日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
      NPO法人 ライフ・ベンチャー・クラブ の 活 動 に 
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いつもお世話になっております。

仕事がらNGO/NPOに話を聞くことが多いですが、最近、「企業からの寄付が低迷している」と嘆く担当者が増えているように感じます。

担当者は「寄付が低迷するきっかけはリーマンショック」と異口同音に言いますが、その後、世界経済は復調し、日本でも企業収益は増えているので、この説明では少々納得できません。

そこで「寄付白書2015」(日本ファンドレイジング協会編)を開くと、驚くべき数字がありました。

個人の寄付(2014年)は7409億円と、2010年に比べて1.5倍になったが、法人からの寄付(2013年)は6986億円と、2010年と比べてほぼ横ばいにとどまっていたのです。

時期は若干ずれているものの、「日本では、個人からの寄付が法人からの寄付を総額で抜いた」(鵜尾雅隆・日本ファンドレイジング協会代表理事)のです。

法人からの寄付が低迷する原因は何だろうか。と考えると、一つ思い当たるフシがあります。それは「本業を通じたCSR/CSV活動」というスローガンです。

マイケル・ポーターのCSV(共通価値の創造)が日本に上陸して数年たったが、その論調は「寄付やボランティア」を「単なる社会貢献」、あるいは「古い形のCSR」と位置づけ、否定する傾向にあります。

「一時的な企業収益に頼った寄付は、持続的ではない。企業が社会に持続的な価値を提供するためにも、本業を通じたCSR/CSVが重要である」という文脈です。

CSR/CSVに取り組むことで企業収益が増えれば、経営者や株主の理解も得やすいし、まさに持続的になります。

もちろん、この文脈自体は正しいし、筆者も否定するつもりはありませんが、「本業を通じたCSR」だけで本当に十分なのでしょうか。

ここまで書いて、ピーター・ドラッカーの「マネジメント」(1973)の一節を思い出しました。

「社会的責任の問題は、企業、病院、大学にとって、二つの領域において生ずる。第一に、自らの活動が社会に対して与える影響から生ずる。第二に、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生ずる。いずれも、組織が必然的に社会や地域のなかの存在であるがゆえに、マネジメントにとって重大な関心事たらざるをえない」

ここで大事なのは「第二の領域」で、これは寄付やボランティアなどの「慈善」(フィランソロピー)活動と同義であろう。そのうち法人によるフィランソロピー活動が日本ではこの数年、停滞しているのです。

いま「本業を通じたCSR/CSV活動」に真剣に取り組んでいる企業には申し訳ないですが、是非この「第二の領域」も重要であることを再認識してほしいのです。

ところでドラッカーの「マネジメント」はビジネスパーソンなら誰しも一度は読んだことがある名著ですが、その9章のうち、第4章はまるごと「社会的責任」に充てられています。CSRに関心がある方は是非、一読して頂きたいものです。

40年前の著作であることを考えると、その先進性に改めて驚嘆するとともに、実は社会的責任の本質はこの数十年、変わっていないのではないか、とも受け止められます。企業には改めて、第一と第二の、両方の領域での活躍を期待したいと願います。
(オルタナ編集長・森 摂)⇒ http://c.bme.jp/17/2802/324/664117

◆6/25「学生小論文アワード」授与式(あの春香さんも登壇)
住友理工は6月25日、住友理工学生小論文アワードの表彰式をJPタワー名古屋(名古屋駅直結)で開く。特別ゲストとして、タレントの春香クリスティーンさんを迎え、「エシカルな働き方」をテーマにトークイベントを行う。
とき:6月25日(土)14:00~16:00(13:40開場)
ところ:JPタワー名古屋(名古屋駅直結)
定員:100名 参加費:無料
詳しくは⇒ http://c.bme.jp/17/2802/325/664117

◆ヤフーのCSRサイトはオルタナがプロデュースしています。
最新の特集は、ヤフーの社会貢献について議論したステークホルダー・ダイアログの後編です。「復興・災害支援」「ICT教育やネットの安心・安全」「ネット募金」「移転先での地域共生」をテーマに、ヤフーはどのように貢献できるか、未来志向で議論しました。
http://c.bme.jp/17/2802/326/664117
=============オルタナ&オルタナSお勧め記事================
◆トヨタ流マネジメントをNPOに伝授、連続講座始まる
 http://c.bme.jp/17/2802/327/664117
◆「被災地の声」で綴る、「復興ごはん」本
 http://c.bme.jp/17/2802/328/664117
◆表参道に「全てが社会貢献につながる」商業施設
 http://c.bme.jp/17/2802/329/664117
◆高校生が外資の社長体験、「未来の社長」育成へ
 http://c.bme.jp/17/2802/330/664117
◆「四方よし」ビジネスを学ぶ塾、京都市に
 http://c.bme.jp/17/2802/331/664117
==============オルタナ編集長お勧めイベント==================
◆6/4・5 環境イベント「エコライフ・フェア2016」
環境省は6月4・5日、環境イベント「エコライフ・フェア2016」を東京・代々木公園で開く。テーマは、「地球がすき。未来がたのしみ」。エコを楽しく体験・体感できる展示ブースやトークショーなどを通じて、今日から実践できるエコライフを提案する。
とき:6月4日(土) 11:00~17:00 5日(日) 10:00~17:00
ところ:都立代々木公園 ケヤキ並木及びイベント広場(東京・渋谷)
参加費:無料
◆6/11 H.I.Sが「エシカル・トラベル・フェア」 
エイチ・アイ・エス スタディツアーデスクは6月11日、エシカルな旅を考える「エシカル・トラベル・フェア2016」を開く。フェアでは、フェアトレードアイスクリームの試食や雑貨作りなどが楽しめる。
とき:6月11日(土)13:00~18:00(途中入退出可能)
ところ:kurkku Home(東京・渋谷)
参加費:500円
詳しくは⇒ http://c.bme.jp/17/2802/332/664117 
◆6/18 音楽フェス「ゼンダマフェス in Yokosuka」
市民有志により結成されたゼンダマフェス実行委員会は6月18日、横須賀市三笠公園で、今夏に行われる参議院議員選挙の投票率の向上を
目的とした音楽フェス「ゼンダマフェス in Yokosuka」を開催する。選挙へ参加する市民を「善玉菌」にたとえ、「ゼンダマフェス」と名付けた。
とき:6月18日(土)11:00~17:00
ところ:三笠公園 (神奈川県横須賀市)
詳しくは⇒ http://c.bme.jp/17/2802/333/664117
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株式会社オルタナ 代表取締役編集長 森 摂
一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事
特定非営利活動法人在外ジャーナリスト協会理事長
「サステナブル・ブランド国際会議」プロデューサー
CSR検定委員会委員
特定非営利活動法人「街角に音楽を」理事
東京都目黒区駒場1-26-10-304  tel: 03-6407-0266
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