家づくりのスタートは何といっても、特殊な樹上人種の住まいなどでは、その樹木自体が住居を支える強靭さが当然前提になりますが、一般に地上に建築であれば土台造りが肝心要であることは、誰でも判ります。土台がしっかりしていないと、頑強な家屋や、まして大ビルディングなどは建築できません。

  私たち人間の人生もよく考えてみますと、誕生以前より母体内の子宮で胎児が成長する過程から、当然新たな生命に責任を持つべき両親が、家づくり名匠のごとく誠心誠意、愛すべきわが子や孫に好循環となる家系を残したいと願い求める「人生の幸せ」を祈り続けてこそ、新生子の誕生は祝福されるものだと思います。

  しかし、誰もが誕生出発点つまり、初め良ければ「生涯幸せ万事保障」で万々歳!とはいえないのが浮世の人生。幼児・子ども時代は優しい両親庇護のもと、甘え育ち成人となり、親離れ・子離れの時期を過ぎても、一向に「自分の幸せは自分で築く」自覚が確立できなければ、好循環人生など巡ってこないのが、世間の現実かも知れません。

  超高齢社会日本の現21世紀で、まさに最大とも云える社会問題として、過ぎ去った経済大国時代に「人生の幸せ」を目に見えるモノだけで評価した人たちが、次の世代に残すべき建物の地下深く基盤づくりしている本物の土台を本当に大事な子や孫に伝えられるのかということです。

人生の土台造りには欠かすことのできない「こころの幸せ」となる基礎創りを、いまこそ伝える責任がある中高年シニア世代が、本気で次世代の子孫に伝えようという問題意識やその力量に乏しくないだろうか反省をすべきです。
現世代大人たちの社会や政治、教育など時代対応力の不足を『生涯現役社会づくり』推進運動では痛感します。

  1985年10月生涯現役実践道場/ライフ・ベンチャー・セミナーを発足させて足掛け30年。「初め良ければ、全て良し」と錯覚して参加したものの、その場しのぎの自己中心主義など全く成果は実りません。「生涯現役は自ら創り出すもの」の土台造りを無視した、人頼り本位の「見える」化成果を求める人には、失望が募るばかりの苦難が連続。

その悪循環人生を好循環化させるには、発想の転換で、むしろ始めより終りの方が重要だと意識転換すべきだと。自覚する人生後半の昨今の心境から「終り良ければ、全て良し人生」志向の生涯現役脳こそが、決心すれば即実行で、誰でも己が人生を好循環軌道に乗せる力が発揮できるのは己のみだと確信に到るのです。                      つづく