日 本 生 涯 現 役 推 進 協 議 会 &  
       NPO法人 ラ イ フ ・ ベ ン チ ャ ー ・ ク ラ ブ  活 動 で 
                ご  支  援  く  だ  さ  る   会  員  皆  様


 前20世紀のわが国では、世紀前半の「人生五十年時代」が後半では「人生八十年時代」へと見事長寿化へと伸長、いまや「人生百年時代」と言われ始めています。
 そこで考えなければならないのが、国を挙げて愛でたい「人生百年時代」といえる現実なのか?を、冷静に国民ひとり一人が考えるとき、私たち「生涯現役プロデュサー」仮登録諸兄姉はもとより、関係者皆様がどういうご意見・ご提言をいただけるか、ぜひ下記の日経紙本日記事をご参考に『生涯現役社会づくり』プラットフォーム構想との関連も含めたお考えと実践の姿勢を示していただきたいと思います。 
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日経電子版Opinion Deep Insight
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23750460R21C17A1TCR000/

         次 の 働 き 方   個 人 が 主 役                                                     
 首相を議長に人生100年時代構想会議が発足し、「人づくり」の議論が始まった。教育の無償化などに2兆円を使うという。生産性を上げるため人材に投資することは大事だが、果たして世の中のニーズにピントの合った取り組みといえるだろうか。
 人工知能(AI)やロボットの普及で業務の自動化が進み、就労期間の長い100年ライフも現実味を帯びてくる。この激変に対応し、人の能力をフル活用するには国頼み、財政頼みの姿勢ではいけない。技術をうまく使い、働き方の刷新を進めるときだ。

 2010年の創業ながら企業価値が200億ドル(約2兆2400億円)に達するシェアオフィス大手の米ウィーワーク。単なる場所貸しビジネスではない。データを駆使して人びとの行動を細かくつかみ、居心地がよく仕事がはかどる職場をつくる。メンバー同士の交流を促すイベントにも熱心だ。「創造的な環境に身を置ける」として、16万人超が利用する。
 来年2月、日本でもサービスを始める。日本法人のクリス・ヒル最高経営責任者(CEO)は日本で3カ月過ごし、手応えをつかんだ。「次の世代は終身雇用よりやりがいのあるライフワークに関心を寄せる。日本は転換点にある」
 日本生まれのベンチャーも負けていない。16年設立のscouty(スカウティ、東京・渋谷)は、AIでエンジニアの転職を支援する。手がけたプログラムや交流サイト(SNS)への投稿といった情報をインターネットで収集。エンジニア一人ひとりの力量や適性を分析し、才能を発揮できる会社とマッチングする。
 「より面白い仕事、いい仲間に出会えるよう、ミスマッチをなくしたい」。島田寛基代表取締役は語る。データベースは90万人分におよび、約30社がエンジニアの採用に導入している。

 IT(情報技術)を味方につけた個人はどんどん先を行く。
 大学2年生の水紀華さんは東京都八王子市で、体質改善につながる食事の助言などをする会社を営む。対面のほか、ネット経由のサービスもある。SNSでファンを増やし、多いときは月の収入が300万円になる。
 自分の健康管理についてブログで発信していたら「お金を払うからカウンセリングして」とメッセージが届いたのが起業のきっかけだ。「ネットは自分を表現できる場所」と水紀さんは言う。
 ネットの世界では、趣味や特技で稼ぐ人が珍しくない。クラウドソーシング大手、クラウドワークスの吉田浩一郎社長は「生活のなかでも稼げるようになっている」と話す。仕事と生活を分けて考えるワークライフバランスではなく、両者の境目が消えた「ワークライフミックス」の潮流だ。
 勤労を尊び、生産を祝う――。あすの勤労感謝の日について法律はそう説明している。だが、いまネット空間で広がるのは、「勤労」の言葉が放つ重々しさとは性質の異なる働き方といえる。
 1週間の献立作成500円、おいしいリンゴの見分け方1000円。12年設立のココナラ(東京・品川)は、知識やスキル、経験を「出品」して個人間で売買できるオンライン市場を運営する。登録ユーザーは70万人。これまでに150万件の取引が成立した。
 「これからは個人の時代。高度成長期のような社会保障はあてにできない。自己責任で生きていけるインフラを整える」。南章行社長はこう意気込む。
 週休3日制が一般的になれば、ネットを使った副業の輪が広がる可能性がある。収入源の多様化は自前のセーフティーネットになり、自分の能力を磨いたり、新たな才能に気づいたりするのに役立つかもしれない。
 著名人や専門家の時間を買える「タイムバンク」、仮想通貨で個人の価値を売買する「VALU」……。今年話題になったサービスも個の力に目をつけた試みだ。どう信頼性を確保するかなどに課題はあるが、個人が主役という流れ自体は不可逆的だろう。

 「個」が前面に出る時代には大企業も変わらざるを得ない。
 来年創業100年を迎えるパナソニック。日本で週休2日制導入の草分けとなるなど働き方に影響を与えてきた。次の100年の成長に向けた取り組みを東京・渋谷で始めた。会社の枠を超え、外部の人材と接しながら革新的な事業の糸口を見つける拠点「100BANCH」をオープンした。
 「『労働』ではなく『活動』のために人が集まる場にしたい」と同社未来戦略室の則武里恵氏。目玉は35歳未満の起業家や学生、社会人を受け入れるプログラム。食糧問題を解決する昆虫食、誰でも民泊経営ができるようにするサービスなどユニークなアイデアの実現をめざす若者たちが集う。
 松下幸之助氏も起業時は型破りな23歳の若者だった。いまのパナソニックにとってミレニアル世代の生態を知ることは刺激になる。昆虫食なら植物工場、民泊ならリフォームと、既存ビジネスといずれ相乗効果が生まれることも期待できる。働く人を組織の歯車扱いするような社風の企業はあっという間に競争力を失うに違いない。
 PwCコンサルティングが日本の働く男女6000人を対象に行った調査では、71%がスキル向上は自己責任でと考えている。個人の意識は結構高い。国が2兆円を大盤振る舞いしても、働き方の自己改革に乗り出した人たちの心には強く響きそうにない。( 本社コメンテーター: 村 山 恵 一)