井上氏:8/4フクシマ復興応援ネットワーク
2014年8月5日 お仕事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
FMM No.5 【Fukushima Mail Magazine】
原発ゼロで、日本経済は再生する 2014.8.4発行
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7月26日の縮小社会研究会で、城南信用金庫の吉原毅理事長による「信用金庫の脱原発宣言」についての講演がありました。吉原さんは「原発ゼロで、日本経済は再生する」(角川Oneテーマ21)という「著書」の中でも、城南信用金庫としての原発問題に対するスタンス、これまでの福島第一原発事故被災に対する支援について語っています。「フクシマ復興応援ネットワーク」の立場から、あらためて当「著書」を読み込み、その基本的な部分を整理することで、今後のネットワーク活動の課題を確認したいと思います。
■動き出している原発再稼働について
安倍首相の「簡単に原発を止めるわけにはいかない。原発の再稼働の状況を見極め、早くエネルギーのベストミックスの目標を設定しておきたい」という発言に対して、著者は「福島第一原発事故の原因は究明できたのか。汚染水はどこでどう処理するのか。核のゴミの問題に道筋はついたのか。何ひとつ解決していないにもかかわらず、官民が一体となって、原発再稼働をなし崩し的に推し進めている。」と批判しています。
ここでの「何ひとつ解決していない」ことの一つとして、「フクシマ復興応援ネットワーク」としては「国策の犠牲となり、今なお避難生活を余儀なくされている被災者の生活再建や被災自治体の再興について、なんら満足な復興施策の手が打てていない」という現実を重視したいと思います。事故から3年経っても、生活基盤を奪われたまま、未来を失い、無念さと絶望感にさい苛まされ、疲弊していく多くの被災者を目の当たりにしながら、我々は目の前の、自分達の利益しか考えない国民になり下がってしまったのだろうか。
■信用金庫として、福島第一原発事故で決まった進むべき道
城南信用金庫は「地域を守り、地域の人々の幸せを実現する金融機関」として、東日本震災の被災地に対して、3億円を寄付し、義捐金1億5千万円を集めました。しかし、福島第一原発事故には、何一つ支援の手段を見出せずにいたとのことです。そんな中で、南相馬市のあぶくま信用金庫から震災で内定を取り消さざるを得なくなった4名を城南信用金庫で採用してくれないかという相談があり、当金庫の新入職員として受け入れることになりました。
当信用金庫の理事長でもある著者は、東京生まれの東京育ちですが、「地域とは過去から現在、未来への営みが行われるかけがいのない場所。地域があってこそ人々は安心して暮らせ、仕事ができ、喜びを持って人生を送ることができる」として、福島の人々が「先祖代々受け継がれてきた思いで深い場所が、一瞬の(原発)事故により問答無用で奪い取られ、故郷を失ってしまった」ことに思いを馳せ、「胸が張り裂けるような思いを抱かずにはいられなかった」と述べています。
その上で著者は、その後の国や東電の原発の危機管理を巡る杜撰さに腹を立てながらも、「福島第一原発で発電された電気は、私が住む東京に供給されている。その福島に住む人々がなぜ先祖代々から受け継いできた地域をうばわれなければならないのか。事故の責任の一端は、喧伝されてきた安全神話を盲信し、原発が持つ危険性に対して正面から向き合ったこなかった私たちにもある。地域の発展に貢献し、地域の人たちの幸せのためにつくす金融機関として、東北地方もコミュニティの一部だという考えに至った時に、なすべきことがはっきり見えてきた」として、「信用金庫のルーツをたどれば、城陽信用金庫の原発のない社会を実現させたいという脱原発宣言は、むしろ必然だった」と述べています。
■原発ゼロでも日本経済は揺るがない
金融トップとして、脱原発宣言をするからには、「原発ゼロになっても、日本経済がちゃんとやっていける道筋を示さなければならない」と思います。
著者は「安倍のミックスで、日経平均株価が上昇し、稼働原発ゼロでもデフレ不況脱出の兆しがある」としています。さらに「日本は長年貿易黒字を続けたために、円高になり、産業が空洞化し、失業が増え、デフレ不況が深刻化していった」。しかし、「原発停止で火力発電のため燃料調達費(約年間4兆円)が急増し、赤字体質になったが、円安が進み、輸出産業を後押しする状況が整った」として、「輸入額が多くなれば円売りドル買いが進み、円安ドル高に為替レートが動き、輸出に有利、輸入に不利降りとなって、輸出が増え、輸入が減ることで貿易赤字が是正される」と解説しています。
また著者は、「原発再稼働なしでは電気料金が上がる」というならば、「電力の自由化で低コストの新しい電力が自由に流通する仕組みの検討が先であるべきだ」、「火力発電に頼よれば環境問題が心配だ」というならば、「地球温暖化の原因が二酸化炭素にあるのかどうか、科学的、統計的根拠を確認してからでも遅くはない」、「原発炉内の冷却水は海へ垂れ流され、地球温暖化の原因の最たるものという見方もある」として、正しい知識を持って、原子力村のカラクリを看破していかなければならないと述べています。
■原発ゼロを実現させる手段
著者は原発ゼロを実現させる手段として、既存の配電網を使える特定規模電気事業者「PPS」を活用する逆転の発想があるとしています。「PPS」(Power Producer and Supplier)とは、電圧が6000ボルト以上で、契約電力が50キロワット以上なら契約ができ、城南信用金庫はエネット(東京ガス、大阪ガス、NTTフアッシリティーの共同出資、川崎天然ガス発電から電気を購入している)という「PPS」から電気を購入し、電気量を年間1000万円以上も節約できるようになりました。
著者は、2016年からは家庭・商店・事務所等の低圧向け電気も自由化される予定になっていることを踏まえ、「今後は大規模な自家発電設備を有している大企業が電力事業に参入していくだろう。電気料金が大幅に安くなるPPSで、原発は止められるかもしれない」として、こうした正しい情報を発信していくことが城南信用金庫に課せられた使命だと述べています。
これまで日本の電力発電において原発が占める割合が30%でした。著者は「30%節電すれば原発は不要になる」として、照明の節約、ウオームビズ、蛍光灯からLED照明への切り替えで30~40%の節電に簡単に成功し、「企業や家庭が力を合わせれば、原発は必ず止められる。これまでの思いは確信に変わった」と述べています。
■日本の未来を憂いて!
