!
硬盤層がなければ「耕さず、施肥なし、草も大して繁茂しないので除草いらず」の自然栽培もあり得ます。作物は根を伸ばす品種であれば、自然栽培でも成長します。先に見た緑の革命以降のアンモニウム対応品種はチッソを施肥しなければあまり成長しないようですが、在来種、固定種などの我が国伝来の作物であれば、ほどよく成長してくれます。黄粒八行などの在来種は無施肥でもある程度は収穫ができています。
ここまでの話が理解できれば、これからの農業には「2つの選択肢」があることが容易に想像できるでしょう。
ひとつは硫酸塩アンモニウムなどの金肥を購入し、それらを吸収させて短期間で巨大化させ、農薬の使用や耕起、心土破砕、除草剤など経費をかけてそれ以上の収益を得る農業を選択する道です。
もう一つは不耕起、無施肥、無除草、機械不使用等の自然有機農法で、経費を極限ゼロに近づけ、成長はゆっくりでも、しっかりとした組成の植物をそこそこ収穫する農業を選択する道です。
自然栽培の場合、収穫物はほぼ純益ですが、硫酸塩アンモニウムなどの化学合成品を吸収させた作物とは、成長期間や大きさが圧倒的に違うので、見た目、規格等で物流面では不利です。一方、化学合成品を使用した収穫物は物流面で問題はありませんが、中身の栄養価などが伴わないことが知られています(日本食品標準成分表初版から5訂増補までの変化から引用)
収益だけを考えれば 化学合成品使用の農業が勝るでしょう。しかし、土壌の荒廃、微生物・昆虫の死滅、団粒破壊、硬盤層形成、化学物質による健康阻害、疾病率の上昇、不妊、異常分娩、発達障害、癌やアレルギー発症率の上昇などの問題が本当にないのか、未来を子どもたちに託すには、どちらを選択すべきかを考えることも必要でしょう。原発事故被曝災害のように、科学や文明がもたらす負の遺産の問題と一緒に考えてみることも必要ではないでしょうか。
近 代 農 業 は 硬 盤 層 と の い た ち ご っ こ !
農水省北農研根圏微生物研究者の池田先生が発表された論文に、「施肥によって、根圏微生物は植物への栄養の供給を止めるだけでなく、繁殖そのものを植物によって止められる」という発表がありました。その時はなるほどーと思いましたが、長年の過度な耕起に加えて「施肥によっても硬盤層は形成される」ことが納得できました。
硬盤層ができると「排水がされない、根が伸ばせない、干ばつ時、水が上がらない」などの障害がでてきます。排水は心土破砕で少しは対処できます。干ばつは冠水すれば対処できます。根が伸びなくても効力の高い化学肥料を施肥し、狭い範囲でアンモニウムや塩を吸収させれば急激な成長が得られるようです。緑の革命以降、今流行のスイートコーンやスーパースイート、デントコーンなどはチッソ肥料なしではほぼ成長しない品種改良(?)も行われてきています。いずれにしても、近代農業は硬盤層とのいたちごっこで、お金と手間のかかる農業になっています。
硬盤層がなければ自然有機栽培もあり得る!
これからの農業には、2つの選択肢が!
硬盤層がなければ「耕さず、施肥なし、草も大して繁茂しないので除草いらず」の自然栽培もあり得ます。作物は根を伸ばす品種であれば、自然栽培でも成長します。先に見た緑の革命以降のアンモニウム対応品種はチッソを施肥しなければあまり成長しないようですが、在来種、固定種などの我が国伝来の作物であれば、ほどよく成長してくれます。黄粒八行などの在来種は無施肥でもある程度は収穫ができています。
ここまでの話が理解できれば、これからの農業には「2つの選択肢」があることが容易に想像できるでしょう。
ひとつは硫酸塩アンモニウムなどの金肥を購入し、それらを吸収させて短期間で巨大化させ、農薬の使用や耕起、心土破砕、除草剤など経費をかけてそれ以上の収益を得る農業を選択する道です。
もう一つは不耕起、無施肥、無除草、機械不使用等の自然有機農法で、経費を極限ゼロに近づけ、成長はゆっくりでも、しっかりとした組成の植物をそこそこ収穫する農業を選択する道です。
自然栽培の場合、収穫物はほぼ純益ですが、硫酸塩アンモニウムなどの化学合成品を吸収させた作物とは、成長期間や大きさが圧倒的に違うので、見た目、規格等で物流面では不利です。一方、化学合成品を使用した収穫物は物流面で問題はありませんが、中身の栄養価などが伴わないことが知られています(日本食品標準成分表初版から5訂増補までの変化から引用)
収益だけを考えれば 化学合成品使用の農業が勝るでしょう。しかし、土壌の荒廃、微生物・昆虫の死滅、団粒破壊、硬盤層形成、化学物質による健康阻害、疾病率の上昇、不妊、異常分娩、発達障害、癌やアレルギー発症率の上昇などの問題が本当にないのか、未来を子どもたちに託すには、どちらを選択すべきかを考えることも必要でしょう。原発事故被曝災害のように、科学や文明がもたらす負の遺産の問題と一緒に考えてみることも必要ではないでしょうか。