東瀧 邦次さま

いつもお世話になっております。
  筆者は企業の環境・CSR活動やNPOとの協働などに関する、いくつかのアワード(顕彰)の審査員をさせて頂いていますが、最近、残念な事実を知りました。
  それは、数年前にある「大賞」でグランプリを獲得した企業が、受賞の半年以上前に、NPOに対する支援を事実上打ち切っていたのです。支援期間はたった1年でした。
  すでに終わっていた支援について、それを隠し通し、堂々と受賞していたのであれば、それは企業倫理にもとる行動と言わざるを得ません。審査員の一人として、まさに裏切られた思いでした。
  企業同士の取引であれば、短期間で終了することはよくあることです。しかし、NPOは市民を代表する存在であり、その背後には多くの受益者がいるのです。そうした関係性から、企業が一方的にNPOを安易に「切る」ようなやり方は、多くの人たちから不信感を抱かれかねない行為です。
  企業のCSR活動は、10年、20年と続く中長期の取り組みであるべきです。障がいを持つ児童への支援であれば、小学校1年生から高校3年生まで12年の学習期間があります。それなのに1-2年で支援が途絶えれば、「打ち切られた」児童はどうすれば良いのでしょうか。これは海外の貧困や教育支援なども同様です。 
  さて、このように企業がCSR活動で協業したNPOを短期間で「切る」ような事態が頻発すると、さまざまなリスクが予想されます。第1に、「切った」企業自身のリスクです。
その企業への不信感が伝播し、社会からの信頼や「いいね!」を得て自らのソーシャル・ブランド価値を高めるという、企業のCSR活動の根幹が大きく揺らぎかねません。
  上司が変わったから、方針が変わったからといって、NPOや市民社会との関係をリセットするようなことでは、その企業への信頼自体も大きく損なわれかねません。
  第2のリスクは、NPO側が支援を打ち切られることを恐れ、ますます企業に対してモノが言えなくなることです。「協働=パートナーシップ」とは、あくまで対等の関係です。双方が健全な意見や、応分の労力を出し合って初めて成立するのです。
  グローバル企業を堂々と批判する海外のNGO/NPOに比べて、日本のNPOは、総じて企業に対しておとなしいのが実情です。その背景には、日本のNPOが財政的に脆弱であることがあります。
  NPO側も、寄付やクラウドファウンディングなどを通じて、財政基盤を健全にした上で、企業に対してきちんとモノが言える組織にすることが求められています。
  第3のリスクは、CSR活動に対する社会全般の認識が損なわれることです。「どうせ企業の宣伝でやっているのだろう」「やっても大したことはない、長続きしない」などという意見が蔓延すれば、地道に努力してきた他の企業のCSR活動にも大きなマイナスになりかねません。
  もし、そうなれば由々しき事態です。いま多くの企業が、さまざまな社会的課題に真摯に取り組み、効果を上げつつあります。冒頭に掲げた企業のような行為は、その流れに掉さすだけではなく、日本のCSRを大きく後退させかねません。(オルタナ編集長 森 摂)
 「NPOとの協働は長期的な視点で」掲載URL=http://www.alterna.co.jp/12911
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==============オルタナ編集長お勧め映画=====================
◆幼児教育の在り方を問う、映画「こどもこそミライ」
  子どもと保育をテーマにしたドキュメンタリー映画「こどもこそミライ」(筒井勝彦監督)の上映が4月5日、アップリンク(東京・渋谷)で始まった。
  子どもたちだけの徹底した話し合いの場を設けるなど、3つの保育施設のユニークな取り組みを取材した本作品は、日本の画一的な幼児教育に警鐘を鳴らす。昨年11月の公開以来、勉強会や企業主催の上映会を経て劇場公開が決まるなど、全国的な広がりを見せている。
詳しくは⇒ http://www.alterna.co.jp/12891
================オルタナ編集長お勧めイベント===================
◆5/3 LGBT職場環境アンケート報告会 ~データを職場環境改善のチカラに
  虹色ダイバーシティでは昨年の第1回に引き続き、インターネット上で「LGBTに関する職場環境アンケート」を実施しました。今年は調査対象をLGBT当事者だけでなく、「日本の職場で働いた経験のある方」に拡大し、2014年2月~3月で1700名を超える回答を得ました。このアンケートの集計・分析結果の発表と、そこから見えてくる日本の職場の課題について考えるトークイベントを開催します。
と き: 2014年5月3日(土)14:00ー16:00
ところ:  東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区神宮前)
参加費: 500円 
詳しくは⇒ http://kokucheese.com/event/index/161869/
◆5/8,11 炭素循環農法交流会
  炭素循環農法とは、炭素資材を用いて畑の微生物を増やすことで植物を育てる環境にやさしい農法です。提唱者である林幸美氏のレクチャーの後、ゲストとの対談形式で炭素循環農法の位置づけや未来への展望を話します。
  ゲストは古武術を活用した介護方法などで有名な身体技法研究家の甲野善紀氏(8日)と、有機農業ジャーナリストの山口タカ氏(11日)。甲野氏の回では、「農業における体の使い方講習」も行います。
と き: 2014年5月8日(木)9:00ー16:00、