著者は最後の「祖先への感謝、未来への責任」の章で、次のような締めくくりをしています。「原発稼働がなし崩し的に進められそうになっている今日にあっても、諦めてはならない。あきらめている時間はない。我々にできることは山ほどある。国会議員や銀行、電力会社、マスコミに思いのたけを綴った手紙を出してみよう。原発を推進する立場の人の意見を検証してみよう。お互い正しい情報を伝え、話し合ってみよう。」
「フクシマ復古応援ネットワーク」にあっても、原発推進政策の犠牲となって、地域を奪われ、今なお避難生活が続く10数万人の被災者の生活再建をどうするか、被災自治体の再興をどうするかという現実の問題を、このまま風化させてはならないという思いで、国の最優先施策として取組む国民運動的な活動を呼びかけています。
これまで多くの志を同じくする皆さんとの出会いがあり、ここまでやってくることができました。依然として先の長い困難な道のりですが、私たちも諦めなければ、新しい出会いがあり、そのことが確かな一歩前進につながるという確信を持って歩んでいきたいと思います。
FMM No.5 【Fukushima Mail Magazine】
原発ゼロで、日本経済は再生する 2014.8.4発行
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7月26日の縮小社会研究会で、城南信用金庫の吉原毅理事長による「信用金庫の脱原発宣言」についての講演がありました。吉原さんは「原発ゼロで、日本経済は再生する」(角川Oneテーマ21)という「著書」の中でも、城南信用金庫としての原発問題に対するスタンス、これまでの福島第一原発事故被災に対する支援について語っています。「フクシマ復興応援ネットワーク」の立場から、あらためて当「著書」を読み込み、その基本的な部分を整理することで、今後のネットワーク活動の課題を確認したいと思います。
■動き出している原発再稼働について
安倍首相の「簡単に原発を止めるわけにはいかない。原発の再稼働の状況を見極め、早くエネルギーのベストミックスの目標を設定しておきたい」という発言に対して、著者は「福島第一原発事故の原因は究明できたのか。汚染水はどこでどう処理するのか。核のゴミの問題に道筋はついたのか。何ひとつ解決していないにもかかわらず、官民が一体となって、原発再稼働をなし崩し的に推し進めている。」と批判しています。
ここでの「何ひとつ解決していない」ことの一つとして、「フクシマ復興応援ネットワーク」としては「国策の犠牲となり、今なお避難生活を余儀なくされている被災者の生活再建や被災自治体の再興について、なんら満足な復興施策の手が打てていない」という現実を重視したいと思います。事故から3年経っても、生活基盤を奪われたまま、未来を失い、無念さと絶望感にさい苛まされ、疲弊していく多くの被災者を目の当たりにしながら、我々は目の前の、自分達の利益しか考えない国民になり下がってしまったのだろうか。
■信用金庫として、福島第一原発事故で決まった進むべき道
城南信用金庫は「地域を守り、地域の人々の幸せを実現する金融機関」として、東日本震災の被災地に対して、3億円を寄付し、義捐金1億5千万円を集めました。しかし、福島第一原発事故には、何一つ支援の手段を見出せずにいたとのことです。そんな中で、南相馬市のあぶくま信用金庫から震災で内定を取り消さざるを得なくなった4名を城南信用金庫で採用してくれないかという相談があり、当金庫の新入職員として受け入れることになりました。
当信用金庫の理事長でもある著者は、東京生まれの東京育ちですが、「地域とは過去から現在、未来への営みが行われるかけがいのない場所。地域があってこそ人々は安心して暮らせ、仕事ができ、喜びを持って人生を送ることができる」として、福島の人々が「先祖代々受け継がれてきた思いで深い場所が、一瞬の(原発)事故により問答無用で奪い取られ、故郷を失ってしまった」ことに思いを馳せ、「胸が張り裂けるような思いを抱かずにはいられなかった」と述べています。
