日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
       NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ  で 
                ご  支  援  く  だ  さ  る   会  員  皆  様


  日経新聞5月11日(木)夕刊9P「くらし」欄「がん社会を診る」コーナーでの東大病院中川恵一准教授お勧めの下記執筆内容は、『生涯現役実践家』の立場からも誠にお役立ち情報として当然と存じます。つきましては、長時間パソコン作業やストレス発散が難しい連続会議などでは、周囲に気取られぬように、即『生涯現役ゆすり』として、随時実行すべき役立ち健康チェック事項だろうと思いますので、以下に転載させていただきます。
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【「健康ゆすり」のススメ】

  連休明けで仕事がたまっている方も多いと思いますが、長時間机にはりついた生活は、がんを増やし、早死にのリスクを高めます。男性の場合、デスクワーカーは肉体労働者より、前立腺がんのリスクが28%も高くなるというデーターがあります。また、1日6時間座っている人は、座る時間が3時間未満の人に比べて、死亡リスクが男性では17%、女性では34%も高いことが分かっています。

  座ってばかりいれば、エネルギー消費量が少なくなって太りやすくなりますが、肥満や運動不足は発がんリスクを高めます。さらに当糖尿病になれば、すい臓がんや肝臓がんのリスクは約2倍になりますし、がん全体では役2割も増えます。

  逆に、運動は多くのがんを予防します。とりわけ、大腸がんや乳がんなどで顕著な効果をもたらします。しかし、長時間の座業が与えるマイナス効果は、運動では簡単に解消できないことが知られています。つまり、座りっぱなしの仕事を続ける人が、たまにジムで激しい運動をしたとしても、悪影響をチャラにはできないということです。

  ポイントは、日常の時間を活動的に過ごすことです。長時間のデスクワークの危険は米国では、座業用のデスクを立ったまま仕事ができる「スタンディングデスク」に代えたり、会議を立ったまま行ったりする動きもみられます。

  かといって、日本のオフィス環境では、立ちながら仕事をしたり、デスクを離れて歩き回ったりするわけにもいかないでしょう。そこでお勧めしたいのは、ズバリ、「貧乏ゆすり」です。 

  貧乏ゆすりは人種を問わずヒトに共通する一種の癖のようなものですが、その評判は洋の東西を問わず、芳しくありません。私も子どものころ、よく注意されてきましたが、医師としては、むしろオススメです。エネルギー消費を高める他にも、静脈血栓を予防し、股関節の老化も防ぎます。 

  何より、長時間座ったままで筋肉を動かし続ける手段は、貧乏ゆすりくらいしかないでしょう。ただ、ネーミングが実に悪い。「健康ゆすり」と呼び名を変えるように提案したいと思います。(東京大学病院准教授・中川恵一)

【中川恵一(なかがわ けいいち)氏プロフィール:東京大学医学部医学科卒業。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師を経て、現在、東京大学医学部放射線医学教室准教授。東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者/一般向けの啓蒙活動にも力を入れており、福島第一原発後は、飯舘村など福島支援も積極的に行っている 】