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 J.I.メールニュース No.785                     2016.12.01  発行 
  「 1 0 円 」 の 貯 金 で 、 ち ょ っ と イ イ コ ト 未 来 に 残 し ま せ ん か !?
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<巻頭寄稿文>
  「10円」の貯金で、ちょっとイイコト未来に残しませんか!? 
               2015なめがた市民100人委員会メンバー  川尻 みさき

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  茨城県行方市。ここで始まったことについてのお話です。

  「行方=なめがた」と読みます。2005年の平成の市町村大合併のとき、難読市名と新聞で取り上げられました。関東地方の天気予報で、「鹿行(ろっこう)地域」と言われるエリアにあります。「鹿」が鹿嶋市で「行」が行方市。ここにはあやめで有名な潮来市や、神栖市、鉾田市も含まれています。
 
  こんなに説明がいる片田舎で、昨年、行政と構想日本、市民約100人が半年にわたり政府の地方創生政策を受けて話し合いを行い、市民が総合戦略書作りに携わりました。人口約3万5千人からコンピューターが無作為に抽出した3千人に委員募集を兼ねたアンケートが行われ、その回答者の中から「なめがた市民100人委員会」が発足。4つの班に分かれて市の事業のレビューを行ったうえで、いま行方市はどんな状況なのか、自分たちや子どもたちの未来をどうするといいのか、などについてみんなで考えました。

  私が参加した班のテーマは、「健康・福祉・高齢者」。
  資料を見てビックリしたのは、健康寿命の年齢が男女ともに60代と低いこと。腎臓の透析に至っては県下一の人数で、不健康で長生きする市民の多さでした。

  何度目かの集まりの最後に「健康についてできることを考えてみましょう」という宿題が、構想日本から出されました。

  そこで提案したのが「おかげさまで、10円貯金」でした。
  月に一度健康だったかどうか振り返り、ケガもせず、風邪も引かないで元気に過ごせたら「おかげさまで」と10円を貯金。一年でひとり120円ですが、もし市民3万人がしたら300万円くらいになります。集まったお金の半分は、小中学生のために、もう半分はハンディキャップを持っている人たちのために使ってもらっては、と考えました。自分の健康管理で社会貢献ができるという、ダブルで役立てられるプランです。

  100人委員会は昨年度で終了しましたが、その後も、10人ほどの有志が集まって、月に一度ご飯を食べながら意見交換する会を行っています。メンバーは学校の先生、福祉関係者、店舗経営者、主婦、サラリーマンなど職種はさまざま。今では気心も知れて、いろんな意見が飛び出します。ときには脱線することもありますが、雑談にもヒントがあるかもしれないと、ワイワイガヤガヤ。100人委員会で半年間楽しく話し合えたことが忘れがたく、今も続いている感じです。

  さて10円貯金ですが、始めるにはきっかけが必要と、それぞれ自分にとっての「健康探し」をしました。ダイエット、ボケないように気をつける、毎日1万歩歩く、ラジオ体操をする、指導する子どもたちが目標達成したら…、などなど。ひと月に10円ではなく、その日の成果で10円貯金する人もいて、それも自由。今年の年末にはみんなの貯金箱を持ち寄って、集計してみようことになりました。

  当たり前のことですが、誰もが健康で長生きしたいと思っています。健康であることは、市民が市のためにできることのひとつでしょう。10円貯金は個人の健康貯金ですが、世のための預金=“世金”になったらいいね、と話しています。

  これを読んでくださったみなさんも、ご自分の「健康探し」をして、10円貯金を始めてみませんか?
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 川尻 みさき(わかじり みさき)氏プロフィール
1959年茨城県生まれ。清泉女子大学文学部キリスト教文化学科卒業。日経メディカル編集部、日本グラフィックデザイナー協会、情報誌の制作会社などを経て、現在はフリーの編集ディレクター、ライター。食関連(料理、料理人、栄養学)を中心に取材。TBSの屋上でミツバチを飼育するプロジェクト「みつばちあ」にも参加中。
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