その上で著者は、その後の国や東電の原発の危機管理を巡る杜撰さに腹を立てながらも、「福島第一原発で発電された電気は、私が住む東京に供給されている。その福島に住む人々がなぜ先祖代々から受け継いできた地域をうばわれなければならないのか。事故の責任の一端は、喧伝されてきた安全神話を盲信し、原発が持つ危険性に対して正面から向き合ったこなかった私たちにもある。地域の発展に貢献し、地域の人たちの幸せのためにつくす金融機関として、東北地方もコミュニティの一部だという考えに至った時に、なすべきことがはっきり見えてきた」として、「信用金庫のルーツをたどれば、城陽信用金庫の原発のない社会を実現させたいという脱原発宣言は、むしろ必然だった」と述べています。
■原発ゼロでも日本経済は揺るがない
金融トップとして、脱原発宣言をするからには、「原発ゼロになっても、日本経済がちゃんとやっていける道筋を示さなければならない」と思います。
著者は「安倍のミックスで、日経平均株価が上昇し、稼働原発ゼロでもデフレ不況脱出の兆しがある」としています。さらに「日本は長年貿易黒字を続けたために、円高になり、産業が空洞化し、失業が増え、デフレ不況が深刻化していった」。しかし、「原発停止で火力発電のため燃料調達費(約年間4兆円)が急増し、赤字体質になったが、円安が進み、輸出産業を後押しする状況が整った」として、「輸入額が多くなれば円売りドル買いが進み、円安ドル高に為替レートが動き、輸出に有利、輸入に不利降りとなって、輸出が増え、輸入が減ることで貿易赤字が是正される」と解説しています。
また著者は、「原発再稼働なしでは電気料金が上がる」というならば、「電力の自由化で低コストの新しい電力が自由に流通する仕組みの検討が先であるべきだ」、「火力発電に頼よれば環境問題が心配だ」というならば、「地球温暖化の原因が二酸化炭素にあるのかどうか、科学的、統計的根拠を確認してからでも遅くはない」、「原発炉内の冷却水は海へ垂れ流され、地球温暖化の原因の最たるものという見方もある」として、正しい知識を持って、原子力村のカラクリを看破していかなければならないと述べています。
■原発ゼロを実現させる手段
著者は原発ゼロを実現させる手段として、既存の配電網を使える特定規模電気事業者「PPS」を活用する逆転の発想があるとしています。「PPS」(Power Producer and Supplier)とは、電圧が6000ボルト以上で、契約電力が50キロワット以上なら契約ができ、城南信用金庫はエネット(東京ガス、大阪ガス、NTTフアッシリティーの共同出資、川崎天然ガス発電から電気を購入している)という「PPS」から電気を購入し、電気量を年間1000万円以上も節約できるようになりました。
著者は、2016年からは家庭・商店・事務所等の低圧向け電気も自由化される予定になっていることを踏まえ、「今後は大規模な自家発電設備を有している大企業が電力事業に参入していくだろう。電気料金が大幅に安くなるPPSで、原発は止められるかもしれない」として、こうした正しい情報を発信していくことが城南信用金庫に課せられた使命だと述べています。
これまで日本の電力発電において原発が占める割合が30%でした。著者は「30%節電すれば原発は不要になる」として、照明の節約、ウオームビズ、蛍光灯からLED照明への切り替えで30~40%の節電に簡単に成功し、「企業や家庭が力を合わせれば、原発は必ず止められる。これまでの思いは確信に変わった」と述べています。
■日本の未来を憂いて!
著者は最後の「祖先への感謝、未来への責任」の章で、次のような締めくくりをしています。「原発稼働がなし崩し的に進められそうになっている今日にあっても、諦めてはならない。あきらめている時間はない。我々にできることは山ほどある。国会議員や銀行、電力会社、マスコミに思いのたけを綴った手紙を出してみよう。原発を推進する立場の人の意見を検証してみよう。お互い正しい情報を伝え、話し合ってみよう。」
「フクシマ復古応援ネットワーク」にあっても、原発推進政策の犠牲となって、地域を奪われ、今なお避難生活が続く10数万人の被災者の生活再建をどうするか、被災自治体の再興をどうするかという現実の問題を、このまま風化させてはならないという思いで、国の最優先施策として取組む国民運動的な活動を呼びかけています。
これまで多くの志を同じくする皆さんとの出会いがあり、ここまでやってくることができました。依然として先の長い困難な道のりですが、私たちも諦めなければ、新しい出会いがあり、そのことが確かな一歩前進につながるという確信を持って歩んでいきたいと思います。