高連協集会・賀詞交歓会総括記録転載3
2015年1月25日 お仕事【昨24日の総括記につづくNo.3】
<堀田力共同代表>
〇 新 地 域 支 援 事 業 と 助 け 合 い 活 動 へ の 取 り 組 み
今、取り組んでいるのは、「さわやか福祉財団」や全国の仲間とともに全国を飛び回って、新地域支援事業、要するに、助け合いで要支援者の生活支援をやろうという新しい仕組みを少しでも充実させることです。
● 新 し い 地 域 支 援 の 枠 組 み が 決 ま る ま で の 経 緯
事の経緯は、要支援者に対する支援を介護保険から切り離す話からです。これは元々根の深い話で、介護保険を創る時から、介護の要支援者を入れるのか、入れないのかについていろいろ議論があって、当初は入れないことにしていて、介護保険制度の5年目の見直しで入れることにしました。しかし介護保険費用がどんどん上がるので、要支援者を介護保険から切り離さざるを得ないではないかという議論はずっと潜在していて、一昨年の8月の社会保障制度改革国民会議で要支援を介護保険から切り離そうという結論が出ました。
その後、裏で厚労省と財務省の激しい攻めぎ合いがありまして、私どものほうとしては、「要支援者を全部切り離したって、助け合いボランティアで受け入れられるのは、生活支援ぐらいだよ。看護とかリハビリとかのような専門知識の要るものは駄目だよ」ということを強力に言いました。厚労省も国民会議の提言ですから、言えない大変な苦労をしてくれたわけです。結論的には要支援制度を残して、専門知識の要るものは介護保険で対応する。一方生活支援は、助け合いでやりましょうということで決着がついたのが、一昨年の11月の中頃であります。
● 新 地 域 支 援 構 想 会 議 と
助 け 合 い 活 動 に 取 組 む 覚 悟
それで、政府、厚労省の態度も決まりましたので、私どもとしては大至急「新地域支援構想会議」を、全国で助け合いの活動をしております全国社会福祉協議会、日本生活協同組合連合会、全国農業協同組合中央会、全国移動サービスネットワーク等々14団体、そして樋口先生にも中身を説明させていただいて、助け合いをやっている団体が集まって、第1回の全体会議を行いましたのが一昨年の12月5日です。その時、「これを助け合いで受けられるのか」との議論を行いました。 そして、「これは受けざるを得ないだろう。放り出すわけにはいかない」ということで、受ける仕組みをしっかりつくろうということになりました。一方、国会で新しい仕組みの審議が始まりますから、制度が歪まないように「助け合いで頑張って受けますよ」と覚悟も決めたわけです。
受け入れるけれども、いくつかの要件がありました。主なものを言えば、1つは、高齢者の要支援者に限って助け合いでやるようなことはできないということです。地域の助け合い、われわれの助け合いは、子供、障がい者、認知症の人、生活困窮者等困っている人を見れば、全部助けますから、従来の行政の縦割りで、「この部分は頼む。応援資金はこれだ」という出し方をされたって、それは受け入れられませんよということです。
もう1つは、やり方を決めて仕切られたって、助け合いは受けませんよということです。助け合いというものは我が儘で、好き勝手にやるからいろいろな人がやってくれるのであって、行政が今までやってきたような「ああしろ、こうしろ。そうしないと支援の金は出さん」と言われても駄目ですよ、ということです。
国会にも、政府にもこの2点を主に強力に申しあげて、厚労省も「その心構えでやります」ということで、制度づくりにかかってくれました。
