秋田魁新報社:2016年12月25日 掲載
ご参考URL=http://www.sakigake.jp/news/article/20161225AK0013/
  社 説:「 生 涯 現 役 」 促 進 
               大 館 か ら 全 国 へ 発 信 を

  大館市が、厚生労働省の「生涯現役促進地域連携事業」の実施地域に北海道・東北で初めて選ばれ、この事業に基づく取り組みが動きだした。働く意欲のある高齢者が生き生きと活躍できる社会の実現を目指したい。

   全国的に少子高齢化が進み、労働力不足が課題となっている中、「元気なうちは働きたい」という高齢者に雇用の機会を提供できる環境の整備は急務だ。高齢者の雇用促進は、安倍政権が目指している「1億総活躍社会」の実現に向けた課題の一つでもある。

   特に本県は高齢化率が全国で最も高い一方、人手不足に悩む企業は増加傾向にある。働きたい高齢者の意欲に応えるためにも、大館市には県内の他市町村のモデルとなるような取り組みを期待したい。

   「生涯現役促進」の事業は、高齢者の就労・雇用促進に関わる取り組みに国が最大3年間、資金面で支援するもので、本年度始まった。公募により8月に第1次の7地域、10月に第2次として大館市など8地域が実施対象に決まった。

   大館市の場合、市や商工団体、市シルバー人材センター、JA、金融機関でつくる「市高齢者活躍支援協議会」が実施主体となって職業紹介システムを構築する。アドバイザーのハローワーク大館やオブザーバーの秋田労働局を含めて高齢者の就労・雇用を後押しする。

   ハローワーク大館管内の有効求人倍率は1・58倍(10月末現在)と県内で最も高い。市内の事業所の25%が労働力として高齢者に期待しているという商工団体の調査結果もある。だが求人の職種が福祉関係や製造業に限られていることもあり、高齢の求職者の希望に沿う働き口が見つかりにくいのが現状だ。協議会は高齢者と事業所双方のニーズを把握し、的確なマッチングに努めてほしい。

   協議会は今月、市役所内に相談窓口を設置して専従職員2人を配置し、取り組みを本格的にスタートさせた。今後、事業所向けには高齢者雇用啓発セミナーなどを、高齢者に対しては就労促進に向けたセミナーを開く予定だ。

   ユニークなのは、「秋田犬を連れて歩く観光」の案内役として高齢者に活躍してもらおうという試みで、そのための講座を開く計画もある。忠犬ハチ公の古里をPRする市は秋田犬を活用して訪日外国人を含めた観光誘客を図っているだけに、ぜひ実現させてほしい。

   市では昨年度、市や市シルバー人材センターなど6者が「高齢者活躍支援協定」を結び、求人開拓につなげる活動なども行っている。高齢者が生涯現役で活躍できる街として実績を積み重ね、全国にアピールしてほしい。それは移住促進や企業誘致にも好影響を与えるはずだ。何よりも、年を重ねても元気で暮らす市民が多くいることが、街の活力増進につながる。
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2016年12月20日 掲載
  働 き た い 高 齢 者 へ 専 用 窓 口 で 支 援              求 人 開 拓 し マ ッ チ ン グ

  秋田県大館市や大館商工会議所、市シルバー人材センターなどでつくる市高齢者活躍支援協議会は、働く意欲がある高齢者を支援する相談窓口を市三ノ丸庁舎内に開設した。人手不足感が強まる中、高齢者の就労機会の拡大を図るとともに、地域の求人ニーズも細かく開拓する。厚生労働省が本年度から展開する「生涯現役促進地域連携事業」で、東北・北海道地区で初めて採択された。

   窓口には、相談や求人開拓などに従事する事業統括員と支援員の2人を配置。「フルタイムではないが、時間を有効に使って働きたい」「自分の経験を生かしたい」など、シニア世代の多様な要望の受け皿を目指す。市内の企業や福祉施設を直接訪れて求人ニーズをつかみ、高齢者の就労の場も掘り起こす。