賛同7万通超のNPOに対話拒否の企業
2015年11月18日 お仕事日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会
東 瀧 邦 次 様
いつもお世話になっております。
(今回から第1・第3水曜日の配信になりました)
【Alterna誌: 森 摂 編集長コラム】
キ ッ コ ー マ ン が N P O と の 対 話 拒 否 、
N P O へ の 賛 同 署 名 7 万 通 以 上 に
企業のCSRにおいて、さまざまなステークホルダー(利害関係者)との「対話」やステークホルダー・エンゲージメントが最重要ミッションの一つであることは論を待ちません。そのステークホルダーとは、顧客、従業員、株主、取引先、地域社会、NPOなど多岐に渡ります。
エンゲージメントとは分かりにくい言葉ですが、大きい辞書には「歯車の噛み合わせ」という訳語が出てきます。つまり、企業も、そのステークホルダーも、社会の中での歯車の一つであり、その噛み合わせ、つまり「中長期的に安定した関係性」を築くことが重要とされています。
今回、ある企業がNPOとの対話を拒否した結果、NPO側に賛同するオンライン署名が7万5000通を超えるという騒動が起きています。これは他の企業にもいつ起きてもおかしくない問題です。
要望書によると、キッコーマンはしょう油や豆乳などの食材の健康効果を証明するために動物実験を行っているというのです。
例えば「ラットの喉にチューブを通し、そこから発酵豆乳を強制的に繰り返し投与する」「肥満体に育成したマウスにシトラスエキスを与えて殺処分する」「心疾患を引き起こすために、ウサギにコレステロール値の高い餌を与え、のちに殺処分する」「外科的に通したチューブからマウスの胃にしょう油を強制的に投与したのちに『断頭し脳を摘出』する」ーーなどの例があると要望書は指摘しています。
キッコーマンの動物実験問題については、世界有数の動物保護団体の一つであるPETA(本部・米ヴァージニア州)が数年前から中止を申し入れてきたが、同社は無視をしてきたといわれます。
そのため、JAVAが今年9月、対話の場を設けてほしいとキッコーマンに連絡した。しかし同社は「申し入れ自体を無視」し、対話の場を持つことすら拒絶しています。
JAVAは1986年の設立以来30年近く、化粧品の動物実験の廃止を訴え続けてきたNPOです。資生堂や花王など大手化粧品メーカーに動物実験を止めるよう求め、資生堂はこれに応じて2013年4月、動物実験を基本的に廃止しました。
これに続き、花王も2015年、ソフィーナやカネボウを含む化粧品全ブランドについて、開発段階での動物実験を廃止しました。
国内の大手化粧品メーカーが相次いで動物実験廃止に向けて大きく舵を切った中で、JAVAは最近、食品会社に対する動物実験廃止のアクションを始めました。
JAVAは11月6日、キッコーマンに対して「動物実験を実施する際のガイドラインはあるか」「代替法がない場合には動物を用いた試験を最小限にとどめるとあるが、この検証と判断は誰が行っているか」ーーなど7項目の質問状を送りました。
「キッコーマンに電話するとたらい回しをされ、サイトに出ている動物実験の方針以上は説明することはないので意見交換はしないと告げられた」(JAVAの亀倉弘美理事)。
キッコーマンは2001年、CSRのグローバル規範の一つである「国連グローバル・コンパクト」に日本企業として初めて署名しました。CSRでは企業がさまざまなステークホルダーと中長期的な関係を築いて、社会的課題を解決していくことが求められます。キッコーマンもCSRを標ぼうする以上は、このような社外からの要望に対して耳を傾け、対話を始めるのが筋だろうと思います。
コカコーラやウェルチ、伊藤園などの企業はPETAに対して「動物実験をしない、動物実験に出資しない、動物実験に加担しない」と宣言しています。資生堂や花王も、JAVAと対話を続け、動物実験の廃止に至りました。キッコーマンにも真摯な対応が求められています。
JAVA(動物実験の廃止を求める会)の関連サイト