それで、我々のほうは、政府が動き出しますから、全国の市町村と組んでやることになります。だから、「市町村の担当者が従来のような上から仕切る、制度をつくって縦割りでやるという仕組みを捨てて、全く新しいやり方で、今まで行政がやったことのない支援の仕方、対象を限定せず幅広く、やり方は任せるという支援の仕方をやってくれないとこの制度はうまくいかないよ。これは、今まで行政がやったことのない初めての制度だから、そこは腹を決めてやってくれ」ということをまず全国の市町村にしっかり理解してもらうために、昨年の3月から都道府県単位のフォーラムを始めました。私どもの団体の各地の仲間が頑張ってくれまして、都道府県単位で1フォーラム、そこに都道府県毎にその地域の全市町村の担当者や社協の担当者、NPOの担当者、地縁団体の担当者に詰めてもらって、厚労省からも来てもらって、われわれのほうで、「助け合い、市民の社会参加の心意気とはこういうものだ、だからこういう風に共同してやってくれ」と強力に訴えて回りました。県も新しい制度で戸惑いがありますが、助け合いは、市民の社会参加を理解しなければできないと分かっておりますので、対象は一般の方ではなく、そういう担当者ばかりですが、多いところで、たとえば新潟県だと800人も集まりました。殆どの市町村が参加したのです。そういうことで、全国40都道府県を昨年8月までの間に回って、フォーラムをやらせていただきました。これは、お金は全部当財団が負担しまして、厚労省の出張費も負担しました。厚労省も非常に協力的で、課長や補佐を必ず派遣してくれ、一生懸命説明してくれました。
● 厚 労 省 に よ る ガ イ ド ラ イ ン と
生 活 支 援 コ ー デ ィ ネ ー タ ー
そうして大体全国を回り終えて、都道府県、市町村に訴えたところで、去年の7月に厚労省がガイドラインを出しまして、「こういう助け合いでやってもらう。それには、ベースの基礎資金は出させていただきます。しかし、介護保険の個別の給付に応じてお金を出すことはいたしません。しかし、個別の給付を残しておかないと一挙に助け合いを全国で行うことは無理ですから、そういう仕組みはA型として残します。助け合いは、B型以下の仕組みにします」と指針を示しました。行政も助け合いを広げる仕組みとしては、それまでの間に構想が固まったのですが、行政がある程度お金を出して、各市町村に、生活支援コーディネーターを1人ずつ、そして、その下に各地区中学校区、つまり地域包括支援センターの地域に1人ずつという感じでコーディネーターを置く、そして、それに協議体という自治会連合会会長とか、地区社協の会長とか、NPOのリーダーとか、そういったわれわれの仲間が協議体を構成して、そのコーディネーターを助ける。コーディネーターには、当時の予算では市レベルでそれぞれ800万円人件費を渡す。そういう仕組みの構想ができていった。この800万円は激しい予算折衝を行っていますが、増税が見送りになったので、一般レベルのほうは400万円に値切ろうというところで、厚労省と財務省で厳しい鍔迫り合いを行っているところです。ある程度のお金を出して、そういう助け合いを広げる仕組みをつくろうということで、大体夏頃にかたちがはっきり決まりました。
● さ わ や か 福 祉 財 団 に よ る
『 新 地 域 支 援 助 け 合 い 活 動 創 出 ブ ッ ク 』
昨年9月に、厚労省はコーディネーターに対して、助け合いと協働の仕方を教える講師を養成する研修会を開きました。各都道府県6名ずつ講師を選んで推薦し、彼らに対する研修が始まりました。われわれの仲間も推薦を受け、40名ばかりが入っています。
