時事深層:仮想通貨、利用拡大に前進
2017年5月8日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &
NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ で
ご 支 援 く だ さ る 会 員 皆 様
日経ビジネス2017年5月8日号.
参考URL=http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/042800589/?ST=pc
.「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨を導入する動きが加速している。企業にとっては、仮想通貨で支払いを希望する訪日客の取り込みなどにつなげられる。ただ、一方で本格的な普及には課題も残り、依然として手探りの状況が続く。
仮想通貨を巡る企業の動きが活発になっている。
5月15日、仮想通貨などに使われるブロックチェーン技術に関する業界団体「ブロックチェーン推進協会(BCCC)」は、「Zen」と名付けた仮想通貨を使った実験を始める。まず会員企業を対象にサービスの売買などにZenを使う実験を進め、第2段階で会員以外にも範囲を広げる構想だ。BCCCの代表理事を務める平野洋一郎氏は、「Yen(円)のYを1つ進めて『Zen』と名付けた。仮想通貨が抱える課題の解決を目指す」と意気込む。
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、4月1日の改正資金決済法施行で、今後の利用拡大が予想される。全国銀行協会がブロックチェーン技術を銀行界が共同で使える環境を整備すると発表したほか、一部企業でもビットコインで顧客からの支払いを受け付けるといった動きが出ている。
ビックカメラは4月7日から都内の2店舗でビットコインによる決済を試験導入。利用はまだ1店舗で1日10件程度だが、状況を見ながら導入店舗拡大を検討する。リクルート系のリクルートライフスタイルは、飲食店などを中心に全国26万店で利用されているレジアプリ「Airレジ」でビットコイン決済を使えるようにする。
盛り上がりをみせるが、普及に向けた課題はまだ残っている。
会 計 上 の 扱 い は 未 定
「(仮想通貨の)会計上の扱いが不明確で、直接保有はしていない」。ビックカメラの担当者はこう話す。現在の制度では保有するビットコインを決算書にどのように反映するかルールが定まっていない。
米ドルや日本円など法定通貨に対する交換レートの変動が大きいことも企業が保有しづらい要因だ。ビットコインの交換レートはここ1年間で1ビットコイン=約5万円から約15万円(4月28日時点)へと3倍に上昇。一方で、3月10日には米証券取引委員会(SEC)がビットコインの上場投資信託(ETF)化を認めなかったことを受けて急落するなど値動きが不安定だ。
こうした課題に対して現状では企業側が独自に対応している。ビックカメラやAirレジは、ビットコインでの決済ごとに取引所で日本円に替える仕組みを取り入れた。会計上の課題や変動リスクを回避するためだ。
年々増える訪日客にとって仮想通貨は、日本円と自国通貨との為替手数料といったコストが不要となるほか、スマートフォンのアプリなどで手軽に支払えるという利点があり、今後ニーズが高まる可能性がある。顧客として重みが増す訪日客取り込みにつながる。
仮想通貨と言えば、2014年に取引所のマウントゴックスで85万ビットコイン(当時の相場で470億円)が「消えた」とされる事件が発生した。仮想通貨に対する不安が広がったが、改正資金決済法の施行で取引所が登録制になり、安全面での制度整備が進んだ。普及に向け一歩前進したといえる。
成長分野としてフィンテックが注目を浴びる中、日本が環境整備で先行することができるか。(浅松 和海)
NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ で
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日経ビジネス2017年5月8日号.
参考URL=http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/042800589/?ST=pc
.「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨を導入する動きが加速している。企業にとっては、仮想通貨で支払いを希望する訪日客の取り込みなどにつなげられる。ただ、一方で本格的な普及には課題も残り、依然として手探りの状況が続く。
仮想通貨を巡る企業の動きが活発になっている。
5月15日、仮想通貨などに使われるブロックチェーン技術に関する業界団体「ブロックチェーン推進協会(BCCC)」は、「Zen」と名付けた仮想通貨を使った実験を始める。まず会員企業を対象にサービスの売買などにZenを使う実験を進め、第2段階で会員以外にも範囲を広げる構想だ。BCCCの代表理事を務める平野洋一郎氏は、「Yen(円)のYを1つ進めて『Zen』と名付けた。仮想通貨が抱える課題の解決を目指す」と意気込む。
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、4月1日の改正資金決済法施行で、今後の利用拡大が予想される。全国銀行協会がブロックチェーン技術を銀行界が共同で使える環境を整備すると発表したほか、一部企業でもビットコインで顧客からの支払いを受け付けるといった動きが出ている。
ビックカメラは4月7日から都内の2店舗でビットコインによる決済を試験導入。利用はまだ1店舗で1日10件程度だが、状況を見ながら導入店舗拡大を検討する。リクルート系のリクルートライフスタイルは、飲食店などを中心に全国26万店で利用されているレジアプリ「Airレジ」でビットコイン決済を使えるようにする。
盛り上がりをみせるが、普及に向けた課題はまだ残っている。
会 計 上 の 扱 い は 未 定
「(仮想通貨の)会計上の扱いが不明確で、直接保有はしていない」。ビックカメラの担当者はこう話す。現在の制度では保有するビットコインを決算書にどのように反映するかルールが定まっていない。
米ドルや日本円など法定通貨に対する交換レートの変動が大きいことも企業が保有しづらい要因だ。ビットコインの交換レートはここ1年間で1ビットコイン=約5万円から約15万円(4月28日時点)へと3倍に上昇。一方で、3月10日には米証券取引委員会(SEC)がビットコインの上場投資信託(ETF)化を認めなかったことを受けて急落するなど値動きが不安定だ。
こうした課題に対して現状では企業側が独自に対応している。ビックカメラやAirレジは、ビットコインでの決済ごとに取引所で日本円に替える仕組みを取り入れた。会計上の課題や変動リスクを回避するためだ。
年々増える訪日客にとって仮想通貨は、日本円と自国通貨との為替手数料といったコストが不要となるほか、スマートフォンのアプリなどで手軽に支払えるという利点があり、今後ニーズが高まる可能性がある。顧客として重みが増す訪日客取り込みにつながる。
仮想通貨と言えば、2014年に取引所のマウントゴックスで85万ビットコイン(当時の相場で470億円)が「消えた」とされる事件が発生した。仮想通貨に対する不安が広がったが、改正資金決済法の施行で取引所が登録制になり、安全面での制度整備が進んだ。普及に向け一歩前進したといえる。
成長分野としてフィンテックが注目を浴びる中、日本が環境整備で先行することができるか。(浅松 和海)