ところ: (8日)二宮町役場駐車場町民センター前集合、
     (11日)豊海区民間3号室(東京都中央区勝どき)
参加費: いずれも1000円  
詳しくは⇒ http://tanjunnou.blog65.fc2.com/
◆5/14(水)~7/23(水)「新興事業@東北!」研修(5/2(金)申込締切)
  一般社団法人新興事業創出機構(JEBDA)が主催する「新興事業@東北!」研修は東北被災地発のソーシャルビジネスを題材に、優れたビジネスチャンス(新興事業)を見つけ、事業アイデアを具体的事業にする社内起業家(イントレプレナー)に求められるマインド、スキル、ネットワークを身につける研修です。豊富な企業ネットワークを有し「東北発、世界に挑戦する新興事業」の創出を目指すノウハウを「試す」「知る」「実践する」を通じて学ぶことができます。まずは東京メインで受けられる基礎コース(東京ラウンド)を開講します。
と き: 2014年5月14日(水)~7月23日(水)3ヶ月
ところ: 東京都内、東北被災地
参加費: 150,000円 ※各種割引制度がありますので、お問い合わせください。 
詳しくは⇒ http://www.rise-tohoku.jp/?p=6605
◆5/22 「英国先進CSR&エシカル企業視察ツアー」説明会
  オルタナはUKツアー開催に先立ち、説明会を行います。UKツアーは世界のエシカルやCSRの発信地である英国で、先駆者企業たちを視察しながら最前線を探るツアーです。ツアーの日程は7月6日から13日までの7日間。現地参加費用は28万円ですが、百貨店協会経由のお申し込みの場合は割引があります。
と き: 2014年5月22日(木)19:00ー20:00
ところ: オルタナ編集部(東京都目黒区駒場)
参加費: 無料  
詳しくは⇒ http://www.alterna.co.jp/12858
http://edit.diarynote.jp/home/diary/new/
◆5/19 シンポジウム「鎌倉発イノベーション」
  オルタナは「鎌倉発イノベーション」をテーマにシンポジウムを開催します。鎌倉に本社を構える「面白法人カヤック」の柳澤大輔代表など、鎌倉に根ざした企業経営者を複数を招く予定。鎌倉を愛する企業文化を学び、今抱えている問題を解決する糸口を探します。
と き: 2014年5月19日(月)19:00ー21:00
ところ: エコライブオフィス品川(東京都港区港南)
参加費: 3000円 
申し込み⇒ http://goo.gl/KGnwK9
詳しくは⇒ http://www.alterna.co.jp/12910
◆「みなとCSRダイアログ」--東京・港区の企業のCSRを語り合おう!
  港区立エコプラザ、みなと環境にやさしい事業者会議(mecc)、オルタナは5月20日、社会と企業の対話を活性化させる「みなとCSRダイアログ」を開催します。第1回は、森永乳業と西松建設のCSR担当者による発表後、討議時間を設け、内容を深めていきます。また、第2回以降、港区に拠点を持ち、CSRの活動事例を発表して頂ける事業者・企業・団体様の参加を募集しています。
と き: 5月20日(火)18:00ー20:00(以降、隔月で全6回開催)
ところ: 港区立エコプラザ(東京都港区浜松町) 
参加費: 無料
詳しくは⇒ http://goo.gl/0fYqW4
◆5/30 エナジーグリーンセミナー2014
  エナジーグリーンは「地球温暖化問題と私たちの課題」をテーマにセミナーを開催します。いま日本は大規模なシステム改革を必要としています。その場しのぎではない、100年後を見据えた課題を設定しなければなりません。国立環境研究所の江守正多氏やオルタナの森摂を講師に、地球温暖化について深めていきます。
と き: 5月30日(金)14:00ー16:30
ところ: 四谷区民センター9階大ホール(東京都新宿区内藤町)
参加費: 1000円(申し込みは5月20日までに info@energygreen.co.jp へ)
詳しくは⇒ http://www.energygreen.co.jp/topics/index.php#335
◆第二回「天職TOKYO」参加企業さま募集のお知らせ
  オルタナは第二回「天職TOKYO」を開催します。「天職TOKYO」は、「志に共感した会社で働こう」という合言葉のもと、企業の代表者や役員と、求職者が直接対話をする、マッチングイベントです。第一回は11の企業・団体の代表者と転職者200人が交流しました。今回は新卒・転職者向けにそれぞれイベントを行い、どちらも出展企業枠は3社となります。
と き: 2014年6月中旬から下旬にかけて
ところ: 都内のカフェを予定しています。
求職者: 新卒者対象と転職者対象向けのイベントを2回に分けて開催し、それぞれ30人ほど
参加企業枠: それぞれ3社(参加企業さまには特典として、経営者トップインタビューを行い、オルタナS・Yahoo!ニュースに掲載します)
企業参加費:新卒者向けイベント・参加者1名につき1万円(上限30万円)
      転職者向けイベント・参加者1名につき2万円(上限30万円)
お問い合わせ先:株式会社オルタナ・池田真隆(masataka@aterna.co.jp)
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株式会社オルタナ 代表取締役 編集長 森 摂
東京都目黒区駒場1-26-10-304  tel: 03-6407-0266
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