ところが、研修内容が、学者に頼んだテキストによるものですから、助け合いの基礎理論は書いておりますが、どのようにして助け合いをつくりだすかという具体論、たとえば、「有償ボランティアをどうするのか」、「移送サービスの特徴は何か」、「社会参加を広げる方法」ということは一切入っていない。そこで、厚労省に研修を任せていたのでは駄目だということで、私どものほうで具体的な「助け合いのつくり出し方」、「社会参加の誘い込み方」等のテキスト『新地域支援 助け合い活動創出ブック』をつくりまして、そのテキストをもとに、昨年10月からこの1月にかけて全国を8グループに分けて、全ての都道府県講師役のかたがたに対して研修をやらせていただいております。具体的にいろいろやり方が分かったので、いいコーディネーター、いい協議体構成員を早く選びましょうという動きが私どもの研修会と共に、今全国に広がっています。その研修会に続いて、各県単位、あるいは進んだ市町村に仲間たちと行って、コーディネーターの選び方、協議体の選び方、助け合いのつくり出し方を今やっている最中です。 以上が取り組んでいることです。
● 新 地 域 支 援 事 業 構 築 に 取 り 組 ん で の
第 1 の メ ッ セ ー
― これから求められる、自発的な助け合いの広がりのために
この仕組みはただ要支援者等困っている方があったらそれを支える仕組みをつくるだけではなくて、高齢者の社会参加による力で支えるというもう1つ大きなファクターがあり、これが政府の基本の方針として、法律にも謳われています。言ってみれば、われわれがずっとやってきたことを政府が期待して政府の仕組みとして生活支援コーディネ-ターをつくったわけです。われわれが一生懸命やってきたことを政府が金を出してやるという仕組みになったという意味では画期的な前進ではあります。しかし、当然政府が仕組む助け合いですから、中身を見ていても政府がやはり仕切っている。助け合いもポイント制です。ポイント制はやっていても面白くない。そういうものではなくて、もっともっと自由な自発的な助け合いでないと広がらない。いくら言ってもそこは駄目で、やはり仕切り型の助け合いになっています。そんな仕組みで一斉にやられたのでは助け合いは広がるけれど、まともな助け合いではない。仕切られ型の、行政補助型の助け合いが広がるという、非常に不本意なことになる。だから、そうならないようにこの新しい仕組みに対してしっかりわれわれのノウハウを入れて、コーディネーターがそこのところをしっかり理解するように、新しく選ばれていくコーディネーターをわれわれの視点でしっかり育てていくことが、重大な課題になる。それから、全国市町村に配置されるコーディネーターは社会参加活動を促すフォーラムを開くことになります。これは、われわれが一生懸命社会参加の働きかけを行ってきたことを、官製のフォーラムで社会参加しようと呼びかけることになる。それ自体プラスなのだけれど、その中身が、行政がやれないことを補助的に助け合いでやりますよということでは、まともな助け合いではない。そういう呼びかけにならないように全国で一斉に始まる官製の呼びかけに対して、中身を、われわれがやってきた呼びかけになるように、われわれはそこに入っていかなければならない。具体的に言えば、各市町村で始まる社会参加の講座にわれわれが講師として参加することが非常に重要になります。その点で、高連協は非常に重要な講師の供給源です。高連協の有志は、是非この機会に新しい動きの中に入っていって、まともな、正しい助け合い教授を説いて欲しい。そういう講師が輩出されるように心から祈っております。また、われわれはそういう仕組みをこれから創り出します。
● 新 地 域 支 援 事 業 構 築 に 取 り 組 ん で の
第 2 の メ ッ セ ー ジ
― 今こそ助け合いを通じた高齢者の社会参加実現への官民一体となった運動を!
