また拙書④章では、“長寿社会を迎えた現代は、長生きするにもそれ相応の準備と覚悟が必要な世の中になった、とよくいわれる。単に漠然とした長生きだけが取柄ではなく、どれだけ意義があり、生き甲斐のある生き方をするかが求められているのである。長寿社会はまた、平均寿命が50歳だった時代とちがって、定年後にも十分に活かし得る人生が10年も20年もあるということに他ならない。”

  “その第二の人生を、充実した生き甲斐の下で過ごすたには、長寿社会に相応しい『人生戦略』が必要になる。定年退職後、新たな生き甲斐を打ち立てられず、目標を喪失した消極人間は、肉体的にも急に老けこんでコロッと死んでしまう、いわゆる「定年マンコロ」を招きやすいそうである。これなど、5年後、10年、20年後の自分の定年後に、どんな環境変化を来たすかを全く考えず、環境に流されて心の準備もしないままに「その日」を迎えてしまったからだろう。”

  “それも官庁や大企業の退職者で、老齢年金にも恵まれ、アクセクと働く必要が少ない人ほどその可能性があるというから、皮肉な話である。その意味で、手や足をいつでも働かせる脳力の活用は、定年後にも欠かせないものだと思う。。”

  “定年は、誰にも平等に、しかも明確に定められた日にやってくるものである。 このわかりきった道筋を自己の人生設計にまずはっきりと位置づけることが大切である。 老後の人生設計がきちっと定まれば、今の時間が如何に貴重で、残り惜しいものか肌で感ずるようになるものだ。 現在の一刻一刻を大切に生きるためにも現状に甘んじない「人生戦略」は肝要なのだ。”

  この「人生戦略」の重要性を明確に把握する人たちと、私たちは月例開催の『生涯現役塾』で会員制の自他研鑽の学びをクラブ主催で、創設以来弛まず継続してすでに316回を重ねている。11年も前の新聞記事「漂流する定年世代」を読み、掲載新聞社宛に下記メールを私から送信したメモが手許にあった。残念ながらその返信記録が見られないこともお断りして紹介したい。
 
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  「 漂 流 す る 定 年 世 代 」 に強い関心を抱く一読者です。
  定年前後の人たち多数が、ご掲載のように 「 見 え ぬ 目 標 、 戸 惑 い 大 き く 」 不安感をもっているのは、現実でしょうね。

  私自身66歳ですが、25年のサラリーマン人生を経験後、17年前から同世代の賛同する仲間中心に、「生涯現役」の生きがいを創るにはどうすべきかを探求しております。その研究動機は、脱サラ以前から21世紀に入って「団塊世代」が定年を迎える頃には、余程心備えがないと、やりたくても会社型人間の中高齢者のなかでは、自分が納得して取組める挑戦対象を容易に発見できない人が増えるのではないかと危惧していたからです。

  幸い離職と年金支給時期にギャップのない世代は、多少なりとも経済面でのお湿り的恩恵があります。が、リストラの悲哀に直面する世代を思うと、「漂流する定年世代」は「生涯現役」とは遊離する贅沢な悩みのような気がします。その意味で私は、平成10年度の国民生活白書で僅かに触れた「生涯現役社会のビジョン」づくりを具体的にもっと貴紙を初めとするマスコミ各社に訴えていきたいと心から願っております。

  もし貴紙が定年世代向け欄に、本音で生涯現役への生きがい創りを提言する私たちの考え方の論議などでご関心をお示し下さるならば、一度ぜひご連絡したいものだとメールをさせていただきました。 ご意向を伺いたく願っております。(つづく)