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東京新聞　TOKYO Web／
参考URL＝http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/tradition/CK2018032302000188.html
【伝統芸能】
　　　　　　＜歌い踊る切手＞宝塚歌劇公演１００周年（２０１４年）　
　　　　　　　　　　　　日　舞　踊　り　続　け　８　０　年

　「宝塚」のスターと言えば三十歳を超えると退団するのが普通だが、百年余りの歴史の中で八十三年も在籍し、生涯現役を貫いた伝説の大スターがいる。もちろん、最長記録だ。

　その人は春日野（かすがの）八千代。初舞台は一九二九年。神戸市生まれで、本名は石井吉子。芸名の「春日野」は、琵琶歌の一節から取ったと言われる。芸名にふさわしく、日本舞踊の名手としても知られた。名取名は「花柳禄八千代」という。

　「宝塚」で日本舞踊というとヅカファンでもなければ意外な気がすることだろうが、実は宝塚音楽学校では、バレエと並んで日本舞踊の授業もあり、一流の舞踊家が教えに行っている。

　「宝塚」には、「レビュー」と呼ばれる歌とダンスを中心とした華やかなショーがある。レビューこそ「宝塚」の神髄と言う人もいる。レビューには、着物姿で、日本舞踊の要素を盛り込んだ「日本物」と呼ばれる作品がある。二〇一四年に宝塚歌劇公演百周年を記念して発行された切手にも、「洋物」と共に「日本物」のレビューの図柄もある。

　「宝塚」の奥は深く、もっと本格的な「日本物」の催しもある。「宝塚舞踊会」。名取になっている団員も珍しくないから本格的だ。

　「宝塚」の王道を行く男役のトップスターだった春日野だが、「宝塚舞踊会」にも「発表会」と呼ばれていた第一回から出演し、その中心にいた。

　「宝塚」史上に残る大演出家で、理事長にもなった植田紳爾（しんじ）の妻は、上方舞山村流宗家の娘。間に生まれた長男は、六世宗家を継ぎ山村友五郎を名乗る。「宝塚」と日本舞踊。何かと縁がある。（横浜能楽堂館長・中村雅之）