助け合いを全国で、官製で広めようとしているのですけれど、社会参加のほうが、行政はその手法を持っていないので、ここはしっかり高齢者の社会参加の仕組みを行政だけでなく、連合も入り、経団連も入り、しっかり政府と民間での協力の、たとえばワークライフバランスを進めた時と同じような官民一体となった仕組みをつくるように訴える必要がある。これは絶好の機会です。そのことを厚労省にもちろん言っていますけれど、厚労省は音頭をとりたがらない。何故ならば、厚労省がそういうことを言うと、「自分のところでやるべきことをやらずに、助け合いで逃げるのか」と国会で非難されるのが怖いからです。それでは、内閣府はやってくれるか。これも働きかけました。内閣府の態度は、皆様よくご承知のとおりです。積極的に政治を巻き込み、官邸を巻き込んで運動を展開しようというような勇気はない。だから、これはわれわれのほうでいろいろなところと連携しながらやっていくしかない。今まさにそのことをやる極めて重要なタイミングであるとわれわれのほうも覚悟を決めなければいけないのではないか。 つづく
<堀田力共同代表>
〇 新 地 域 支 援 事 業 と 助 け 合 い 活 動 へ の 取 り 組 み
今、取り組んでいるのは、「さわやか福祉財団」や全国の仲間とともに全国を飛び回って、新地域支援事業、要するに、助け合いで要支援者の生活支援をやろうという新しい仕組みを少しでも充実させることです。
● 新 し い 地 域 支 援 の 枠 組 み が 決 ま る ま で の 経 緯
事の経緯は、要支援者に対する支援を介護保険から切り離す話からです。これは元々根の深い話で、介護保険を創る時から、介護の要支援者を入れるのか、入れないのかについていろいろ議論があって、当初は入れないことにしていて、介護保険制度の5年目の見直しで入れることにしました。しかし介護保険費用がどんどん上がるので、要支援者を介護保険から切り離さざるを得ないではないかという議論はずっと潜在していて、一昨年の8月の社会保障制度改革国民会議で要支援を介護保険から切り離そうという結論が出ました。
その後、裏で厚労省と財務省の激しい攻めぎ合いがありまして、私どものほうとしては、「要支援者を全部切り離したって、助け合いボランティアで受け入れられるのは、生活支援ぐらいだよ。看護とかリハビリとかのような専門知識の要るものは駄目だよ」ということを強力に言いました。厚労省も国民会議の提言ですから、言えない大変な苦労をしてくれたわけです。結論的には要支援制度を残して、専門知識の要るものは介護保険で対応する。一方生活支援は、助け合いでやりましょうということで決着がついたのが、一昨年の11月の中頃であります。
● 新 地 域 支 援 構 想 会 議 と
助 け 合 い 活 動 に 取 組 む 覚 悟
それで、政府、厚労省の態度も決まりましたので、私どもとしては大至急「新地域支援構想会議」を、全国で助け合いの活動をしております全国社会福祉協議会、日本生活協同組合連合会、全国農業協同組合中央会、全国移動サービスネットワーク等々14団体、そして樋口先生にも中身を説明させていただいて、助け合いをやっている団体が集まって、第1回の全体会議を行いましたのが一昨年の12月5日です。その時、「これを助け合いで受けられるのか」との議論を行いました。 そして、「これは受けざるを得ないだろう。放り出すわけにはいかない」ということで、受ける仕組みをしっかりつくろうということになりました。一方、国会で新しい仕組みの審議が始まりますから、制度が歪まないように「助け合いで頑張って受けますよ」と覚悟も決めたわけです。
受け入れるけれども、いくつかの要件がありました。主なものを言えば、1つは、高齢者の要支援者に限って助け合いでやるようなことはできないということです。地域の助け合い、われわれの助け合いは、子供、障がい者、認知症の人、生活困窮者等困っている人を見れば、全部助けますから、従来の行政の縦割りで、「この部分は頼む。応援資金はこれだ」という出し方をされたって、それは受け入れられませんよということです。
もう1つは、やり方を決めて仕切られたって、助け合いは受けませんよということです。助け合いというものは我が儘で、好き勝手にやるからいろいろな人がやってくれるのであって、行政が今までやってきたような「ああしろ、こうしろ。そうしないと支援の金は出さん」と言われても駄目ですよ、ということです。
