Altarna: CSR活動に不可欠な「短い名前」
2014年5月17日 お仕事東瀧 邦次さま
いつもお世話になっております。
企業のCSR活動やNPOの活動を取材する側として、ずっと気になってきたことがあります。それは、せっかく良い活動を展開しているのに、名前がないために社会での認知度が低かったり、活動自体も広がっていかなかったりすることです。
名前は大事です。しかも短くて覚えやすい名前が必要です。「地球温暖化防止と生物多様性保全のための○○推進事業」など、長くて、しかも一般名詞の羅列では、なかなか人のアタマに入りにくいのです。
企業のブランドマネージャーはその点よく心得ていて、新製品や新しいサービスを世に出す時には必ず「短くて覚えやすい名前」にこだわります。そもそも、日本人は「4文字(音節)以下」の名前を好み、長い名前は「キムタク」や「モモクロ」など勝手に4文字化してしまうのです。
「トヨタ」も「ソニー」も「東芝」も4文字以下です。ソニーが旧社名「東京通信工業」のままだったら、これだけの世界ブランドにはならなかったでしょう。
米国なら長い名前は「JFK」や「GE」のように短縮語(アブリビエーション)を多用しますが、短くて覚えやすい名前も多いのです。「アップル」も「グーグル」もそうです。
秀逸なのは「アマゾン(amazon)」。本来、通信販売事業とブラジルの大河には何の関係もありませんが、ロゴを良く見ますと、「a」から「z」に矢印が出ています。つまり、「a to z」。何でも揃うという意味を込めています。
CSR活動やNPO活動も、このように「短くて覚えやすい名前」が望ましいでしょう。それだけではなく、筆者が提唱する「ソーシャル・ブランディング」の観点から見ますと、次の5つの要素が不可欠でしょう。
それは(1)ネーミングのほか、(2)言える化(3)デザイン化(4)差異化(5)見える化--の5つです。
2)の「言える化」とは、「見える化」をもじった表現です。人は、何かを見たり、聞いたり、読んだりしただけでは、なかなか記憶に残りません。逆に、「人にそれを伝えることができる=言える」ということは、その事象をきちんと理解し、記憶していることになります。
そのためには、「短くて覚えやすい名前」だけではなく、人の記憶に残りやすい「ストーリー」が不可欠です。最近、IR業界で、非財務情報の開示のための「ストーリー・テリング」がグローバル規模で注目されているのもこのためです。
ここで有効なのは「引き算の広報戦略」です。網羅的な「幕の内弁当」型より、一つに絞り込んだ「うな重」型のメッセージが伝わりやすいのです。日本のCSRレポートは「幕の内弁当」の典型で、たくさんの「おかず」が入っていますが、後で何を食べたか忘れることもあります。
これに対して、「うな重」のおかずは一つだけ。しかも価値が高いおかずです。香り高いその匂いは、五感を使ったコミュニケーションとさえ言えます。
「引き算の広報」では、短くて力強いタグライン(キャッチコピー)も有効です。タグラインは13文字以内であってほしい。「13文字」とはYahoo!ニュースの見出しの文字数で、つまり、あらゆるニュースは13文字以内で表現できているのです。
13文字が無理なら、せめて17文字でまとめたいものです。日本の俳句や川柳の文字数です。日本人は古来、この字数で森羅万象を表してきました。CSRやNPO活動も17文字以内で表現してほしいのです。
タグラインを短くすると、世の中に伝わりやすくなります。サントリーの「水と生きる」はわずか6文字(漢字なら5文字)のメッセージです。このフレーズが社会に広く伝わった最大の理由は、簡潔で短かったからです。(オルタナ編集長 森 摂)
いつもお世話になっております。
企業のCSR活動やNPOの活動を取材する側として、ずっと気になってきたことがあります。それは、せっかく良い活動を展開しているのに、名前がないために社会での認知度が低かったり、活動自体も広がっていかなかったりすることです。
名前は大事です。しかも短くて覚えやすい名前が必要です。「地球温暖化防止と生物多様性保全のための○○推進事業」など、長くて、しかも一般名詞の羅列では、なかなか人のアタマに入りにくいのです。
企業のブランドマネージャーはその点よく心得ていて、新製品や新しいサービスを世に出す時には必ず「短くて覚えやすい名前」にこだわります。そもそも、日本人は「4文字(音節)以下」の名前を好み、長い名前は「キムタク」や「モモクロ」など勝手に4文字化してしまうのです。
「トヨタ」も「ソニー」も「東芝」も4文字以下です。ソニーが旧社名「東京通信工業」のままだったら、これだけの世界ブランドにはならなかったでしょう。
米国なら長い名前は「JFK」や「GE」のように短縮語(アブリビエーション)を多用しますが、短くて覚えやすい名前も多いのです。「アップル」も「グーグル」もそうです。
秀逸なのは「アマゾン(amazon)」。本来、通信販売事業とブラジルの大河には何の関係もありませんが、ロゴを良く見ますと、「a」から「z」に矢印が出ています。つまり、「a to z」。何でも揃うという意味を込めています。
CSR活動やNPO活動も、このように「短くて覚えやすい名前」が望ましいでしょう。それだけではなく、筆者が提唱する「ソーシャル・ブランディング」の観点から見ますと、次の5つの要素が不可欠でしょう。
それは(1)ネーミングのほか、(2)言える化(3)デザイン化(4)差異化(5)見える化--の5つです。
2)の「言える化」とは、「見える化」をもじった表現です。人は、何かを見たり、聞いたり、読んだりしただけでは、なかなか記憶に残りません。逆に、「人にそれを伝えることができる=言える」ということは、その事象をきちんと理解し、記憶していることになります。
そのためには、「短くて覚えやすい名前」だけではなく、人の記憶に残りやすい「ストーリー」が不可欠です。最近、IR業界で、非財務情報の開示のための「ストーリー・テリング」がグローバル規模で注目されているのもこのためです。
ここで有効なのは「引き算の広報戦略」です。網羅的な「幕の内弁当」型より、一つに絞り込んだ「うな重」型のメッセージが伝わりやすいのです。日本のCSRレポートは「幕の内弁当」の典型で、たくさんの「おかず」が入っていますが、後で何を食べたか忘れることもあります。
これに対して、「うな重」のおかずは一つだけ。しかも価値が高いおかずです。香り高いその匂いは、五感を使ったコミュニケーションとさえ言えます。
「引き算の広報」では、短くて力強いタグライン(キャッチコピー)も有効です。タグラインは13文字以内であってほしい。「13文字」とはYahoo!ニュースの見出しの文字数で、つまり、あらゆるニュースは13文字以内で表現できているのです。
13文字が無理なら、せめて17文字でまとめたいものです。日本の俳句や川柳の文字数です。日本人は古来、この字数で森羅万象を表してきました。CSRやNPO活動も17文字以内で表現してほしいのです。
タグラインを短くすると、世の中に伝わりやすくなります。サントリーの「水と生きる」はわずか6文字(漢字なら5文字)のメッセージです。このフレーズが社会に広く伝わった最大の理由は、簡潔で短かったからです。(オルタナ編集長 森 摂)