このメールは 日本生涯現役推進協議会 様宛にお送りしました。
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    J.I.メールニュース No.669 2014.08.28発行 
  「 無 縁 社 会 の な か の サ イ レ ン ト・プ ア 」
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【1】<巻頭寄稿文> 「無縁社会のなかのサイレント・プア」  
                    宝塚NPOセンター 理事長  牧里 毎治
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  「サイレント・プア」聞き慣れない言葉ですが、NHKドラマのタイトルです。「サイレント・プア」とはよくネーミングしたもので、生活に困窮している人たちの声なき貧困状況を表すのにぴったり合っています。かつて「物言わぬ農民」という、貧しい東北地方の人々の粘り強い暮らしぶりを表現した言葉がありましたが、それに匹敵するインパクトの強さがこの言葉に宿っています。この番組は深田恭子主演のコミュニティ・ソーシャル・ワーカー(CSW)物語でした。  このCSWという言葉も初めて耳にする人も多いのではないかと思われますが、地域社会を舞台にソーシャル・ワーカーと呼ばれる人たちが声なき声を掬い上げ、援助・支援するサービスや制度がなくても、住民や関係団体と協力して問題解決の道を切り拓いていきます。  東京下町を舞台に、ゴミ屋敷の高齢者やひきこもりの青年たちの支援を社会福祉協議会に勤務するCSWが、市役所の地域福祉課職員や民生委員、近隣住民たちと協力し合って支援するストーリーでした。

  制度の谷間に落ちこぼれて、福祉関係者や行政職員の訪問を拒んだり、近隣住民とトラブルを起こしたり、あるいはセルフ・ネグレクト(自己放棄)によるひきこもりのため存在すら無視されているなど、接近困難な事例にソーシャル・ワーカーがどう向き合うかはとても重要で極めて現代的課題となっています。この物語は生活困窮している物言わぬ住民が想像以上に現代社会に存在していることへの警鐘となっており、シナリオの素材は、大阪府豊中市などで取り組まれている実話です。

  貧困の諸相には経済的貧困だけでなく、健康問題や文化的貧困など複合的な課題を合わせ持つことが古くから指摘されてきました。今日的な様相としては社会保障制度や社会福祉制度が生活困窮者を結果として排除してしまうという矛盾があります。生活技術の未熟さや意思疎通の困難さ、人間関係のつまずきなど個人的なことがきっかけとなって、社会制度の手続きや事務処理の煩雑さ、資格要件の厳しさなどが、結果的に生活困窮者を無縁社会に押し戻してしまうのです。  ごく平凡に普通の暮らしをしていても、リストラや大病、心の病をきっかけに、無縁社会の谷底へ引き込まれてしまうのが現代的貧困の様相です。「サイレント・プア」とは、社会的に弱い立場の人々を、静かに何事もなかったかのように貧困と絶望の淵に陥れてしまう怖さを表していると思いませんか。人間関係の貧困さが経済的貧困や文化的貧困、ひいては心の貧困を招くのです。社会のなかの孤立や孤独は、日本特有の社会的な無関心、社会的排除がもたらす結果かもしれません。

  宝塚NPOセンターが取り組んでいる就労支援の若者サポートステーション事業は、ワーキング・プアやネット難民になりかねない若者を社会に繋ぎ戻す、ほんのわずかな支援にしか過ぎないかもしれません。けれど、一人でもそうした若者を支援する市民の理解と協力がなければ、底の抜けそうな日本社会を変える第一歩にはならないと思います。私たち市民活動をしている一人ひとりは微力かもしれない、だけど無力ではない。つながっていけると思うのです。
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【牧里 毎治(まきさと つねじ):プロフィール】
1975年、大阪市立大学大学院家政学研究科修士課程修了。大阪府立大学 社会福祉学部教授を経て、2008年より現職(関西学院大学 人間福祉学部教授)。宝塚NPOセンター理事長・大阪ボランティア協会理事長をはじめ、関係学会の役員を歴任。また大阪府・大阪市・堺市・豊中市・神戸市・西宮市・芦屋市などの地域福祉(支援)計画の策定委員長を務める。専攻は地域福祉計画、社会起業など。
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【2】   第 2 0 4 回 J. I. フ ォ ー ラ ム  9月30日(火)開催
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「 2 0 2 0 年 ~ オ リ ン ピ ッ ク 妄 想 委 員 会 」

  2020年のオリンピックへ向けていろんなことが走り始めました。国の予算にも「オリンピック関連」がたくさん見られます。大いに盛り上がるのはいい事だと思います。 しかし、オリンピック後、ハコモノではなく、将来に誇れるものを残せるのか、が大事だと思います。

  乙武洋匡さんは、「オリンピックとパラリンピックを一つにしよう」と言っています。

  過度の商業主義とか、日本の場合は震災復興の妨げにならないのか、などの批判もあります。

  未来のオリンピックの姿をそろそろ考えてもいい時だと思います。

  近代オリンピックを始めたのはフランス人ですが、2020年から先のオリンピックについて、私たちが勝手に構想しませんか。暴論、妄論何でもありです。

◯ 日 時 : 9月30日(火)18:30~20:30(開場18:00)
◯ 会 場 : TKPガーデンシティ永田町 3階(ホール3E)
        千代田区平河町2-13-12 東京平河町ビル TEL 03-4577-9258
◯ ゲスト : 乙武 洋匡 (作家、東京都教育委員会委員)  
◯ コーディネーター : 加藤 秀樹(構想日本 代表)
◯ 主 催 : 構想日本
◯ 定 員 : 160名  
◯ 参加費 : 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
                 ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯ 懇親会参加費 : 4,000円(ご希望の方は懇親会参加と明記してください)
          ※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
         TKPガーデンシティ永田町 3階(カンファレンスルーム)    
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