国会にも、政府にもこの2点を主に強力に申しあげて、厚労省も「その心構えでやります」ということで、制度づくりにかかってくれました。
それで、我々のほうは、政府が動き出しますから、全国の市町村と組んでやることになります。だから、「市町村の担当者が従来のような上から仕切る、制度をつくって縦割りでやるという仕組みを捨てて、全く新しいやり方で、今まで行政がやったことのない支援の仕方、対象を限定せず幅広く、やり方は任せるという支援の仕方をやってくれないとこの制度はうまくいかないよ。これは、今まで行政がやったことのない初めての制度だから、そこは腹を決めてやってくれ」ということをまず全国の市町村にしっかり理解してもらうために、昨年の3月から都道府県単位のフォーラムを始めました。私どもの団体の各地の仲間が頑張ってくれまして、都道府県単位で1フォーラム、そこに都道府県毎にその地域の全市町村の担当者や社協の担当者、NPOの担当者、地縁団体の担当者に詰めてもらって、厚労省からも来てもらって、われわれのほうで、「助け合い、市民の社会参加の心意気とはこういうものだ、だからこういう風に共同してやってくれ」と強力に訴えて回りました。県も新しい制度で戸惑いがありますが、助け合いは、市民の社会参加を理解しなければできないと分かっておりますので、対象は一般の方ではなく、そういう担当者ばかりですが、多いところで、たとえば新潟県だと800人も集まりました。殆どの市町村が参加したのです。そういうことで、全国40都道府県を昨年8月までの間に回って、フォーラムをやらせていただきました。これは、お金は全部当財団が負担しまして、厚労省の出張費も負担しました。厚労省も非常に協力的で、課長や補佐を必ず派遣してくれ、一生懸命説明してくれました。
● 厚 労 省 に よ る ガ イ ド ラ イ ン と
生 活 支 援 コ ー デ ィ ネ ー タ ー
そうして大体全国を回り終えて、都道府県、市町村に訴えたところで、去年の7月に厚労省がガイドラインを出しまして、「こういう助け合いでやってもらう。それには、ベースの基礎資金は出させていただきます。しかし、介護保険の個別の給付に応じてお金を出すことはいたしません。しかし、個別の給付を残しておかないと一挙に助け合いを全国で行うことは無理ですから、そういう仕組みはA型として残します。助け合いは、B型以下の仕組みにします」と指針を示しました。行政も助け合いを広げる仕組みとしては、それまでの間に構想が固まったのですが、行政がある程度お金を出して、各市町村に、生活支援コーディネーターを1人ずつ、そして、その下に各地区中学校区、つまり地域包括支援センターの地域に1人ずつという感じでコーディネーターを置く、そして、それに協議体という自治会連合会会長とか、地区社協の会長とか、NPOのリーダーとか、そういったわれわれの仲間が協議体を構成して、そのコーディネーターを助ける。コーディネーターには、当時の予算では市レベルでそれぞれ800万円人件費を渡す。そういう仕組みの構想ができていった。この800万円は激しい予算折衝を行っていますが、増税が見送りになったので、一般レベルのほうは400万円に値切ろうというところで、厚労省と財務省で厳しい鍔迫り合いを行っているところです。ある程度のお金を出して、そういう助け合いを広げる仕組みをつくろうということで、大体夏頃にかたちがはっきり決まりました。
● さ わ や か 福 祉 財 団 に よ る
『 新 地 域 支 援 助 け 合 い 活 動 創 出 ブ ッ ク 』
昨年9月に、厚労省はコーディネーターに対して、助け合いと協働の仕方を教える講師を養成する研修会を開きました。各都道府県6名ずつ講師を選んで推薦し、彼らに対する研修が始まりました。われわれの仲間も推薦を受け、40名ばかりが入っています。
ところが、研修内容が、学者に頼んだテキストによるものですから、助け合いの基礎理論は書いておりますが、どのようにして助け合いをつくりだすかという具体論、たとえば、「有償ボランティアをどうするのか」、「移送サービスの特徴は何か」、「社会参加を広げる方法」ということは一切入っていない。そこで、厚労省に研修を任せていたのでは駄目だということで、私どものほうで具体的な「助け合いのつくり出し方」、「社会参加の誘い込み方」等のテキスト『新地域支援 助け合い活動創出ブック』をつくりまして、そのテキストをもとに、昨年10月からこの1月にかけて全国を8グループに分けて、全ての都道府県講師役のかたがたに対して研修をやらせていただいております。具体的にいろいろやり方が分かったので、いいコーディネーター、いい協議体構成員を早く選びましょうという動きが私どもの研修会と共に、今全国に広がっています。その研修会に続いて、各県単位、あるいは進んだ市町村に仲間たちと行って、コーディネーターの選び方、協議体の選び方、助け合いのつくり出し方を今やっている最中です。 以上が取り組んでいることです。
