このメールは 日本生涯現役推進協議会 様宛にお送りしました。
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    J.I.メールニュース No.687 2015.01.08発行
       「手づくり度を上げよう」 
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<巻頭挨拶文>

  「 手  づ  く  り  度  を  上  げ  よ  う  」 
         一般社団法人構想日本 代表  加藤 秀樹
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あけましておめでとうございます。

みなさまそれぞれによい正月をお迎えのことと思います。

正月の清々しくめでたいけはいを淑気と言います。気のせいか年のせいかもしれませんが、年を追って世の中の淑気が薄れているように感じます。正月がただの長い休みになってきた感じです。

年末に有名な料理屋の「御節」のカタログを見ました。数万円から二十万円ほどのものまで豪華絢爛です。最近はこのごちそうを大晦日に食べる人も少なくないとか。それでも御節を買うというところが伝統を守っていると言うべきか、それでは御節になっていないと言うべきか、どちらでしょうか。

私は、ここにも最近の構想日本のキーワードである「自分事」との関わりを感じます。

年末には、家や仕事場を清め、松飾りや御節を用意する。慌ただしく立ち働いて、ようやく正月の用意もできたか、というプロセスがあって、元旦に淑気が宿るのではないでしょうか。

今の日本とくに大都会は圧倒的に世界最高の消費社会だと思います。

日常の生活から御節に至るまで、私たちはほとんどすべてのものを買って生活しています。

いわゆる生老病死のすべてにわたって人手に頼り、消費者として生きているのではないでしょうか。生まれること、死ぬことを含めて。

買ったものを着、食べ、いらなくなると捨て、また買う。健康も娯楽もサービスを買い、更に良いサービスを求める。その延長線上で、医療や教育など行政サービスも消費対象のようになっている。

ものを買うのは楽しいことです。内容と値段を比べながらどちらがいいかななどと考えをめぐらせます。しかし、例えば自分で料理をつくるともっと関わり、思い入れが強まります。少し焼きすぎたかな、今度はこうしよう、などと。先に述べた淑気は思い入れの賜物だと思います。日本の消費者は「手づくり」を好むと言います。「手づくりにこだわった」ものを買うわけです。バレンタインデーあたりになると本当の手づくりチョコレートが贈られたりしますが。

東日本大震災後、絆という言葉がずい分使われました。しかし、お仕着せの標語や歌や補助金で絆ができるわけではありません。被災地の人々が実際に絆(私には縁という言葉のほうがしっくりきますが)を感じるのは、実際に汗を流してくれた人だけでしょう。

できあいのものを使ったり、受け入れるだけでなく、それを考えたり、作るプロセスにも関わってこそ中身が充実する。あたり前のことですが、これも「自分事」かどうかだと思います。

バレンタインデーに限らず、日々の暮らし、介護、地方創生など、すべてについて消費者から脱して手づくり度を上げたい。自戒をこめて思います。

そうやってプロセスに関わることによって、正月の淑気も濃く、景気の如何を問わず日々の生活が充実し、縁も濃い1年にしたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いします。
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