http://www.java-animal.org/kikkoman/
東 瀧 邦 次 様
いつもお世話になっております。
(今回から第1・第3水曜日の配信になりました)
【Alterna誌: 森 摂 編集長コラム】
キ ッ コ ー マ ン が N P O と の 対 話 拒 否 、
N P O へ の 賛 同 署 名 7 万 通 以 上 に
企業のCSRにおいて、さまざまなステークホルダー(利害関係者)との「対話」やステークホルダー・エンゲージメントが最重要ミッションの一つであることは論を待ちません。そのステークホルダーとは、顧客、従業員、株主、取引先、地域社会、NPOなど多岐に渡ります。
エンゲージメントとは分かりにくい言葉ですが、大きい辞書には「歯車の噛み合わせ」という訳語が出てきます。つまり、企業も、そのステークホルダーも、社会の中での歯車の一つであり、その噛み合わせ、つまり「中長期的に安定した関係性」を築くことが重要とされています。
今回、ある企業がNPOとの対話を拒否した結果、NPO側に賛同するオンライン署名が7万5000通を超えるという騒動が起きています。これは他の企業にもいつ起きてもおかしくない問題です。
要望書によると、キッコーマンはしょう油や豆乳などの食材の健康効果を証明するために動物実験を行っているというのです。
例えば「ラットの喉にチューブを通し、そこから発酵豆乳を強制的に繰り返し投与する」「肥満体に育成したマウスにシトラスエキスを与えて殺処分する」「心疾患を引き起こすために、ウサギにコレステロール値の高い餌を与え、のちに殺処分する」「外科的に通したチューブからマウスの胃にしょう油を強制的に投与したのちに『断頭し脳を摘出』する」ーーなどの例があると要望書は指摘しています。
キッコーマンの動物実験問題については、世界有数の動物保護団体の一つであるPETA(本部・米ヴァージニア州)が数年前から中止を申し入れてきたが、同社は無視をしてきたといわれます。
そのため、JAVAが今年9月、対話の場を設けてほしいとキッコーマンに連絡した。しかし同社は「申し入れ自体を無視」し、対話の場を持つことすら拒絶しています。
JAVAは1986年の設立以来30年近く、化粧品の動物実験の廃止を訴え続けてきたNPOです。資生堂や花王など大手化粧品メーカーに動物実験を止めるよう求め、資生堂はこれに応じて2013年4月、動物実験を基本的に廃止しました。
これに続き、花王も2015年、ソフィーナやカネボウを含む化粧品全ブランドについて、開発段階での動物実験を廃止しました。
国内の大手化粧品メーカーが相次いで動物実験廃止に向けて大きく舵を切った中で、JAVAは最近、食品会社に対する動物実験廃止のアクションを始めました。
JAVAは11月6日、キッコーマンに対して「動物実験を実施する際のガイドラインはあるか」「代替法がない場合には動物を用いた試験を最小限にとどめるとあるが、この検証と判断は誰が行っているか」ーーなど7項目の質問状を送りました。
「キッコーマンに電話するとたらい回しをされ、サイトに出ている動物実験の方針以上は説明することはないので意見交換はしないと告げられた」(JAVAの亀倉弘美理事)。
キッコーマンは2001年、CSRのグローバル規範の一つである「国連グローバル・コンパクト」に日本企業として初めて署名しました。CSRでは企業がさまざまなステークホルダーと中長期的な関係を築いて、社会的課題を解決していくことが求められます。キッコーマンもCSRを標ぼうする以上は、このような社外からの要望に対して耳を傾け、対話を始めるのが筋だろうと思います。
コカコーラやウェルチ、伊藤園などの企業はPETAに対して「動物実験をしない、動物実験に出資しない、動物実験に加担しない」と宣言しています。資生堂や花王も、JAVAと対話を続け、動物実験の廃止に至りました。キッコーマンにも真摯な対応が求められています。
JAVA(動物実験の廃止を求める会)の関連サイト
http://www.java-animal.org/kikkoman/