● 新 地 域 支 援 事 業 構 築 に 取 り 組 ん で の
第 1 の メ ッ セ ー
― これから求められる、自発的な助け合いの広がりのために
この仕組みはただ要支援者等困っている方があったらそれを支える仕組みをつくるだけではなくて、高齢者の社会参加による力で支えるというもう1つ大きなファクターがあり、これが政府の基本の方針として、法律にも謳われています。言ってみれば、われわれがずっとやってきたことを政府が期待して政府の仕組みとして生活支援コーディネ-ターをつくったわけです。われわれが一生懸命やってきたことを政府が金を出してやるという仕組みになったという意味では画期的な前進ではあります。しかし、当然政府が仕組む助け合いですから、中身を見ていても政府がやはり仕切っている。助け合いもポイント制です。ポイント制はやっていても面白くない。そういうものではなくて、もっともっと自由な自発的な助け合いでないと広がらない。いくら言ってもそこは駄目で、やはり仕切り型の助け合いになっています。そんな仕組みで一斉にやられたのでは助け合いは広がるけれど、まともな助け合いではない。仕切られ型の、行政補助型の助け合いが広がるという、非常に不本意なことになる。だから、そうならないようにこの新しい仕組みに対してしっかりわれわれのノウハウを入れて、コーディネーターがそこのところをしっかり理解するように、新しく選ばれていくコーディネーターをわれわれの視点でしっかり育てていくことが、重大な課題になる。それから、全国市町村に配置されるコーディネーターは社会参加活動を促すフォーラムを開くことになります。これは、われわれが一生懸命社会参加の働きかけを行ってきたことを、官製のフォーラムで社会参加しようと呼びかけることになる。それ自体プラスなのだけれど、その中身が、行政がやれないことを補助的に助け合いでやりますよということでは、まともな助け合いではない。そういう呼びかけにならないように全国で一斉に始まる官製の呼びかけに対して、中身を、われわれがやってきた呼びかけになるように、われわれはそこに入っていかなければならない。具体的に言えば、各市町村で始まる社会参加の講座にわれわれが講師として参加することが非常に重要になります。その点で、高連協は非常に重要な講師の供給源です。高連協の有志は、是非この機会に新しい動きの中に入っていって、まともな、正しい助け合い教授を説いて欲しい。そういう講師が輩出されるように心から祈っております。また、われわれはそういう仕組みをこれから創り出します。
● 新 地 域 支 援 事 業 構 築 に 取 り 組 ん で の
第 2 の メ ッ セ ー ジ
― 今こそ助け合いを通じた高齢者の社会参加実現への官民一体となった運動を!
助け合いを全国で、官製で広めようとしているのですけれど、社会参加のほうが、行政はその手法を持っていないので、ここはしっかり高齢者の社会参加の仕組みを行政だけでなく、連合も入り、経団連も入り、しっかり政府と民間での協力の、たとえばワークライフバランスを進めた時と同じような官民一体となった仕組みをつくるように訴える必要がある。これは絶好の機会です。そのことを厚労省にもちろん言っていますけれど、厚労省は音頭をとりたがらない。何故ならば、厚労省がそういうことを言うと、「自分のところでやるべきことをやらずに、助け合いで逃げるのか」と国会で非難されるのが怖いからです。それでは、内閣府はやってくれるか。これも働きかけました。内閣府の態度は、皆様よくご承知のとおりです。積極的に政治を巻き込み、官邸を巻き込んで運動を展開しようというような勇気はない。だから、これはわれわれのほうでいろいろなところと連携しながらやっていくしかない。今まさにそのことをやる極めて重要なタイミングであるとわれわれのほうも覚悟を決めなければいけないのではないか。 つづく